オペアンプとは
オペアンプとは、2つの入力端子にかかった電圧の差だけを大きくして出力するアナログICです。 ロームの技術解説は、入力側がほとんど電流を取らず、出力側は低い抵抗で押し出せるため、信号を送る側の負担が小さいまま次の回路を動かせるとしています。
端子の本数は1回路あたり5本です。ロームの技術解説は、1回路につき正側電源端子と負側電源端子、+入力端子と−入力端子、そして出力端子の5本があると記述しています。信号が入るのは+入力と−入力の2本で、出力を左右するのは、その2本にかかった電圧そのものよりも、2本の間の差のほうです。
この部品が要る理由は、センサから届く信号の小ささにあります。日清紡マイクロデバイスのオペアンプ基礎講座は、自然界の情報のほとんどがアナログ信号であり、それを読み取るセンサの出力信号のほとんどが低電力だと記述しています。同講座は、その小さな信号をそのままデジタルへ置き換えると信号が歪むとし、オペアンプで適切な大きさへ整えてからA/Dコンバータへ渡す流れを示しています。
ここで、この部品の性格が出ます。同講座によると、この増幅率は数十万倍から数百万倍という桁に達します。ルネサスのオペアンプ・コンパレータQ&A集は、理想的には増幅率が無限大の差動増幅器だと書いています。2007年8月時点の資料です。
入力の差が1mVで開放利得が10万倍なら、出力は100Vを目指すことになります。この100Vは、2つの数字をここで掛け合わせた値です。実際の電源電圧はこれよりずっと低いため、出力は上限か下限のどちらかに張り付きます。ロームの技術解説も、開放利得がそれだけ大きいので、負帰還を省いたまま使えば出力は電源電圧の近くまで振り切れやすいとしています。
増幅率は抵抗2本の比で決まります
Section titled “増幅率は抵抗2本の比で決まります”負帰還は、出力の一部を−入力端子へ返す配線です。ロームの技術解説は、負帰還が働いて線形に動いている間、出力は2つの入力端子の電位差が縮まる向きへ動くとしています。差が縮まった結果、配線が別々のままの2本の入力端子を、電位のそろったものとして計算に使えます。この近似がバーチャルショートです。同解説は、負帰還が働いていること、ループ利得が足りていること、入力同相電圧範囲と出力振幅範囲の内側にあることを、この近似が使える条件に挙げています。
この状態でつり合う先が、外付け抵抗の比です。ロームの増幅と帰還の解説は、非反転増幅回路の利得を 1 + Rf/Rin、反転増幅回路の利得を −Rf/Rin としています。ルネサスのQ&A集は同じ非反転増幅回路について、R1が1kΩでR2が10kΩなら11倍のアンプになり、抵抗値を変えるだけで増幅率を設定できると書いています。2007年8月時点の資料です。
負帰還が変えるのは、数字を自分で選べる点に加えて、もう1つあります。ロームの増幅と帰還の解説は、ループ利得が十分に大きい範囲では閉ループ利得が帰還率でほぼ決まるとし、製造ばらつきや温度で開放利得が動いても、閉ループ利得はその影響を受けにくくなるとしています。素子のばらつきが増幅率へ届きにくくなる、という言い方もあります。
利得を上げるほど、使える周波数が下がります
Section titled “利得を上げるほど、使える周波数が下がります”この置き換えには代償が付きます。日清紡マイクロデバイスの基礎講座は、オペアンプの利得と使える周波数範囲が一般に反比例の関係にあるとし、増幅率を大きくするほど帯域幅は狭くなると記述しています。両者の積が利得帯域幅積です。
ルネサスのQ&A集は、利得帯域幅積を通常10kHzで規定するとし、開放利得の特性図から10kHzで126倍と読み取って利得帯域幅積を1.26MHzと計算しています。そのうえで、100kHzで20dBの増幅回路は成り立つ一方、60dBの増幅回路は設計できる範囲の外になると書いています。2007年8月時点の資料です。増幅率を先に決め、その増幅率のまま扱える周波数を確かめる、という順番になります。
大きい振幅を速く動かすときには、もう1つの上限が加わります。スルーレートです。ロームの増幅と帰還の解説は、出力電圧が一定の時間にどれだけ動けるかを表す値をスルーレートとし、1V/µsなら1µsで1V動かせる意味だとしています。ルネサスのQ&A集は、3.5µsで10V変化した波形から約2.9V/µsという値を求めています。これより急な信号に対しては、出力波形が入力に追いつかず歪みます。
増幅と一緒に誤差も増えます
Section titled “増幅と一緒に誤差も増えます”オペアンプは信号を増やしますが、誤差も同じ倍率で増やします。日清紡マイクロデバイスの基礎講座は、入力オフセット電圧を2つの入力端子間に生じる微小な電圧とし、製造プロセスの微細な不均衡や素子のマッチングの不完全さから生じ、µVからmVのオーダーになると記述しています。
倍率が掛かった後の大きさは、ロームの入力特性の解説が例で示しています。同解説は、入力オフセット電圧による出力誤差を入力オフセット電圧とノイズゲインの積で見積もれるとし、RF/RGが100の反転増幅回路ではノイズゲインが101倍になるため、入力オフセット電圧1mVに対して出力誤差は約101mVになるとしています。入力側の1mVが、出力側では100mVの桁になります。
もう1つは、入力端子へ出入りする電流です。ルネサスのQ&A集は、入力抵抗が1MΩで入力バイアス電流が100nAのとき、両者の積である0.1Vが入力の誤差になると計算しています。2007年8月時点の資料です。信号源の抵抗が大きいときほど、入力バイアス電流の小さい品種が要ります。
理想の側の数字も公開されています。ロームの技術解説は、理想オペアンプの入力抵抗を無限大、出力抵抗を0としています。実際の製品はこの理想へ近づける方向で設計され、日清紡マイクロデバイスの基礎講座は同社製品の例として、NJM4558の入力インピーダンスを5MΩ(typ.)、NJMOP177の出力インピーダンスを60Ω(typ.)と挙げています。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”オペアンプとは何ですか?
2つの入力端子にかかった電圧の差だけを大きくして出力するアナログICです。ロームの技術解説は、入力側がほとんど電流を取らず出力側は低い抵抗で押し出せるため、信号を送る側の負担が小さいまま次の回路を動かせるとしています。
なぜ負帰還をかけるのですか?
素子そのものの利得が大きすぎるためです。日清紡マイクロデバイスの基礎講座は、増幅率が数十万倍から数百万倍という桁になるとしています。ロームの技術解説は、この開放利得のまま使えば出力が電源電圧の近くまで振り切れやすいとし、外付け抵抗で負帰還を組んで必要な利得へ整える手順を示しています。
バーチャルショートとは何ですか?
負帰還が働いている間、2つの入力端子の電位をそろったものとして計算できる近似です。ロームの技術解説は、線形に動いている範囲でだけ使える考え方だとし、入力同相電圧範囲と出力振幅範囲の内側にあることを前提に挙げています。
増幅率はどうやって決まりますか?
外付け抵抗の比で決まります。ロームの増幅と帰還の解説は、非反転増幅回路の利得を 1 + Rf/Rin、反転増幅回路の利得を −Rf/Rin としています。ルネサスのQ&A集は同じ回路について、R1が1kΩでR2が10kΩなら11倍のアンプになり、抵抗値を変えるだけで増幅率を設定できると書いています。2007年8月時点の資料です。
利得帯域幅積とは何ですか?
利得と帯域の積で、おおよそ一定になる値です。ルネサスのQ&A集は10kHzで126倍という読み取りから利得帯域幅積を1.26MHzと計算し、このオペアンプでは100kHzで20dBの増幅回路が成り立つ一方、60dBの増幅回路は設計できる範囲の外になるとしています。
ボルテージフォロアは何に使いますか?
電圧をそのまま次の回路へ渡すバッファに使います。ロームの技術解説は、出力端子を−入力端子へ直接返した回路で電圧利得がほぼ1倍になるとし、高入力抵抗と低出力抵抗を生かして信号を次段へ受け渡せるとしています。
コンパレータとどう違いますか?
内部の位相補正コンデンサの有無と出力形式が違います。ルネサスのQ&A集は、オペアンプが負帰還で安定動作するための位相補正コンデンサを内蔵しプッシュプル出力を持つのに対し、コンパレータは位相補正コンデンサを持たずオープンコレクタ出力だとしています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- コンパレータとは ── 同じ5端子で、位相補正コンデンサを外して大小の比較へ振った部品
- ADC(A/Dコンバータ)とは ── オペアンプが整えた信号を受け取り、数値へ置き換える部品
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- ローム TechWeb「オペアンプとは?仕組み・役割・選び方・コンパレータとの違い」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 5端子の構成、差電圧を増幅するアナログICという記述、開放利得が大きく負帰還なしでは出力が電源電圧付近へ振り切れること、バーチャルショートが使える条件、理想オペアンプの入力抵抗と出力抵抗、ボルテージフォロアの電圧利得
- ローム TechWeb「オペアンプの増幅と帰還|利得設計からスルーレートまで」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 非反転増幅回路と反転増幅回路の利得の式、閉ループ利得が帰還率でほぼ決まること、開放利得の変動が閉ループ利得へ与える影響が小さくなること、スルーレートの意味と1V/µsの読み方
- 日清紡マイクロデバイス「オペアンプ基礎講座」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 増幅率が数十万から数百万に及ぶこと、センサ出力が低電力でそのままデジタル化すると歪むこと、利得と帯域幅が反比例すること、入力オフセット電圧のオーダー、NJM4558とNJMOP177の入出力インピーダンス
- ルネサスエレクトロニクス「オペアンプ・コンパレータQ&A集」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 理想的には増幅率が無限大の差動増幅器という記述、R1が1kΩでR2が10kΩなら11倍という例、利得帯域幅積1.26MHzと100kHzでの20dBと60dBの可否、スルーレート約2.9V/µsの求め方、入力抵抗1MΩと入力バイアス電流100nAで0.1Vの誤差
- ローム TechWeb「オペアンプの入力特性とは?入力精度と安全定格を解説」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 入力オフセット電圧による出力誤差をノイズゲインとの積で見積もる式、RF/RGが100の反転増幅回路でノイズゲイン101倍、入力オフセット電圧1mVに対して出力誤差が約101mVになる例