ムーアの法則とは
ムーアの法則とは、大規模集積回路のトランジスタ数がおよそ18か月ごとに倍になるという経験則です。 東京エレクトロンの公式用語集はこのように記述しています。
まず、これは物理法則ではありません。東京エレクトロンの公式用語集は a rule of thumb ── 経験則、目安 ── という語を使っています。観測された傾向であり、自然が保証するものではありません。
倍になる対象も限定されています。トランジスタの数です。動作速度でも、価格性能比でも、体感される性能でもありません。数が増えることで何が得られるかは、世代ごとに違います。
それでも半世紀にわたって語られ続けたのは、この経験則が目標として機能したためです。装置メーカーは次の世代の露光装置を、材料メーカーは次の世代のレジストを、設計側は次の世代のトランジスタ数を前提に計画を立てました。全員が同じ速度を前提にしたため、その速度で進む力が働きました。予測が自らを実現する構図です。
詰めるほかの道
Section titled “詰めるほかの道”寸法を縮める道は、世代を追うごとに費用と難度が上がってきました。EUVは波長13.5nmを使うために反射光学系と真空を要求し、1世代のために装置の構成ごと入れ替える規模になっています。
そこで、平面で詰めるほかの道が併走しています。東京エレクトロンの公式用語集は、System LSIを、複数の個別ICの機能とIP(知的財産)コアを1チップへ統合して完全なシステムとして機能させるLSIと記述しています。また、シリコンインターポーザについて、樹脂系のインターポーザと違ってフリップチップ実装で熱膨張係数が安定すると記述しています。
チップを小さくするかわりに、複数のチップを近くへ置いて短くつなぐ。あるいは縦へ積む。先進パッケージングやHBMが担っているのはこの方向です。トランジスタ数を増やすという目的は同じで、増やし方が平面から立体へ広がっています。
関連するデータ・ツール
Section titled “関連するデータ・ツール”- プロセスインテグレーションの工程ページ ── 工程分類と、この工程に接続している公開求人
- 半導体工程辞典 ── 89工程の分類
- 装置カタログDB ── 公式製品ページ単位のメーカーと製品family
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ムーアの法則とは何ですか?
東京エレクトロンの公式用語集は、大規模集積回路のトランジスタ数がおよそ18か月ごとに倍になるという経験則(a rule of thumb)と記述しています。
物理法則ですか?
経験則です。公式用語集も rule of thumb という語を使っています。観測から導かれた傾向であり、自然が保証するものではありません。
なぜ長く成り立ったのですか?
目標として共有されたためです。装置、材料、設計の各社がこの速度を前提に投資と開発の計画を立てたため、傾向をなぞる形で実際の進歩が起きました。予測が自らを実現する構図です。
何を倍にする話ですか?
トランジスタの数です。動作速度や性能ではありません。実際には、数が増えることで得られる性能の伸びは世代によって変わります。
微細化はまだ続きますか?
寸法を縮める道は難度が上がり続けています。露光の波長を短くするEUVのように、1世代のために光学系ごと入れ替える規模の投資が要るようになりました。
微細化以外の道はありますか?
あります。東京エレクトロンの公式用語集は、複数のICの機能とIPコアを1チップへ統合するSystem LSIや、フリップチップ実装で熱膨張係数が安定するシリコンインターポーザを掲載しています。平面で詰めるかわりに、積む・つなぐ方向で密度を上げる道です。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 半導体製造工程の全体像 ── 工程と装置の全体像
この記事の事実は次の一次資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- 東京エレクトロン 公式用語集「Moore’s Law / MOSFET」(2026年8月23日にリンク生存を実測、200)
- 東京エレクトロン 公式用語集「System LSI / Silicon Interposer」(2026年8月23日にリンク生存を実測、200)