偽造半導体とは
偽造半導体とは、正規のメーカーが作った製品として売られながら、中身がその型番の正規品と別のものになっている半導体です。 業界では模倣品とも呼ばれます。
半導体はパッケージの中に封止されています。買う側へ外から届く情報は、表面の捺印(マーキング)と、包装に貼られたラベルだけです。捺印を書き替えれば、外見は別の型番の製品になります。偽造半導体という問題は、この一点から始まります。
JEITA半導体部会は、模倣品が世界中で増加の一途をたどり、半導体業界も深刻な脅威に直面しているとしています。同部会は、欧米の税関当局が行った合同検査で40万個を超える模倣半導体製品が検挙され、その一部に日本の半導体メーカーのブランドを騙ったものが含まれていた事例を挙げています。電子機器などの故障が模倣半導体に起因したという報告や、多くの場合に模倣半導体が知的財産権を侵害し、求められる性能・信頼性を欠くという指摘も、同部会の記述にあります。
半導体製品は携帯電話、医療機器、自動車、衛星に至るまで中核機能を支えている ── だから模倣品は、企業の損害や産業への信頼の毀損にとどまらず、消費者や一般市民の健康・安全・安心への脅威になる、というのが同部会の立場です。
偽造と呼ばれるものには、3つの入り方があります
Section titled “偽造と呼ばれるものには、3つの入り方があります”OKIエンジニアリングは、ICやトランジスタなどの市場流通品において、劣化品(保管が悪い部品)、使用済み品(リマーク品)、模倣品が急増しているとしています。
- 劣化品は、正規品として作られたものの、保管の条件が悪かった品です。樹脂封止のパッケージであれば、吸湿レベル(MSL)の期限を超えた保管が、そのまま品質の低下を招きます。
- 使用済み品(リマーク品)は、一度使われた部品の捺印を書き替えたものです。
- 模倣品は、中身がそもそも別物です。
由来は3つとも別ですが、買う側にとっての結果は共通します。型番の表示と、パッケージの中身がずれます。
市場流通品という言葉が示す場所
Section titled “市場流通品という言葉が示す場所”OKIエンジニアリングは、製造中止や品薄などで正規ルートから入手できず、半導体メーカーや正規代理店以外の仕入先から調達した市場流通品について、流通履歴が不明であるため、品質の裏づけを欠く製品や模倣品が混じる場合があるとしています。同社は、この背景から真贋調査の需要が高まっているとも述べています。
新電元工業は、同社製品の模倣品が東アジア地域を中心に世界各地で数多く出回っており、正規代理店以外の商社や、同社と無関係のインターネット取引サイトなどで売られていると公表しています。同社は、模倣品が同社の品質基準を満たしておらず、使用する機器に重大な欠陥や不具合が生じるおそれがあるほか、購入した側を知らぬまま違法行為へ巻き込む事態を招くとしています。これは同社製品についての注意喚起です。
調べ方は、比較そのものです
Section titled “調べ方は、比較そのものです”OKIエンジニアリングは、真贋調査を、正規品との比較調査によって対象品が模倣品や偽造品であるかどうかを確かめる調査だとしています。同社は依頼者に対して、比較のための正規品を用意するよう求めています。偽造かどうかの答えは、正規品との差異として得られます。 手元の1個を精密に測る作業は、その比較の片側にあたります。
同社が挙げている調査の手立ては4種類です。目視と実体顕微鏡による外観検査では、捺印、パッケージ形状、リード形状、インデックスマークの差異のほか、クラックや腐食、組立構造の欠陥を調べます。X線検査では、フレーム形状やボンディングワイヤといった内部組立構造、異物混入、破壊痕跡を調べます。カーブトレーサによるI-V特性の観測では、端子間のカーブの差異や、開放・短絡といった特性異常を調べます。薬品でモールド樹脂を開封する内部検査では、チップの大きさ、配線パターン、ロゴの差異まで届きます。同社はあわせて、MIL-STD-1580 に基づく製造プロセス由来の不具合の有無も調べるとしています。
同社が挙げる対象は半導体以外へも広がります。LSI、パワーデバイス、抵抗、コンデンサ(積層セラミックコンデンサなど)、LEDを対象に挙げ、セラミックコンデンサの事例として、断面構造検査で内部電極の形成された領域、電極本数、電極間の幅に模倣品との差異が見られたことを公表しています。サンプルは新品以外でもよく、使用品や故障品での真贋調査も受け付けています。
規格の側にも書き込まれました
Section titled “規格の側にも書き込まれました”OKIエンジニアリングは、こうした背景を受けて JIS Q 9100:2016 に「8.1.4 模倣品の防止」が要求事項として追加されたとしています。
日本品質保証機構は、JIS Q 9100 を航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステムの規格であり、ISO 9001 をベースに同産業に特有の要求事項を追加したもので、米国のAS 9100や欧州のEN 9100と技術的に同等だとしています。
つまり偽造半導体は、買う側の心がけの話にとどまらず、調達の仕組みとして文書に書かれるものになりました。JEITA半導体部会が呼びかけている「購入の際に正規品であることを確かめる」という行為は、その仕組みの入口にあたります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”偽造半導体とは何ですか?
正規のメーカーが作った製品として売られながら、中身がその型番の正規品と別のものになっている半導体です。OKIエンジニアリングは、真贋調査を、正規品との比較調査によって対象品が模倣品や偽造品であるかどうかを確かめる調査だとしています。
見た目で分かりますか?
買う側へ外から届く情報は、パッケージ表面の捺印と包装のラベルに限られます。OKIエンジニアリングが挙げる外観検査の着眼点も、捺印・パッケージ形状・リード形状・インデックスマークについて正規品と見比べたときの差異です。
どんな種類がありますか?
OKIエンジニアリングは、電子部品の市場流通品において、劣化品(保管が悪い部品)、使用済み品(リマーク品)、模倣品が急増しているとしています。3つは由来が別ですが、型番の表示と中身がずれるという点で共通します。
どのくらい見つかっているのですか?
OKIエンジニアリングは、2014年から2016年の同社実績として、メモリ・マイコン・AD/DAコンバータなど約30品種の市場流通品をスクリーニングし、10品種で不具合、その中で模倣品を3品種見つけたと公表しています。JEITA半導体部会は、欧米の税関当局が行った合同検査で40万個を超える模倣半導体製品が検挙されたことを挙げています。
なぜ市場流通品に集まるのですか?
OKIエンジニアリングは、製造中止や品薄などで正規ルートから入手できず、半導体メーカーや正規代理店以外の仕入先から調達した市場流通品は流通履歴が不明であるため、品質の裏づけを欠く製品や模倣品が混じる場合があるとしています。
買う側は何をすればよいですか?
新電元工業は、同社の営業窓口、販売子会社、正規代理店からの購入を呼びかけています。JEITA半導体部会も、購入の際に模倣品へ注意を払い、正規品であることを確かめるよう求めています。
規格の上ではどう書かれていますか?
OKIエンジニアリングは、JIS Q 9100:2016 で「8.1.4 模倣品の防止」が要求事項として追加されたとしています。日本品質保証機構は、JIS Q 9100 を航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステムの規格であり、ISO 9001 をベースに同産業に特有の要求事項を追加したものだとしています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 信頼性試験とは ── 正規品が使用環境と時間に耐えるかを試験で示す側
- 吸湿レベル(MSL)とは ── 保管の期限を超えた品が劣化品になる仕組み
この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- JEITA半導体部会「半導体模倣品に対する注意のお願い」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 模倣品が世界中で増加していること、欧米の税関当局の合同検査で40万個を超える模倣半導体製品が検挙され一部に日本メーカーのブランドを騙ったものが含まれていたこと、電子機器の故障が模倣半導体に起因したという報告、模倣半導体が知的財産権を侵害し求められる性能・信頼性を欠くこと、購入時に正規品であることを確かめるよう呼びかけていること
- 新電元工業「模倣品注意喚起」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 同社製品の模倣品が東アジア地域を中心に世界各地で出回っていること、正規代理店以外の商社や同社と無関係のインターネット取引サイトで売られていること、同社の品質基準を満たしておらず機器に重大な欠陥や不具合が生じるおそれがあること、営業窓口・販売子会社・正規代理店からの購入を呼びかけていること
- OKIエンジニアリング「真贋判定 新規採用部品・市場流通品の検査」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 真贋調査が正規品との比較調査であること、比較用の正規品が必要であること、外観検査・X線検査・I-V特性観測・薬品開封の各手立てで調べる差異、MIL-STD-1580 に基づく製造プロセス由来の不具合を調べること、対象部品(LSI・パワーデバイス・抵抗・コンデンサ・LED)、セラミックコンデンサの断面構造検査での差異、市場流通品の流通履歴が不明であること、使用品や故障品でも調査可能であること
- OKIエンジニアリング「電子部品の市場流通品に対するスクリーニング(模倣品対策)」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 市場流通品で劣化品(保管が悪い部品)・使用済み品(リマーク品)・模倣品が急増していること、2014年〜2016年に約30品種をスクリーニングし10品種で不具合・うち模倣品3品種という同社実績、JIS Q 9100:2016 に「8.1.4 模倣品の防止」が要求事項として追加されたこと
- 日本品質保証機構「JIS Q 9100/SJAC 9120(航空宇宙)」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── JIS Q 9100 が航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステムの規格であること、ISO 9001 をベースに同産業に特有の要求事項が追加されていること、米国AS 9100・欧州EN 9100と技術的に同等であること