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ホール素子とは

ホール素子とは、ホール効果を利用して、磁場に比例した電圧を出力する素子です。 旭化成エレクトロニクス(AKM)の技術解説は、この語をそう位置づけたうえで、出力が磁場(B)に比例した電圧(VH)だとしています。

出発点はホール効果です。AKMの技術解説は、これを、電流が流れている物体に電流と垂直な向きで磁場をかけると、電流と磁場の両方に直交する向きに起電力が生じる現象だとしています。名称は、この現象を見つけたHall博士に由来します。

半導体薄膜に電流を流しておくと、この効果によって磁束密度の大きさと向きに応じた電圧が出ます。これがホール素子です。

端子の構成は4つです。AKMは、その内訳を、入力側がコントロール電圧(またはコントロール電流)とGNDの2本、出力側が差動の2本だとしています。素子に対して垂直に入った磁場が強いほど、出力電圧も比例して大きくなります。磁場の向きが変われば、出てくる電圧の正負も入れ替わります。垂直な磁場が 0 のときの出力電圧は 0V です。得られる出力電圧は数十〜数百mV程度だと同社は述べています。これらは同社の技術解説の記述です。

電流と磁場が直交すると、三つ目の向きに電圧が生じます
電流端子1端子3端子2端子4半導体の薄膜磁場は薄膜へ垂直に入ります三つの向きが、たがいに直交します① 電流 ── 端子1から端子3へ流します② 磁場 ── 薄膜に垂直にかかります③ 起電力 ── 端子2と端子4の間に出ます磁場の向きが逆になると、出力の正負も逆です
旭化成エレクトロニクスの技術解説をもとに、ホール素子の4端子とホール効果の向きの関係を示しています。電流と磁場が直交する配置で、その両方に直交する向きへ電圧が生じます。

駆動の仕方で、温度の入り口が入れ替わります

Section titled “駆動の仕方で、温度の入り口が入れ替わります”

AKMの技術解説は、ホール素子の駆動方式を定電流駆動と定電圧駆動の2つとし、どちらを選ぶかによって温度特性を左右するパラメータが入れ替わるとしています。

定電流駆動では、端子1と3に一定の電流 IC を入れたとき、端子2と4の出力電圧が VH = RH・(1 / d)・IC・B で表されます。RH はホール係数、d は端子面に垂直な方向の半導体膜の厚さです。RH は電子の電荷 e とキャリア濃度 n から RH = 1 / (e・n) と表されます。このとき、温度で出力電圧がどう動くかは、RH が温度でどう動くかに従います。

定電圧駆動では、端子1と3に一定の電圧 VC を入れたとき、VH = μH・(W / L)・VC・B となります。μH は電子移動度、W と L は端子面の2-4方向と1-3方向の長さです。このときは、μH の温度による動きが、そのまま出力電圧に出ます。

同じ素子でも、電流を一定に保つと温度の影響がキャリア濃度の側から入り、電圧を一定に保つと移動度の側から入ります。温度が動く環境で使うときは、どちらで駆動するかが精度を左右します。

素子のまま渡すか、IC まで含めるかを選びます

Section titled “素子のまま渡すか、IC まで含めるかを選びます”

AKMの技術解説は、磁気センサのうちホール効果を利用したものをホールセンサと呼び、ホールセンサを3つに分けています。

同じホール電圧を、どこまで仕上げて渡すかで製品の形が決まります
ホール効果で生じた電圧ホール素子 ── 電圧をそのまま出します後段の回路しだいで、アナログにもデジタルにも使えますホール IC ── しきい値で High と Low の 2 値にします磁石の有無はすぐ分かり、磁場の強さの細かさは省かれますリニアホール IC ── 増幅して比例出力にします磁場 0 のときの出力を電源電圧の半分にして、上下へ振ります
旭化成エレクトロニクスの技術解説をもとに、ホール電圧の仕上げ方で三通りの製品になることを示しています。素子はそのまま渡し、ホールICはしきい値で2値にし、リニアホールICは増幅して比例出力にします。

ホール素子は、半導体膜に端子を付けただけの単純なセンサです。AKMは、そのぶん後段の回路設計によってデジタル的な用途にもアナログ的な用途にも使えるとし、用途としてDCブラシレスモーター、スマートフォンやデジタルスチルカメラのレンズアクチュエーターを挙げています。

ホールICは、ホール素子が出した電圧を、信号を整えるICでしきい値と比べ、High/Low へ変換します。AKMは、そのぶん磁場がどれだけ強かったかという細かな情報は落ちる代わりに、磁石の有無というデジタル出力を手軽に得られるとしています。出力が切り替わる磁場には Bop と Brp の2つがあり、かかった磁場が Bop を超えた時点で出力は Low へ落ちます。逆に磁場が Brp より弱まると High へ戻ります。同社は、この2つに Brp が Bop より小さいというヒステリシスの関係が成り立つとしています。用途は、スイッチタイプが家電の開閉スイッチ、ラッチタイプがDCブラシレスモーターや回転検知です。

リニアホールICは、ホール素子の出力をアンプで増幅してリニア出力にします。磁場が 0 のときの出力電圧を電源電圧の半分(VCC/2)とし、磁場の向きに応じて 0V から VCC までの電圧を出します。用途は液面計、電流センサ、角度検知です。

磁石の付け方も、この選択に付いてきます。村田製作所は、ホールICが拾うのは通常、真上から入る垂直の磁界で、しかも狭い一点に絞られるとしています。そのため磁石は、ホールICの真上へごく近づけて取り付けることが推奨だと同社は述べています。これは同社がAMRセンサと比べた記述です。

材料を選ぶと、感度と温度の安定が入れ替わります

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AKMは、ホール素子として現在主に使われる半導体材料を、インジウムアンチモン(InSb)、インジウムヒ素(InAs)、ガリウムヒ素(GaAs)の3種類としています。感度は半導体材料の移動度に比例し、温度特性はさまざまな要因が絡むものの主にバンドギャップの大小で決まるとしています。

シリコン(Si)も代表的なホール素子材料の1つですが、感度が小さいため、AKMはホールICの側で使うとしています。村田製作所も、ホールICのセンサ材料をSi(安価、低感度)またはInSb(高感度、ただし温度特性は不利)としています。感度と温度安定は、材料を選んだ時点で綱引きになります。

AKMの製品シリーズは、この綱引きをそのまま3本に割り当てています。HWシリーズはInSbで、3つの中で最も感度が高く、用途はモーター駆動です。HQシリーズはInAsで、高感度と低消費電流を両立し、用途はバッテリー駆動の携帯機器です。HGシリーズはGaAsで、3つの中で最も温度特性が安定し、出力がリニアで、用途は電流センサです。これらは同社の製品区分と特長の記載です。

磁場が 0 のときにも電圧が出ます

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AKMは、ホール素子について、磁場が 0 の状態でも出力電圧が生じる場合があり、これをオフセット電圧(不平衡電圧)と呼ぶとしています。

原因は製造時のばらつきなどで、温度特性も持ちます。さらに、温度やパッケージに加わる応力、たとえばモールド樹脂の吸湿による応力の変化によっても変動します。AKMは、ホール素子のオフセット成分を4つの抵抗によるブリッジ回路で表し、4つの抵抗値がすべて等しい場合がオフセット 0 の場合だとしています。オフセットがあると、出力電圧の特性が縦にずれた形になります。

磁場を測る側にとって、この電圧は磁場と区別が付きにくい邪魔者です。ホールICやリニアホールICが素子の後ろに信号を整えるICを添える理由の1つが、ここにあります。

ホール素子とは何ですか?

旭化成エレクトロニクスの技術解説は、ホール効果を使って、かかった磁場(B)の大きさに比例する電圧(VH)を返す素子だとしています。半導体薄膜に電流を流しておくと、磁束密度の大きさと向きに応じた電圧が出ます。

ホール効果とは何ですか?

電流が流れている物体に、電流と垂直な向きで磁場をかけると、電流と磁場の両方に直交する向きに起電力が生じる現象です。旭化成エレクトロニクスは、この名称が発見者のHall博士に由来するとしています。

端子はいくつありますか?

合わせて4本です。旭化成エレクトロニクスは、その内訳を、入力側がコントロール電圧(またはコントロール電流)とGNDの2本、出力側が差動の2本だとしています。最大定格の範囲であれば、定電流駆動と定電圧駆動のどちらでも使えます。

ホール素子とホールICはどう違いますか?

ホール素子はホール電圧をそのまま出力し、その大きさは数十〜数百mV程度です。ホールICはホール素子の出力をしきい値でコンパレートしてHigh/Lowにします。旭化成エレクトロニクスは、ホールICが磁石の有無を簡単に得られる代わりに、磁場の強さの細かな情報を省くとしています。

材料には何を使いますか?

旭化成エレクトロニクスは、主に使われる材料をインジウムアンチモン(InSb)、インジウムヒ素(InAs)、ガリウムヒ素(GaAs)の3種類とし、感度が材料の移動度に比例し、温度特性は主にバンドギャップの大小で決まるとしています。シリコンは感度が小さいため、ホールICの側で使うとしています。

オフセット電圧とは何ですか?

磁場が 0 の状態でも出力電圧が生じる場合があり、これをオフセット電圧(不平衡電圧)と呼びます。旭化成エレクトロニクスは、製造時のばらつきなどで生じ、温度やモールド樹脂の吸湿による応力の変化でも変動するとしています。

どこで使われますか?

旭化成エレクトロニクスは、ホール素子の用途としてDCブラシレスモーター、スマートフォンやデジタルスチルカメラのレンズアクチュエーターを挙げています。ホールICはスイッチタイプが家電の開閉スイッチ、ラッチタイプがDCブラシレスモーターや回転検知に使われるとしています。

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  • 旭化成エレクトロニクス 技術解説「#03 ホール素子の原理と種類」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── ホール素子の語義、定電流駆動と定電圧駆動の式、オフセット電圧、材料3種類とバンドギャップの関係
  • 旭化成エレクトロニクス 技術解説「#02 ホールセンサーのまとめ」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 4端子の構成、数十〜数百mVという出力の大きさ、ホール素子・ホールIC・リニアホールICの用途
  • 旭化成エレクトロニクス 技術解説「#07 ホール IC の原理と種類」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── ホールICが磁場の強さの細かな情報の代わりに磁石の有無を返すこと、BopとBrpの関係
  • 旭化成エレクトロニクス 製品情報「ホール素子」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── HW/HQ/HGシリーズの材料と用途の区分
  • 旭化成エレクトロニクス 技術解説「#01 磁気センサーとは」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── ホール効果の意味とHall博士に由来する名称、静磁場でも検知できること
  • 村田製作所 AMRセンサ 基礎知識「AMRセンサ(磁気センサ)とホールICの違い」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── ホールICのセンサ材料と検知方向、磁石の取り付け位置の推奨
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