信頼性試験とは
信頼性試験とは、製品が使用環境と時間に耐えるかを確かめる試験の体系です。 狙う故障機構ごとに分けた、複数の試験の集まりです。
加速試験の記事で見たとおり、故障機構ごとに、劣化を進めるストレスは別です。温度で進むもの、湿度で進むもの、機械的な力で起きるものがあります。だから試験も、ストレスの種類だけ要ります。
ルネサス エレクトロニクスの信頼性ハンドブックは、あるマイコンの信頼性試験の結果を例として公開しています。区分は寿命試験・環境試験・機械試験の3系統です。
| 区分 | 試験項目 | 試験条件 | 結果(故障数/試験数) |
|---|---|---|---|
| 寿命試験 | 高温動作寿命 | Ta = 125℃、VCC = 5.5 V、1000時間 | 0 / 45 |
| 高温保存寿命 | Ta = 150℃、1000時間 | 0 / 22 | |
| 低温保存寿命 | Ta = −55℃、1000時間 | 0 / 22 | |
| 温度湿度保存 | Ta = 65℃、RH = 95%、1000時間 | 0 / 77 | |
| 高温高湿バイアス | Ta = 85℃、RH = 85%、VCC = 5.0 V、1000時間 | 0 / 22 | |
| 環境試験 | 温度サイクル | −55℃ 〜 150℃、200サイクル | 0 / 45 |
| 熱衝撃 | 0℃ 〜 150℃、15サイクル | 0 / 22 | |
| はんだ付け性 | 230℃、5秒、ロジン系フラックス | 0 / 22 | |
| 耐はんだ熱性 | 赤外線リフロー 260℃、10秒 | 0 / 22 | |
| プレッシャークッカー | Ta = 121℃、RH = 100%、100時間 | 0 / 22 | |
| 機械試験 | 端子強度(引張試験) | 2.5 N、10秒、1回 | 0 / 22 |
条件を眺めると、それぞれ別の壊れ方を狙っていることが分かります。高温動作寿命は電圧をかけたまま温度で劣化を進める試験、温度サイクルは膨張と収縮の繰り返しで剥がれや割れを検出する試験、はんだ付け性と耐はんだ熱性は実装の工程そのものに耐えるかを測る試験です。
「0 / 45」の分母が本体
Section titled “「0 / 45」の分母が本体”この表は、あるマイコンの例ですが、結果の書き方も示しています。
結果はすべて「故障数 / 試験数」の形で書かれています。高温動作寿命は 0 / 45、高温高湿バイアスは 0 / 22、温度湿度保存は 0 / 77 です。分子だけを見れば、どれも「0件」です。
しかし、言えることの強さは、試験数で決まります。 22個試して0個と、77個試して0個では、そこから推定できる故障率の上限が違います。試験数が多いほど、「低い」と言える水準が下がります。
だから信頼性のデータは、分子と分母を組にしてはじめて情報になります。「故障ゼロ」という言葉は、何個試したかと並んではじめて故障率の上限を示します。これは歩留まりや故障率の数字を読み解くときと同じ作法です。
通ったことは、推定の入力です
Section titled “通ったことは、推定の入力です”試験に通ったという事実が言っているのは、その条件で、その試験数のもとで、壊れなかったということだけです。10年の寿命の保証と、あらゆる使い方での安全は、この事実の範囲の外にあります。
ルネサスのハンドブックは、この試験データをもとに故障率を予測する一般的な手順へ進んでいます。試験結果は、その推定の入力にあたります。
推定には加速の度合いが要ります。加速試験の記事で見たとおり、活性化エネルギーをどの値と仮定するかで外挿の答えが動くためです。寿命を語るには、試験の条件表に加えて外挿の前提が要ります。外挿の前提が揃ってはじめて「10年もつ」という言葉になります。
製品の種類で、試験の意味が変わります
Section titled “製品の種類で、試験の意味が変わります”同ハンドブックは、製品の性格の違いにも触れています。ロジック製品は、同じウェーハ工程と同じパッケージ設計から、さまざまな特性・機能の設計を提供します。いっぽうメモリ製品は、ウェーハ工程とパッケージ設計ごとに単一の機能設計を提供します。
同じ工程から多品種が出るのか、工程と製品がほぼ1対1なのか ── この差は、1つの試験結果をどこまで他の品種へ広げて言えるかに関わります。同じ表を見ても、そこから言えることの範囲は製品の作られ方で変わります。
関連するデータ・ツール
Section titled “関連するデータ・ツール”よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”信頼性試験とは何ですか?
製品が使用環境と時間に耐えるかを確かめる試験の体系です。ルネサスの信頼性ハンドブックが示す例では、寿命試験・環境試験・機械試験という3区分に分類されています。
どんな条件で行うのですか?
同ハンドブックが公開しているマイコンの例では、高温動作寿命がTa = 125℃・VCC = 5.5V・1000時間、温度サイクルが−55℃から150℃・200サイクル、高温高湿バイアスがTa = 85℃・RH = 85%・VCC = 5.0V・1000時間などとなっています。
結果はどう書かれますか?
故障数と試験数の組で書かれます。同ハンドブックの表では、高温動作寿命が0/45、高温高湿バイアスが0/22、温度湿度保存が0/77というように、分子が故障数、分母が試験したサンプル数として示されています。
なぜ分母が要るのですか?
故障0という結果の重みが、試験数で上下するためです。22個で0個と77個で0個では、そこから推定できる故障率の上限が違います。分母が揃ってはじめて、その0がどれだけ確からしいかを判断する材料になります。
なぜ試験が何種類もあるのですか?
故障機構ごとに、劣化を進めるストレスが別だからです。温度で進むもの、湿度で進むもの、機械的な力で起きるものがあり、1種類の試験で分かるのは1種類の壊れ方までです。
試験を通れば安心なのですか?
通ったことは「その条件で壊れなかった」という事実です。同ハンドブックは、この試験データをもとに故障率を予測する手順へ進むとしています。試験結果は、その故障率を推定するための入力にあたります。
製品の種類で違いはありますか?
あります。同ハンドブックは、ロジック製品が同じウェーハ工程と同じパッケージ設計からさまざまな特性・機能の設計を提供するのに対し、メモリ製品はウェーハ工程とパッケージ設計ごとに単一の機能設計を提供する、という違いを述べています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 加速試験とは ── 試験結果を寿命へ翻訳する側
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- ルネサス エレクトロニクス「Semiconductor Reliability Handbook」公開PDF(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── あるマイコンの信頼性試験結果の例(寿命試験・環境試験・機械試験の3区分、高温動作寿命 Ta = 125℃・VCC = 5.5V・1000時間で0/45、高温保存寿命 Ta = 150℃・1000時間で0/22、低温保存寿命 Ta = −55℃・1000時間で0/22、温度湿度保存 Ta = 65℃・RH = 95%・1000時間で0/77、高温高湿バイアス Ta = 85℃・RH = 85%・VCC = 5.0V・1000時間で0/22、温度サイクル −55℃〜150℃・200サイクルで0/45、熱衝撃 0℃〜150℃・15サイクルで0/22、はんだ付け性 230℃・5秒・ロジン系フラックスで0/22、耐はんだ熱性 赤外線リフロー260℃・10秒で0/22、プレッシャークッカー Ta = 121℃・RH = 100%・100時間で0/22、端子強度 2.5N・10秒・1回で0/22)、この試験データをもとに故障率を予測する手順へ進むこと、ロジック製品とメモリ製品で同じ工程からの設計提供のされ方が異なること