DC-DCコンバータとは
DC-DCコンバータとは、直流の電圧を、別の値の直流電圧へ変換する回路です。 変換のやり方によって、効率も部品数もノイズも大きく変わります。
ロームのTechWebは、DC/DCコンバータを直流を直流へ変換する装置と述べ、必要な電圧へ変換したり安定化したりするために使うとしています。同じ資料では電源ICを大きく2種類とし、入力と出力が線形に動くリニアレギュレータと、MOSFETのスイッチ素子を高速にオンオフして出力電圧を規定値へ調節するスイッチングレギュレータを挙げています。
1台の機器にDC-DCコンバータが何個も入るのは、部品ごとに要る電圧が異なるためです。電子情報通信学会の知識ベースは、ノートパソコンでは各デバイスが必要とする電圧がデバイスごとに異なるため、一般に8〜10程度の電源電圧が要り、それぞれを生成するために降圧型DC-DCコンバータ回路を搭載するとしています。同じ資料は、LEDバックライトの点灯にACアダプタより高い電圧が要るため、昇圧型DC-DCコンバータを載せるとしています(2019年公開版の記述です)。
規模の大きい機器でも役目は同じです。同じ知識ベースは、大型コンピュータで主流の分散給電方式として、商用のAC 200Vをいったん DC 48V あるいは DC 12V へ変換し、負荷の近くに実装したDC-DCコンバータで1V〜5Vの低電圧を生成する構成を挙げ、これにより給電系の電圧低下を最小限に抑制するとしています。
熱で捨てるか、時間で切り分けるか
Section titled “熱で捨てるか、時間で切り分けるか”リニアレギュレータとスイッチングレギュレータの効率差は、入力と出力の差分をどう始末するかから生まれます。ロームは降圧型スイッチングレギュレータの動作原理として、PWM動作でスイッチをオンにして入力を給電する時間を25%、オフにしてゼロボルトにする時間を75%とすると、そのパルスを平均化した値は入力の25%になり、入力10Vなら出力は2.5Vになると述べています。出力に要る電力だけを入力から取り込む動作です。
同じ資料は、リニアレギュレータが100%のデューティサイクル、つまり入力が入りっぱなしの状態になると述べ、同じく10Vを2.5Vにする場合は差分の7.5Vに該当する電力を熱として捨てることになるとしています。同社によれば、両者の効率の開きはこの動作の違いから生まれます(10Vと2.5Vという値は同社資料が挙げる例です)。
効率はどこまで上がるか
Section titled “効率はどこまで上がるか”ロームは、リニアレギュレータの効率について、IC自体の消費電流を無視できる領域では入力電流と出力電流を同じとみなせるため、出力電圧を入力電圧で割るだけで計算できるとしています。同社の例では、5Vから3.3Vへの変換の効率は64%です。入力を3.6Vへ下げた条件では89%になり、入出力の電圧差が小さいときはリニアレギュレータでも高い効率が得られるとしています(いずれも同社資料の計算例です)。
スイッチングレギュレータ側の数字も同社が公開しています。種類によるものの最大95%くらいの効率が可能で、昨今の効率は80%〜90%以上だとしています。ただし効率は負荷電流の大小でかなり動きます。同社は、軽い負荷ほど効率が大きく落ちるため、待機時電力の削減という要求に対しては課題が残るとしています。
軽負荷での効率低下には、制御方式で手を打つ道があります。ロームは、PWM(パルス幅変調)を周波数が一定でオンとオフの時間比により制御する方式とし、周波数が一定なのでスイッチングノイズが予測しやすくフィルタもしやすい一方、軽負荷でも同じ回数だけスイッチするためスイッチング損失が支配的になり効率が低下するとしています。PFM(パルス周波数変調)はオン時間を一定にしてオフ時間を変える方式で、軽負荷では周波数が低くなりスイッチする回数が減るため効率を保てるとしています。代償として、周波数が動くのでノイズのフィルタが難しくなり、周波数が20kHzを切ると可聴帯に入って音鳴りの可能性が出るとしています。定常動作時はPWM、軽負荷時はPFMへ切り替えるICもあるとしています。
変換の向きは4通りあります
Section titled “変換の向きは4通りあります”ロームは、スイッチングレギュレータの一番の長所として変換が自在にできる点を挙げています。最もよく使われるのは降圧で、電池などの低い電圧から昇圧したり、正電圧から反転させて負電圧をつくったりする変換も可能です。リチウムイオン二次電池(例:4.2V〜2.8V)から3.3Vをつくる場合のように、入力が出力電圧をまたいで動く条件では昇降圧を選びます。
絶縁するかどうかでも構成が変わります。同社は、スイッチングレギュレータを入力電源の種類からまず2つに区切り、DC入力のDC-DCコンバータとAC入力のAC-DCコンバータを挙げています。そのそれぞれに非絶縁型と絶縁型があり、絶縁型は入力側(一次側)と出力側(二次側)を絶縁したタイプで、絶縁には主にトランスフォーマを使うとしています。産業機器や医療機器のように障害時に高い安全が要る用途では絶縁型が標準的に使われ、同じ回路基板の中での電圧変換のように絶縁の要件が薄い場面ではほとんどが非絶縁型だとしています。
効率と引き換えに払うもの
Section titled “効率と引き換えに払うもの”ロームは短所も挙げています。コンデンサや抵抗、ダイオードやトランジスタに加えて磁気部品が要るため部品数が増え、設計が複雑になります。スイッチング動作に伴うノイズやリップルも出ます。EMI(電磁妨害)規制への適合など、試験にも手間と時間がかかるとしています。
コストの比べ方も条件で入れ替わります。同社は、IC単体や構成部品だけを比べればリニアレギュレータより高くなるものの、リニアレギュレータに放熱板が付くと面積や体積も勘定に入ると述べています。そのため電力が大きくなると、解決策全体で見た費用はスイッチング側のほうが安く済む場合があるとしています。設計では各長所と短所を検討したうえで、目的に合う方式を選ぶことが大切だと同社は述べています。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”DC-DCコンバータとは何ですか?
直流の電圧を別の値の直流電圧へ変換する回路です。ロームは、必要な電圧へ変換したり安定化したりするために使う装置としています。
なぜ1台の機器に何個も入っているのですか?
部品ごとに要る電圧が異なるためです。電子情報通信学会の知識ベースは、ノートパソコンでは一般に8〜10程度の電源電圧が要り、それぞれを降圧型DC-DCコンバータ回路で生成するとしています。
リニアレギュレータとの効率差はどこから来ますか?
入力と出力の差分の始末の仕方です。ロームは、リニアレギュレータが100%のデューティサイクルで動くため、10Vから2.5Vをつくる場合は差分の7.5Vに該当する電力を熱として捨てることになるとしています。スイッチング側は時間で切り分けて必要な分だけ取り込みます。
効率はどのくらいですか?
ロームは、スイッチングレギュレータで種類により最大95%くらいが可能で、昨今の効率は80%〜90%以上だとしています。リニアレギュレータは同社の計算例で、5Vから3.3Vが64%、3.6Vから3.3Vが89%です。
昇圧もできるのですか?
可能です。ロームは、降圧のほかに昇圧、反転、昇降圧の変換を挙げ、リチウムイオン二次電池(例:4.2V〜2.8V)から3.3Vをつくる場合のように入力が出力電圧をまたいで動く条件では昇降圧になるとしています。
スイッチング方式の代償は何ですか?
ロームは、磁気部品を含む部品数の増加と設計の複雑さ、スイッチング動作に伴うノイズとリップル、EMI規制への適合を含む試験の手間と時間を挙げています。
PWMとPFMはどう使い分けますか?
ロームは、PWMを周波数が一定でノイズをフィルタしやすい方式、PFMを軽負荷で周波数を下げて効率を保つ方式としています。PFMは周波数が動くためフィルタが難しく、20kHzを切ると可聴帯に入るとしています。定常動作時はPWM、軽負荷時はPFMへ切り替えるICもあります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 基準電圧源とは ── 変換後の電圧をどこへ合わせ込むか、その比較の相手そのものをつくる回路
- PMIC(電源管理IC)とは ── 複数のDC-DCやリニアレギュレータを1チップへまとめた電源IC
この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- ローム「DC/DCコンバータとは?」TechWeb(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── DC/DCコンバータの位置づけと、電源ICを2種類とする区切り方
- ローム「降圧型スイッチングレギュレータの動作原理」TechWeb(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── デューティ25%で10Vから2.5Vをつくる動作と、リニア側が7.5V分を熱にする対比
- ローム「効率と熱計算」TechWeb(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── リニアレギュレータの効率の計算方法と、5V入力64%および3.6V入力89%の計算例
- ローム「長所と短所、リニアレギュレータとの比較」TechWeb(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 最大95%という効率、変換の向き4通り、部品数とノイズとコストの短所
- ローム「PWM・PFM制御とは」TechWeb(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── PWMとPFMの制御の差、軽負荷での効率、20kHzと可聴帯の関係
- ローム「スイッチングレギュレータの種類」TechWeb(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 絶縁型と非絶縁型の区切りと、用途ごとの使い分け
- 電子情報通信学会「知識ベース 8群5編1章 通信情報用電源・システム」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── ノートパソコンの8〜10系統という電源数、LEDバックライトの昇圧、分散給電方式でのDC 48VおよびDC 12Vから1V〜5Vの生成