コンテンツにスキップ

KOKUSAI ELECTRICのバッチCVD/ALD装置群:Mini BatchとLarge Batchの選定条件

最終更新日
出典方針
公式資料・公開資料を優先
対象範囲
systems / deep-dive

3D化したウェーハ表面へ薄膜を形成するとき、1枚ごとの成膜難度を優先するのか、数十枚のウェーハをまとめて同じ膜質へそろえるのかで装置の選定条件が切り替わります。 深い溝や穴が増えるほど、膜が入口付近に偏る、奥側へ十分に回り込まない、ウェーハ間で膜厚がばらつく、という不良候補が前工程の歩留まりを削ります。 KOKUSAI ELECTRICの公式Products & Servicesは、この詰まりをMini Batch Deposition Equipment、Large Batch Deposition Equipment、200mm系のVERTRON Revolutionまで分けて示しています。

この記事では、KOKUSAI ELECTRICの成膜装置群を「装置名の一覧」ではなく、3D構造へ膜を回り込ませる難度多枚数を同じ膜質でそろえる量産性の比較として分類します。 公式ページが示すのは、成膜装置がLP-CVD、酸化、低温・高温アニール、拡散、ALD(Atomic Layer Deposition、原子層堆積:複数ガスを周期的に供給し、原子層レベルで薄膜を形成する技術)を支えること、そしてTSURUGI系、AdvancedAce系、QUIXACE系、VERTRON系で対象ウェーハや装置の役割が異なることです。 顧客採用、個別レシピ、反応温度、出荷台数、share順位はこの公開sourceからは確定しません。

Batch Deposition Selection
3D溝への成膜難度を起点に、Mini Batch、Large Batch、200mm系装置で比較する条件を示した概念図
同じ成膜装置群でも、3D構造の膜回り込み、多枚数batch、200mm既存ラインでは比較する条件が切り替わる。

Mini BatchとLarge Batchを分ける理由

Section titled “Mini BatchとLarge Batchを分ける理由”

KOKUSAI ELECTRICは、成膜工程を半導体デバイス性能へ影響する中核工程として説明し、Strengthsページではsingle waferとbatch processingを分けています。 Single waferは1枚ずつの成膜、batch processingは数十枚のウェーハを一度に成膜する方式です。 同ページは、ALDが高い段差被覆性(step coverage:凹凸や深い溝の内側まで膜が回り込む度合い)を得やすい一方で、複数ガスを周期的に供給するため時間がかかると示しています。 KOKUSAI ELECTRICがbatch ALDを別項目として示す理由はここにあります。 3D構造へ均一に膜を入れる難度と、生産性を同時に満たすためです。

比較対象は、発売時期ではなく、3D構造の膜回り込み、多枚数batch、ウェーハ径、既存lineとの互換性です。 Mini Batchは、次世代デバイスの微細で複雑な構造へ高品質な成膜を行うthermal processing platformとして示されます。 Large Batchは、300mmウェーハをまとめて炉内へ投入し、温度制御、ウェーハ搬送、自動化、reactor purgingを量産側の条件として示します。 200mm系のVERTRON Revolutionは、150mm以下にも対応し、多品種少量から量産までのモデル選択を公式ページで示しています。

TSURUGI系は3D構造の膜回り込みを比べる

Section titled “TSURUGI系は3D構造の膜回り込みを比べる”

Advanced TSURUGI Plus-IIIとAdvanced TSURUGIは、Mini Batch Deposition Equipmentとして掲載されています。 公式Products & Servicesは、Advanced TSURUGI Plus-IIIを同社成膜装置のtop modelとし、次世代デバイスの精密で微細な構造に対して、高難度成膜と高い生産性を両立するthermal processing platformとして示しています。

TSURUGI系の比較条件は、装置の大きさよりも反応器とガスの使い方です。 公式ページは、loading effectを減らして膜厚均一性を高める独自設計のwafer reactor、reaction gas purging efficiencyの改善によるtotal deposition time短縮、高性能なgas supply and exhaust systemを特徴として示します。 これは、狭い3D構造へ膜を回り込ませるときに、ガスの入れ替え、反応器内の面内差、ウェーハ間差をどこまで縮めるかが比較条件になることを示しています。

ただし、公開sourceは前駆体名、反応温度、膜種ごとのレシピ、顧客fabでの許容範囲を出していません。 したがってこの記事では、TSURUGI系を「特定膜種で必ず優れる装置」とは書きません。 公開sourceから言えるのは、KOKUSAI ELECTRICがTSURUGI系を、3D積層デバイスや微細構造に向けた高難度成膜とgas purge改善を組み合わせたMini Batch platformとして示していることまでです。

AdvancedAceとQUIXACEは多枚数batchの量産条件を示す

Section titled “AdvancedAceとQUIXACEは多枚数batchの量産条件を示す”

Large Batch Deposition Equipmentでは、AdvancedAce-II、QUIXACE-II、QUIXACE-LV、AdvancedAce-300、QUIXACE系が並びます。 公式Products & Servicesは、AdvancedAce-IIとQUIXACE-IIを300mmウェーハ向けbatch thermal processing platformとして説明し、temperature control、wafer handling automation、reactor purgingを高throughputの要素として示しています。

Large Batch側で重要になるのは、1枚のウェーハ上の膜だけでなく、batch内の多数ウェーハを同じ条件に近づけることです。 公式ページは、AdvancedAce-IIで以前のモデル比1.75倍、QUIXACE-IIで1.25倍のlarger lot processingを示し、deep trenchへのconformal films、low temperatureでのhigh accurate, high quality film deposition、health check functionを特徴として掲載しています。 比較対象は、装置単体の万能性ではなく、batch内のウェーハ枚数と膜質管理を同じ表で比べる材料です。

QUIXACE-LVは、wafer loading areaにvacuum load-lock structureを持ち、native oxide filmとcontaminationを抑えて高品質な成膜を可能にすると説明されています。 これはLarge Batchの中でも、ウェーハ搬入部の雰囲気と汚染を比較条件に含める例です。 成膜の採否は、膜が深い溝へ回り込むか、batch全体で膜質がそろうか、搬入時の酸化や汚染をどれだけ減らせるかを組み合わせて比べる必要があります。

VERTRON Revolutionは200mm系の別条件になる

Section titled “VERTRON Revolutionは200mm系の別条件になる”

VERTRON Revolutionは、公式Products & Servicesで200mm batch thermal processing systemsのVERTRON series最新製品として説明されています。 同ページは、150mm以下のウェーハにも対応し、多品種少量から量産までモデルを選べること、過去モデルとのwafer process compatibility、300mm tool designを利用したhardware upgrade、175 wafersのlarger batch sizeと低天井向け100 wafers small batch optionを示しています。

比較対象には、最先端300mm装置に加えて、既存200mmライン、150mm以下のウェーハ、品種数の多いライン、天井高さなどの工場側条件が入ります。 KOKUSAI ELECTRICがVERTRON Revolutionを成膜装置群の中で別に示すのは、同じLP-CVD、酸化、拡散、アニール系の熱工程でも、ウェーハ径と既存lineの互換性が採否条件になるためです。

VERTRON Revolutionの比較対象は、200mmおよび150mm以下を含む装置選択肢です。 公式sourceが示す範囲では、互換性、batch size、雰囲気制御、部品供給リスク低減を比較する装置familyです。

膜質改善装置を成膜装置に混ぜない

Section titled “膜質改善装置を成膜装置に混ぜない”

KOKUSAI ELECTRICの同じProducts & Servicesには、Treatment (film property improvement) Process Equipmentも掲載されています。 同社は膜質改善装置について、成膜後の薄膜にplasmaとheatを加え、不純物を減らし、粒子を安定化させる装置として示しています。 MARORAはplasma nitridationとplasma oxidation、TANDUOはlow temp annealing、curing、degassingを対象にします。

この領域は、成膜装置と同じ前工程にありますが、比較する条件が違います。 成膜装置は、薄膜を形成し、3D構造へ膜を回り込ませ、多枚数をそろえる条件を比べます。 膜質改善装置は、形成済み薄膜に対して、不純物低減、粒子安定化、plasma damageの低減、温度均一性を比べます。 装置カタログでは同じ会社の製品群として近くに並びますが、工程担当者が比べる材料は分けた方が誤解が少なくなります。

公開sourceから次に突き合わせる条件

Section titled “公開sourceから次に突き合わせる条件”

Semiconductor Industryページは、前工程を成膜、膜質改善、photolithography、etching、cleaning、inspectionに分け、KOKUSAI ELECTRICが成膜と膜質改善を中心に事業を行うと示しています。 この会社を装置DBで追うときは、KOKUSAI ELECTRICを「成膜装置メーカー」とだけまとめず、Mini Batch、Large Batch、200mm batch、膜質改善の4つに分けると公開sourceの粒度に合います。

次に突き合わせる公開source上の差分は、次の4点です。

  • 3D積層や微細構造では、TSURUGI系の膜回り込み、reaction gas purge、膜厚均一性を示す公式説明。
  • AdvancedAce/QUIXACE系:300mm batchでのウェーハ枚数、deep trenchのconformal films、低温成膜、load-lockや汚染低減の説明。
  • VERTRON Revolution:200mm、150mm以下、多品種少量、既存モデル互換、batch size optionの説明。
  • MARORA/TANDUO:成膜後の膜質改善、plasma nitridation、plasma oxidation、curing、low temp annealingの説明。

この記事の主眼は、装置名を増やすことではありません。 3D構造の成膜難度とbatch生産性を同じ文章に詰め込まず、どの装置familyがどの条件を支えるのかを分けて比べることです。 公式sourceから確定できるのは、成膜と膜質改善の役割、対象技術、ウェーハサイズ、公開された装置特徴までです。 個別顧客の採用範囲、レシピ、反応温度、量産歩留まり、出荷台数、share順位は、追加の公式sourceが出るまでこの記事の外に出します。