トランジスタとは
トランジスタとは、小さな入力で大きな電流を操る半導体素子です。 働きは2つあります。入力の形をそのまま大きくする増幅と、電流を通したり止めたりするスイッチです。
2つの働きは、別々の素子ではありません。同じ1個の素子の、使う場所が違うだけです。
トランジスタには、入力の大きさに応じて出力の通り道が広がったり狭まったりする性質があります。この関係をなだらかな坂として見れば、坂の途中を使うのが増幅です。入力が少し動けば出力も比例して動きます。
いっぽう、坂の両端だけを使えば、それはスイッチになります。全開か全閉か。途中は素通りするだけで、意味を持つのは端の2つの状態です。
デジタル回路は後者だけを使います。0と1しか扱わないので、途中の値は要りません。CMOSがやっているのは、この「端だけを使う」動かし方を、電力を使わない形へ組み上げることです。
3つの型が現れ、1つへ収束しました
Section titled “3つの型が現れ、1つへ収束しました”トランジスタの歴史は、構造が3回入れ替わった歴史でもあります。
点接触型(1947年)。 Computer History Museumは、公開されている記録で、1947年12月16日にBardeenとBrattainの研究が最初の半導体増幅器の成功に至ったと記述しています。構造は、高純度ゲルマニウムの小片の表面へ、プラスチックのくさびで保持した2本の近接した金の接点を当てたものでした。一方の接点の電圧が他方を流れる電流を変調し、入力信号を最大100倍まで増幅したとされています。
同館によれば、この素子は電気技術者John Pierceによって「トランジスタ」と名付けられ、ベル研究所は1948年6月30日にニューヨークの記者会見で公表しました。
2つ目は接合型です。着想は1948年でした。 同館の別の記録は、1948年1月23日にShockleyが点接触型とは明確に異なるトランジスタを着想したと記述しています。p-n接合で隔てられたn型・p型半導体の3層サンドイッチで、これが今日のすべてのバイポーラ接合トランジスタの動作原理だとしています。ただし、量産できる工程がベル研究所で確立されるまでにはさらに2年を要したとも記されています。
この一連の仕事に対して、ノーベル財団の公式ページによれば、1956年のノーベル物理学賞がShockley、Bardeen、Brattainの3名へ、半導体の研究とトランジスタ効果の発見に対して共同で授与されました。受賞シェアは各3分の1です。
MOS(1959〜1960年)。 Computer History Museumは、MOSトランジスタの実証を1960年のマイルストーンとして掲載し、ベル研究所のAtallaとKahngが、電界の半導体内部への侵入を妨げていた「表面準位」を克服して最初の絶縁ゲート電界効果トランジスタを実現したと記述しています。MOSFETという名称は、**金属(ゲート)・酸化膜(絶縁)・シリコン(半導体)**という3層のサンドイッチ構造に由来します。
「小さくできる」が勝った
Section titled “「小さくできる」が勝った”3つの型を並べると、収束の理由がはっきりします。Computer History Museumは、MOSがバイポーラ素子より小型で消費電力が低いため、今日製造されるマイクロチップの99%超がMOSトランジスタを使っていると記述しています。
ここで効いたのは、1個あたりの性能ではありません。たくさん並べられることです。1個の増幅率が高いことより、億単位で並べても電力と面積が破綻しないことのほうが、集積回路にとっては重要でした。
そして並べたトランジスタを、電力を使わない形で論理回路に組み上げる方法がCMOSです。素子の型が決まり、組み方が決まって、その先にムーアの法則の半世紀が続きました。
関連するデータ・ツール
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よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”トランジスタとは何ですか?
小さな入力で大きな電流を操る半導体素子です。増幅とスイッチという2つの働きを持ち、どちらも「入力で出力の通り道を加減する」という同じ動作の使い分けです。
いつ発明されたのですか?
Computer History Museumは、1947年12月16日にBardeenとBrattainの研究が最初の半導体増幅器の成功に至ったと記述しています。
最初のトランジスタはどんな構造でしたか?
同館は、高純度ゲルマニウムの小片の表面へ、プラスチックのくさびで保持した2本の近接した金の接点を当てたものだったとし、一方の接点の電圧が他方を流れる電流を変調して入力信号を最大100倍まで増幅したと記述しています。
名前の由来は何ですか?
同館は、電気技術者John Pierceによって「トランジスタ」と名付けられ、ベル研究所が1948年6月30日にニューヨークの記者会見で公表したと記述しています。
ノーベル賞は誰が受けたのですか?
ノーベル財団の公式ページによれば、1956年のノーベル物理学賞はWilliam Bradford Shockley、John Bardeen、Walter Houser Brattainの3名へ、半導体の研究とトランジスタ効果の発見に対して共同で授与されました。受賞シェアは各3分の1です。
今のトランジスタも同じものですか?
型が変わりました。Computer History Museumは、MOSがバイポーラ素子より小型で消費電力が低いため、今日製造されるマイクロチップの99%超がMOSトランジスタを使っていると記述しています。
MOSという名前は何を指しますか?
積み重ねた3層です。同館は、MOSFETという名称が金属(ゲート)、酸化膜(絶縁)、シリコン(半導体)という3層のサンドイッチ構造に由来すると記述しています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- MOSFETとは ── 収束した先の型
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- ノーベル財団「The Nobel Prize in Physics 1956」公式ページ(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── 1956年のノーベル物理学賞がWilliam Bradford Shockley、John Bardeen、Walter Houser Brattainの3名へ半導体の研究とトランジスタ効果の発見に対して共同授与され、受賞シェアが各3分の1であること
- Computer History Museum「Invention of the Point-Contact Transistor」(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── 1947年12月16日に最初の半導体増幅器が成功したこと、高純度ゲルマニウムへ2本の近接した金の接点を当てた構造、入力信号を最大100倍まで増幅したこと、John Pierceによる命名、1948年6月30日の公表
- Computer History Museum「Conception of the Junction Transistor」(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── 1948年1月23日のShockleyによる着想、p-n接合で隔てられたn型・p型の3層サンドイッチが今日のバイポーラ接合トランジスタの動作原理であること、量産工程の確立にさらに2年を要したこと
- Computer History Museum「Metal Oxide Semiconductor (MOS) Transistor Demonstrated」(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── AtallaとKahngが表面準位を克服して最初の絶縁ゲート電界効果トランジスタを実現したこと、MOSFETの名称が金属・酸化膜・シリコンの3層構造に由来すること、バイポーラより小型で消費電力が低いため今日製造されるマイクロチップの99%超がMOSトランジスタを使っていること