スライシングとは
スライシングとは、単結晶インゴットを薄い円盤へ切り分け、ウェーハの形にする工程です。 1本のインゴットから何枚のウェーハを取り出せるかが、ここで決まります。
切ったあとに何が残るかは、切りしろと取り代という2つの厚みの違いで決まります。1枚あたりの切りしろを詰めれば取れる枚数は増え、切断面の傷が深ければ後工程で削り落とす取り代が増えます。この2つを同時に握るのがスライシングです。
SUMCOは「シリコンウェーハの製造方法」で、ウェーハ加工工程を切断(スライシング)、粗研磨(ラッピング)、エッチング、研磨(ポリッシング)、洗浄・検査の5段階として掲載しています。その1段目がスライシングです。同ページによると、まずインゴットの直径が均一になるように外周を研削し、そのうえで客先が求める抵抗率に応じて内周刃切断機かワイヤーソーを選び、厚さ1mm程度の円盤へスライスします。同社の公表内容です。
切り終えた直後の円盤は、接着されたまま元のインゴットの姿で並んでいます。東京精密は剥離洗浄機の製品ページで、この装置がワイヤーソーでスライスした後のインゴット洗浄から、ウェーハの枚葉化、スクラブ洗浄、カセット収納までを担う多機能型の洗浄装置だと記載しています。同社製品の記載です。切る作業と同じくらい、切ったあとに1枚ずつ剥がして切り粉を落とす作業が、この工程の実務を占めます。
厚みが目標を割り込んだときに起きること
Section titled “厚みが目標を割り込んだときに起きること”切断が生む厚みのばらつきは、そのまま後工程へ渡ります。SUMCOの同ページは、粗研磨でウェーハ両面を平行に整えながら所定の厚さへ仕上げ、続くエッチングで、前の工程までにウェーハ表面へついた機械加工由来のダメージを化学的に除くと記載しています。つまりスライス後の円盤は、あとで削られる前提の厚みを持っています。切断面の傷と歪みが深いほど、ラッピングとエッチングで削り取る量が増え、製品として残る厚みが目標を割り込みます。逆に切りしろを詰めすぎると、線が振れたときに切断面が波打ち、同じ長さのインゴットから取れる枚数が減ります。
切りしろと取り代 ── 切断が握る2つの厚み
Section titled “切りしろと取り代 ── 切断が握る2つの厚み”切りしろは、線の太さと砥粒の分だけ粉になって失われる厚みです。取り代は、切断が残した傷と歪みを消すために、後工程で削り落とす厚みです。前者を減らせば1本から取れる枚数が増え、後者を減らせば同じ枚数を薄い切断厚みで得られます。切断機は、この2つの厚みを同時に握ります。
旭ダイヤモンド工業は、電着ダイヤモンドワイヤ「エコメップ」を掲げたシリコン向け製品ページで、張力の高いワイヤへダイヤモンド砥粒を電着した、細くて長いワイヤ工具が、従来の遊離砥粒方式に比べてシリコンやサファイアなど硬脆材料のスライス時間を短縮し、切り代と加工歪みを減らして歩留まり向上へ寄与すると記載しています。同社製品の記載です。水溶性の切削液を使うため、切り粉の回収と再資源化にも向くとしています。
現場で選ぶこと、測ること
Section titled “現場で選ぶこと、測ること”切断面には、線の走った跡がソーマークとして刻まれます。旭ダイヤモンド工業は電着バンドソーについて、刃先の電着層が連続する連続型が切断面のソーマークを軽減すると記載しています。同じ製品群のセグメント型は切削性と寿命に優れ、電着パターンの大きさとピッチを変えた切れ味優先の仕様も製作するとしています。
刃の仕様をどう選ぶかは、太陽電池用インゴットの成形に使うODブレードの記載がわかりやすく示します。同社によると、切れ味と寿命の釣り合いを取ったノーマルタイプ、切れ味と加工効率を重んじたスリットタイプ、そして切断面のチッピングを抑えることを狙ったウェーブタイプの3タイプがあります。太陽電池用シリコンインゴットの成形と不純物層除去に向けた製品の記載です。速く切ること、切断面をきれいに保つこと、刃を長持ちさせることの3つのうち、どれを優先するかが工具の仕様として先に決まります。
切断の前後では、外周の加工も工程に入ります。旭ダイヤモンド工業は外周研削・OF用ダイヤモンドホイールを、半導体用と太陽電池用のシリコンインゴットを研削する工具として掲げています。切断後のウェーハ外周には面取りが施されます。東京精密はポリッシュ・グラインダの製品ページで、ウェーハ端面の加工状態が品質面で重視されており、ナイフエッジに起因する歩留まり低下に対して面取り機が有効だと記載しています。同社製品の記載です。
日本半導体歴史館は装置・材料 1960年代で、1960年代の日本にシリコンウェーハの専業メーカーが設立され、素材となる多結晶シリコン、結晶を作るCZ炉、そして結晶加工用のダイシングソーと洗浄装置までを含む供給網が整ったと記載しています。切断と洗浄は、その当時から一続きの工程として組み立てられてきました。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”スライシングとは何ですか?
単結晶インゴットを薄い円盤へ切り分け、ウェーハの形にする工程です。SUMCOの公式ページは、外周を研削して直径を均一にしたうえで、内周刃切断機かワイヤーソーで厚さ1mm程度へスライスすると記載しています。同社の公表内容です。
なぜ切る前に外周を研削するのですか?
直径を均一にするためです。引き上げた直後のインゴットは太さにむらがあり、そのまま切ると1枚ごとに直径が変動します。SUMCOの公式ページは、直径をそろえるために外周を研削すると記載しています。
内周刃切断機とワイヤーソーはどう使い分けますか?
SUMCOの公式ページは、客先が求める抵抗率に応じて内周刃切断機かワイヤーソーを選ぶと記載しています。同社の公表内容です。
切りしろとは何ですか?
切断で粉になり、材料として失われる厚みです。線の太さと砥粒の分だけ削り取られるため、同じ長さのインゴットでも切りしろの大小で取れる枚数が変わります。
遊離砥粒方式と電着ダイヤモンドワイヤは何が違いますか?
砥粒の持ち方です。旭ダイヤモンド工業は、高張力ワイヤへダイヤモンド砥粒を電着した工具が、従来の遊離砥粒方式に比べてスライス時間を短縮し、切り代と加工歪みを減らして歩留まり向上へ寄与すると記載しています。同社製品の記載です。
切った直後のウェーハはそのまま次の工程へ進めますか?
剥離と洗浄が間に入ります。東京精密は剥離洗浄機の製品ページで、スライスを終えたインゴットの洗浄から、ウェーハを1枚ずつに分ける枚葉化、スクラブ洗浄、カセットへの収納までを1台で担うと記載しています。同社製品の記載です。
スライシングのあとは何をしますか?
SUMCOの公式ページの並びでは、粗研磨(ラッピング)、エッチング、研磨(ポリッシング)、洗浄・検査が続きます。切断面の傷と歪みは、この後半で削り取られます。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- ワイヤーソーとは ── スライシングを担う装置そのものの話です
- ラッピング(遊離砥粒研磨)とは ── 切断が残した厚みのばらつきを整える次の段です
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- SUMCO「シリコンウェーハの製造方法」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── ウェーハ加工の5段階、外周研削、内周刃切断機とワイヤーソーの選択、厚さ1mm程度という記述を裏づけます
- 東京精密「剥離洗浄機」公式製品ページ(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── スライス後のインゴット洗浄、枚葉化、スクラブ洗浄、カセット収納という記述を裏づけます
- 旭ダイヤモンド工業「シリコン向け製品ページ 2ページ目」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 電着ダイヤモンドワイヤ、電着バンドソー、ODブレード3タイプの記述を裏づけます
- 旭ダイヤモンド工業「シリコン向け製品ページ 1ページ目」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 外周研削・OF用ダイヤモンドホイールの用途の記述を裏づけます
- 東京精密「ポリッシュ・グラインダ」公式製品ページ(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── ウェーハ端面の加工状態とナイフエッジ起因の歩留まり低下の記述を裏づけます
- 日本半導体歴史館「装置・材料 1960年代」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 1960年代のシリコンウェーハ供給網に関する記述を裏づけます