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デキャップ(開封)とは

デキャップ(開封)とは、半導体パッケージの封止材を取り除き、中のチップやボンディングワイヤを露出させる作業です。 故障解析の途中にあり、1個につき1回限りの一手にあたります。

パッケージの外側から分かることには限りがあります。X線透視や超音波探査で、ワイヤの断線やモールド樹脂の中のボイド、界面の剥離までは追えます。しかしチップ表面の微弱な発光や、配線の1本が高抵抗になっている状態は、封止材が光も探針も遮ります。

OKIエンジニアリングは、パッケージの開封を、観察・故障解析・良品解析・分析といったさまざまな解析を行ううえで重要な手法だと位置づけています。そのうえで同社は、半導体デバイスの故障解析ではパッケージを除去した後にも電気的特性を測ることが多いため、組立構造を維持した状態で開封する半破壊解析が定石だとしています。

ここが、この作業の性格を決めています。肝心なのは、樹脂を取ったあとに何が残っているかです。チップが通電したまま生きていること、ワイヤが引っ張り試験に耐える強度を保っていること、接合部の銀めっきが元の色を保っていること。何を残したいかによって、開け方が変わります。

同社はまた、近年はパッケージの微細化と複雑化にともなって開封の難易度が高まっており、対象部品の種類や構造・材料から最適な開封方法を提案するとしています。

溶かすか、削るか、その組み合わせか

Section titled “溶かすか、削るか、その組み合わせか”

キオクシアの信頼性ハンドブック日本語版は、パッケージの開封方法として、薬品による溶解、機械的な除去、プラズマリアクタによる灰化の3通りを挙げています。同章は、セラミックやメタルのパッケージでは機械的な方法が簡便で、特殊な装置や工具の準備を省けるとしています。

いっぽうプラスチックパッケージでは樹脂の除去を薬液が担います。クオルテックは、ICなどの半導体パッケージ樹脂にはシリカなどのフィラーを含むエポキシ樹脂が多く使われるため、発煙硝酸などの薬液で樹脂を溶かすとしています。同社が示すAuワイヤ品の手順は4段階です。ガラスエポキシ基板へサンプルをはんだ付けし、開封薬液と洗浄液を用意してホットプレートで所望の温度まで加熱し、サンプルを薬液へ浸漬し、開封状態を目視で確かめたあと素早く洗浄します。

同じ樹脂を取る作業でも、残したいものが違えば手が変わります
薬液だけで溶かします発煙硝酸などで樹脂を溶かします1個からでも開けられますCuワイヤも一緒に溶けます線が細るほど、強度試験が難しくなりますレーザーだけで削ります金属を傷めず高速に削れます2番目の接合部までは露出します素子へ当たると素子が壊れますだから全面は削りきれず、樹脂を残して止めます削ってから、溶かします樹脂を先に薄くしておきます薬液へ漬ける時間が縮みますワイヤの傷みが減ります強度試験まで残せる状態で開けられますセラミックや金属の封止では、機械的に開ける方法が簡便だとキオクシアは述べています開けたい理由が決まってはじめて、開け方が決まります
3通りの手は、得意な相手が違います。銅のワイヤを健全なまま残したいという要求が加わったことで、削ってから溶かす併用が標準的な形になりました。

銅のワイヤが、手順を書き換えました

Section titled “銅のワイヤが、手順を書き換えました”

かつてチップとリードフレームをつなぐ線は金が中心でした。クオルテックは、近年その線材をAuワイヤからCuワイヤやAgワイヤへ移す半導体メーカーが多くなり、従来の薬液だけの開封ではワイヤを溶かしてしまうことが多くなったとしています。同社は、薬液だけの開封ではCuワイヤにダメージが生じて良品解析での強度試験が難しくなるとしており、薬液条件の改善とレーザー開封設備の併用によって薬品の浸漬時間を短縮し、強度試験が可能なレベルまでダメージを抑えた開封を実現したとしています。

Cuワイヤ品の手順は、Auワイヤ品より1段階増えます。同社が示す流れでは、まずX線でパッケージ内部を透視してレーザー開封の加工領域を決め、ガラスエポキシ基板へはんだ付けし、X線で見きわめた位置でレーザー加工を行い、最後に薬液開封と洗浄をAuワイヤ品よりも手早く行います。同社は、レーザー加工の段階で、ワイヤが強度試験に耐える状態を保てる限界まで樹脂を先に除去しておくことが重要だとしています。

OKIエンジニアリングも同じ方向の対応を公開しています。同社は、Cuワイヤ品では蛍光X線分析でワイヤ材を非破壊で同定してから、Cuワイヤに特化した手法で通電可能な状態のままチップ面を露出させるとしています。開封の目的を、チップの取り出しや観察、故障解析や耐放射線試験、そして内部の組み立て構造やCuワイヤのボンディング品質を調べることの3つに分け、最も難易度が高いのは3つ目だとしています。チップ面に加えてCuワイヤのセカンドパッド部までの全面開口が必要となり、しかも開封後のCuワイヤをできるだけ健全な状態で残すよう求められるためです。同社は、薬液滴下法の加熱温度・混酸比率・添加剤といった条件を検証し、Cuワイヤとセカンドパッド部の銀めっきを良好な状態で開封するとしています。

どこまで削り、どこから溶かすのか

Section titled “どこまで削り、どこから溶かすのか”

レーザーと薬液の境目は、深さで決まります。

ハイソルは、同社のレーザーパッケージ開封装置について、2番目のボンディング部だけであればレーザーのみで露出できるものの、全面を開封する場合はレーザーが素子に当たると素子を壊してしまうため、素子表面の樹脂を100μm厚程度までレーザーで除去し、残った樹脂は薬品の開封装置で除去するとしています。同社装置の使い方として示された値です。同社は、レーザーによる開封をメタルにダメージを与えず高速に行える方法だとしています。同社はまた、強酸に耐える樹脂が増えており、溶けにくい樹脂を使った大型のパワーデバイスは薬品の開封装置に頼ると時間がかかりすぎて安定的な開封が難しいとしています。

OKIエンジニアリングは、同社のレーザーパッケージ開封装置の仕様として、出力20W、波長1064nm、ステージ寸法175mm×175mm、加工エリア38mm×38mmを挙げ、X線画像を取り込んで加工位置を合わせられるとしています。あらかじめX線透過画像などの内部画像データから加工エリアを指定できるため、位置決めとモールド樹脂の除去、チップ表面の直上までの除去、2番目のワイヤボンディング部の露出といった使い分けができるとしています。

削る深さが、そのまま成否になります
パッケージの断面レーザーで削りますX線で位置を決めてから加工します残した樹脂を薬液で溶かしますチップ表面ワイヤ封止樹脂残す厚み浅すぎても、深すぎても失敗します残しすぎると、薬液へ漬ける時間が延びます深いと、レーザーが素子へ届きますハイソルは目安を100μm厚程度としています洗浄も、速さの勝負になります開封状態を目視で確かめ、すぐ洗います時間をかけると、チップが傷みますクオルテックが手順として示しています
レーザーと薬液の境目は、チップ表面の手前にどれだけ樹脂を残すかで決まります。残しすぎれば薬液に長く漬けることになり、削りすぎればレーザーが素子へ届きます。

得られるのは、内部への視界です。差し出すのは、3つあります。

1つ目は試料の一回性です。開封は1個につき1回限りで、封止された状態はその1回で失われます。キオクシアの信頼性ハンドブックは、開封法が不適当だと後に必要になる情報が失われ、原因不明に陥る可能性があると注意しています。だからこそX線透視は分解の前に済ませます。

2つ目は時間の余裕です。クオルテックは、洗浄工程に時間を要すると半導体チップにダメージが発生するとしています。同ハンドブックも、開封したサンプルは直ちに解析するのが望ましく、難しい場合はデシケータなどに保管して開封後の汚染や機械的損傷を防ぐ配慮が要るとしています。開けた瞬間から、試料は時間との勝負に入ります。

3つ目は設備と安全です。OKIエンジニアリングは、半導体部品を構成する材料には特定有害物質が含まれるため、予備知識なしに分解・開封を行うと人体や環境に悪影響をおよぼすことがあるとして、完全な後処理を行える同社施設での解析を推奨しています。発煙硝酸などの強酸を加熱して樹脂へ滴下する作業ですから、排気と廃液の設備が前提になります。同社は、加熱薬液滴下法による標準パッケージの開封では1個から対応でき、10個以内であれば即日で開封して返却できるとしています。同社サービスの条件です。

モールド樹脂は、外からの水分や応力を防ぐために付けられています。デキャップは、その守りを承知のうえで外す作業にあたります。

デキャップとは何ですか?

半導体パッケージの封止材を取り除き、中のチップやボンディングワイヤを露出させる作業です。樹脂開封、パッケージ開封、開缶とも呼ばれます。OKIエンジニアリングは、観察・故障解析・良品解析・分析といったさまざまな解析を行ううえで重要な手法だとしています。

どうやって開けるのですか?

キオクシアの信頼性ハンドブックは、薬品による溶解、機械的な除去、プラズマリアクタによる灰化の3通りを挙げ、セラミックやメタルのパッケージでは機械的な方法が簡便で、特殊な装置や工具の準備を省けるとしています。プラスチックパッケージでは、クオルテックによれば、シリカなどのフィラーを含むエポキシ樹脂を発煙硝酸などの薬液で溶かす方法が広く使われています。

レーザーだけで開けられますか?

部分的には可能です。ハイソルは同社のレーザー開封装置について、2番目のボンディング部だけならレーザーのみで露出でき、全面を開ける場合はレーザーが素子に当たると素子を壊してしまうため、素子表面の樹脂を100μm厚程度まで削り、残りを薬品の開封装置で除去するとしています。同社装置の使い方としての値です。

なぜCuワイヤで手順が変わったのですか?

薬液が銅を傷めるためです。クオルテックは、従来の薬液だけの開封ではCuワイヤやAgワイヤを溶かしてしまうことが多くなり、レーザー開封設備の併用で薬品の浸漬時間を短縮してワイヤへのダメージを抑える手順にしたとしています。OKIエンジニアリングも、Cuワイヤに特化した開封法を用意し、加熱温度・混酸比率・添加剤といった条件を検証したとしています。

通電できる状態のまま開けられますか?

通電できる状態のまま開けることが目標になります。OKIエンジニアリングは、故障解析ではパッケージを除去した後にも電気的特性を測ることが多いため、組立構造を維持した状態で開封する半破壊解析が定石だとしています。同社は基板に実装したままでの開封や、放射線のシングルイベント試験向けの開封にも対応するとしています。

開けたあとは急ぐ必要がありますか?

あります。クオルテックは、開封状態を目視で確かめたあと素早く洗浄する必要があり、洗浄工程に時間を要すると半導体チップにダメージが発生するとしています。キオクシアの信頼性ハンドブックも、開封したサンプルは直ちに解析するのが望ましく、難しい場合はデシケータなどに保管して開封後の汚染や機械的損傷を防ぐ配慮が要るとしています。

自分で開けてみてもよいですか?

OKIエンジニアリングは、半導体部品を構成する材料には特定有害物質が含まれるため、予備知識なしに分解・開封を行うと人体や環境に悪影響をおよぼすことがあるとして、完全な後処理を行える同社施設での解析を推奨しています。発煙硝酸などの強酸を加熱して使う作業でもあります。

この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。

  • OKIエンジニアリング「デキャップソリューション(樹脂開封)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 開封を観察・故障解析・良品解析・分析のための重要な手法とする位置づけ、パッケージ除去後にも電気的特性を測ることが多いため組立構造を維持した状態で開封する半破壊解析を定石とする記述、パッケージの微細化と複雑化にともなう開封難易度の上昇、基板に実装したままの開封と放射線シングルイベント試験向け開封への対応、特定有害物質を含むため予備知識なしの分解・開封が人体や環境へ悪影響をおよぼしうるという注意と同社施設での解析の推奨、加熱薬液滴下法による標準パッケージの開封が1個から可能で10個以内なら即日開封・返却できること、レーザーパッケージ開封装置の仕様(出力20W、波長1064nm、ステージ寸法175mm×175mm、加工エリア38mm×38mm、X線画像の取り込み)、位置決めとモールド樹脂除去・チップ表面直上までの除去・2ndワイヤボンディング部の露出という加工例
  • クオルテック「半導体パッケージ開封技術(Cuワイヤ・Auワイヤ)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── パッケージ樹脂にシリカなどのフィラーを含むエポキシ樹脂が多く使われ発煙硝酸などの薬液で溶かすこと、Auワイヤ品の4段階の手順(ガラスエポキシ基板へのはんだ付け、薬液と洗浄液の準備とホットプレートでの加熱、薬液への浸漬、目視で確かめたあとの素早い洗浄)、洗浄工程に時間を要するとチップにダメージが発生すること、CuワイヤやAgワイヤの採用増で従来の薬液だけの開封がワイヤを溶かすようになったこと、レーザー開封設備の併用による浸漬時間の短縮とダメージ低減、Cuワイヤ品の手順(X線透視での加工領域決定、はんだ付け、レーザー開封、Auワイヤ品より手早い薬液開封と洗浄)、レーザー加工でワイヤが強度試験に耐える状態を保てる限界まで樹脂を先に除去する重要性
  • ハイソル「レーザーパッケージ開封装置 Laser Decap PRO 2」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 2番目のボンディング部だけならレーザーのみで露出できること、全面開封ではレーザーが素子に当たると素子を壊すため素子表面の樹脂を100μm厚程度まで除去し残りを薬品の開封装置で除去すること、強酸に耐える樹脂の増加、溶けにくい樹脂を使った大型パワーデバイスでは薬品の開封装置に頼ると時間がかかりすぎて安定的な開封が難しいこと、メタルへのダメージを抑えた高速な開封
  • キオクシア「信頼性ハンドブック」日本語版PDF 第四章 故障解析(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── パッケージ開封方法として薬品による溶解・機械的な除去・プラズマリアクタによる灰化の3通りを挙げていること、セラミックやメタルのパッケージでは特殊な装置や工具の準備を省ける機械的な方法を簡便とする記述、推定される故障メカニズムに合わせて適した開封法を選ぶ必要と開封法が不適当だと原因不明に陥る可能性があるという注意、X線透視による内部観察を分解前に行うこと、開封したサンプルは直ちに解析するのが望ましく難しい場合はデシケータなどで汚染や機械的損傷を防ぐこと
  • OKIエンジニアリング「Cuワイヤデバイスの解析技術」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 蛍光X線分析によるワイヤ材の非破壊同定、Cuワイヤに特化した手法で通電可能な状態のままチップ面を露出させること、パッケージ開封の目的を3つ(チップ取り出しや観察、故障解析や耐放射線試験、内部組み立て構造とCuワイヤのボンディング品質を調べること)に分け3つ目の難易度が最も高いこと、その場合にチップ面とセカンドパッド部までの全面開口と開封後のCuワイヤの健全性が求められること、薬液滴下法の加熱温度・混酸比率・添加剤といった条件の検証、Cuワイヤとセカンドパッド部の銀めっきを良好な状態で開封すること
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