フォトカプラとは
フォトカプラとは、入力側の発光素子と出力側の受光素子を1つのパッケージに向かい合わせて封じ、電気信号をいったん光に変えて渡すことで、入力と出力を電気的に絶縁したまま信号を伝える半導体部品です。
ロームの技術解説は、フォトカプラを、光を仲立ちにして入力側から出力側へ信号を送れる素子と位置づけ、たがいに絶縁された2つの回路のあいだでも電気の信号をやり取りさせられる半導体部品としています。オプトカプラ、フォトアイソレータとも呼ばれ、英語ではoptocouplerという呼称が一般に使われます。
シャープの技術情報は、この部品を、光を放つ側と受ける側を向かい合わせにして1つの樹脂で固めたものとし、入力側には赤外発光ダイオード、出力側にはフォトトランジスタなどが入るとしています。外からの光を遮るように封じてある点は、ロームが挙げています。
電位の異なる相手へ信号だけを渡します
Section titled “電位の異なる相手へ信号だけを渡します”シャープの技術情報は、身近な例としてエアコンを挙げています。マイコンを使う5Vの低圧回路と、モータを制御する200Vの高圧回路は電源電圧が異なる関係にあり、このときフォトカプラが信号だけを光で伝えます。
ロームの技術解説は、GNDを含めて電気信号を絶縁できるためノイズの影響を減らせるとし、用途として、回路間を絶縁した状態での信号伝達、基準電位が異なる回路間での信号伝達、異なる電圧での信号伝達を挙げています。具体例としては、工場のPLCの入力配線で負荷側のノイズを遮る使い方、患者の身体に触れる医療用電子機器で感電を避ける使い方、ノイズの影響を受けやすい音響機器での使い方を示しています。
中の樹脂が光を通しつつ電気を遮ります
Section titled “中の樹脂が光を通しつつ電気を遮ります”ルネサスは、同社製品の内部を二重の樹脂で構成しているとしています。光を通しやすい樹脂を発光側と受光側のあいだに詰め、その周りを光を遮る樹脂で包む形です。こうすると、外の光から守られた確実な動作と、電流伝達率の大きさが同時に得られるとしています。
絶縁の余裕は3つの距離で測ります。同社の資料は、パッケージの表面をたどって発光側の端子から受光側の端子まで測った長さを沿面距離、あいだを隔てる樹脂そのものの最も薄いところを絶縁物厚、樹脂の外側の空間を通って端子どうしが最も近づく長さを空間距離と呼び分けています。
シャープの技術情報は、電気製品の電気絶縁用に使われるフォトカプラなどに対して、感電と火災から使用者を守るため各国が用途に応じた安全規格を定めているとし、アメリカのUL、ドイツのVDE、カナダのCSAを挙げています。
代償は、渡る量が使ううちに減ることです
Section titled “代償は、渡る量が使ううちに減ることです”光を経由させると絶縁が手に入り、そのかわり出力へ届く電流は入力より小さくなります。この比率をルネサスは電流伝達率、シャープは電流伝達比と呼び、どちらも略称をCTRとして、出力側の電流を入力側の順電流で割って100を掛けた百分率で表すとしています。ルネサスは、CTRが絶縁耐圧と並ぶ重要な特性であり、入力の順電流の値で変わり、周囲温度の影響を受け、経年で変化するとしています。
経年変化の主因は入力側にあります。ルネサスは、CTRの大きさを左右する要因として発光ダイオードの発光効率、発光と受光のあいだの光結合効率、トランジスタの受光感度と電流増幅率を挙げ、このうち主にLEDの発光効率の低下によってCTRが経年変化するとしています。順電流が大きいほど、また周囲温度が高いほど、低下は早く進みます。
そのため寿命の定め方も他の半導体と変わります。ルネサスは、フォトカプラの寿命がCTRの低下によって定められるとし、CTRが初期値の半分になったときを寿命と規定した推定寿命のデータ例を示しています。同社の設計手順では、初期のCTRから見積もった出力電流を、寿命末期に半分へ下がることを見込んで半分以下に見積もります。
受光素子の種類で4つに分けられます
Section titled “受光素子の種類で4つに分けられます”ロームの技術解説は、受光素子の違いによってフォトカプラを主に4種類に分けています。トランジスタ出力は最初に生まれた最も一般的な型で、価格が安く汎用性が高いとされます。IC出力は受光素子を集積化した型で、同社は、通常のフォトカプラが数kHzから十数kHzの信号伝送にとどまるのに対し、IC出力は数十MHzの高周波信号にも対応するとしています。トライアック出力は商用電源につなぐスイッチ素子として使われ、MOSFET出力はフォトリレーとも呼ばれ、交流と直流のどちらの負荷にも対応します。
扱える電流の大きさには目安があります。ルネサスは、汎用フォトカプラの出力端子に流せる電流が定格から見てもたかだか数十mAであるとし、発光ダイオードを点滅させる程度の電流容量とみなすよう求めています。フォトカプラの出力に直接モータを載せる設計は、この目安を大きく超えます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”フォトカプラとは何ですか?
入力側の発光素子と出力側の受光素子を1つのパッケージに向かい合わせて封じ、電気信号をいったん光に変えて渡すことで、入力と出力を電気的に絶縁したまま信号を伝える部品です。オプトカプラ、フォトアイソレータとも呼ばれます。
なぜ光を経由させるのですか?
電位の異なる回路どうしへ信号を渡すためです。シャープの技術情報は、エアコンでマイコンを使う5Vの回路とモータを制御する200Vの回路は電源電圧が異なり、このときフォトカプラが信号だけを光で伝えるとしています。ロームは、GNDを含めて絶縁できるためノイズの影響を減らせるとしています。
電流伝達率(CTR)とは何ですか?
入力側の順電流に対する出力電流の比率です。ルネサスは、出力電流を入力順電流で割って100を掛けた百分率で表し、絶縁耐圧と並んでフォトカプラの重要な特性であるとしています。
フォトカプラの寿命はどう決まりますか?
電流伝達率の低下で決まります。ルネサスは、フォトカプラの寿命が他の一般的な半導体と異なりCTRの低下によって定められるとしており、CTRが初期値の半分になったときを寿命と規定した推定寿命の例を示しています。
どんな種類がありますか?
ロームは受光素子の違いで4種類に分けています。トランジスタ出力、IC出力、トライアック出力、MOSFET出力(フォトリレー)です。同社は、汎用のトランジスタ出力が数kHzから十数kHzの信号伝送にとどまるのに対し、IC出力は数十MHzの高周波信号にも対応するとしています。
フォトカプラで大きな電流を扱えますか?
出力電流は小さめです。ルネサスは、汎用フォトカプラの出力端子に流せる電流が定格から見てもたかだか数十mAで、発光ダイオードを点滅させるくらいの容量と考えるよう求めています。大きな負荷はほかの素子へ渡す設計になります。
絶縁耐圧とは何ですか?
入出力間の絶縁度を保証する値で、シャープは絶対最大定格として規定するとしています。一般には交流または直流で何kVを何分間と規格化されます。同社は自社製品について、2重トランスファ構造による高絶縁耐圧品で5000Vrmsを保証するものが主流としています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- レーザーダイオードとは ── 光そのものを製品の出力として取り出す素子で、フォトカプラは光をパッケージの内側で使い切ります
- ダイオードとは ── 電流を一方向に流す2端子素子で、フォトカプラの入力側にある発光ダイオードもその一種です
この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- ローム TechWeb「フォトカプラとは?動作原理や使い方、選定方法を解説」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── フォトカプラの位置づけ、別称、動作の流れ、受光素子による4種類の分類、伝送できる周波数、用途と製品例を裏づけます
- シャープ「技術情報 光半導体 フォトカプラ」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 発光素子と受光素子を対向させる構成、エアコンの5Vと200Vの例、絶縁耐圧の意味、海外安全規格を裏づけます
- ルネサス エレクトロニクス「汎用フォトカプラの電流伝達率(CTR)」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── CTRの求め方、順電流と周囲温度による変化、経年変化の主因、CTRが半分になる時点を寿命と規定する考え方を裏づけます
- ルネサス エレクトロニクス「フォトカプラはこうして使う」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 出力端子に流せる電流の目安と、経年劣化を見込んだ出力電流の見積もり方を裏づけます
- ルネサス エレクトロニクス「フォトカプラ 絶縁距離」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 内部樹脂と外部樹脂の二重構造、沿面距離・絶縁物厚・空間距離の測り方を裏づけます