ToFセンサとは
ToFセンサとは、光を対象物へ当て、反射して戻るまでの飛行時間から距離を測るセンサです。 ToFはTime of Flight(飛行時間)の略で、明るさや色の代わりに時間を測ることで、対象物までの距離をそのまま数値として得ます。
ふつうのカメラが記録するのは明るさと色ですが、ToFセンサが記録するのは時間です。この違いのために、必要な受光素子も、その先で時間を数える回路も異なってきます。なぜナノ秒という短さを数える回路が要るのかを、公開されている数値で追っていきます。
ToFセンサの土台にあるのは、光の速さが決まった値だという事実です。キーエンスは技術ページで、パルス投光したレーザー光が対象物の表面で反射して受光するまでの遅れ時間をT、光の速さを約30万km/秒のCとすると、往復の距離が C×T で求まると述べています。片道の距離はその半分になります。同社は、遅れ時間が20ナノ秒のときに往復距離が約6mとなり、センサから対象物までは約3mになるという例を挙げています。
ToFセンサが半導体技術を必要とする理由は、この時間の短さにあります。3m先という日常的な距離が20ナノ秒に対応するため、片道で10cmを区別したければ、往復20cmぶんの時間差、およそ0.67ナノ秒を数える必要があります(この0.67ナノ秒は光の速さから当サイトで計算した値です)。この短さの時間を測る回路と、わずかな反射光を受ける素子を同じチップの上へ載せる作り方が採られます。
dToFとiToFでは測る量が異なります
Section titled “dToFとiToFでは測る量が異なります”ソニーセミコンダクタソリューションズは産業用のToF技術ページで、ToF方式が2種類に分類できると述べています。ひとつはDirect ToF方式(dToF)で、光源を出た光が対象物で跳ね返って戻り、それを受光するまでにかかった時間の差を、そのまま数えます。同社は、dToFの画素にSPAD(Single Photon Avalanche Diode)を使うとしています。入ってきた光子が1つでも、雪崩のように電子が増えるアバランシェ増倍という現象が起きる画素構造なので、弱い光でも受光でき、遠くの対象物まで測れるとしています。
もうひとつはIndirect ToF方式(iToF)です。同社は、反射して戻った光が画素ごとに生む電荷をためておき、発光したときの波と比べてどれだけずれたか、つまり位相差を測ることで距離を求める方式だと述べています。従来のCMOSイメージセンサーの構造を活かせるため、対象物の三次元情報を高解像度で取得でき、近距離から中距離を得意とするとしています。
同じToFという名前でも、片方は時間そのものを数え、もう片方は波の位相のずれを測ります。この差が、得意な距離と解像度の差として表れます。
産業用の公開仕様を比べます
Section titled “産業用の公開仕様を比べます”ソニーセミコンダクタソリューションズの産業用ToF製品ページには、方式ごとの仕様が一覧で載っています(同社製品の公開値です)。SPAD ToF方式の行は有効画素が約10万SPAD画素、画素サイズが10.08µm角です。iToF方式の2行は約30万画素で、画素サイズは10µm角と5µm角です。想定する光源の波長には、850nm、905nm、940nmが並びます。SPAD側は画素を大きく取り、iToF側は画素を小さくして数を稼ぐという方向性の差が、数値としても表れています。
車載向けでは桁がひとつ上がります
Section titled “車載向けでは桁がひとつ上がります”同社は2025年6月10日の発表で、車載LiDAR向けの積層型dToF方式SPAD距離センサーIMX479を商品化すると述べています(同社の発表時点の値です)。水平3×垂直3を最小の単位としてSPAD画素をまとめ、この一組で1つのdToF画素を構成します。画素サイズは10µm角で、520dToF画素の解像度と20fpsのフレームレートを両立するとしています。距離の分解能は5cm間隔、光子検出効率は37%で、最長300m先の対象物も検出可能だとしています。垂直方向の角度分解能は0.05度相当で、250m先にある高さ25cmの物体、たとえば道路上に落ちたタイヤのようなものも立体物として検出可能だとしています。量産出荷は2025年秋の予定で、サンプル価格は35,000円(税込)です。
工場や物流の現場で使われます
Section titled “工場や物流の現場で使われます”北陽電機はコラムで、TOFを、パルス発光したレーザが対象物に当たって戻るまでの時間を計測して距離に換算する測定方式だと述べ、対象物の表面状態の影響に強く安定した検出が可能だとしています。同社は距離センサーの活用として、幅や長さの測定、衝突防止、位置制御を挙げています。色や形が異なっても距離という同じ物差しで測れる点が、搬送ラインでの物体検出や位置決めに向く理由です。
キーエンスも近い利点を挙げています。同社の技術ページは、TOF方式が長距離検出に向くため、作業者の動線やロボットの軌道から離れた場所にセンサを設置できると述べています。同社のTOFレーザセンサの検出範囲は0.06〜5mで、専用に起こしたICが約8GHzという速さでサンプリングし、集まった大量のデータをならすため、反射光が返りにくい色や素材でも安定して検出できるとしています(同社製品の値です)。
ここまでをまとめると、ToFセンサは光の速さという一定の物差しを使い、時間の測り方をdToFとiToFに分けることで、遠距離と高解像度という異なる要求に応えるセンサだと言えます。SPADのような受光素子と、ナノ秒を数える回路と、それらを1チップにまとめる積層構造という半導体側の進歩が、そのまま測れる距離と精度に反映されます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ToFセンサとは何ですか?
ToF(Time of Flight、飛行時間)センサは、光を対象物へ当て、反射して戻るまでの時間から距離を測るセンサです。キーエンスの技術ページは、パルス投光したレーザー光が対象物の表面で反射して戻るまでの遅れ時間に光の速さを掛けると、往復の距離が求まると述べています。
ToFセンサはどのくらい短い時間を測っていますか?
キーエンスの技術ページは、遅れ時間が20ナノ秒のとき往復距離が約6m、片道が約3mになるという例を挙げています。3m先の対象物という日常的な距離が、20ナノ秒という時間に対応します。
dToFとiToFの違いは何ですか?
測っている量が異なります。ソニーセミコンダクタソリューションズは、Direct ToF方式(dToF)を、光が戻るまでの時間の差をそのまま数える方式、Indirect ToF方式(iToF)を、反射光が画素ごとに生む電荷をためて、発光した波とのずれ(位相差)から距離を求める方式だと述べています。
SPADとは何ですか?
SPAD(Single Photon Avalanche Diode)は、光子が1つ入るだけで雪崩のように電子が増える現象、アバランシェ増倍を使った画素構造です。ソニーセミコンダクタソリューションズは、この構造により弱い光でも検出でき、遠距離の対象物の測定が可能だと述べています。
ToFセンサはどこまで遠くを測れますか?
製品と用途によって幅があります。ソニーセミコンダクタソリューションズは2025年6月10日の発表で、車載LiDAR向けのIMX479が37%の光子検出効率により最長300m先の対象物も検出可能だとしています(同社の発表時点の値です)。工場や物流の現場向けでは、キーエンスが同社のTOFレーザセンサの検出範囲を0.06〜5mとしています。
ToFセンサはどこで使われますか?
ソニーセミコンダクタソリューションズは、産業用のToF方式距離画像センサーの活用例として、パレットや荷物の位置とサイズの計測、AGVやAMRの衝突検出、店舗や空港での人の認識、介護施設での見守りを挙げています。北陽電機は、距離センサーの活用として幅や長さの測定、衝突防止、位置制御を挙げています。
ToFセンサと普通のカメラ用イメージセンサは何が異なりますか?
記録する量が異なります。ソニーセミコンダクタソリューションズは、ToF方式距離画像センサーがXY方向の画像に加えてZ方向の情報も取得し、三次元空間のセンシングが可能だと述べています。体積や立体形状にもとづく検査や、モノの重なりの区別に向きます。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- MEMSマイクとは ── 光の往復時間を測るToFに対し、MEMSマイクは音の圧力で動く膜の変位を測ります
- CMOSイメージセンサとは ── どちらも受けた光を電気にしますが、記録する量は、CMOSイメージセンサが明るさと色、ToFセンサが光の往復時間です
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- ソニーセミコンダクタソリューションズ「ToF(Time of Flight)技術<産業用>」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── dToFとiToFの分類、SPADのアバランシェ増倍、両方式の得意領域
- ソニーセミコンダクタソリューションズ「ToF方式距離画像センサー[概要]」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 産業用ToF製品の画素数、画素サイズ、光源波長
- ソニーセミコンダクタソリューションズ「車載LiDAR向け積層型SPAD距離センサーを商品化」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── IMX479の画素サイズ、解像度、フレームレート、距離分解能、光子検出効率、検出距離、量産時期、サンプル価格
- キーエンス「TOFセンサの原理と用途事例」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 往復距離の式、20ナノ秒と約3mの例、検出範囲0.06〜5mと約8GHzのサンプリング
- 北陽電機「距離センサー(TOFセンサー)の原理と活用」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── TOF方式の測定手順、表面状態への強さ、距離センサーの活用