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CMOSイメージセンサとは

CMOSイメージセンサとは、光を受けるフォトダイオードを平面に並べ、その信号をCMOS回路で読み出す固体撮像素子です。 JEITAの半導体用語集は、CCDイメージセンサと同じくフォトダイオードを使う素子とし、分かれるのは製造プロセスと信号の読み出し方だとしています。

ソニーセミコンダクタソリューションズは、イメージセンサーの構造が一般にCCDとCMOSの2方式に分けられるとしています。そのうえで、CMOSイメージセンサーには動作が速く消費電力が小さいという利点があるため、いまはスマートフォンやデジタルカメラをはじめ多くの分野で主流になったとしています。

光を受けている部品は、両方式で共通です。JEITAの半導体用語集は、光を電気信号へ変えるための受光部として、フォトダイオードがCCDやCMOSイメージセンサに使われるとしています。両方式が別々になるのは、その先の運び方です。

増幅器が1個か、画素の数だけあるかで分かれます

Section titled “増幅器が1個か、画素の数だけあるかで分かれます”

ソニーセミコンダクタソリューションズは、両方式の違いをこう書き分けています。CCDイメージセンサーでは、光を電荷へ変えたあと、その電荷を一画素ずつバケツリレーのように送り、センサーの出口に置いたアンプで増幅して信号にします。CMOSイメージセンサーでは、フォトダイオードの1つ1つにアンプが付いているので、その場で増幅して信号にし、一気に送り出します。

電子情報通信学会の知識ベース「知識の森」も、現在のCMOSイメージセンサの画素が画素内に電荷から電圧への変換部を持つ増幅型画素にあたるとし、信号を初段で増幅することで画素より後ろの回路で混入するランダム雑音を利得分の1に減らせる点を利点に挙げています(8群4編1章、執筆者は中村淳一氏、2011年10月版)。JEITAの半導体用語集も、単位セルごとに増幅器を持つことで読み出し時の電気ノイズの発生が抑えられるとしています。

増幅器の置き場所が、方式のすべてを分けます
CCDイメージセンサ転送路アンプ1個一画素ずつバケツリレーで運びます運ぶ間じゅう転送路を動かします選んだ行CMOSイメージセンサ三角が画素ごとのアンプです列ごとの信号線その場で増幅して一気に運びます読み出す行を選んで動かします
左では、すべての電荷が転送路を通って出口の1個のアンプへ集まります。右では、画素の数だけアンプがあり、選んだ行の信号だけが列の信号線へ出ていきます。この置き場所の違いから、消費電力も速度も歪み方も決まってきます。

一つの違いから、いくつもの性質が出てきます

Section titled “一つの違いから、いくつもの性質が出てきます”

行と列を指定して読みたい画素を選ぶやり方を、X-Yアドレス読み出し方式と呼びます。ここから複数の性質がまとめて出てきます。

電子情報通信学会の知識ベースは、CMOSイメージセンサが一般にCCDイメージセンサより消費電力が小さい理由として、電源電圧が2.5〜3.3 Vと低いこと、X-Yアドレス読み出し方式のため選んだ画素または行だけを動かせばよいこと、駆動回路や信号処理回路を1つのチップへ集積できることの3点を挙げています。CCDイメージセンサでは電荷転送という読み出し方式のため、ほとんど常時、垂直と水平のCCDを駆動させる必要があるとも書いています。同資料は2011年10月版です。

そのうえで同資料は、CCDイメージセンサでは電荷を転送するための電力と出力アンプ部での電力消費が大きく、これらの成分が画素レートに比例して増えると書いています。そのため、画素数が多いほど、またフレームレートが高いほど、消費電力についてのCMOSイメージセンサの優位性が増すとしています。

明るい点から伸びる縦スジも、この方式の帰結です。同資料は、CCDイメージセンサで起きる垂直スミアが、CMOSイメージセンサでは増幅型画素とX-Yアドレス読み出し方式のため基本的に起きないとしています。JEITAの半導体用語集も、原理のうえでスミアやブルーミングが起きない点を長所に挙げています。

同じ方式から、代償も出てきます。同資料は、通常の画素では信号電荷をためはじめる時刻と終える時刻が、行ごとに1行分の期間だけずれている(ローリングシャッタ)とし、フレームレートが低い場合には速く動く被写体の再生像が歪むとしています。行を順番に読むという仕組みが、そのまま時間のずれになります。

行を1つずつ選ぶやり方が、利点と代償を同時に連れてきます
選んだ行だけを駆動します動いているのはこの行だけです画素数やフレームレートが増えるほど消費電力の差は広がります同じ仕組みが歪みも生みます1行目2行目3行目4行目5行目6行目時間蓄積の開始と終了が行ごとに1行期間ずつずれますフレームレートが低いと、速く動く被写体の像が歪みます全画素で蓄積時間をそろえるのがグローバルシャッター画素です画素内にアナログメモリが要り、開口率は下がります
左では1行だけが色付きで、駆動されている範囲の狭さを表しています。右では各行の蓄積期間が階段のようにずれ、同じ1枚の中で行ごとに写した瞬間が違うことを表しています。利点と代償が同じ読み出し方式から出てきます。

ソニーセミコンダクタソリューションズは、産業用の製品としてグローバルシャッター機能を搭載したイメージセンサーを挙げ、高速で動く被写体を歪みなく撮像でき、文字なども判読できるとしています。歪みは方式の宿命ではなく、画素の作りで扱える問題として位置づけられています。

同じチップに回路を載せられます

Section titled “同じチップに回路を載せられます”

ソニーセミコンダクタソリューションズは、CMOSイメージセンサーの特長として、高速性と低消費電力性に加えて、アナログ回路とデジタル回路を1つのチップへまとめられるシステムインテグレーション適応性を挙げています。

電子情報通信学会の知識ベースも、CMOSイメージセンサではAD変換器をオンチップに集積し、信号をデジタルデータとして出力することが一般的になっているとしています。画素がCMOSの回路と同じ土俵にあることが、この同居を可能にしています。

画質をめぐる記述は年代で食い違います

Section titled “画質をめぐる記述は年代で食い違います”

CMOSイメージセンサをめぐる記述は、資料の年代で食い違います。どの年代の資料かを確かめてから読み比べる必要があります。

ソニーセミコンダクタソリューションズは、初期段階のCMOSイメージセンサーがCCDイメージセンサーよりノイズが多く感度が低いという欠点を持ち画質の面で劣っていたものの、その後の技術革新でCCDイメージセンサーを上回る画質の動画や静止画を撮れるようになったと書いています。同社は自社の歩みとして、2007年にカラムA/D変換回路搭載の製品を、2009年に従来比2倍の感度を実現した裏面照射型を、2012年に積層型を商品化したとしています。感度の比は同社が自社の従来品と比べた値で、比較対象の型番や測定条件は同ページに記載がありません。

一方、JEITAの半導体用語集は「エリアセンサ」の項で、画質の面ではCCDに、コストの面ではCMOSイメージセンサに分があるとしたうえで、近年はCMOSイメージセンサの画質の伸びが著しく、一眼レフカメラにも使われるようになったと書いています。同用語集はICガイドブック2009年版の用語解説を出所としています。

画質を左右する条件も、構造から来ています。電子情報通信学会の知識ベースは、CMOSイメージセンサの画素の欠点として、メタル配線を何層も重ねる分、オンチップマイクロレンズの底からフォトダイオードの受光面までが遠くなり(Stack Height)、CCDイメージセンサに比べて入射角依存性やレンズF値依存性が大きくなることを挙げています。

ソニーセミコンダクタソリューションズは、裏面照射型を、シリコン基板を裏返した側から光を入れることで、配線やトランジスタに邪魔されずに単位画素へ届く光の量を増やし、光の入射角が変わったときの感度低下を抑える構造としています。同社は同じページで、表面照射型と比べると、構造や工程から来るノイズ、暗電流、欠陥画素、混色といった画質を下げる課題が生じ、S/N比が落ちる問題があったとも書いています。

積層構造はその先にあります。同社は、裏面照射型で支持基板が入っていた場所へ信号処理回路を作り込んだチップを置き、画素領域と重ね合わせる構造とし、画素の側は画質を、回路の側は機能を伸ばすことに絞った製造プロセスをそれぞれ選べるとしています。裏面照射と積層は、光の入れ方と重ね方という別々の工夫にあたります。

汎用ラインで安く作れるという話は、条件付きです

Section titled “汎用ラインで安く作れるという話は、条件付きです”

CMOSイメージセンサの利点としてよく挙がるのが製造コストです。電子情報通信学会の知識ベースは、汎用のCMOS製造プロセスをそのまま流用して安く作れる点が利点に挙げられるとしたうえで、画質を上げる方向へ進んだ現在は、この図式がそのまま当てはまるとは限らない、と続けています。

同資料は、高画質を狙う場合に使われるPinned Photo Diode構造がCCDの画素構造をほぼそのまま用いており、作るために新たな工程を加える必要があると書いています。裏面照射型を例にとると、最終配線層より後の製造工程が汎用のCMOS製造工程とはまったく違うため、製造工程全体の1/5〜1/4ほどを専用の工程にする必要がある、という目安も示しています。2011年10月版の解説上の概算です。

画素欠陥への要求も別格です。同資料は、金属汚染やプロセスに由来する結晶欠陥から出る白キズについて、汎用のCMOS製造プロセスで許される汚染や欠陥の密度に対し、その数百分の一ほどの水準が要るとしています。メモリで使われる冗長回路を導入できないため、全画素の無欠陥も求められるという事情を挙げています。

CMOSイメージセンサとは何ですか?

CMOSを用いた固体撮像素子です。JEITAの半導体用語集は、CCDイメージセンサと同じくフォトダイオードを使う素子とし、分かれるのは製造プロセスと信号の読み出し方だとしています。

CCDとは受光する素子から違うのですか?

受光する部分は共通です。同用語集は、CMOSイメージセンサがCCDイメージセンサと同様にフォトダイオードを使用し、違いは製造プロセスと信号の読み出し方法にあると書いています。

読み出し方はどう違いますか?

ソニーセミコンダクタソリューションズは、CCDが電荷を一画素ずつバケツリレーのように送って出口のアンプで増幅するのに対し、CMOSではフォトダイオードの1つ1つにアンプが付いていて、その場で増幅してから一気に送り出すと書いています。

なぜ消費電力が小さいのですか?

電子情報通信学会の知識ベースは、電源電圧が2.5〜3.3 Vと低いこと、X-Yアドレス読み出し方式のため選んだ画素または行だけを動かせばよいこと、駆動回路や信号処理回路を1つのチップへ集積できることを理由に挙げています。2011年10月版時点の記述です。

速く動くものが歪んで写るのはなぜですか?

同知識ベースは、通常の画素では信号電荷をためはじめる時刻と終える時刻が、行ごとに1行分の期間だけずれているとし、フレームレートが低い場合に速く動いている被写体の再生像が歪むとしています。この方式をローリングシャッタと呼びます。

歪みを避ける方法はありますか?

グローバルシャッター画素があります。同知識ベースは、蓄積の開始と終了の時間を全画素で同じにする画素だと説明し、画素内にアナログメモリが必要になるため同じ画素サイズならフォトダイオードの開口率が落ちるという代償も挙げています。

汎用のCMOS製造ラインでそのまま作れるのですか?

同知識ベースは、汎用のCMOS製造プロセスをそのまま流用して安く作れる点が利点に挙げられてきたものの、画質を上げる方向へ進んだ状況では、この図式がそのまま当てはまるとは限らないとしています。裏面照射型では製造工程全体の1/5〜1/4程度の専用工程化が要るとも書いています。

この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。

  • JEITA 半導体部会「半導体用語集」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── CMOSイメージセンサの定義、フォトダイオードを受光部に使う点、スミアとブルーミング、エリアセンサの項での画質とコストの位置づけ
  • ソニーセミコンダクタソリューションズ「技術情報 イメージセンサー共通」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── CCDとCMOSの2方式分類、読み出し方の書き分け、システムインテグレーション適応性、画質をめぐる経緯と同社の商品化年
  • 電子情報通信学会「知識ベース『知識の森』8群4編1章 1-4 MOS型センサ」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 増幅型画素、消費電力が小さい理由、垂直スミア、ローリングシャッタとグローバルシャッタ画素、Stack Height、専用工程の割合
  • ソニーセミコンダクタソリューションズ「技術情報 裏面照射構造」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 裏面照射型の構造と利点、そこで生じる画質上の課題
  • ソニーセミコンダクタソリューションズ「技術情報 積層構造」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 支持基板を回路チップに置き換える構造と、画素側と回路側で製造プロセスを分ける利点
  • ソニーセミコンダクタソリューションズ「製品情報 グローバルシャッター方式イメージセンサー」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 高速で動く被写体を歪みなく撮像できるという製品上の位置づけ
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