リワークとは
リワークとは、作りかけのウェーハをいったん手前の工程まで巻き戻して、同じ工程をもう一度やり直す作業です。 半導体の工場では、露光した像の位置がずれていたときに、レジストを取り除いて露光からやり直す形がよく知られています。
ウェーハは、1枚に何百個ものチップを載せて、長い日数をかけて工場を回ります。途中で1回でも位置合わせを外すと、その先の工程をどれだけ丁寧に流しても、できあがるのは不良品です。そこで現場は、外したことに気づいた時点で作り直す道を用意しています。それがリワークです。
SEAJ(日本半導体製造装置協会)のウェーハプロセスWGが公開している技術報告は、露光のときに目ズレが起きた場合、レジストとBARC材を取り除いてウェーハを作り直すことが行われるとしています。同報告は、この作業をリワーク(再生)と呼んでいます。同WGが公開している技術報告の記述です。
作り直せる理由は、外したことに気づく場所にあります。SEAJのリソグラフィ用語集は、アライメント(重ね合わせ)精度を、露光したパターンと下地層との位置ズレを示すものとし、下地層のアライメントマークとレジストパターンの位置から測るとしています。測る相手がレジストのパターンである以上、その測定の時点では、下地はまだそのままです。上に載っているレジストを落とせば、ウェーハは露光の手前へ戻ります。
やり直す道が閉じたときに、現場で何が起きるのか
Section titled “やり直す道が閉じたときに、現場で何が起きるのか”リワークという道があるおかげで、位置ズレの測定結果を受けたロットにも3つ目の選択が使えます。その道が閉じているとき、選択はずれた像のまま下地を削るか、そのロットを捨てるかの二択です。ウェーハ1枚には、そこへ至るまでの工程の時間と薬液と装置の枠が積み上がっています。捨てる判断は、その全部を捨てる判断になります。
リワークは、この二択の間に3つ目の道を用意する仕組みです。落とせるものだけを落として、外した1工程をやり直します。
SEAJの半導体製造装置用語集は、工程能力指数を、規格に対して製造の余裕がどれだけあるかを表す指数とし、リワークやスクラップに逆比例するとしています。同用語集は、この指数が1.33以上であれば品質的に安定しているといわれる、とも書いています。同協会が公開している用語集の記述です。余裕の薄い工程ほどやり直しが増える、という関係を、指数の側から言った形になります。
実際に何をするのか
Section titled “実際に何をするのか”現場の作業は、フォトレジストを取り除くところから始まります。
SCREENセミコンダクターソリューションズが公開している入門解説は、レジスト剥離に使える装置として、プラズマアッシャ、オゾンアッシャ、ウェットステーションの3つを挙げています。同社によれば、プラズマアッシャは酸素などのガスをプラズマにしてレジストと反応させ、気体に変えて取り去る装置です。レジストは炭素・酸素・水素からできた固体であるため、酸素のプラズマと反応すると二酸化炭素・水・酸素になり、すべて気体として消えます。同社は、この方法がレジスト剥離で最もよく使われるとしています。
同社はあわせて、実際のレジストには重金属などの不純物も少し含まれ、これはあとに残るため、プラズマアッシングのあとにウェットステーションで洗うことが好ましいとしています。使い分けについては、細かい回路の工程にプラズマアッシャ、比較的ラフな回路の工程にウェットステーションが使われる傾向にある、と述べています。同社が公開している入門解説の記述です。
リワークの場合は、ここに条件が1つ加わります。SEAJのウェーハプロセスWGの技術報告は、リワークの方法を2種類に分けています。1つはアッシングでレジストを取り除く方法です。もう1つはLow-k材料の膜を使う場合で、アッシングによる膜の変質、つまりk値の変動を避けるため、アッシングを外して薬液だけでレジストとBARCを取り除きます。同報告は、この薬液での剥離が、まとめて流せる浸漬式やスプレー式のバッチ式洗浄装置で行われることが多いとし、薬液には主にNH4F系が使われ、1時間あたりの枚数を上げるために60℃程度に温める場合もある、としています。同WGの技術報告に書かれた条件です。
取引:何を差し出しているのか
Section titled “取引:何を差し出しているのか”リワークで取り戻せるのは、ウェーハそのものです。差し出しているのは、時間と装置の枠です。
JEITAの半導体技術ロードマップ専門委員会が公開しているITRS 2003のファクトリインテグレーション日本語版は、工場の情報システムに期待する働きとして、歩留りを改善すること、製品以外のウェーハを流す量を減らすこと、再加工で生じたサイクルタイムを縮めることなどを挙げています。再加工は、縮める側の一覧に入っています。同委員会が公開している日本語版の記述です。
SEAJの用語集は、RPTを、搬送と待ちを除いた、装置で加工する正味の時間としています。同用語集はX-Factorを、TATまたはサイクルタイムをRPTで割った指数としています。やり直したロットは、剥離と塗布と露光と現像の分だけ正味の加工時間を積み増し、そのあいだ他のロットはその装置の順番を待ちます。この2つは、いま挙げた指数の分母と分子の両方を動かします。
もう1つの差し出しものが、剥がし方の自由度です。Low-k膜を使う工程で残るのは、薬液の道です。やり直せる範囲は、材料の側から先に狭められています。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”リワークとは何ですか?
作りかけのウェーハをいったん手前の工程まで巻き戻して、同じ工程をもう一度やり直す作業です。半導体の前工程では、露光した像の位置がずれていたときに、レジストを取り除いて露光からやり直す形が代表的です。
どの段階までならやり直せますか?
ウェーハの上に載せた膜を取り除ける間です。SEAJのウェーハプロセスWGが公開している技術報告は、露光で目ズレが起きた場合に、レジストとBARC材を取り除いてウェーハを作り直す作業を挙げています。取り除く相手が上に載っている膜であるところが、やり直せる条件になります。
ずれていることは、どこで分かりますか?
現像したあとのレジストのパターンを測って分かります。SEAJのリソグラフィ用語集は、アライメント(重ね合わせ)精度を、露光したパターンと下地層との位置ズレを示すものとし、下地層のアライメントマークとレジストパターンの位置から測るとしています。
レジストはどうやって取り除きますか?
SCREENが公開している入門解説は、レジスト剥離に使える装置として、プラズマアッシャ、オゾンアッシャ、ウェットステーションの3つを挙げています。同社は、プラズマアッシングが最もよく使われる方法だとしています。
アッシングを避ける場合がありますか?
あります。SEAJの技術報告は、Low-k膜を使う場合に、アッシングによるLow-k膜の変質を防ぐため、アッシングを外して薬液だけでレジストとBARCを取り除く方法を挙げています。同報告は、その薬液として主にNH4F系を挙げています。
リワークとスクラップはどう違いますか?
リワークはウェーハを作り直して先へ進める処置、スクラップはそのウェーハを捨てる処置です。SEAJの用語集は、工程能力指数を、規格に対して製造の余裕がどれだけあるかを表す指数とし、リワークやスクラップに逆比例するとしています。
リワークが増えると、何が困りますか?
同じ工程をもう一度通すため、装置の時間と日数を余分に使います。JEITAの半導体技術ロードマップ専門委員会が公開しているITRS 2003のファクトリインテグレーション日本語版は、工場の情報システムに期待する働きの1つとして、再加工で生じたサイクルタイムを縮めることを挙げています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- エッチングとは ── 下地を削る工程であり、ここを越えるとリワークで戻せる範囲の外へ出ます
- オーバーレイ計測とは ── やり直しの要否を測る工程であり、リワークの入口に当たります
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- SEAJ ウェーハプロセスWG「ウェーハプロセス(技術報告)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 露光での目ズレを受けたリワークの呼び方、アッシングを使う方法と薬液だけで済ませる方法という2通り、NH4F系の薬液と60℃程度という条件
- SEAJ「半導体製造装置用語集(リソグラフィ)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── アライメント(重ね合わせ)精度を、下地層のアライメントマークとレジストパターンの位置から測るという記述
- SEAJ「半導体製造装置用語集(Factory Integration)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 工程能力指数がリワークやスクラップに逆比例すること、RPTとX-Factorの決め方
- SCREENセミコンダクターソリューションズ「初心者のための半導体入門 レジスト剥離」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── プラズマアッシャ・オゾンアッシャ・ウェットステーションの3つと、その使い分け
- SCREENセミコンダクターソリューションズ「初心者のための半導体入門 現像」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 現像でレジストの覆いが残り、その形が次の加工の型になるという工程の並び
- JEITA 半導体技術ロードマップ専門委員会「ITRS 2003 ファクトリインテグレーション 日本語版」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 再加工で生じたサイクルタイムを縮めることを工場の情報システムの課題に挙げている記述