LDOレギュレータとは
LDOレギュレータとは、入力電圧と出力電圧の差が小さい状態でも安定化動作を続けられるリニアレギュレータです。
電池やUSBから来た電圧を、そのままICへ渡す場面はまれです。マイコンやセンサが求める3.3Vや1.8Vへ落とす部品が要ります。その役目を持つ部品のうち、いちばん構造が単純な系統がリニアレギュレータです。
ロームのTechWebは、リニアレギュレータの内部がエラーアンプ、基準電圧源、出力トランジスタで構成されると記述しています。出力電圧から取り出した帰還電圧と基準電圧をエラーアンプが連続して比べ、差がゼロへ近づくように出力トランジスタを調整します。動作は完全にアナログで、入力から出力までは1本の通り道です(同社技術情報サイトの記述です)。
同じ通り道に入力と出力の電圧差がかかるため、その差と電流の積は損失になります。LDOという名前は、この差をどこまで詰められるかを指しています。ロームは、LDOをLow Dropoutの略とし、入出力間の電位差が低い状態でも動作するリニアレギュレータと記述しています。低損失型や低飽和型という呼び方も同社は紹介し、安定して動く最低の電位差が1V以下へ抑えられたものを一般に指すとしています。
ドロップアウト電圧は入力電圧の下限をつくります
Section titled “ドロップアウト電圧は入力電圧の下限をつくります”ドロップアウト電圧は、出力トランジスタが安定化動作を続けるために要る、入力と出力の最小の電圧差です。ロームは、入出力の差がこの値を下回ると出力電圧が下がっていくと述べ、最低動作電圧が「出力電圧+ドロップアウト電圧」になるとしています。有効な入力範囲は、この最低動作電圧から最大入力電圧までです(同社技術情報サイトの記述です)。
同社は具体例として、3.3Vを作る場面で入力が5Vの場合に、入出力間電位差の低いLDOが要るとしています。ドロップアウト電圧が大きい標準型では、その差を確保するために、より高い入力電圧を用意する必要が出てきます。
効率は入出力の電圧差で変わります
Section titled “効率は入出力の電圧差で変わります”ここが、非専門家にとっていちばん取り違えやすいところです。ロームは、負荷電流が大きい場面ではIC自身の消費電流を無視でき、効率が出力電圧÷入力電圧で近似できると記述しています。同社の計算例では、5Vから3.3Vを作ると効率は64%、入力を3.6Vへ下げると89%です。入力5Vはシステム側の電源電圧、3.6Vはリチウムイオン二次電池を想定した値です(いずれも同社の計算例です)。
ドロップアウト電圧を3Vとした標準型で同じ3.3Vを作る場合、入力は6.3V以上が要り、効率は52%まで下がります。同社は、近ごろのスイッチングレギュレータの効率を80%から90%以上とし、条件を整えたリニアレギュレータがその水準へ届くとしています。一方、12Vから5Vを作るような場面では、LDOでも標準型でも効率と損失は同じ水準にとどまります。
ロームは、効率の式が入力電圧と出力電圧で書ける点を挙げ、ドロップアウト電圧を、入出力の差をどこまで小さくできるかに関わる値と位置づけています。ドロップアウト電圧は効率そのものというよりも、効率の高い動作点へ入るための入場券にあたります。
熱の計算が設計の中心へ来ます
Section titled “熱の計算が設計の中心へ来ます”ロームは、リニアレギュレータの長所として、入力と出力にコンデンサを1個ずつ足すだけで動く手軽さを挙げています。同社は、回路設計よりも放熱設計のほうが手間になる場合もあるとしています。同社が短所に挙げるのは、入出力の電圧差が大きい場面で損失がふくらみ、そのほとんどが熱になる点です。数ワットを超える出力で使う場合には、放熱の手立てが常に要るとしています(同社技術情報サイトの記述です)。
熱の計算に要るのは、損失電力、パッケージの熱抵抗、周囲温度という3つの情報です。損失電力は入出力の電圧差と入力電流の積で、熱抵抗はデータシートのθjaを使います。ここから求めたチップ温度が最大定格Tjmaxの内側へ収まる条件を探す作業が、LDOを使う設計の中心です。同社は、Tjmaxを超えた場合の手立てとして、負荷電流の削減、周囲温度の低減、放熱板の追加、そしてスイッチングレギュレータへの切り替えを挙げています。
リップルを小さくする役目も持ちます
Section titled “リップルを小さくする役目も持ちます”LDOのもう1つの持ち場は、静けさです。ロームは、リニアレギュレータが連続したアナログ動作だけで安定化するため、リップル除去特性や電圧ノイズが小さく、AV、通信、医療、計測など、ノイズを嫌うアプリケーションで好まれる傾向があるとしています。
リップル除去比は、入力のリップルをどこまで小さくできるかを表す値です。同社は、60dBであれば入力のリップルが1000分の1へ、100mVが0.1mVへ小さくなると記述しています。ただし周波数が上がるほど除去比は下がります。同社は、一般的なリニアレギュレータで80kHzの除去比が約8dB、つまり2.5分の1にとどまる例を挙げ、スイッチング周波数が600kHz、リップルが100mVという条件では40mVが残るとしています。周波数特性を改良した品では600kHzで28dBあり、25分の1の4mVまで小さくなるとしています(いずれも同社の計算例です)。
日清紡マイクロデバイスは、同社のLDOリニアレギュレータの製品ページで、リップル除去率90dB(typ.、f=1kHz)、低出力雑音、高速応答特性、低消費電流を実現した品種を掲げています(同社製品ページの値で、1kHzでの代表値です)。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”LDOレギュレータとは何ですか?
Low Dropoutの略で、入力と出力の電位差が小さい状態でも動作を続けられるリニアレギュレータです。ロームは、低損失型リニアレギュレータ、あるいは低飽和型リニアレギュレータという呼び方も紹介し、安定して動く最低の電位差が1V以下へ抑えられたものを一般に指すと記述しています。
ドロップアウト電圧とは何ですか?
レギュレータが安定化動作を続けるために要る、入力電圧と出力電圧の最小の差です。ロームは、入出力の差がこの値を下回ると出力電圧が下がっていくと述べ、最低動作電圧が「出力電圧+ドロップアウト電圧」になるとしています。
LDOの効率はどのくらいですか?
入力電圧と出力電圧の比でおおよそ決まります。ロームの計算例では、5Vから3.3Vを作ると64%、3.6Vから3.3Vを作ると89%です。同社は、近ごろのスイッチングレギュレータの効率を80%から90%以上としています。
ドロップアウト電圧が小さいと効率が上がりますか?
効率の式は入力電圧と出力電圧で書けるため、ドロップアウト電圧そのものは式の外にあります。ロームは、ドロップアウト電圧を、入出力の差をどこまで小さくできるかに関わる値と位置づけています。差を詰めた結果として効率が上がる、という順序です。
スイッチングレギュレータとどう使い分けますか?
入出力の差が小さい場面と、静けさを求める場面がLDOの持ち場です。ロームは、リニアレギュレータの長所として、入力と出力にコンデンサを1個ずつ足すだけで動く手軽さ、小さなリップル除去特性と電圧ノイズを挙げ、AV、通信、医療、計測での採用に触れています。
なぜ発熱が問題になるのですか?
入出力の電圧差と電流の積がそのまま損失になり、ほとんどが熱になるためです。ロームは、数ワット以上で使う場合に熱の解決が常に要ると述べ、損失電力、パッケージの熱抵抗、周囲温度からチップ温度を求める手順を示しています。
スイッチングレギュレータの後ろにLDOを入れるのはなぜですか?
スイッチングで生じたリップルを小さくするためです。ロームは、リップル除去比が60dBなら入力のリップルが1000分の1へ、100mVが0.1mVへ小さくなるとし、周波数が上がるほど除去比が下がる点にも触れています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- PMIC(電源管理IC)とは ── LDOやDC/DCコンバータを順序の制御ごと1チップへ載せた集積回路
- パワーMOSFETとは ── スイッチングで電力を通す側の素子
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- ローム「LDOとは?」TechWeb(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── LDOの別称、1V以下という一般的な目安、ドロップアウト電圧と最低動作電圧の関わり
- ローム「リニアレギュレータの動作原理」TechWeb(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── エラーアンプ、基準電圧源、出力トランジスタによる帰還ループ制御
- ローム「リニアレギュレータの重要スペック」TechWeb(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 有効な入力範囲、リップル除去比の意味と周波数特性、80kHzと600kHzの例
- ローム「効率と熱計算」TechWeb(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 64%、89%、52%という効率の計算例と、熱計算に要る3つの情報
- ローム「長所と短所、アプリケーション」TechWeb(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 手軽さと低ノイズという長所、発熱と降圧のみという短所
- 日清紡マイクロデバイス「LDOリニアレギュレータ」製品ページ(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── リップル除去率90dB(typ.、f=1kHz)の品種