有機・化学汚染とは
有機・化学汚染とは、ウェハや装置の表面に、粒子より小さな分子の形で付く汚れです。 炭素を含む有機物や、酸・アルカリのガスが、空気や薬液を通って表面に届き、そこにとどまります。
洗浄で落とす相手は何種類もあります。SCREENセミコンダクターソリューションズの洗浄工程の解説は、取り除く汚染をパーティクル、金属汚染、有機汚染、自然酸化膜に分けています。同じ解説は有機汚染の中身として、人のフケや垢に含まれる炭素や、工場で使う薬液に含まれる微量の炭素分子を挙げ、純水配管の中にバクテリアがあればそれも有機汚染の一つになるとしています。
粒子と分子では、止め方が変わります。パーティクルは網の目に引っかかるので、フィルタのろ過で減らせます。分子は網の目より小さいため、そのまま通り抜けます。ですから空気の側では、吸着で捕まえます。
電子情報通信学会の知識ベース「クリーン化技術」は、微細化の世代が進むごとにクリーンルームの清浄度管理が厳しくなり、清浄度の基準も塵埃だけでなく化学物質成分の低減が重要な課題になっていると述べています。
空気の側で止めます
Section titled “空気の側で止めます”同じ知識ベースは、外気を取り入れる外調機の構成として、上流からプレフィルタ、中性能フィルタ、HEPAフィルタを挙げています。そのうえで、大気に含まれるNOx、SOx、アンモニアなどの化学成分を除くためにケミカルフィルタを外調機の中へ入れることがあり、アンモニアのような水溶性の化学物質には、外気と純水を接触させるエアワッシャを使うことが一般的になってきたとしています。微細化の進んだプロセスでは、循環する空調系にもケミカルフィルタを入れることが多いとも述べています。
汚れを減らす部品そのものが、汚れの発生源になることもあります。同じ知識ベースは、1990年頃までの高性能フィルタが、塵埃については十分な捕集効率を達成していた一方で、フィルタそのものから出る化学物質にはほとんど未対策で、むしろ化学汚染の発生源になっていたとしています。1995年以降に化学汚染対策を行った高性能エアーフィルタが開発され、現在も広く使われている、と続きます。
ガスの種類ごとに、測り方も対処も変わります
Section titled “ガスの種類ごとに、測り方も対処も変わります”日本無機はケミカルフィルタの公開資料で、除去の対象を有機ガス、酸性ガス、アルカリ性ガスなどに分け、それぞれに合うろ材を挙げています。同社資料によると、有機ガスは沸点で三つに区切られます。沸点150℃以下にはアルコール類やアセトン、トルエンなどの有機溶媒が入り、主な発生源として洗浄液が挙がります。沸点150〜300℃にはシロキサン類やリン酸エステル類が入り、シリコーンシール剤や難燃剤が挙がります。沸点300℃以上にはフタル酸エステル類が入り、プラスチックの可塑剤が挙がります。
測る道具もガス種ごとに別々です。同資料は、有機ガスの主な測定方法としてTHC計(全炭化水素計)、吸着管に捕集してからのGC分析、GC/MS分析を挙げています。酸性ガスやアルカリ性ガスでは液体に捕集してからのイオンクロマトグラフ分析やNOx計、SOx計、アンモニア計が並び、ボロンでは液体に捕集してからのICP/MS分析が並びます。何を疑うかで、使う装置が入れ替わります。
ウェハの側で落とします
Section titled “ウェハの側で落とします”空気を整えても、表面には汚れが付きます。SCREENの解説は、特に高い洗浄度が求められる成膜工程の直前などでは、多槽型に代えてワンバス型のウェットステーションが使われるとしています。理由として、通常のウェットステーションはウェハを槽と槽の間で搬送するとき、その表面が空気中の微量な不純物に触れてかすかに汚染されるリスクがあると述べ、ワンバス型は薬液で洗ったあとその薬液を純水で入れ替えてから水洗するため、ウェハが大気に触れないとしています。厳しい洗浄のあとの乾燥を窒素ガスの中で行う方法も普及している、とも書かれています。工程と工程の隙間が、そのまま汚染の量になります。
薬液そのものでも落とします。日本半導体製造装置協会(SEAJ)の半導体製造装置用語集は、室温四工程洗浄の第1工程として、オゾン水で有機汚染を除去し、一部の金属汚染も除去できると記しています。薬液の側はオゾン水洗浄やRCA洗浄のページで続けます。
同じ用語集は、クロスコンタミネーションを、同一装置内の一連の異種プロセス間で、それぞれの生成物などが他のプロセス環境を汚染することと記し、例として銅の付いたウェハを洗った洗浄槽で銅の付いていないウェハを洗うと銅の汚染が生じる場合を挙げています。装置を共用するほど、この経路が増えます。
吸着剤の寿命を差し出します
Section titled “吸着剤の寿命を差し出します”吸着剤はいつか埋まります。日本無機は同資料で、ケミカルフィルタの初期除去効率を約90%としたうえで、対象ガスの種類や濃度などの使用条件によって異なると添えています。吸着剤は使うほど埋まるので、いつか交換が要ります。
ニッタはケミカルフィルタの公式ページで、環境を調査して対象ガスに合う吸着剤を選び、導入後は分析によって除去の具合を確かめ、寿命やフィルタ交換の周期を推定するとしています。同社は、フィルタシステムを再利用でき、中身の吸着剤の交換だけで済むため、ランニングコストの削減につながるとも述べています。清浄な空気の費用は、据え付けたあとも交換のたびに続きます。
代償はもう一つあります。日本無機は同資料で、発ガス対策のフィルタとして低ボロン、低有機、ボロンレスの品目を挙げ、フィルタや部材から出る有機物の発生量を測る項目も並べています。部材が自分から放つガスは、アウトガスのページで続けます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”有機・化学汚染とは何ですか?
ウェハや装置の表面に、粒子より小さな分子の形で付く汚れです。SCREENの洗浄工程の解説は、洗浄で取り除く汚れを、粒子(パーティクル)、金属汚染、有機汚染、油脂、自然酸化膜の五つに分けています。
パーティクルと何が違いますか?
止め方が違います。粒子は網の目に引っかかるので、フィルタのろ過で減らせます。分子は網の目より小さいため通り抜けるので、空気の側では吸着で捕まえます。
どこから来ますか?
人と薬液と部材から来ます。SCREENの解説は、有機汚染の中身として人のフケや垢に含まれる炭素や、工場で使う薬液に含まれる微量の炭素分子を挙げ、純水配管の中にバクテリアがあればそれも有機汚染の一つになるとしています。
空気の側ではどう止めますか?
電子情報通信学会の知識ベースは、外気を取り入れる外調機にケミカルフィルタを入れることがあり、アンモニアのような水溶性の化学物質には外気と純水を接触させるエアワッシャを使うことが一般的になってきたと述べています。
何で測りますか?
相手によって道具が変わります。日本無機の公開資料は、有機ガスの測定方法としてTHC計や吸着管に捕集してからのGC分析、GC/MS分析を挙げ、酸性・アルカリ性ガスでは液体に捕集してからのイオンクロマトグラフ分析などを挙げています。
ウェハに付いたものはどう落としますか?
薬液で落とします。SEAJの用語集は、室温四工程洗浄の第1工程としてオゾン水で有機汚染を除去し、一部の金属汚染も除去できると記しています。
差し出すものは何ですか?
吸着剤の寿命です。日本無機はケミカルフィルタの初期除去効率を約90%としたうえで、対象ガスの種類や濃度などの使用条件によって異なると添えています。吸着剤は使うほど埋まるため、交換の周期が要ります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- SCREENセミコンダクターソリューションズ「洗浄工程」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 有機汚染の中身、ワンバス型ウェットステーション、窒素中での乾燥
- 電子情報通信学会 知識ベース 10群2編5章「クリーン化技術」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 化学物質成分の管理、ケミカルフィルタとエアワッシャ、高性能フィルタが発生源になっていた経緯
- 日本無機「ケミカルフィルタ」公開資料(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 沸点による有機ガスの区分、ガス種ごとの測定方法、初期除去効率、発ガス対策のフィルタ
- ニッタ「ケミカルフィルタ」公式ページ(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 吸着剤の選定と寿命・交換周期の推定、吸着剤だけを交換する運用
- 日本半導体製造装置協会(SEAJ)「半導体製造装置用語集(ウェーハプロセス)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 室温四工程洗浄によるオゾン水での有機汚染除去、クロスコンタミネーション