ロットとは
ロットとは、製造工程の流れに沿ってまとめて管理されるウェーハの一群です。 JEITA半導体部会の半導体用語集は、ロットを、製造工程でプロセスステップの流れに沿って管理される単位とし、一般には同じ製造工程で作られると書いています。
前工程は、成膜、露光、エッチング、洗浄を何百回も繰り返します。ウェーハ1枚ごとに、次はどの装置へ入れるか、どのレシピを当てるか、検査の結果はどうかを指示し記録すると、指示と記録の件数が枚数の分だけ膨らみます。そこで工場は、同じ道を通るウェーハをひとまとまりにして番号を振り、その番号で指示と記録を回します。この番号の付いたまとまりがロットです。
搬送の容器もこの単位へ合わせます。JEITAが公開する国際半導体技術ロードマップ1999年版日本語版のファクトリインテグレーションの表は、少品種量産ラインのキャリア内ロット数をOne lotとしています(1999年版の表の値です)。容器ひとつがロットひとつであれば、FOUPをAMHSが運ぶ動きが、そのままロットの移動になります。
東芝は半導体製造業向けのMeister MESの製品ページで、ロット進捗、ロット操作、ロット検索という工程進捗の機能と、工程進捗を土台にしたロットトレーサビリティの機能を掲載しています。さらに、装置ごとに次に着工するロットを引き当てる着工ディスパッチと、装置への搬送指示を行う搬送ディスパッチを合わせたダイナミックディスパッチ機能も掲載しています。現場が動かす単位は、この番号です。
工期はロットの単位で数えます
Section titled “工期はロットの単位で数えます”JEITAが公開する国際半導体技術ロードマップ2007年版日本語版のファクトリインテグレーションは、工場運用の指標として1マスクレイヤあたりのサイクルタイムを挙げ、ロットを加工する総時間を1マスクレイヤあたりへ換算した値としています。同じ資料の例では、20枚マスク、1ロット25枚ウェーハで1マスクレイヤあたりが1.5日なら、加工と搬送を合わせた工場のトータル・サイクルタイムは20×1.5=30日になります(2007年版の指標の例です)。
その中身を分けるのがX-factorです。同じ資料は、X-factorを、トータルのサイクルタイム(待ち時間、ホールド時間、正味のプロセス時間、搬送時間の合計)を正味のプロセス時間RPTで割った値とし、サイクルタイム=RPT×X-factorという関係式を示します。現状のサイクルタイムを1マスクあたり1.6日、通常ロットのX-factorを3.2とすると、RPTは1.6÷3.2=0.5日になるという例も載っています。差し引き1.1日、割合にして約69%が、正味のプロセス以外の時間にあたります(この差と割合はこちらで計算した値です)。
特急ロットは、追い越し車線を走ります
Section titled “特急ロットは、追い越し車線を走ります”同じ2007年版の資料は、ホットロットのサイクルタイムが、1ロットのウェーハ枚数が25枚でも12枚でも通常ロットの50%以下になるとし、新製品のロットはホットロットとして流されると書いています。1ロット5枚のスーパーホットロットも挙げ、下流へ速く動かす搬送や、抜き取り検査の頻度を下げる運用にも触れています(2007年版の指標の記述です)。
1999年版の表も同じ向きの数字を載せます。少品種量産ラインの1999年の欄で、通常ロットは1マスクレイヤあたり1.75日、ホットロットは1.2日です(1999年版の表の値です)。
速さの正体は順番です。1999年版の資料は、特急ロットの工期短縮には待ち時間を最小にする手だてが要るとし、装置への割り付けを優先するほか、装置が持つ加工前のロットバッファの中でロットの順序を入れ替えて優先順位を上げる手段にも触れています。ロットが速く進む理由は、装置が速く回ったことより、順番を先に渡されたことにあります。
追い越し枠を広げるほど、本線が詰まります
Section titled “追い越し枠を広げるほど、本線が詰まります”優先で流す枠には、目安の割合があります。2007年版の資料は、装置間のダイレクト搬送の優先順位の1番目に、スーパーホットロット(仕掛かりの1%未満)とホットロット(仕掛かりの約5%)を挙げています。この数字が、優先枠のおおよその上限です。
仕掛かりの量そのものにも取引があります。1999年版の資料は、工場全体の製品工期を縮めるにはライン内の仕掛かりロットの量の圧縮が働くとし、同時に、ロット投入量を減らすと、生産量やライン内でのロット進捗のばらつきによって装置でのロット待ちが生じ、ラインの生産能力を下げる場合があるとも書いています。だから投入のタイミングは、ライン在庫量を監視しながら合わせます。
ロットを小さくする側にも代償があります。2007年版の資料は、12枚という小さいロットサイズの指標を加えた理由として、25枚との比較で製造装置の能力低下を見積もれる点を挙げ、小ロットサイズのロスの例として、少数枚数のロットで装置のレシピ切り替えが起きたときに装置の加工が一時的に途切れるロスを挙げています。多品種による能力低下は、1品種で1FOUPに25枚、10ロットごとにレシピとセットアップを変える場合の5%から、多品種で1FOUPに25枚以下、FOUPごとにレシピとセットアップを変え、1ロット内に多製品が混じる場合の最大15%まで増えます(2007年版の指標の記述です)。
待ち時間は日数になって返ってきます
Section titled “待ち時間は日数になって返ってきます”ダイフクは公式記事で、前工程の加工に要する時間がばらつくため、次の工程を待つウェハを格納したFOUPをクリーンストッカーへ一時保管すると書いています。同じ記事は、製造に180日ほどかかる最新のCPUについて、搬送用レールの間の空きスペースへ荷受け台を設けるサイドトラックバッファを使うと5日ほど短くなる場合があり、180日のうちの5日は約3%にあたるものの、効率化を追い続けてきた半導体工場では劇的な成果だと書いています(同社が2023年12月15日に公開した記事の記述です)。
ロットは、工場が数えられる最小の塊です。歩留まりも、トレーサビリティも、納期も、この塊の単位で語られます。次の工程へ入るまでの待ち時間へ上限を設けるQタイムも、時計を当てる相手はロットです。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ロットとは何ですか?
工場が番号を振って一緒に流すウェーハのまとまりです。JEITA半導体部会の半導体用語集は、ロットを、製造工程でプロセスステップの流れに沿って管理される単位とし、一般には同じ製造工程で作られると書いています。
1ロットは何枚ですか?
25枚を基本にした運用が広く続きます。JEITAが公開する国際半導体技術ロードマップ2007年版日本語版のファクトリインテグレーションは、1ロット25枚ウェーハを指標の例に使い、12枚のロットサイズ、および1ロット5枚のスーパーホットロットも指標へ載せています。
ホットロットとは何ですか?
先に流す特急のロットです。同じ2007年版の資料は、ホットロットのサイクルタイムが、1ロットのウェーハ枚数が25枚でも12枚でも通常ロットの50%以下になるとし、新製品のロットはホットロットとして流されると書いています。
ホットロットを増やせば全部が速くなりますか?
増やすほど通常ロットの待ち行列が伸びます。同じ2007年版の資料は、装置間のダイレクト搬送の優先順位の1番目に、スーパーホットロットを仕掛かりの1%未満、ホットロットを仕掛かりの約5%として挙げています。この割合が優先枠のおおよその上限です。
X-factorとは何ですか?
サイクルタイムが正味のプロセス時間の何倍かを表す指標です。同じ2007年版の資料は、待ち時間、ホールド時間、正味のプロセス時間、搬送時間の合計を正味のプロセス時間RPTで割った値とし、サイクルタイムを1マスクあたり1.6日、X-factorを3.2とするとRPTは0.5日になるという例を載せています。
仕掛かりを減らせば工期は縮みますか?
一方向へは進みます。JEITAが公開する1999年版の同じ章は、ライン内の仕掛かりロットの量の圧縮が製品工期の短縮に働くとし、同時に、投入量を減らすと生産量やロット進捗のばらつきから装置でのロット待ちが生じ、ラインの生産能力を下げる場合があるとも書いています。
ロットを小さくすると得ですか?
費用が別の形で戻ってきます。2007年版の資料は、少数枚数のロットで装置のレシピ切り替えが起きたときに装置の加工が一時的に途切れるロスを挙げ、多品種による能力低下を5%から最大15%としています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- Qタイム(待ち時間の上限)とは ── ロットが待てる時間へ上限を設ける管理です
- FOUP(フープ)とは ── ロットを入れて運ぶ密閉の容器です
- AMHS(自動搬送システム)とは ── ロットを装置と装置のあいだで運ぶ仕組みです
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- JEITA半導体部会「半導体用語集」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── ロットという単位のとらえ方
- JEITA公開「国際半導体技術ロードマップ 2007年版 日本語版 ファクトリインテグレーション」(半導体技術ロードマップ専門委員会訳、2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 1マスクレイヤあたりのサイクルタイム、X-factor、ホットロットとスーパーホットロット、仕掛かりに占める割合、多品種による能力低下
- JEITA公開「国際半導体技術ロードマップ 1999年版 日本語版 ファクトリインテグレーション」(半導体技術ロードマップ専門委員会訳、2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── キャリア内ロット数、通常ロットとホットロットの工期、仕掛かり量と生産能力の関係
- 東芝「半導体製造業向け製造実行システム Meister MES」製品ページ(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── ロット進捗とダイナミックディスパッチの機能
- ダイフク「より高い信頼性と生産性向上へ、ダイフクの半導体生産ライン向けシステム」公式記事(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── クリーンストッカーでの一時保管、最新CPUの製造期間とサイドトラックバッファの効果