ボンディングワイヤとは
ボンディングワイヤとは、半導体素子の電気信号を外部へ伝えるために使われる、金属の細い線です。 チップ上の電極と、パッケージの外部端子へ続く配線とを、1本ずつ結びます。
チップの中に作った回路が製品になる条件は、その信号が外へ出ることです。チップの表面には電極パッドが並び、パッケージ側には外部端子へ続く配線があります。この2つを結ぶ部材がボンディングワイヤです。
太さは用途で大きく変わります。日鉄マイクロメタルは同社の解説ページで、細いもので15μm、太いもので500μm程度と述べています。同じページは、パソコンなどに載る高機能で高密度なパッケージの場合、1つのパッケージに2,000本以上のワイヤが30〜50μm程度の間隔で張られる、としています。ここまでの数値は同社の公表値です。
完成品を手に取ったとき、この線は樹脂の内側にあります。同ページは、半導体パッケージはワイヤボンディングを終えてから樹脂で封じるため、完成後のワイヤは外から見えなくなる、と述べています。
材料が置き換わった理由
Section titled “材料が置き換わった理由”日本製鉄は研究開発事例のページで、1950年代のトランジスタ発明以来、過去50年間にわたって一貫して金が使われてきた、としています。同ページは、金が高価な貴金属であるため、より低コストで導電性に優れる銅のワイヤ開発が世界の多くの企業で繰り返されたものの、接合不良と酸化による耐久性の課題を解決できず、LSI用途では実用化されていなかった、と述べています。
解決の形は、銅の芯を薄い層で覆うことでした。同ページによれば、日本製鉄の先端技術研究所は、覆う素材としてパラジウムを選ぶ独自の構造設計にたどり着き、接合性と信頼性の課題を解いた銅ボンディングワイヤ「EX1」を開発しました。同ページはEX1について、従来の金ワイヤに比べて7分の1程度の価格で最先端LSIの要求性能を満たし、20%以上の高い導電性で電力損失を抑える、としています。この節の数値は同社の公表値です。
日鉄マイクロメタルの歴史のページは、パラジウム被覆の厚さがワイヤ直径の数百分の一以下にあたり、その薄さを常に均一へ保つ必要があった、と記しています。同ページによれば、開発着手は2004年頃、EX1の開発成功は2007年、販売開始は2009年です。
4つの金属の使い分け
Section titled “4つの金属の使い分け”日鉄マイクロメタルは解説ページで、素材として金、銀、銅、アルミが使われる、としています。同ページによれば、いまはパラジウム被覆銅ワイヤが市場で最も多く使われ、銀ワイヤも金の代替として使われ始め、アルミワイヤは主にパワー半導体用途に使われます。
銀は、金に近い性質を安く得るための選択肢です。同社のGX製品ページは、GX2sについて、電気抵抗が金ワイヤと同じ2.4μΩcm、フリーエアボールの硬度が41Hv(金ワイヤは43Hv)と掲げています。この節に挙げた値は、いずれも同社の代表値です。
アルミは太さの桁が違います。同社のアルミワイヤ製品ページは、線径100μm超のNL1と、100μm以下のNL1Fに品番を分けており、パワー半導体や車載用途からバッテリー接合まで使える、としています。
銅の系列でも、要求される信頼性に応じて品番ごとに対応範囲が異なります。同社のEX製品ページは、EX1RとEX1Sについて、車載電子部品評議会が定めたAEC-Q006 Grade 0をクリアする性能を持つ、と掲載しています。同ページはEXシリーズのフロアライフを30日間、巻長さを5000mまでと記しています。
接合のしかたは2通りあります
Section titled “接合のしかたは2通りあります”日鉄マイクロメタルの解説ページは、接合方式を2つ挙げています。ボールボンディング方式では、ワイヤの先端を放電によって溶かしてボール(フリーエアボール)を作り、そのボールを熱・超音波・荷重で半導体素子へ接合します。同ページによれば、これが1stボンド(ボールボンド)で、基板側の外部端子への2ndボンドには一般にステッチボンドを使います。
もう1つのウェッジボンディング方式では、ボールを作らず、荷重と超音波だけでワイヤを接合します。同ページは、この方式が主にパワー半導体で使用される、としています。
信頼性は、封止樹脂との組み合わせで決まります
Section titled “信頼性は、封止樹脂との組み合わせで決まります”レゾナックはCEL-400シリーズの解説ページで、パワー半導体パッケージの部材のうち、ワイヤ(Au、Cu)とチップ(Si)の熱膨張係数の差が大きく、動作温度が上がるほど熱膨張差が大きくなる、と述べています。同ページによれば、シリコーン樹脂の封止材は柔らかく、チップやワイヤを拘束する力が弱いため、高温のパワーサイクル試験ではワイヤの浮き上がり(リフトオフ)や断線が起きていました。
つまり、線が切れるかどうかは、線の材料と、周りを固める封止樹脂の硬さと、動作温度の3つの組み合わせで変わります。ワイヤの品番だけを選び直しても、封止樹脂の側が柔らかいままでは同じ試験結果になります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ボンディングワイヤとは何ですか?
半導体素子の電気信号を外部へ伝えるための、金属の細い線です。日鉄マイクロメタルは同社の解説ページで、パッケージはワイヤボンディングを終えてから樹脂で封じるため、完成後のワイヤは外から見えなくなる、としています。
どのくらいの太さですか?
用途で大きく変わります。日鉄マイクロメタルは同社の解説ページで、細いもので15μm、太いもので500μm程度と述べています。同社の別ページによれば、金ワイヤの15〜30μmという線径は髪の毛の5分の1ほどの太さにあたります。
1つのパッケージに何本入りますか?
日鉄マイクロメタルは同社の解説ページで、パソコンなどに載る高機能で高密度なパッケージの場合、1つのパッケージに2,000本以上のワイヤが30〜50μm程度の間隔で張られる、としています。
どんな金属が使われますか?
日鉄マイクロメタルは同社の解説ページで、金、銀、銅、アルミが使われる、としています。同ページによれば、いまはパラジウム被覆銅ワイヤが市場で最も多く使われ、銀ワイヤも金の代替として使われ始め、アルミワイヤは主にパワー半導体用途に使われます。
なぜ金から銅へ替わったのですか?
価格です。日本製鉄は研究開発事例のページで、1950年代のトランジスタ発明以来50年間にわたり金が使われてきたものの高価な貴金属であり、より低コストで導電性に優れる銅への置き換えが世界の多くの企業で試みられてきた、と述べています。
パラジウムはなぜ必要なのですか?
裸の銅では酸化と接合不良を解決できなかったためです。日本製鉄は同ページで、先端技術研究所がパラジウムを被覆素材に採用した独自の被覆構造設計を発明し、EX1の開発に成功した、としています。
ワイヤは切れることがありますか?
封止する樹脂との組み合わせで決まります。レゾナックは同社の解説ページで、シリコーン樹脂の封止材は柔らかく、チップやワイヤを拘束する力が弱いため、高温のパワーサイクル試験ではワイヤの浮き上がりや断線が起きていた、と述べています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- ワイヤボンディングとは ── ボンディングワイヤが材料であるのに対し、こちらは線を接合する工程です
- 封止樹脂とは ── ワイヤを覆って固め、膨張収縮を拘束する側の材料です
- アンダーフィルとは ── チップと基板の隙間だけを埋める樹脂で、線を渡す方式との対になります
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- 日鉄マイクロメタル「ボンディングワイヤとは?」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 役割、太さ15〜500μm、2,000本以上・30〜50μm間隔、素材4種、ボール/ウェッジの2方式
- 日鉄マイクロメタル「パラジウム被覆銅ボンディングワイヤの歴史」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 被覆厚さが直径の数百分の一以下であること、2004年着手・2007年開発成功・2009年販売開始
- 日本製鉄「ボンディングワイヤ」研究開発事例(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 50年間の金の使用、線径15〜30μmが髪の毛の5分の1程度であること、酸化と接合不良の課題、EX1の価格と導電性
- 日鉄マイクロメタル「EX(パラジウム被覆銅 ボンディングワイヤ)」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── AEC-Q006 Grade 0対応品番、フロアライフ30日間、巻長さ5000mまで
- 日鉄マイクロメタル「GX(銀ボンディングワイヤ)」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── GX2sの電気抵抗2.4μΩcm、FAB硬度41Hv
- 日鉄マイクロメタル「アルミ ボンディングワイヤ」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── NL1とNL1Fの線径の区分、パワー半導体・車載用途
- レゾナック「パワー半導体の信頼性を向上!高Tgのエポキシ系耐熱封止材」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── ワイヤとチップの熱膨張係数差、シリコーン樹脂封止材でのリフトオフと断線