気流(ダウンフロー)とは
気流(ダウンフロー)とは、天井から床へ一方向に清浄空気を流し、室内で生まれた粒子を床下の吸込口まで運び去る空気の流れです。 フィルタが入口を守るのに対し、気流は部屋の中で生まれた分を引き受けます。
人も装置も、動いている限り粒子を生み続けます。入口をどれだけ固めても、室内で生まれた分は室内に留まります。日本無機の公式カタログは、微粒子を問題とするクリーンルームが守る4原則として、室内への微粒子の侵入を防ぐこと、室内での発生を防ぐこと、堆積を防ぐこと、室内で発生する微粒子を速やかに排除すること、の4つを挙げています。気流は、後ろの2つを引き受けます。
同カタログは、気流でクリーンルームを3種類へ区分しています。非一方向流方式(コンベンショナルダウンフロー)は天井の一部にHEPAフィルタを付け、清浄空気を壁下面の吸込口へ流す方式で、清浄度はISOクラス6〜8です。一方向流方式(ラミナーダウンフロー)は天井面にHEPAフィルタを敷き詰め、床面の吸込口へ向けて垂直に流す方式で、ISOクラス3〜5です。もう1つの一方向流方式(クロスフロー)は、一方の壁全面から対向壁の吸込口へ水平に流す方式で、ISOクラス5〜6です。
電子情報通信学会の知識ベース「クリーン化技術」(10群2編5章)も、一方向流方式で高い清浄度(クラス1〜5)を確保でき、非一方向流方式はクラス6〜8程度のクリーンルームに採用されるとしています。同資料は、一方向流方式ではエアーフィルタを通った清浄空気が一定方向に流れ、多くの場合は天井全面から吹き出した空気が床下全面へ吸い込まれると述べています。
差が出るのは、粒子の行き先です。興研の公式ページは、一方向流では気流が部屋全体を一定方向に流れ、汚染物質が気流に乗って室外へ押し流されるため、室内に居残りにくくなるとしています。非一方向流については、室内で生まれた汚染物質を薄めながら室外へ抜く構造で、清浄空気の吹き出し口が部屋の一部に限られるため、ところどころで気流が滞留し、渦が生じると述べています。
何を測り、どこを動かすのか
Section titled “何を測り、どこを動かすのか”現場のつまみは4つです。
1つ目は面風速です。日本無機の公式カタログは、同社ファンフィルタユニットの標準仕様として、HEPAフィルタを使った場合の平均風速を0.35m/sと記載しています。600×1200mmのモジュールで風量15m3/min、静圧38Pa、DCモータの消費電力は約160Wという条件です。同社製品の値です。
2つ目はファンフィルタユニットの台数と配置です。日立プラントサービスの公式ページは、垂直一方向流方式について、天井のファンフィルタユニットで清浄空気を一方向に流し、グレーチング床下からリターンシャフトを経由して天井へ帰す循環経路を組む方式としています。同ページは、ファンフィルタユニットの置き場所と動かす台数を変えれば清浄度を手軽に変えられるとし、この方式がISOクラス3以上の清浄度を要するクリーンルームに向くとしています。興研の公式ページは、一方向流方式で200回〜300回以上/hの換気回数を要するとしています。
3つ目は室圧です。電子情報通信学会の知識ベースは、半導体用クリーンルームの空気圧について、外調機から入れる給気量とクリーンルームから抜く排気量の釣り合いを取り、室外より常に高い空気圧を保つことで、外部からの汚染物質の流入を防ぐと述べています。
4つ目はフィルタの除去対象粒径です。同資料は、クリーンルームと循環空調系のエアーフィルタとして、除去対象粒径0.3μmのHEPAフィルタと0.1μmのULPAフィルタを挙げ、微細化の進んだプロセスでは化学物質の制御のために循環系へケミカルフィルタを入れる場面が増えたとしています。
レイアウトを変えれば、そのまま流れも変わります。新菱冷熱工業のクリーンルーム技術ページは、HPCサーバーによるシミュレーションで、レイアウト変更が気流と温度へ与える影響を事前に調べると記しています。
引き換えに払うもの
Section titled “引き換えに払うもの”一方向流は高くつきます。興研の公式ページは、一方向流方式では初期の費用も運転の費用も高くつき、清浄な区画を広げたり動かしたりするのも難しくなると注意を促しています。
送風の動力も代償の1つです。電子情報通信学会の知識ベースは、1980年代に主流となったベイ方式が大型の軸流ファンで送風していたと記しています。同資料によれば、速く送るほど騒音が増えるので消音器の設置が要り、送る側の動力も消費電力量も大きくなりました。ここを軽くするために生まれたのがFFU方式です。同資料は、小さなファンとエアーフィルタを1つにまとめた装置を天井面へ数多く並べ、清浄度を保つやり方だとしています。
風量そのものを減らす道は、FOUPとミニエンバイロメントが開きました。同資料は、ウェハがクリーンルームの空気から隔離されたことで、ボールクリーンルームの塵埃レベルをISOクラス6程度まで緩められ、循環風量も削減できたとしています。従来型と比べてランニングコストを約40%下げられたという報告も引いています。2006年の報告を引いた記述です。
ただし、風量には清浄度以外の役目もあります。同資料は、清浄度の面で循環風量を減らせる場合でも、装置発熱などの熱負荷を除去するために風量を保つ必要が出る場面があると記しています。対策として、装置の発熱をクリーンルームの空気による空冷から冷却水による水冷へ替えると、クリーンルームの熱排気量を減らせるとしています。JEITAの半導体技術ロードマップ専門委員会が訳したITRS 2005年版のファクトリインテグレーションの章も、クリーンルーム気中粒子清浄度要求の緩和が気流の削減を伴い、温度、湿度、清浄度、メンテナンスに関する懸念を生むと記しています。2005年版の記述です。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”気流(ダウンフロー)とは何ですか?
天井から床へ一方向に清浄空気を流し、室内で生まれた粒子を床下の吸込口まで運び去る空気の流れです。日本無機の公式カタログは、天井面にHEPAフィルタを付けて床面の吸込口へ垂直に流す方式を一方向流方式(ラミナーダウンフロー)と呼び、清浄度をISOクラス3〜5としています。
一方向流と非一方向流は何が違いますか?
粒子の行き先が違います。興研の公式ページは、一方向流では汚染物質が気流に沿って室外へ押し流されるため、室内に居残りにくくなるとしています。非一方向流は室内で生まれた汚染物質を薄めながら室外へ抜く構造で、清浄空気の吹き出し口が部屋の一部に限られるため、ところどころで気流が滞留し渦が生じると述べています。
風速はどれくらいですか?
日本無機の公式カタログは、同社ファンフィルタユニットの標準仕様として、HEPAフィルタを使った場合の平均風速を0.35m/sと記載しています。600×1200mmのモジュールで風量15m3/min、静圧38Paという条件です。同社製品の値です。
清浄度はどうやって上げますか?
日立プラントサービスの公式ページは、垂直一方向流方式について、ファンフィルタユニットの置き場所と動かす台数を変えれば清浄度を手軽に変えられるとしています。同ページは、この方式がISOクラス3以上の清浄度を要するクリーンルームに向くとしています。
部屋の圧力はなぜ管理しますか?
電子情報通信学会の知識ベースは、半導体用クリーンルームで外調機から入れる給気量とクリーンルームから抜く排気量の釣り合いを取り、室外より常に高い空気圧を保つことで、外部からの汚染物質の流入を防ぐと述べています。
風量を下げると何が起きますか?
同じ知識ベースは、清浄度の面で循環風量を減らせる場合でも、装置発熱などの熱負荷を除去するために風量を保つ必要が出る場面があると記しています。対策として、装置の発熱をクリーンルームの空気による空冷から冷却水による水冷へ替えると、熱排気量を減らせるとしています。
換気回数はどれくらい要りますか?
興研の公式ページは、一方向流方式で200回〜300回以上/hの換気回数を要するとし、この方式でクラス5以上の高い清浄度を作れるとしています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- クリーンルームとは ── 気流を収める部屋そのものです
- ミニエンバイロメントとは ── 部屋の気流を弱める代わりに囲いで守る方式です
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- 日本無機「クリーンルーム機器/クリーンルームシステム」公式カタログ(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── クリーンルームの4原則、3種類の気流方式と清浄度クラス、ファンフィルタユニット標準仕様の平均風速0.35m/s
- 電子情報通信学会 知識ベース「10群2編5章 クリーン化技術」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 一方向流と非一方向流の清浄度、室圧の保ち方、HEPAとULPAの対象粒径、FFU方式が生まれた経緯、循環風量と熱負荷の関係
- 日立プラントサービス「クリーンルームの概要」公式ページ(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 垂直一方向流の循環経路、ファンフィルタユニットの配置と運転台数で清浄度を変える運用
- 興研「クリーンルームってどんなもの?」公式ページ(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 一方向流での押し流し、非一方向流での希釈と渦、換気回数200回〜300回以上/h、拡張と移動の難しさ
- 新菱冷熱工業「クリーンルーム」技術とサービス(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── レイアウト変更が気流と温度へ与える影響のシミュレーション
- JEITA 半導体技術ロードマップ専門委員会「ITRS 2005年版 ファクトリインテグレーション」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 清浄度要求の緩和が気流の削減を伴い、温度・湿度・メンテナンスの懸念を生む点