加速度センサとは
加速度センサとは、単位時間当たりの速度の変化、すなわち加速度を測るセンサです。 ロームの技術資料は、加速度を測定することで、物体の動き、傾き、振動などの度合いを計測すると述べています。
ロームの技術資料は、加速度の単位として、SI単位系のm/s²、MKS重力単位のG(1G=9.80665 m/s²)、地震の揺れに使うCGS単位のGal(100 Gal=1 m/s²)の3つを挙げています。
測る仕組みは、ばねとおもりです。同資料は、一般的な測定方式として、ばねにつながったおもりを箱に入れた図を挙げ、箱が加速するとおもりの位置が変化するため、この位置変化から加速度を求めると述べています。静止している間も重力1Gがかかるため、箱が傾けばおもりの位置が変化して重力の方向が判明し、それを傾きとして検出するとしています。軸については、3軸加速度センサをX、Y、Z方向、平たく言えば左右前後上下のGを測る素子とし、一定方向のGを測るセンサが3個で1つのデバイスになったものと述べています。
おもりの動きは、静電容量の差になります
Section titled “おもりの動きは、静電容量の差になります”ロームの別の技術資料は、MEMS静電容量方式のセンサ素子がSiで作られた固定電極と可動電極、スプリングで構成されるとし、加速度がかかると可動電極が移動して電極間の静電容量が変化すること、その容量変化を内部の信号処理回路(ASICなど)で電圧へ変換して加速度を算出することを述べています。産総研の公式ウェブマガジンも、加速度センサーの内部のくし歯状の電極が加速度によって動くと静電容量の変化が生じ、それにより加速度の大きさを検出すると記しています。
電子情報通信学会の知識ベース「3章 MEMS加速度センサ」は、この読み取り方を差動キャパシタとして記述しています。2枚の固定電極の中央に可動電極を設け、両側の固定電極へ正負逆の電圧を加えると、可動電極の変位に比例した出力電圧が得られるとしています。上下のギャップの和は可動電極が動いても変わらず、さらに上下の初期ギャップを等しく設定しておくと、出力に残るオフセットを小さく抑えられるとも述べています。
同章はさらに、微小な変位から大きな容量変化を得るために、この差動キャパシタを幾重にも並列に並べた櫛歯電極を使うとよいとし、N組の櫛歯を持つキャパシタでは静電容量がN倍へ増えると記しています。
感度と応答の速さは引き換えになります
Section titled “感度と応答の速さは引き換えになります”同章は、加速度に対する変位の比率、すなわち感度が構造体の固有角振動数のみで決まると述べ、固有角振動数を大きくすると感度がその2乗で急激に減少するとしています。機械構造体は固有角振動数より高い振動数の加速度変化に応答しにくいため、速い応答が要る設計では固有角振動数を上げます。その代償として感度が下がる関係です。同章はこれを、サイズモ系の原理に基づく加速度センサでは周波数帯域を広げるほどセンサ感度が減少するという、原理から来る限界としています。
裏返せば、高速の応答を譲れる用途では感度を上げられます。同章は、地震感知のように加速度の変化が緩慢なときには、慣性質量を大きく、ばね定数を小さくすることでセンサ感度を増大させられるとしています。減衰の設計にも触れており、減衰比が0.5より小さいと共振周波数付近で出力が増大し、大きすぎると使える周波数帯域が狭まるため、一般に0.5付近になるよう設計するとしています。
どれほど小さな変位を読み取っているのでしょうか
Section titled “どれほど小さな変位を読み取っているのでしょうか”同章は、文献に記載されたAnalog Devices ADXL150加速度センサについて、機能仕様と形状から計算した代表的な数値を挙げています。以下は、この1製品を対象にした計算値です。動作レンジ±50g、機械共振周波数24kHzという仕様のもとで、50gの加速度が加わったときの慣性質量の変位は20.3nmになります。初期ギャップ1.3µmの櫛歯では、加速度がゼロの初期状態で静電容量が約100fFとなり、1kHz帯域の加速度ノイズ32mgに相当する0.013nmの変位ノイズは、1aFの静電容量変動にあたります。
同章は、櫛歯電極のギャップが1%ずれると0.01µNの静電気力のアンバランスが生じ、慣性質量が2nm変位して5g分のオフセットになるとも記しています。ここから、MEMS加速度センサではnmレベルの形状を精密に制御することがプロセスと実装に要求される一方、その実現は難しく、電気回路によるセンサの補正が効果的に使われているとしています。おもりの動きそのものより、回路側の補正が製品の性格を左右する領域です。
測定範囲と検出方式で選びます
Section titled “測定範囲と検出方式で選びます”ロームの技術資料は、測定範囲による分類として、20G以下を低G加速度タイプ、20Gを超えるものを高G加速度タイプとし、低Gは重力や傾き、人などの動きの検知に、高Gは衝撃の検知に多く使われるとしています。
検出方式については、同資料が静電容量検出方式、ピエゾ抵抗方式、熱検知方式の3つを挙げ、それぞれの特徴を大枠として示しています。静電容量検出方式は温度特性に優れて精度が比較的高く、低加速度の計測向きで姿勢制御などに広く採用され、サイズと価格も良いとしています。ピエゾ抵抗方式は構造が比較的単純で3つの中では最も小型かつ安価で、精度は他の2つに劣るとしています。熱検知方式は機械的な可動部を省いた構成のため衝撃と振動に強く、比較的安価な一方、検出周波数帯域が数十Hzレベルと狭いとしています。
村田製作所は加速度センサの製品ページで、自社の加速度センサが堅牢なシリコン容量型3D MEMSテクノロジーを基本にしており、センシングエレメントとASICをLCPパッケージ内へ配置してシリコンゲルで封止していると述べています。同ページのSCA3300シリーズは、3軸、検出範囲±1.5g/±3g/±6g、帯域幅10/70Hz、出力SPIと記されています。これらは同社の公表値です。
身の回りでは、傾きと振動に使われています
Section titled “身の回りでは、傾きと振動に使われています”ロームの応用事例は、傾斜検出の例として、カメラや電子書籍やスマートフォンの画面縦横判別、カメラの撮影アシスト機能の電子水準器、車体やロボットの姿勢判別を挙げています。振動検出の例としては、監視カメラへのいたずらによる異常な衝撃、エアコン室外機や貨物や自動販売機の盗難目的の衝撃、ポータブル暖房器具の転倒衝撃検知、ガス給湯器や暖房器具の地震検知、斜めドラム式洗濯機の振動検出を挙げています。
工場設備では、モーターやポンプの振動異常から故障を察知するマシンヘルスの用途を挙げ、振動に加えて音や温度も併せて監視すると検知精度が高まるとしています。どの用途でも、測りたい加速度の大きさと変化の速さが先にあり、そこから測定範囲、帯域幅、検出方式の組が絞られていきます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”加速度センサとは何ですか?
単位時間当たりの速度の変化、すなわち加速度を測るセンサです。ロームの技術資料は、加速度を測定することで物体の動き、傾き、振動などの度合いを計測すると述べています。
加速度センサはどのような仕組みで測るのですか?
ばねにつながったおもりの位置変化を読み取ります。ロームの技術資料は、箱が加速するとおもりの位置が変化し、この位置変化から加速度を求めると述べています。MEMSの静電容量方式では、この位置変化が固定電極と可動電極の間の静電容量の変化になります。
なぜ加速度センサで傾きが分かるのですか?
静止している間も重力1Gがかかっているためです。ロームの技術資料は、箱が傾くとおもりの位置が変化して重力の方向が判明するため、それを傾きとして検出すると述べています。
感度が高い加速度センサほど良いのですか?
用途によります。電子情報通信学会の知識ベースは、感度が構造体の固有角振動数のみで決まり、固有角振動数を大きくすると感度がその2乗で急激に減少すると述べています。速い応答が要る用途では感度を、緩やかな加速度を測る用途では応答の速さを、それぞれ譲る関係になります。
加速度センサにはどんな検出方式がありますか?
ロームの技術資料は、静電容量検出方式、ピエゾ抵抗方式、熱検知方式の3つを主な方式として挙げています。静電容量検出方式は温度特性に優れて低加速度の計測向き、ピエゾ抵抗方式は最も小型かつ安価、熱検知方式は衝撃と振動に強い一方で検出周波数帯域が数十Hzレベルと狭い、という大枠を示しています。
低Gタイプと高Gタイプはどう使い分けますか?
ロームの技術資料は、測定範囲20G以下を低G加速度タイプ、20Gを超えるものを高G加速度タイプとし、低Gは重力や傾きや人などの動きの検知に、高Gは衝撃の検知に多く使われるとしています。
加速度センサはどこで使われていますか?
ロームの応用事例は、画面の縦横判別や電子水準器などの傾斜検出、監視カメラや自動販売機への衝撃検知やガス給湯器の地震検知などの振動検出、モーターやポンプの振動異常から故障を察知するマシンヘルスを挙げています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- ローム TechWeb「加速度センサの動作原理」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 加速度と加速度センサの意味、3つの単位、ばねとおもりの測定方式、傾きの検出、3軸
- ローム TechWeb「加速度センサの分類とMEMS静電容量方式加速度センサ」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 低Gと高Gの分類、3つの検出方式と特徴、静電容量方式の素子構成
- ローム TechWeb「加速度センサのアプリケーション例」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 傾斜検出、振動検出、マシンヘルスの具体例
- 電子情報通信学会 知識ベース「3章 MEMS加速度センサ」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 感度と固有角振動数の関係、減衰比の設計、差動キャパシタと櫛歯電極、ADXL150の計算例
- 村田製作所「加速度センサ」製品ページ(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── シリコン容量型3D MEMSの構成、SCA3300シリーズの軸数と検出範囲と帯域幅
- 産総研マガジン「MEMSとは?」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── くし歯状の電極の動きを静電容量の変化として検出する原理