CMOSとは
CMOSとは、p型とn型のMOSFETを組にして使う回路の作り方です。 東京エレクトロンの公式用語集は、Complementary Metal-Oxide Semiconductorの略とし、P型MOSFET(PMOS)とN型MOSFET(NMOS)を相補的に利用する半導体デバイスの略称と記述しています。
MOSFETは、ゲートにかけた電圧でソースとドレインの間を開閉するスイッチです。この素子には2つの型があります。ゲートに正の電圧をかけるとONになるn型と、負の側でONになるp型です。
CMOSは、この2つを上下に直列へ並べて使います。上にp型、下にn型を置き、両方のゲートへ同じ入力をつなぎます。すると入力がどちらへ振れても、必ず片方だけがONになります。
立命館大学がオープンコースウェアで公開している講義資料は、この関係を、入力電圧によってNMOSとPMOSのどちらかが相補的にONしている状態だと述べています。相補的というのは、片方がONになれば、もう片方は必ずOFFになるという意味です。
産総研はプレスリリースの用語欄で、CMOSインバーターを、p型MOSFETとn型MOSFET各1個で構成し、入力値を反転して出力する回路としています。これがCMOSでいちばん単純な回路です。
電力を使うのは、切り替わる瞬間だけ
Section titled “電力を使うのは、切り替わる瞬間だけ”この構造がもたらす結果が、CMOSが本流になった理由そのものです。
東京エレクトロンの公式用語集は、PMOSやNMOS単体のデバイスと異なり、CMOSでは状態が変化したときだけ電流が流れ、静止時の電流はごくわずかなため、消費電力の小さい論理回路が実現できると記述しています。同用語集はCMOSを現在のLSI技術の本流に位置づけています。
立命館大学の講義資料も、CMOS回路は待機時に電流が止まるので低消費電力だとしています。あわせて、論理振幅が電源電圧と同じなのでノイズに強く電源電圧の低電圧化にも有利であること、現在のディジタルVLSIはほとんどがCMOS回路であることを挙げています。
ここから、実務でよく使われる読み方が出てきます。CMOSの消費電力は、載っている素子の数より、動いた回数でおおむね決まる、ということです。休んでいるブロックの電力は、そこにあるだけならごくわずかです。
ただし、途中の一瞬は流れます
Section titled “ただし、途中の一瞬は流れます”電流が流れる瞬間が、ひとつだけあります。ここが実務で消費電力を左右する例外です。
入力が低い状態から高い状態へ移る途中には、どちらも半開きのままになる電圧の範囲があります。立命館大学の資料は、5V電源の例として、入力が1Vから4Vの間ではNMOSとPMOSの両方がONしている状態になり、このとき電源からGNDへ貫通電流が流れるとしています。
この貫通電流は、出力を切り替える働きとは別に消費されます。入力の変化が遅いほど、その範囲に留まる時間が長くなり、無駄が増えます。だからデジタル回路では、信号をなるべく速く切り替える設計にします。同じ回数を切り替えるなら、速く切り替えるほうが貫通電流のぶんだけ省電力になる、という直感に反する結果です。
n型とp型を揃えるという宿題
Section titled “n型とp型を揃えるという宿題”組にして使う以上、2つの性能が揃っていることが望ましくなります。片方だけ弱ければ、その方向の切り替えだけが遅くなるからです。
ところが材料の側に、もともと差があります。産総研の解説記事は、材料固有の特性差があるため、シリコンを使った従来のプレーナ型CMOSではn型FETを小さめに、p型FETを大きめに作ることでバランスを取っていたとしています。
寸法で釣り合わせる、という手です。この手が使える前提は、n型とp型が平面上に横並びに並ぶことでした。同記事は、プレーナ型からGAAFETに至るまでCMOSが常にこの2次元構造を前提としてきたとまとめています。
だからCFETのように上下へ積む構造では、この宿題が形を変えて戻ってきます。上下に積むと、横幅で寸法を釣り合わせる手が使いにくくなるためです。CMOSという組み方はそのまま残り、揃え方だけを作り直すことになります。
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よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”CMOSとは何ですか?
東京エレクトロンの公式用語集は、CMOSをComplementary Metal-Oxide Semiconductorの略とし、P型MOSFETとN型MOSFETを相補的に利用する半導体デバイスの略称と記述しています。
「相補的」とはどういう意味ですか?
どちらか一方だけがONになる、という意味です。立命館大学の公開教材は、入力電圧によってNMOSとPMOSのいずれかが相補的にONしていると述べています。入力が落ち着いている間、開いているのは片方だけです。
消費電力が小さいのはなぜですか?
電源からGNDまでの道が途切れているためです。同教材は、CMOS回路は待機時に電流が止まるので低消費電力であると述べています。東京エレクトロンの公式用語集も、CMOSは状態が変化したときのみ電流が流れ、静止時の電流はごくわずかだと記述しています。
電力を使うのはいつですか?
状態が切り替わる瞬間です。入力が途中の電圧を通過する間だけ、両方のトランジスタが半開きになり、電源からGNDへ電流が流れます。立命館大学の公開教材はこれを貫通電流と呼んでいます。
ノイズには強いのですか?
同教材は、CMOSの論理振幅が電源電圧と同じなのでノイズに強く、電源電圧の低電圧化にも有利だと述べ、現在のディジタルVLSIはほとんどがCMOS回路だとしています。
インバータとは何ですか?
入力を反転して出力する、最も単純なCMOS回路です。産総研はプレスリリースの用語欄で、CMOSインバーターをp型MOSFETとn型MOSFET各1個で構成し、入力値を反転して出力する回路としています。
n型とp型の性能は揃うのですか?
寸法で釣り合わせます。産総研は、材料固有の特性差があるため、従来のプレーナ型CMOSではn型を小さめ、p型を大きめに作ることでバランスを取ってきたと述べています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- MOSFETとは ── CMOSを組み立てる部品の側
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- 東京エレクトロン 公式用語集「CMOS」(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── Complementary Metal-Oxide Semiconductorの略であること、PMOSとNMOSを相補的に利用する半導体デバイスの略称であること、状態が変化したときのみ電流が流れ静止時の電流はごくわずかであること、現在のLSI技術の本流であること
- 立命館大学 オープンコースウェア「集積デバイス工学(6)」公開PDF(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── 入力電圧によりNMOSとPMOSのいずれかが相補的にONしていること、待機時に電流が止まるので低消費電力であること、論理振幅が電源電圧と同じなのでノイズに強く低電圧化に有利であること、5V電源の例で入力1Vから4Vの範囲では両方がONとなり電源からGNDへ貫通電流が流れること
- 産業技術総合研究所「CFET(相補型電界効果トランジスタ)とは?」産総研マガジン(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── プレーナ型からGAAFETに至るまでCMOSが横並びの2次元構造を前提としてきたこと、材料固有の特性差のためn型を小さめp型を大きめに作ってバランスを取ってきたこと
- 産業技術総合研究所 プレスリリース「GeとInGaAsを用いたCMOSインバーターの動作を実証」用語の説明(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── CMOSインバーターがp型MOSFETとn型MOSFET各1個で構成され、入力値を反転して出力する回路であること