論理ゲートとは
論理ゲートとは、入力された0と1に決まった論理演算を施し、その結果を0か1で出力する、論理回路のいちばん小さな部品です。 JEITAの半導体用語集は、論理回路を、0と1という2つの値に論理演算を施して結果を出力する回路としています。
コンピュータの中を流れているのは、0と1という2つの値だけです。JEITAの半導体用語集は、論理回路にAND回路、OR回路、NOT回路という3つの基本回路があるとし、演算装置の中にある加算器などの演算回路は、この3つの回路を組み合わせて作られているとしています。
ルネサス エレクトロニクスのエンジニアスクール「デジタルとは、基本論理回路」も、論理回路の基本要素をAND回路とOR回路、NOT回路の3種類とし、それらを組み合わせればさまざまな機能の回路を作成できるとしています。同スクールは、この基本論理回路がゲートとも呼ばれるとしています。
3つのふるまいは、言葉にすると短くなります。以下は同スクールの記述にもとづきます。
- AND(論理積)── 2つの入力がどちらも1のときだけ、出力が1になります。論理式では「・」を使い、Y=A・B のように書きます
- OR(論理和)── いずれかの入力が1、または両方が1のとき、出力が1になります。論理式では「+」を使い、Y=A+B のように書きます
- NOT(論理否定)── 入力が1なら0を、0なら1を出力します。インバータや反転回路とも呼ばれます
同スクールは、論理回路を論理式や回路記号で表すとし、回路記号にはMIL記号やJIS記号などがあるとしています。入力の組み合わせごとに出力がどうなるかを一覧にした表を、同スクールは真理値表と呼んでいます。
「ゲート」という名前は、門を指しています
Section titled “「ゲート」という名前は、門を指しています”真理値表を丸暗記するより、名前そのものが手がかりになります。ゲートは門です。
同スクールは、基本論理回路について、一方の入力によって出力を一定のまま保つことも、もう一方の入力をそのまま出力へ反映させることも可能だとしています。これを門の開け閉めにたとえた説き方です。
AND回路は、スイッチとLEDの直列回路に置き換えると分かりやすくなります。同スクールは、AかBのスイッチのどちらかをオフのまま保つとLEDは消灯したままになるとし、逆にどちらかをオンのまま保つと、もう一方の入力がそのまま出力へ反映されるとしています。
OR回路では、これが反対になります。同スクールは、OR回路のゲート機能がAND回路とは逆に動作するとし、どちらかをオンのまま保つとLEDは点灯したまま、どちらかをオフのまま保つと、もう一方の入力がそのまま出力へ反映されるとしています。
門を閉めるための値が、ANDでは0、ORでは1です。 同じ部品が、2つの入力を対等に受け取る演算器にもなり、片方を制御信号として使えば、もう片方の信号を通す門にもなります。この二面性が、論理ゲートを組み合わせるときの使い分けになります。
3種類あれば、加算器まで組み上がります
Section titled “3種類あれば、加算器まで組み上がります”3種類で足りるのか、という点には、公的機関と学会の資料が答えを与えています。
IPA(情報処理推進機構)の「基本情報技術者試験(レベル2)シラバス Ver.9.0」は、AND回路やOR回路、NOT回路といった基本の論理回路を組み合わせることで半加算器と全加算器ができあがり、そこで演算が行われているとしています。足し算という具体的な機能が、この3種類の積み上げで組み上がるということです。
理屈の裏づけは、学会の公開知識ベースにあります。電子情報通信学会の知識ベース「知識の森」1群8編2章は、組合せ回路を、NOTやAND、ORなどの基本的な論理関数を計算する論理ゲートと、それらをつなぐ配線からなり、信号が入力から出力へ一方向に流れる回路としています。
同資料は、任意の論理関数が積和形論理式で表せるとし、したがってNOT、AND、ORの各論理ゲートを用いたNOT-AND-OR形式の組合せ回路で、任意の論理関数を実現できるとしています。この形の回路を、同資料は慣習上、二段(組合せ)回路と呼ぶとしています。
必要なゲートの数まで示されています。同資料によれば、n変数の論理関数を二段回路で実現する場合、NOTゲートは最大n個、ANDゲートは積和形表現における積項の個数、ORゲートは1つです。
もっとも、これは理論上の組み方です。同資料は、用いる論理ゲートのファンイン(入次数)に上限がある場合、論理関数を実現する組合せ回路は通常多段になるとし、用いることのできる論理ゲートはテクノロジによって異なるとしています。実際のチップでは、ゲートが何段も連なる形になります。
中身は、トランジスタの直列と並列です
Section titled “中身は、トランジスタの直列と並列です”半導体の話に戻ります。論理ゲートは記号で描かれますが、チップの上では数個のトランジスタです。
電子情報通信学会の知識ベース「知識の森」1群7編6章は、MOSトランジスタが構造の単純さから高集積化に適し、微細加工技術の進展とともに動作速度も高速化されたとして、CMOS論理回路が現在の論理回路の主流になっているとしています。
CMOSインバータは、nMOSトランジスタとpMOSトランジスタが直列につながれ、同一半導体基板上に構成された回路です。同資料は、この構成にすることで、出力がHレベル、Lレベルのいずれの場合も定常的に流れる直流電流が0となり、直流消費電力を大幅に低減させているとしています。
NANDとNORは、この2種類のトランジスタの並びを組み替えたものです。同資料は、CMOSのNAND回路について、AとBがともにHレベルの場合にnMOS側の2つがオンして出力がLレベルになるとしています。NOR回路については、AもしくはBの一方がHレベルの場合にnMOS側のどちらかがオンして出力がLレベルになるとしています。どちらの回路でも、電源から接地点へ流れる定常的な電流は0だとしています。
論理ゲートの種類の違いは、トランジスタを直列に組むか、並列に組むかの違いです。 記号の形の裏側では、この組み替えが起きています。
つなぐ数には、上限があります
Section titled “つなぐ数には、上限があります”論理ゲートを部品として基板に載せる場合、標準論理ICという製品になります。ルネサス エレクトロニクスのエンジニアスクール「デジタルICの基礎、組み合わせ回路」は、標準論理ICを、論理回路の基本部品や、よく使われる機能を1つのパッケージへまとめた小規模な集積回路としています。同スクールによれば、基本的なものから演算論理装置のような高機能なものまで、約600種類あると言われます。
同スクールは、標準論理ICをTTL ICとCMOS ICに大別しています。TTL ICは主要部分をバイポーラトランジスタで組み、5Vの電源電圧で動作します。CMOS ICは、PチャネルとNチャネルの両方のMOSFETによるCMOSを主要部分に用い、幅広い電源電圧で動作します。
ICどうしで信号をやり取りするには、どの電圧をHighとLowと見なすかという約束が要ります。同スクールは、これを論理レベルと呼び、TTL ICについて、信号が入力される場合は2.0V以上をHigh、0.8V以下をLow、信号を出力する場合は0.4V以下をLow、2.4V以上をHighと判断するとしています。これはTTLインタフェース規格に沿ったTTL IC固有の値です。
1つの出力につなぐ相手の数にも、上限があります。同スクールは、TTL ICでは出力電流によってつなぐ相手の個数が制限されるとし、その上限数をファンアウトと呼ぶとしています。TTL ICでは、出力電流を入力電流で割った値がファンアウトになります。この数を越えた数のICをつなぐと、出力の論理レベルの保障が失われます。
CMOS ICでは、上限を左右するものが電流から容量へ移ります。同スクールは、CMOS ICの入力端子に流れる電流がごくわずかなため、ファンアウトが負荷容量で定まるとしています。同スクールによれば、CMOS ICのデータシートには伝達遅延時間の測定条件として負荷容量が示されており、その負荷容量を超えると伝達遅延時間が増加して、誤動作の原因になります。
論理ゲートは、真理値表のとおりに動く理想の部品として教わります。実際のチップや基板の上では、電圧の約束と、つなぐ数の上限という2つの現実がついてきます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”論理ゲートとは何ですか?
0と1に決まった論理演算を施し、結果を0か1で出力する部品です。JEITAの半導体用語集は、論理回路を、0と1という2つの値に論理演算を施して結果を出力する回路とし、AND回路、OR回路、NOT回路の3つの基本回路があるとしています。ルネサス エレクトロニクスのエンジニアスクールは、この基本論理回路がゲートとも呼ばれるとしています。
種類は3つだけですか?
基本要素は3つです。ルネサス エレクトロニクスのエンジニアスクールは、論理回路の基本要素をAND回路とOR回路、NOT回路の3種類とし、それらを組み合わせればさまざまな機能の回路を作成できるとしています。実際の回路では、同スクールが組み合わせ回路の材料として挙げるNANDやNOR、XORも部品として使われます。
なぜ門を意味する「ゲート」と呼ぶのですか?
片方の入力が、もう片方の通り道を開け閉めするためです。ルネサス エレクトロニクスのエンジニアスクールは、AND回路で片方のスイッチをオフのまま保つとLEDが消灯したままになり、どちらかをオンのまま保つと、もう一方の入力がそのまま出力へ反映されるとしています。
ANDとORで、門を閉める値が反対になるのはなぜですか?
出力が確定する条件が反対だからです。ルネサス エレクトロニクスのエンジニアスクールは、OR回路のゲート機能がAND回路とは逆に動作するとしています。ANDは片方が0なら出力が0に確定し、ORは片方が1なら出力が1に確定します。
論理ゲートだけで足し算ができるのですか?
足し算の回路も、この3種類から組み上がります。IPA(情報処理推進機構)の基本情報技術者試験シラバスは、AND回路やOR回路、NOT回路といった基本の論理回路を組み合わせることで半加算器と全加算器ができあがり、そこで演算が行われているとしています。
チップの中では、論理ゲートは何で作られていますか?
トランジスタです。電子情報通信学会の知識ベースは、CMOS論理回路が現在の論理回路の主流になっているとし、CMOSインバータがnMOSトランジスタとpMOSトランジスタを直列に組んだ回路構成で、出力がHレベルでもLレベルでも定常的に流れる直流電流が0になるとしています。
1つの出力につなぐ相手の数に、上限はありますか?
上限があり、ファンアウトと呼ばれます。ルネサス エレクトロニクスのエンジニアスクールは、TTL ICのファンアウトが出力電流を入力電流で割ることで求まるとしています。同スクールは、CMOS ICでは負荷容量でファンアウトが定まり、データシートに示された負荷容量を超えると伝達遅延時間が増加して誤動作の原因になるとしています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- フリップフロップとは ── いまの入力だけで出力が定まる論理ゲートに対し、過去の入力を保持する部品
この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- ルネサス エレクトロニクス Renesas Engineer School「デジタルとは、基本論理回路」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 論理回路の基本要素がAND回路とOR回路、NOT回路の3種類であり、その組み合わせでさまざまな機能の回路を作成できること、基本論理回路がゲートとも呼ばれること、AND回路が論理積で論理式を「・」で表すこと、OR回路が論理和で論理式を「+」で表すこと、NOT回路がインバータや反転回路とも呼ばれること、論理回路を論理式や回路記号(MIL記号、JIS記号など)で表すこと、真理値表が入力信号に対する応答を表したものであること、AND回路が直列回路、OR回路が並列回路に置き換えられること、一方の入力によって出力を一定に保つことも、もう一方の入力を出力へ反映させることも可能であること、OR回路のゲート機能がAND回路とは逆に動作すること
- ルネサス エレクトロニクス Renesas Engineer School「デジタルICの基礎、組み合わせ回路」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 標準論理ICが、論理回路の基本部品やよく使う機能を1つのパッケージへまとめた小規模な集積回路であること、約600種類あると言われること、TTL ICとCMOS ICに大別されること、TTL ICがバイポーラトランジスタで構成され5Vの電源電圧で動作すること、CMOS ICがPチャネルとNチャネルのMOSFETで構成され幅広い電源電圧で動作すること、論理レベルという用語、TTL ICの入力が2.0V以上でHigh・0.8V以下でLow、出力が0.4V以下でLow・2.4V以上でHighであること、ファンアウトという上限数の考え方、TTL ICのファンアウトが出力電流を入力電流で割って求まること、CMOS ICのファンアウトが負荷容量で定まること、データシートの負荷容量を超えると伝達遅延時間が増加して誤動作の原因になること、組み合わせ回路が、ANDやOR、NOT、XORといった論理ゲートを何個も並べて構成されること
- JEITA(電子情報技術産業協会)半導体部会「半導体用語集」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 論理回路の見出し語による、0と1の2つの値に対して論理演算を行い結果を出力する回路であること、AND回路・OR回路・NOT回路の3つの基本回路があること、演算装置内にある加算器などの演算回路がこの3つを組み合わせて作られていること。あわせて、ロジックICの見出し語による、数値計算・論理演算・比較・判断などの各種機能をメインの機能としてもつICの総称という記述も同用語集から採っています
- 電子情報通信学会 知識ベース「知識の森」1群8編2章「組合せ論理回路」公開PDF(2026年8月30日にリンク生存を実測、200、application/pdf)── 組合せ回路が論理ゲートとそれらをつなぐ配線からなり、信号が入力から出力へ一方向に流れる回路であること、任意の論理関数が積和形論理式で表せること、NOT-AND-OR形式の二段回路で任意の論理関数を実現できること、n変数論理関数の二段回路でNOTゲートが最大n個・ANDゲートが積項の個数・ORゲートが1つであること、論理ゲートのファンインに上限がある場合に組合せ回路が通常多段になること、用いることのできる論理ゲートがテクノロジによって異なること
- 電子情報通信学会 知識ベース「知識の森」1群7編6章「スイッチング回路」公開PDF(2026年8月30日にリンク生存を実測、200、application/pdf)── MOSトランジスタが構造の単純さから高集積化に適し微細加工技術の進展とともに高速化されたこと、CMOS論理回路が現在の論理回路の主流であること、CMOSインバータがnMOSとpMOSの直列構成で同一半導体基板上に構成されること、出力がHレベル・Lレベルのいずれでも定常的な直流電流が0となり直流消費電力を大幅に低減していること、CMOS NAND回路でAとBがともにHレベルのときnMOS側の2つがオンして出力がLレベルになること、CMOS NOR回路でAもしくはBの一方がHレベルのときnMOS側のどちらかがオンして出力がLレベルになること、いずれの場合も電源から接地点へ流れる定常的な電流が0であること
- IPA(情報処理推進機構)「基本情報技術者試験(レベル2)シラバス Ver.9.0」公開PDF(2026年8月30日にリンク生存を実測、200、application/pdf)── AND回路やOR回路、NOT回路といった基本の論理回路の組み合わせで半加算器と全加算器ができ、そこで演算が行われていること、電気・電子回路の学習項目としてAND回路・OR回路・NOT回路の動作原理が挙げられ、用語例にNAND回路、フリップフロップ、論理式、正論理、負論理、真理値表が並ぶこと