超純水とは
超純水とは、半導体の洗浄や薬品の希釈のために、不純物を極限まで取り除いた水です。 水道水をさらに濾しただけのものとは、測っている項目の数から違います。
純水と超純水の差は、純度の桁より先に、管理する項目の数にあります。栗田工業がKCRセンターで公開する水処理教室は、純水を基本的に水溶液中の電解質を対象として、電気伝導率とシリカの測定値で表すのに対して、超純水では電解質に加え、水中に溶けている有機物、生菌、微粒子なども一定基準以下であることが求められる、と述べています。同解説は、超純水という言葉が半導体の発展とともに使われ始めた、とも記しています。
純度そのものは、電気の通りにくさで測ります。同解説によれば、理論上の純水の抵抗率は25℃で18.24MΩ・cm、電気伝導率は0.05482μS/cmで、これは水自身の解離で生じる水素イオンと水酸化物イオンだけがある状態です。そして最近の高集積度の半導体製造工程で要求される抵抗率は18MΩ・cm以上に達します。同解説は、この水へ鉄イオンが1μg/L溶けるだけで抵抗率が17MΩ・cmまで下がる例を挙げ、ppbの濃度でも問題になるほど要求が厳しい、としています。この節の値は同解説によります。
もう一つ、水そのものの性質が話をややこしくします。同解説は、理論純水の入手を不可能としたうえで、その理由に、製造そのものの難しさと、理論純水へ近づくほど他の物質を溶かす力が高まる点を挙げています。装置の付着物や材料からの汚染が加わり、容器へ採れば容器から溶け出したものが混ざります。きれいな水ほど周りを溶かすため、超純水とは、現実に製造できる範囲で最も理論純水へ近い水を指す言葉になります。
作る側は3段構えになります
Section titled “作る側は3段構えになります”栗田工業の水処理教室は、超純水製造システムを前処理システム、一次純水製造システム、ポリッシングシステム(サブシステム)の三つに分けています。同解説によれば、前処理システムでは主として工業用水や井戸水に含まれる微粒子が取り除かれ、一次純水システムではイオン類、TOC(水中に溶解している全有機炭素)、溶存ガス、SiO₂のほぼ大部分が除去されて、抵抗率は10MΩ・cm以上、良好な場合は17.5MΩ・cm以上になります。同解説は、使う装置の顔ぶれが原水の水質と要求水質に応じて選ばれる、とも記しています。この節の値は同解説によります。
同解説は、装置ごとに除去できる対象が限られるため、超純水が最新の技術と装置の組み合わせでつくられる、としています。掲載された一覧は、凝集とろ過による前処理が微粒子を取り除き、RO膜とイオン交換がイオンとTOCを取り除き、UF膜が微粒子を捕らえる、という対応を示しています。1台で全項目を引き受ける装置を探すより、得意な相手が異なる装置を直列につなぐ考え方です。
作り終えてからが本番です
Section titled “作り終えてからが本番です”三つ目のサブシステムは、仕上げと見張りを兼ねます。栗田工業の水処理教室は、サブシステムを、熱交換器、紫外線殺菌装置(あるいは紫外線酸化装置)、デミナー(イオン交換器)、ファイナルフィルターとしてのUF膜などで構成される、としています。同解説によれば、熱交換器はユースポイントで使う水温を設定し、紫外線殺菌装置は要求TOC濃度が高い場合(通常20〜50μg/L)に、紫外線酸化装置は要求TOC濃度が低い場合(通常10μg/L以下)に用いられます。この節の値は同解説によります。
紫外線酸化装置の働きは化学反応です。同解説は、水へ185nmの紫外線を照射することで酸化力の強いOHラジカルを生成させ、その酸化作用で低分子の有機物を炭酸ガスと有機酸へ分解し、デミナーの陰イオン交換樹脂で吸着・除去する、と述べています。最後のUF膜が微粒子を100%カットする、とも同解説は記しています。
前段の解説は、サブシステムが、一次純水システムで除去しきれなかった微量のイオン類やTOCに加えて、一次純水システム以降にシステム構成部材から溶出したイオン類やTOCを取り除く、として、これをシステム全体の最終安全装置と位置づけています。装置自身が汚れの出どころになる前提で、最後にもう一度取り除く設計です。
配管も水質のうちです
Section titled “配管も水質のうちです”超純水は、つくった場所から使う場所へ運ぶ間にも品質が動きます。栗田工業の水処理教室は、超純水供給配管で純度が下がる要因として、配管材質からの超純水への不純物溶出、配管網での滞留、配管施工時の汚れの持ち込みの三つを挙げています。
対策も同解説に並びます。溶出については、サブシステム以降の配管を溶出物質の検査に通したうえで採用し、施工性やコストの面から最近はクリーンPVCが多い、としています。同解説によれば、クリーンPVCは通常の水道水の送水に使う製品とイオンやTOCの溶出特性や管内面の平滑性が異なり、微生物や微粒子の付着と洗浄性の面で優れます。接合には接着剤を避け、配管端部を熱で溶かして繋ぐ溶着方式を採ります。滞留については、送りの主配管と戻りの主配管の間に圧力差を設けるリバースリターン方式で、どのユースポイントへ向かう配管でも一定の流量を確保します。持ち込みについては、接合工事をクリーンルーム内で行います。
使った水は回収して再び使います
Section titled “使った水は回収して再び使います”半導体工場にとって、超純水は大量に使う資源でもあります。キオクシアホールディングスは水資源の有効活用のページで、国内グループ会社の製造事業場において、ウエハーの洗浄などに使用される超純水について、未使用分を回収して再循環させる施策を実施している、と述べています。同ページは、製造工程内での水使用量の変化に合わせて段階的に流量を調整することで、一定の水質と適切な水量を維持する、とも記しています。
回収は排水側の設計にも入っています。同ページによれば、国内製造事業場では製造工程からの排水管を含有物質ごとに最大13系統まで区分して回収できるように敷設し、リサイクル可能な排水は回収排水処理を経たうえで冷却塔やスクラバーなどで再利用されます。同ページが公表した2024年度の国内製造事業場の水リサイクル実績は約37百万m³で、全水使用量の約57%に相当します。この節の数値は同社の公表値です。
栗田工業の水処理教室も、半導体工場のさまざまな生産工程で使われた超純水の一部が回収されて再び超純水製造に利用される、として、排水回収まで含めれば超純水製造システムは四つの組み合わせになる、と述べています。同解説は、回収する水の水質と、回収したあとの水の水質によって、一次純水システムのどの位置へ合流させるかが大きなポイントになる、としています。超純水は、工場の中を巡る材料として設計されています。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”超純水とは何ですか?
半導体の洗浄や、半導体製造に使う薬品の希釈へ向けて、不純物を極限まで取り除いた水です。栗田工業が公開する水処理教室は、超純水を、現実に製造できる範囲で最も理論純水に近いものと位置づけています。
純水と超純水はどこが異なりますか?
管理する項目の数が異なります。同じ水処理教室は、純水を基本的に水溶液中の電解質を対象として電気伝導率とシリカの測定値で表すのに対し、超純水では電解質に加えて、水中に溶けている有機物、生菌、微粒子なども一定基準以下であることが求められる、と述べています。
18MΩ・cmという数字は何を表していますか?
電気の通りにくさで測った純度です。同じ水処理教室によれば、理論上の純水の抵抗率は25℃で18.24MΩ・cmで、最近の高集積度の半導体製造工程で要求される抵抗率は18MΩ・cm以上です。同解説は、この水に鉄イオンが1μg/L溶けるだけで抵抗率が17MΩ・cmへ下がる例を挙げています。
どうやって作るのですか?
3段構えです。同じ水処理教室は、超純水製造システムを前処理システム、一次純水製造システム、ポリッシングシステム(サブシステム)の三つに分けています。同解説によれば、一次純水システムの段階で抵抗率は10MΩ・cm以上、良好な場合は17.5MΩ・cm以上になります。
サブシステムは何をしていますか?
仕上げと見張りを兼ねます。同じ水処理教室は、サブシステムが熱交換器、紫外線殺菌装置または紫外線酸化装置、デミナー、UF膜などで構成され、システム全体の最終安全装置の役目を果たす、と述べています。装置の構成部材から溶け出した分まで、ここで取り除きます。
作った超純水は、そのまま使えるのですか?
運ぶ間の設計まで含めて水質です。同じ水処理教室は、超純水供給配管で純度が下がる要因として、配管材質からの溶出、配管網での滞留、施工時の汚れの持ち込みの三つを挙げ、クリーンPVCの採用、溶着方式の接合、リバースリターン方式による流量確保という対策を示しています。
使ったあとの超純水はどうなりますか?
回収して再び使います。キオクシアホールディングスは同社のサイトで、国内グループ会社の製造事業場において、ウエハーの洗浄などに使用される超純水の未使用分を回収して再循環させる施策を実施している、と述べています。同ページによれば、2024年度の国内製造事業場の水リサイクル実績は約37百万m³で、全水使用量の約57%に相当します。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 洗浄(半導体)とは ── 超純水を大量に使う側の工程です
- 高純度材料(イレブンナイン)とは ── 純度を桁で表す材料の考え方です
- クリーンルームとは ── 空気について同じ発想を持ち込んだ設備です
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- 栗田工業 水処理教室「純水よりはるかに純度が高い超純水」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 純水と超純水で管理する項目の差、18.24MΩ・cmと0.05482μS/cm、要求される18MΩ・cm以上、鉄イオン1μg/Lで17MΩ・cmへ低下する例、純度が上がるほど溶解力が高まること
- 栗田工業 水処理教室「超純水製造装置のしくみ」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 前処理・一次純水・サブシステムの3段構成、一次純水での10MΩ・cm以上と17.5MΩ・cm以上、装置ごとに除去対象が限られること、サブシステムが最終安全装置であること
- 栗田工業 水処理教室「超純水製造装置「サブシステム」」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── サブシステムの構成、熱交換器の役割、紫外線殺菌と紫外線酸化の使い分けとTOC濃度、185nmとOHラジカル、UF膜での微粒子カット、余剰分の循環
- 栗田工業 水処理教室「ユースポイントへの配管の工夫」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 配管で純度が下がる3要因、クリーンPVC、溶着方式、リバースリターン方式、クリーンルーム内での接合工事
- 栗田工業 水処理教室「純水とは?その性質や製造方法について」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 純水0.05〜1mS/mと水道水10〜20mS/mという電気伝導率、超純水の用途
- 栗田工業 水処理教室「一度利用した超純水の回収・再利用方法」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 使用済み超純水の回収と再利用、排水回収を含めた四つのシステム、合流位置の判断
- キオクシアホールディングス「水資源の有効活用」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 超純水の未使用分の回収と再循環、段階的な流量調整、最大13系統の排水管、2024年度の水リサイクル実績約37百万m³と約57%