LED(発光ダイオード)とは
LED(発光ダイオード)とは、電気エネルギーを直接光エネルギーへ変える、pn接合を持つ半導体素子です。 JEITA半導体用語集は、順方向へ電圧をかけると、pn接合の部分で電子が持っていたエネルギーが効率よく光へ移るとしています。
LEDの構造は、ダイオードと同じところから始まります。ロームの技術解説は、LEDの素子の基本構造がp型半導体とn型半導体を接合したpn接合の半導体だとしています。ここに順方向の電圧をかけると、正孔と電子がpn接合へ向かって動き、出会って結び付きます。同社は、結び付いたときに余るエネルギーが光へ姿を変えて発光すると述べ、この現象を発光再結合と呼んでいます。
産業技術総合研究所のサイエンスタウンは、発光ダイオードを、半導体に電流を流して明るく光るという、それまでの明かりとは仕組みの異なる現代のあかりだと位置づけています。火、ろうそく、ガス灯、アーク灯、白熱電球、蛍光灯と続いてきた系譜の、最も新しい世代にあたります。
この位置づけを技術の言葉に置き換えると、経路の長さの話になります。ロームは、電球や蛍光灯がフィラメントの発熱や放電現象を経て電気エネルギーを間接的に光へ変えるのに対し、LEDは電気エネルギーを直接光へ変えると述べています。同社は、そのため電気から光への変換効率が高い製品だとしています。
同じpn接合でも、材料が出口を分けます
Section titled “同じpn接合でも、材料が出口を分けます”整流に使うシリコンのダイオードも、LEDも、基本構造はpn接合です。材料だけが入れ替わります。
ロームの技術解説は、通常のダイオードが主にSiやGeを使う一方で、こうした単元素の半導体は、電子と正孔が結び付いても発光を伴いにくいとしています。そこでLEDには、結び付くときに発光を伴いやすいGaN、GaAs、InPなどの化合物半導体を使う、というのが同社の記述です。JEITA半導体用語集も、化合物半導体の利用先として半導体レーザとLEDを挙げています。
発光色も材料しだいです。JEITA半導体用語集は、半導体の種類と添加する材料が光の色(波長)を定めるとし、GaAs系は赤外から赤の側へ、GaN系は緑から青の側になるとしています。ロームは、光へ移るときのエネルギー差、いわゆるバンドギャップが大きい材料ほど、出る光の波長が短くなるとしています。
白色は、色を重ねて作ります
Section titled “白色は、色を重ねて作ります”白色LEDという名前は、白く光る素子を連想させます。実際の中身は色の足し算です。
JEITA半導体用語集は白色LEDを、波長の異なる光を何色か重ねて白色光をつくるLEDとし、重ね合わせの方法を2種類挙げています。1つは、青色や近紫外のLEDの光を蛍光体へ当てて混ぜる方法で、もう1つは、赤・緑・青のLEDを同時に光らせて混ぜる方法です。
ロームの技術解説も同じ2分類を取り、用途で使い分けています。青色LEDに、その補色にあたる黄色の蛍光体を重ねる方式については、ほかの作り方より構造が単純で効率も高く、いま主流の座にあるとしています(同社による記述で、裏づけの統計は同ページの外にあります)。光の三原色を組み合わせる方式については、照明よりもフルカラーの表示装置での採用が中心だとしています。
照明とディスプレイで白の作り方が別になる理由が、ここにあります。1つの面をむらなく照らす照明では、1個の光源へ変換層を重ねる方が簡単で、色ごとに点を光らせたい表示装置では、3色を別々に持つ方が向きます。
一部は熱になります
Section titled “一部は熱になります”LEDは電気を直接光へ変えます。変換の途中で、一部は熱の側へ回ります。
浜松ホトニクスの技術資料は、順電圧をかけると電子と正孔の再結合が起こって発光するとしたうえで、再結合には光を伴う発光再結合と、熱になる非発光再結合の2通りがあると記しています。同資料によれば、発光再結合では失われたエネルギーが光になり、非発光再結合では熱になります。LED製品に放熱の設計が要るのは、この2通りの行き先があるためです。
同資料は、発光効率を上げる構造も挙げています。活性層をGaAs、その両側のクラッド層をGaAlAsとするダブルヘテロ構造では、送り込まれた電子と正孔がヘテロ障壁の内側に濃く集まるため、結び付く確率が上がって発光効率が高くなるとしています(同社製品の技術資料としての記述です)。
歴史のどこが新しかったのか
Section titled “歴史のどこが新しかったのか”環境省のあかり未来計画は、1960年代に赤色と黄緑色のLEDが作られ、早い時期から表示灯の光源として実用に入っていたとしています。同ページは、その後1993年に青色LEDが開発され、緑色の開発とあわせて光の三原色が揃い、白色化やフルカラー化が現実になったと述べています。
JEITA半導体部会の解説は、別の切り口で年を挙げています。1980年から90年ごろまで、LEDの居場所は電子機器の表示灯でした。90年代後半に、輝度の高い青色LEDが発明され、赤・緑・青のいずれもが急速に明るくなった、という流れです。同ページの脚注は、蛍光体を使う白色LEDが1997年に登場したこと、1998年に豊田合成から高輝度の青色LED(3000mcd)と緑色LED(8000mcd)が世に出たことを記しています(1998年の値は同社の当該製品についての記述です)。
開発の年と発売の年は別の出来事を指します。どちらの記述からも、LEDの新しさの中心が青色と、それが可能にした白色にあったと分かります。
照明として置き換わったところ
Section titled “照明として置き換わったところ”環境省のあかり未来計画は、電球形LEDランプを白熱電球と比べると消費電力を約85パーセント抑えられるとし、定格寿命が40,000時間のタイプであれば寿命は白熱電球の40倍になるとしています。比較の相手はほぼ同じ明るさの一般電球で、同ページには過去のキャンペーンとして古い情報を含む可能性があるとの注記が付いています。
資源エネルギー庁は、明るさの測り方が変わった経緯を書いています。同庁によれば、LED電灯器具はほとんどが光源と器具を一体化した専用設計です。器具から外した光源を単体で光らせられる製品が限られるため、照明器具の光源の明るさ(全光束)の測定が難しくなります。そこで省エネ基準のエネルギー消費効率は、消費電力量あたりの全光束から、消費電力量あたりの照明器具全光束へ変わりました(2019年5月公開の記事の記述で、目標年度は2020年度としています)。
電球1個を差し替えて済む世界から、器具ごと選ぶ世界へ移ったところに、LED照明の製品としての特徴があります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”LED(発光ダイオード)とは何ですか?
電気エネルギーを直接光エネルギーへ変える、pn接合を持つ半導体素子です。JEITA半導体用語集は、順方向へ電圧をかけると、pn接合の部分で電子が持っていたエネルギーが効率よく光へ移るとしています。
電球や蛍光灯とはどこが違いますか?
光になるまでの経路の長さが違います。ロームの技術解説は、電球や蛍光灯がフィラメントの発熱や放電現象という中継ぎを経て電気エネルギーを間接的に光へ変えるのに対し、LEDは電気エネルギーを直接光へ変えるとしています。
光る色はどうやって決まりますか?
材料側で定まります。JEITA半導体用語集は、半導体の種類と添加する材料が光の色(波長)を定めるとし、GaAs系なら赤外から赤の側、GaN系なら緑から青の側になるとしています。ロームは、光へ移るときのエネルギー差、いわゆるバンドギャップが大きい材料ほど、出る光の波長が短くなるとしています。
なぜLEDには化合物半導体を使うのですか?
再結合のときに光を伴いやすい材料が要るためです。ロームの技術解説は、SiやGeのような単元素の半導体は電子と正孔が結び付いても発光を伴いにくいとし、LEDにはGaN、GaAs、InPなど発光を伴いやすい化合物半導体を使うとしています。
白色LEDはどうやって白く光りますか?
複数の色を重ねて白を作っています。JEITA半導体用語集は白色LEDを、波長の異なる光を何色か重ねて白色光をつくるLEDとし、青色や近紫外のLEDの光を蛍光体へ当てる方式と、赤・緑・青のLEDを同時に光らせる方式の2種類を挙げています。
流した電気はすべて光になりますか?
熱になる分もあります。浜松ホトニクスの技術資料は、再結合に光を伴う発光再結合と、熱になる非発光再結合の2通りがあるとしています。
データシートのピーク波長は見た目の色と同じですか?
別の指標です。ロームの技術解説は、波長の規格にλP(ピーク波長)とλD(主波長)の2種類があり、実際に目で見たときの色に相当するのはλDだとしています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- ダイオードとは ── 同じpn接合で、光を出さずに整流だけを受け持つ側
- レーザーダイオードとは ── 同じ半導体発光素子で、光をそろえて放つ側
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- ローム TechWeb「LEDとは:LEDデバイスについて」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 電球・蛍光灯との変換経路の違い、pn接合と発光再結合、単元素半導体と化合物半導体の使い分け、バンドギャップと波長の関係
- ローム TechWeb「プラスαの基礎知識:白い光はどうやって作る?」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 青色LEDと黄色蛍光体の組み合わせ、光の三原色の組み合わせ、用途による使い分け
- ローム TechWeb「プラスαの基礎知識:波長と色」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── ピーク波長と主波長という2つの規格、目で見た色に相当するのが主波長であること
- JEITA半導体部会「半導体用語集」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 発光ダイオードの意味、材料と発光色の対応、白色LEDの意味と2方式、化合物半導体の利用先
- JEITA半導体部会「LED(発光ダイオード):照明にも用途を拡大」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 表示光源から照明への用途拡大、白色LEDの登場年と1998年の高輝度品の発売
- 浜松ホトニクス 技術資料「LED」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 発光再結合と非発光再結合の2通り、熱になる分があること、ダブルヘテロ構造と発光効率
- 産業技術総合研究所 産総研サイエンスタウン「LEDを光らせよう」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 発光ダイオードが従来の明かりとは仕組みの異なる現代のあかりであるという位置づけ
- 環境省 あかり未来計画「エコ照明の基礎知識」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── LEDの平易な言い換え、1960年代と1993年という開発史、電球形LEDランプの消費電力と寿命の比較
- 資源エネルギー庁「LED照明器具も「省エネ基準」の対象に」(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 光源と器具が一体の専用設計であること、省エネ基準の指標が照明器具全光束へ変わったこと