パワーMOSFETとは
パワーMOSFETとは、電力を扱うMOS型のスイッチング素子です。 多数キャリアだけで導通するため、高い周波数で切り替えられます。
スイッチング電源やモータ駆動では、素子を毎秒何万回も開閉します。1回の開閉で失う電力に回数を掛けたものがスイッチング損失なので、速く切り替えられるほど、同じ周波数なら損失が減り、同じ損失なら周波数を上げられます。
パワーMOSFETが速い理由は、導通に使うキャリアの種類にあります。導通中はチャネルを通る多数キャリアだけが電流を運びます。切るときは、ゲートの電荷を抜けばチャネルが消えて電流が止まります。
少数キャリアを注入する素子では、こうはいきません。導通中にドリフト層へ溜め込んだキャリアが消えるまで電流が流れ続け、その分だけ切れるのが遅れます。低い電圧降下と引き換えに、切り替えの速さを差し出している構造です。パワーMOSFETは逆の選択をしています。
耐圧帯ごとに系列が分かれます
Section titled “耐圧帯ごとに系列が分かれます”同じ層が耐圧と抵抗の両方を決める以上、狙う耐圧帯が変われば最適な構造も変わります。製品系列が耐圧で切られているのはそのためです。
Infineonは公式製品ページで、12V〜40V、45V〜80V、85V〜300VのNチャネルパワーMOSFETを掲載し、低中耐圧側のファミリとしてOptiMOSとStrongIRFETを挙げています。500V〜950VにはCoolMOSを置き、別系列として扱っています。提供形態はモジュール、ディスクリート、ベアダイの3種類です。
モジュールとしての定格も公開されています。三菱電機は公式製品ページで、パワーMOSFETモジュールを定格電圧75V〜150V/定格電流100A〜300Aと記載しています。同ページのIGBTモジュールが650V〜2000Vの帯にいるのと比べると、両者が受け持つ領域の違いがそのまま数字に出ています。
関連するデータ・ツール
Section titled “関連するデータ・ツール”- デバイス製品開発の工程ページ ── 工程分類と、この工程に接続している公開求人
- 装置カタログDB ── 公式製品ページ単位のメーカーと製品family
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”パワーMOSFETとは何ですか?
電力を扱うMOS型のスイッチング素子です。多数キャリアだけで導通するため、蓄積したキャリアを追い出す時間が要らず、高い周波数で切り替えられます。
IGBTとどう使い分けますか?
おおまかには耐圧と周波数で分かれます。低い耐圧で高い周波数を求める領域はパワーMOSFET、高い耐圧で大電流を扱う領域はIGBTが受け持ちます。境目は用途と世代で動きます。
なぜ高速に切り替えられるのですか?
導通に多数キャリアだけを使うためです。少数キャリアを注入する素子では、切るときに蓄積したキャリアが消えるまで電流が流れ続けます。この待ち時間がない分、切り替えが速くなります。
耐圧を上げると何が起きますか?
オン抵抗が急に増えます。耐圧はドリフト層を厚く低濃度にすることで得ますが、その層は導通時の抵抗そのものでもあります。高耐圧ほど導通損失が重くなり、設計はこの釣り合いで決まります。
どんな耐圧帯がありますか?
Infineonは公式製品ページで、12V〜40V、45V〜80V、85V〜300V、および500V〜950VのCoolMOSを掲載しています。三菱電機は公式製品ページで、パワーMOSFETモジュールを定格電圧75V〜150V/定格電流100A〜300Aと記載しています。
製品系列が耐圧で分かれるのはなぜですか?
耐圧帯ごとに最適な構造が違うためです。Infineonは公式製品ページで、低中耐圧側にOptiMOSとStrongIRFETのファミリ、500V〜950V側にCoolMOSを置いています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 半導体製造工程の全体像 ── 工程と装置の全体像
この記事の事実は次の一次資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- Infineon「N-channel power MOSFETs」公式製品ページ(2026年8月23日にリンク生存を実測、200)
- 三菱電機「Power Modules」公式製品ページ(2026年8月23日にリンク生存を実測、200)