化合物半導体とは
化合物半導体とは、複数の元素を材料にしている半導体です。 住友電気工業の公式ページは、シリコン半導体がひとつの元素を材料にするのに対して、化合物半導体は複数の元素を材料にしていると述べています。
シリコンは元素ひとつでできています。化合物半導体は、2種類以上の元素を組み合わせて結晶にします。
住友電気工業の公式ページは、代表的な組み合わせとして周期律表のIII族とV族(GaAs、GaP、InPなど)、II族とVI族(CdTe、ZnSeなど)、IV族同士(SiC)を挙げ、それぞれ異なった機能を発揮するとしています。
組み合わせを変えれば性質も変わります。ここがこの材料群の要点です。シリコンが持つ性質は1通りで、化合物半導体は組み合わせで選べます。
シリコンが光るには、格子の熱振動が要ります
Section titled “シリコンが光るには、格子の熱振動が要ります”化合物半導体が必要になる理由は、シリコンの発光がごくわずかにとどまる点にあります。
科学技術振興機構(JST)が公開している用語解説は、半導体を2つに分けています。以下はこの解説によります。
直接遷移型半導体は、結晶の同じ対称点で自由電子・正孔対が直接再結合できる半導体です。電子と正孔が効率よく結合するため発光効率が非常に高く、現在一般的なLEDやレーザダイオードはこの型で作られます。
間接遷移型半導体では、電子と正孔がお互いに別な結晶の対称点に存在します。そのため再結合するのに格子の熱振動のエネルギーが必要になり、電子と正孔が光を放射して直接再結合する例はごくまれで、発光デバイスには不向きです。シリコン・ゲルマニウム・ダイヤモンドがこの型にあたります。
つまり、光る素子を作れるかどうかは、材料の側の性質で決まります。LEDもレーザも、直接遷移型の化合物半導体が担います。 ここに化合物半導体の居場所があります。
4つの得意分野
Section titled “4つの得意分野”住友電気工業の公式ページは、化合物半導体の特徴を4つ挙げ、それぞれに対応する用途と目安の値を並べています。
高速動作。 電子移動度がシリコンに比べて高いという特徴です。GaAsの電子移動度はシリコンの5倍で、高速な演算が可能です。Siをスクーターに、GaAsを新幹線にたとえて速さの差を示しています。用途は高周波のFETやHEMT、マイクロ波ダイオードです。
受発光。 光を放つ側と受ける側の両方です。LEDやレーザダイオード、受光素子(PD、APD)が挙げられ、光通信やセンサー、赤外カメラといった用途が並びます。
磁気に敏感。 磁気を電気に変えるホール素子です。材料はInSbやGaAsで、モータの回転数の精密な検知などに利用されます。
熱への強さ。 化合物半導体はシリコンに比較して耐放射線特性および耐熱性に優れ、耐熱の目安はSiが約200℃まで、GaAsが約350℃までです。用途は宇宙空間での太陽電池などです。
計算はシリコンが受け持ち、光と高周波と磁気と過酷な環境は化合物半導体が受け持ちます。役割分担は、材料の性質からそのまま決まっています。
それでもシリコンが主流である理由
Section titled “それでもシリコンが主流である理由”ここまでの4つの特徴からは、化合物半導体のほうが優れているように読めます。しかし世の中の半導体の材料は、長らくほとんどがシリコンでした。
住友電気工業は、その理由を材料の側の弱点として挙げています。化合物半導体はシリコンに比べて基板の結晶欠陥が多く割れやすく、そのためウエハの大型化が難しいこと、そして材料も高価なことです。
ウェーハの直径が小さいままだと、1枚から取れるチップの数がそのまま減ります。1個あたりの費用は、歩留まりと同じ論理で上がります。素子の性能がどれだけ良くても、量が限られて高いあいだは、用途を絞った材料に留まります。
だから化合物半導体は、シリコンが苦手な役を担う材料として位置づけられてきました。シリコンとの関係は、置き換えというより分担です。GaNやSiCがパワー半導体で存在感を増しているのも、耐圧という別の要求に応えているためです。
関連するデータ・ツール
Section titled “関連するデータ・ツール”よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”化合物半導体とは何ですか?
住友電気工業の公式ページは、シリコン半導体がひとつの元素を材料にするのに対し、化合物半導体は複数の元素を材料にしている半導体だとしています。
どんな組み合わせがありますか?
同ページは、代表的な組み合わせとして周期律表のIII族とV族(GaAs、GaP、InPなど)、II族とVI族(CdTe、ZnSeなど)、IV族同士(SiC)を挙げ、それぞれ異なった機能を発揮するとしています。
シリコンとの違いは何ですか?
住友電気工業は4つの特徴を挙げています。高速動作、受発光機能、磁気に敏感であること、熱に強いことです。
シリコンが光りにくいのはなぜですか?
JSTの用語解説は、シリコン・ゲルマニウム・ダイヤモンドを間接遷移型半導体とし、電子と正孔が別な結晶の対称点に存在するため再結合に格子の熱振動のエネルギーが必要になり、光を放射する直接再結合はごくまれだとしています。
光る半導体はどれですか?
同解説は直接遷移型半導体を、結晶の同じ対称点で自由電子・正孔対が直接再結合できる半導体とし、発光効率が非常に高く、現在一般的なLEDやレーザダイオードはこの型で作られると述べています。
どのくらい速いのですか?
住友電気工業は、GaAsの電子移動度がシリコンの5倍であり、高速な演算が可能だとしています。同ページは、Siをスクーター、GaAsを新幹線にたとえて速さの差を示しています。
それならなぜシリコンが主流なのですか?
同社は、化合物半導体がシリコンに比べて基板の結晶欠陥が多く割れやすいためウエハの大型化が難しく、材料も高価であることを挙げ、これが世の中の半導体の材料がほとんどシリコンだった理由としています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 半導体とは ── 元素ひとつで作る側
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- 住友電気工業「化合物半導体とは」公式ページ(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── 化合物半導体が複数の元素を材料にしていること、III族とV族・II族とVI族・IV族同士という代表的な組み合わせ、基板の結晶欠陥が多く割れやすいためウエハの大型化が難しく材料も高価であること
- 住友電気工業「化合物半導体の特徴」公式ページ(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── 高速動作・受発光・磁気に敏感・熱に強いという4つの特徴と対応する用途、GaAsの電子移動度がシリコンの5倍であること、耐熱の目安がSi約200℃・GaAs約350℃であること
- 科学技術振興機構(JST)プレスリリース 用語解説(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── 直接遷移型半導体を結晶の同じ対称点で直接再結合できる半導体とする記述と発光効率が非常に高いこと、LEDやレーザダイオードがこの型で作られること、間接遷移型半導体では再結合に格子の熱振動のエネルギーが必要で光を放射する直接再結合がごくまれであること、シリコン・ゲルマニウム・ダイヤモンドがこの型であること