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装置稼働率とは

装置稼働率とは、装置が持っている時間のうち、実際に製品ウェーハを加工していた時間の割合です。

半導体の装置は高価で、置き場所であるクリーンルームの床も高価です。買った装置が1日のうちどれだけ製品を加工していたかは、そのまま1枚あたりの費用に返ってきます。装置稼働率は、この「時間の使われ方」を1つの数字にまとめた指標です。

SEAJ(一般社団法人日本半導体製造装置協会)は「半導体製造装置用語集(Factory Integration)」で、設備の総合効率をOEE(Overall Equipment Efficiency)と呼び、稼動している時間のうち製品づくりへ振り向けられた時間の割合を引き上げることだと定めています。同じ用語集は、そのために減らす対象として、故障と、メンテナンス、そしてNPWの加工へ使う時間を挙げています。

この指標が現場に無いと、困りごとは次の形で出ます。装置の台数が足りているかどうかの判断が勘になります。止まっていた理由の内訳も手元へ残らず、保全の人を増やすのか、部品の在庫を厚くするのか、搬送を直すのかという選び方が宙に浮きます。

分母から順に差し引くと、分子にたどり着きます
装置が持つ時間(分母)故障と修理予防保全・段取りNPWの加工ウェーハ待ち製品を加工した時間(分子)帯の長さは区分を示すためのもので、割合は工場と装置ごとに異なります
装置が持つ時間を分母に取り、故障と修理、予防保全と段取り、NPWの加工、ウェーハ待ちを順に差し引くと、製品を加工した時間が分子になります。どこを分母に取るかで、同じ装置の稼働率も変わります。

止まっている時間を減らすには、止まり方を2つに分けて数えます。SEAJの同じ用語集は、この2つを次のように定めています。

  • MTBF(Mean Time Between Failure)── 平均故障間隔です。ある故障から次の故障までの間に、装置が決められた働きを保っていた時間の平均を指します
  • MTTR(Mean Time To Repair)── 平均修理時間です。壊れた装置を修理し、決められた働きへ復旧させるまでにかかる時間の平均を指します

MTBFは「どれくらい持つのか」、MTTRは「壊れたあと何時間で戻るのか」を表します。同じ時間の中で止まっていた割合は、MTBFが長くMTTRが短いほど小さくなります。

JIPM(公益社団法人日本プラントメンテナンス協会)は「設備管理・保全について」で、設備の管理と保全を続けると故障や不良、突発の停止といったロスを着実に減らせると述べています。同会によれば、その結果として設備は信頼して使える状態へ近づき、MTBFが伸びてMTTRが縮み、生産性が底上げされて費用も下がります。

間隔を長くし、修理を短くすると、時間が戻ります
同じ長さの時間軸で比べます動いています止まっていますMTBF ─ 故障と故障の間隔MTTR ─ 直るまでの時間間隔を長く、修理を短くした場合止まっていた区間が縮み、同じ時間で加工できる枚数が増えます
上の帯は故障の間隔が短く修理も長い状態、下の帯はMTBFを伸ばしMTTRを縮めた状態です。赤い区間が縮んだ分が、そのまま製品を加工できる時間へ戻ります。

現場の打ち手は、止まる回数を減らす側と、止まった時間を短くする側の2つです。

SEAJの用語集は、生産装置の予防保全(PM)を、装置の品質を良くするうえで最も重い業務のひとつだとしています。同じ用語集は、装置の稼働率を保ち高めるために行う仕事を装置エンジニアリングと呼んでいます。計画的に部品を交換し、ロードポートまわりや加工室の状態を定期的にそろえる作業が、ここに入ります。

装置メーカー側の仕組みも同じ方向を向いています。キヤノンは「Lithography Plus」の公式ページで、露光装置の状態を見張り、異常やその予兆をつかむ異常検知機能によって装置の停止を防ぐと掲載しています。止まった場合は自動復帰機能が復旧作業を助けます。自動で復帰できなかったときは、装置の状態を調べて復旧手順書を示すとも述べています。同ページは、工場の中にある複数の露光装置のデータを一覧で見せるDash Board機能と、生産性の予測や向上のシミュレーション機能も掲載しています。対象装置はFPA-6300ES6aとFPA-5550iZ2で、2022年9月時点の記載です。

東京エレクトロンは「サービス」の公式ページで、装置を納めるところからその後の保守までを切れ目なくつなぐ技術サービスとサポートによって、装置を高い稼動率で回せていると述べています。同ページには、装置の出荷台数が86,000台以上と掲載されています。これは同社の公表値です。装置を買ったあとの保守の設計が、稼働率の実力を左右します。

稼働率には3つの取引がついてきます。

1つ目は仕掛りとの取引です。装置へ絶えずウェーハを届けるには、その手前にウェーハを厚く積むのが最短の手です。ただし積むほど投入から完成までの時間が伸びます。工場全体では、ボトルネックの装置だけは厚く、それ以外は薄くという配り方になります。

2つ目は保全との取引です。予防保全を厚くすると、計画して停止させる時間が増えます。その代わり、突発の故障が減り、直すまでの時間も読めるようになります。計画停止と突発停止は、同じ「止まっている時間」でも、生産計画への響き方が違います。

3つ目はNPWとの取引です。ダミーウェーハやQCウェーハを流す時間は、製品を加工した時間の対象外になります。それでも流すのは、装置の品質を定期的にモニターし、歩留まりの崩れを早く捕まえるためです。稼働率の数字だけを追うと、この監視の時間が真っ先に削られます。

JIPMは「TPM」で、生産システムに潜むロスをすべてゼロへ近づける生産保全の仕組みとしてTPMを掲載しています。同会の「設備管理・保全について」は、TPMが設備のあるべき状態と今の稼働状態との開きをロスと呼び、その開きを測って改善する活動だと述べています。稼働率は、そのロスがどこに偏っているのかを1つの数字で示す入口です。

装置稼働率とは何ですか?

装置が持っている時間のうち、実際に製品ウェーハを加工していた時間の割合です。SEAJの用語集は、設備の総合効率をOEEと呼び、稼動している時間のうち製品づくりへ振り向けられた時間の割合を引き上げることだと定めています。

稼働率が高いほど良い工場ですか?

1台だけを取り出せばそう言えます。工場全体では話が変わります。ボトルネックから離れた装置の稼働率を上げると、仕掛りが増えて投入から完成までの時間が伸びます。どの装置の稼働率を上げるのかという選び方が先に来ます。

装置が止まる理由には何がありますか?

SEAJの用語集は、OEEを上げるために減らす対象として、故障と、メンテナンス、そしてNPWの加工へ使う時間を挙げています。加えて、レシピの切り替えや段取り、そして次のウェーハが届くまでの待ちも、装置が製品以外へ使った側の時間に入ります。

NPWとは何ですか?

SEAJの用語集によると、製品となるデバイスを作るのに使うウェーハ以外の、ダミーウェーハとQCウェーハをまとめた呼び方です。装置の品質を定期的にモニターするために流します。製品を加工する時間の対象外になりますが、品質を保つために要る時間です。

MTBFとMTTRとは何ですか?

SEAJの用語集は、MTBFを平均故障間隔とし、ある故障から次の故障までの間に、装置が決められた働きを保っていた時間の平均だと定めています。MTTRは平均修理時間で、壊れた装置を修理し、決められた働きへ復旧させるまでにかかる時間の平均です。

稼働率はどうやって上げますか?

止まる回数を減らし、止まった時間を短くします。SEAJの用語集は予防保全を、装置の品質を良くするうえで最も重い業務のひとつだとし、装置の稼働率を保ち高めるために行う仕事を装置エンジニアリングと呼んでいます。キヤノンは公式ページで、Lithography Plusに異常検知機能と自動復帰機能を搭載していると掲載しています。

稼働率の数字を比べるとき、気をつける点はありますか?

分母の取り決めを先にそろえます。24時間を分母に取るのか、休日と計画停止を除いた時間を分母に取るのかで、同じ装置でも数字が変わります。分母をそろえてから、初めて工場どうしや装置どうしの比較になります。

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  • 一般社団法人日本半導体製造装置協会(SEAJ)「半導体製造装置用語集(Factory Integration)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── OEE、MTBF、MTTR、NPW、予防保全、装置エンジニアリングの意味を裏づけています
  • 公益社団法人日本プラントメンテナンス協会(JIPM)「設備管理・保全について」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 突発停止のロス削減とMTBFの向上、MTTRの短縮、および設備のあるべき状態と今の稼働状態との開きをロスと呼ぶ見方を裏づけています
  • JIPM「TPM」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── ロスをゼロへ近づける生産保全という位置づけを裏づけています
  • キヤノン「Lithography Plus」公式ページ(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 異常検知と自動復帰、復旧手順書、Dash Board、対象装置と2022年9月時点という同社の記載を裏づけています
  • 東京エレクトロン「サービス」公式ページ(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 一貫した技術サービスによる高稼動率と装置出荷台数86,000台以上という同社の公表値を裏づけています
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