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シリコンのイオン注入とは|供給化学種・注入イオン・深さ分布を電気特性mapまで追う

イオン注入では、装置へ供給する化学種、mass selection後の注入イオン、SIMSが示す元素濃度、anneal後に電気的に働くcarrierの差分がlot解析の起点になります。電荷を持たせた元素を加速し、半導体表面から狙った深さへ導入する工程です。

同じdoseとenergyでも、結晶方位、表面stack、入射角、損傷、annealが異なれば、形成されるchemical profileと電気的応答は変化します。測定・解析条件は、物理接合とは別に観測値や推定profileへ差分を生みます。材料受入からdevice electrical mapまでを同じwafer・lot・座標で結び、接合の物理変化と測定由来の差分を切り分けます。

本文の主対象はSiです。SiCは結晶構造と活性化条件がSiと異なるため、専用の比較条件を後段に記します。注入前後のscreen oxideや保護膜は入射時のsurface stackに属し、dopant供給材料とは別区分です。

イオン注入で直接設定する四つの軸

Section titled “イオン注入で直接設定する四つの軸”

工程で別々に設定・記録する中心軸は、選択したion speciesとcharge state、入射energy、面積当たりのdose、waferに対するtilt・twistです。beam scan、dose rate、wafer温度、表面stackも結果を左右します。各設定の組み合わせに応じてprofile、損傷、活性化が変化するため、recipe比較表には四軸と周辺条件の実行値を同じ行に記します。

energyは主に到達深さと分布幅へ、doseは入射ion数と損傷蓄積へ、tilt・twistは結晶軸・面との入射関係へ作用します。speciesやcharge stateが変われば、同じ装置表示でもmass-to-charge ratio(m/q)と加速条件の解釈が変わります。

doseは単位面積へ入射したion数です。SIMS濃度は深さ方向の元素別chemical concentration、SRPやC–Vは校正・構造・modelを介した電気的profile、sheet resistance(Rs)は層全体の面内導電応答を面抵抗として表します。wafer・基板の結晶方位と表面状態、lithographyで作る開口、注入後の熱履歴までを一組で比較します。

供給化学種からlotまでの因果鎖

Section titled “供給化学種からlotまでの因果鎖”

供給容器から取り出した分子や固体sourceはion sourceへ入り、解離・電離、mass selection、beam輸送を経てwaferへ到達します。注入直後には元素のchemical profileと結晶損傷が生じ、anneal後には欠陥回復、活性化、再分布が進みます。各段階で同じ名前の「ドーパント」を使っても、実際に比較する量は異なります。

原因解析では、実行記録、材料lot、測定sampleをwafer IDと時刻で結び、次表の粒度へ正規化します。

段階比較する記録次段へ渡る量
材料受入・供給化学組成、濃度、容器またはsource lot、装着時刻ion sourceへ入るfeed material
ion生成・選別source条件、実行時のselected m/q、charge state選択後のbeam状態
注入energy、dose、tilt・twist、scan、wafer温度chemical profile、面内分布、損傷状態
anneal実行した時間温度履歴、雰囲気、工程順活性化、欠陥回復、拡散・偏析後の状態
計測sample状態、測定法、座標、校正、解析条件SIMS・SRP・C–V・Rs・device map
lot比較wafer ID、slot、座標、工程時刻差を検出した区間を絞る共通key
01 / 供給化学種から注入後の状態まで
plasma doping:mass selectionを経ず、供給gas組成が到達成分へ 段階 比較する記録 次段へ渡る量 wafer内に 残る量 供給化学種 化学組成・同位体組成 希釈・純度・容器lot 装着・交換の時刻 ion source source条件 電子衝突でionを作る fragment・同位体が混在 mass selection 磁場で軌道を曲げる 実行時のselected m/q apertureを通る成分 energy・dose・tilt energy→到達深さと幅 dose→ion数と損傷 tilt・twist→入射関係 ion sourceへ入る feed material charge stateを含む 選別前の生成beam 選択後のbeam状態 beam輸送後にwaferへ chemical profile 面内分布・損傷状態 chemical profile(元素の深さ分布) peak濃度・peak深さ・積分dose・tail形状 anneal前SIMSが示すのは元素分布 crystal damage(vacancy・interstitial) 欠陥cluster・amorphous layerを形成 TEMなどの構造観察を併せる chemical profileが同じでも、残留欠陥が違えばactivationとjunction特性は変わり得る
図1 同じ名前のドーパントを使っても、段ごとに比較する量は供給材料、選択されたion、recipe設定、wafer内のchemical profileとcrystal damageへ移ります。beam speciesは装置が記録したmass selectionと実行値から特定します。

図1の各欄のとおり、供給材料、生成beam、選択後のbeam、recipe設定、wafer内に残る量は別のcolumnへ記録します。同じ元素名を使っても段ごとに比較する量が変化するため、注入直後のchemical profileと結晶損傷も別々の観測量としてlot recordへ残します。

表面洗浄から注入までの待機、screen oxideやresistの状態、etchingで決まる開口形状も入射条件を変えます。同じrecipe名でも表面stackや実行値が異なれば、blanket monitorとpatterned waferの結果に差が生じます。monitor側の素性はテストウェーハ・モニターウェーハで個別に管理し、product waferの測定値と同じ表へ載せる前に、基板種別と履歴を同じ欄で比較します。

供給化学種と注入イオンを分ける

Section titled “供給化学種と注入イオンを分ける”

半導体向けdopant材料は、分子組成、同位体組成、希釈、容器・供給方式、純度仕様を持つ「装置へ入る材料」です。Air Liquideのelectronics specialty materialsは、boron、arsenic、phosphorusを制御された濃度で導入する工程をdopingとし、揮発性のdopantとしてdiborane、phosphine、arsineを、イオン注入用途には同位体濃縮したboron trifluorideやgermaniumを挙げています。ステラケミファのBF3は高純度boron trifluorideの製品例です。山中(Yamanaka Advanced Materials)のimplantation materialsはgas sourceとsolid sourceを分けて掲載し、gas側に11B濃縮boron trifluoride(99.99%)とgermanium tetrafluoride(99.99%)、solid側にred phosphorus(99.9999%)、arsenic(99.9999%)、antimony trioxide(99.999%)、indium trichloride(99.999%)、antimony trifluoride(99.99%)を並べています。同じ元素を入れる場合でも、gas sourceとsolid sourceでは容器、気化条件、source交換周期、立上げ時間が別々の記録項目になります。

純度の合意点は規格側にもあります。SEMI C3.27はboron trifluoride(BF3)を99.0% quality、SEMI C3.2はarsine(AsH3)を99.94% quality、SEMI C3.6はphosphine(PH3)を99.98% qualityとして、半導体用途の要求事項を規定します。品目ごとに規定された純度水準が異なるので、材料比較には品目名と適用規格の版を同じ行へ記録します。

供給方式は材料と同じ粒度の記録項目です。Entegrisのimplant向け材料・delivery解説は、implant用dopant材料を大気圧未満で貯蔵・供給するSafe Delivery Source(SDS)系列とその最新世代SDS4を挙げ、微細化に伴って必要量と純度の要求が上がるほど安全側の部材選定が要ると述べています。住友精化の半導体用gasはNH3やN2Oなど16種の高純度gasを掲載し、用途にdeposition、etching、doping、epitaxial growthを挙げます。掲載品目はprocess gas側で、dopant hydrideはこの一覧の外にあります。「半導体用高純度gas」と「dopant gas」は別の集合なので、供給元の製品一覧を材料表へ写すときは、品目名ごとに用途区分を書き分けます。m/q、charge state、wafer到達energyの根拠は、装置が記録した選別・加速実績です。

供給側の記録項目注入実績の記録項目混同時の原因取り違え
分子・固体sourceの化学組成selected m/qとion speciesfeed名からbeamを推定して別条件を同一視する
同位体組成、希釈、純度charge stateとenergy表記mass spectrumと実効入射条件を取り違える
容器・source lot、供給圧力域beam current、dose積算、再tune材料変化とsource調整を同一原因へ誤分類する
装着・交換・立上げ時刻wafer注入時刻とslot影響区間のlot特定を失う

材料lotを追うときは、供給側の仕様と装置側の実績を別columnに保持します。beam speciesは、装置が記録したmass selectionと実行値から特定します。

ion sourceは供給材料を導入し、電子衝突などでionを作る領域です。生成beamには異なるfragment、同位体、charge stateが含まれ得るため、磁場で軌道を曲げ、m/qに応じた成分をapertureへ通します。Applied Materialsの用語集にはion source、analyzer magnet、resolving aperture、tilt、channelingが工程用語として掲載されています。同用語集はchannelingを、単結晶Siの原子列の間を進んだionが他のionより深く入る現象とし、注入深さの計算と制御が難しくなる要因として位置付けたうえで、抑制手段にwaferのtiltまたは回転、screen oxideによる表面被覆、pre-amorphizationを挙げます。tiltは角度設定であると同時に、channeling抑制の手段として選んだ設定値でもあります。

Axcelis Purion Hは、注入角度とdoseを独立に制御するPurion Vector角度制御系を掲げるhigh-current装置例で、spot-beam構成によるdamage engineeringをprofile調整の手段に挙げています。Applied VIISta 900XPはmedium current帯の装置で、+価で300 keV、++価で600 keVという拡張energy範囲と、beam由来の金属・particleをwaferから隔てるdual-magnet beamlineを掲げます。charge stateが1つ上がれば同じ加速電圧でwafer到達energyが上がるため、energy表記はcharge stateと組にして記録します。Nissin Ion Equipmentのimplanter群は、最大750 keVのEXCEED3000AH、最大960 keVのEXCEED9600Aというmedium-current系列と、laser device・power device向けの水素注入機EXCEED400HYを系列として掲載しています。住友重機械イオンテクノロジー(SMIT)の装置群は、high current(SHX-3 HC)、medium current(MC3)、18段の加速共振器で8.0 MeVまでを覆うhigh energy(UHE)、0.2 keVから630 keVを1台で受けるall-in-one(SAion)を系列として掲載しています。energy帯が装置系列そのものを分けるので、recipeのenergy値を書き写すときは、対象装置系列とその適用energy帯を同じ欄へ記録します。

装置を比べるときは最大仕様だけでなく、対象基板、energy帯、beam current、mechanical scan、温度管理、particle、in-situ計測を同じ行で比較します。mass selection後も、beam transport、aperture付着、chamber memory、dose計測系がwafer到達状態へ影響します。

beamlineを経由する経路とは別に、plasmaから直接導入する経路もあります。Applied VIISta PLADは、極端に高いdoseの導入と、直進するbeamの視線が届く範囲の外にある面へのconformalな導入(3D FinFETのsidewall dopingなど)をplasma dopingで担う装置系列です。plasma dopingではm/q選別の段が経路から省かれるため、供給gas組成がwafer到達成分へ直結します。beamline implantとplasma dopingの結果を同じ「dose」欄へ載せるときは、mass selectionの有無を条件欄へ残します。

energy・dose・tiltを別々に記録する

Section titled “energy・dose・tiltを別々に記録する”

energy、dose、tilt・twistは別々に設定しますが、結果は相互作用します。energyを維持してdoseを増やせば入射ion数と損傷蓄積は増え得ます。一方、junction profileの変化率はchanneling、dose rate、wafer温度、後続annealにも左右されるため、dose増加率とは別に測定します。

設定・状態主な物理量・現象同時にそろえる条件
ion species・charge statestopping、散乱、m/qfeed material、選択mass、energy表記
energyprojected range、straggle、表面近傍比率screen oxide、mask stack、基板組成
dose面積当たりion数、損傷蓄積beam current、scan、dose rate、wafer温度
tilt・twistchanneling、mask-edge入射結晶方位、notch、装置座標、pattern方向
scan・beam形状面内均一性、局所thermal loadchuck、clamp、wafer位置、時間変動
wafer温度dynamic annealing、欠陥残留dose rate、注入順序、冷却条件

Ziegler らのSRIM(2010、Nucl. Instrum. Methods B 268, 1818)は、ion、target、energyに対するstopping powerとrangeを与える計算モデルで、初期比較の出発点になります。出力は計算値です。結晶方位、pattern、表面膜、既存欠陥を持つsampleでは、計算条件とSIMS・電気計測のsample条件をそろえ、計算profileと実測profileの残差を深さごとに比較します。表面のscreen oxideや保護膜の厚さ・組成は計算条件の入力側に属するため、酸化・成膜側の実行値を注入recipeと同じlot recordへ結びます。

注入profileは、表面側の立ち上がり、濃度peak、projected range、straggle、deep tailを持つ連続分布です。結晶軸・面に近い方向へ入射したionは原子列の間を進みやすくなり、random方向の衝突だけを仮定したprofileより深いtailを作る場合があります。

Siへの低energy注入を測定した1985年のchanneling研究は、角度条件に伴うSIMS profileの変化を示しています。P注入の角度依存欠陥profile研究は、tilt・doseとvacancy-related defect profileを独立した観測量として報告しています。量産recipeの角度は、結晶方位・mask・装置座標に合わせて実測で詰めます。

profile比較ではpeak濃度、peak深さ、積分dose、tail形状を分けます。peakが揃ってtailだけが伸びた変化と、profile全体が深さ方向へ移った変化では、候補になるtilt・twist、energy、表面stack、anneal履歴が異なります。notch基準、装置座標、pattern方向まで同じ条件にそろえて角度差を比較します。

結晶損傷をchemical profileと分ける

Section titled “結晶損傷をchemical profileと分ける”

入射ionはtarget原子との衝突でvacancyとinterstitialを作り、条件によって欠陥clusterやamorphous layerを形成します。chemical profileが同じ範囲でも、残留欠陥やdopant clusterが異なれば、activation、mobility、leakage、junction特性は変わり得ます。

NISTのend-of-range damageとtransient enhanced diffusion研究は、regrown Si中のEOR damage evolutionとboronのTEDを対応付けています。

anneal前SIMSが示すのは元素分布です。欠陥状態にはTEMなどの構造観察を加え、carrier情報にはSRPやC–V、層全体の導電応答にはRsを用います。どれか一つだけでactivationを決めず、同一または近接するwafer座標とsample履歴をそろえます。

annealで活性化と拡散が同時に動く

Section titled “annealで活性化と拡散が同時に動く”

注入直後のdopant原子には、格子間位置の原子や欠陥と結び付いた原子が含まれます。annealは欠陥を回復し、dopantを電気的に働く状態へ近づける一方、拡散、偏析、cluster形成・解離も進めます。

よくある誤解は「SIMSの積分doseが増えれば、その分だけRsが下がる」というものです。実際のRsは、電気的に働くcarrierの面密度とmobilityの積で定まります。SIMSが与えるのは元素のchemical concentrationなので、両者が同じ向きに動くのは、活性化率とdamage回復の状態が揃った場合に限られます。前掲のNISTのend-of-range damage研究は、EOR領域の{311}欠陥が解離する時間帯にregrown Si層中のboronがTEDを示し、両者が強く相関すると報告しています。同じ原子数を導入したlotでも、欠陥の状態と熱履歴によって活性化と再分布の結果が動きます。SIMSの積分dose、SRPやC–Vが与えるelectrical profile、Rsの面内応答は、それぞれ別の測定量として保持し、残差の向きから原因区間を絞ります。

annealing・thermal budgetは、前後工程を含む時間温度履歴を比較軸にします。Rsが下がったときはactivation、欠陥回復、mobilityの変化を候補にし、SIMS profileとjunction応答を併記します。電気的junction応答が深い側へ動いた場合は、SIMS chemical profileの深さ変化とRs変化を別columnに記し、活性化と拡散の寄与を分けます。

複数implantを持つflowでは、各stepのspecies、energy、doseだけでなく、前stepが残した格子状態、注入間の待機、anneal順序を記録します。各stepの実行順がdamage evolutionと再分布を左右するため、最終doseが等しいlotも別条件として比較します。

SIMSはsample表面をsputterし、放出されたsecondary ionを検出して元素別のdepth profileを得ます。CAMECAのimplant depth profilingは、深部implantでは数µmまでのprofileを数分で取得でき、Si中のB、P、Asでppbレンジの検出下限に届くとする一方、表面近傍のimplantではimpact energyを500 eVまで連続的に下げて深さ分解能を確保すると記載しています。sputter条件を変えると深さ分解能と感度が同時に動くため、表面近傍側と深部側のprofileを比較するときは分析条件の欄をprofileごとに持たせます。濃度軸は感度係数とreference material、深さ軸はdepth-scale calibrationに依存するので、この2軸を別々に校正します。

測定主に読める量sample・解析条件単独では決めにくい量
SIMS元素別chemical concentration、profile形状、積分dosesputterで破壊、matrix effect、深さ・感度校正electrically active fraction、carrier mobility
SRPspreading resistance / resistivityから導くdepth情報bevel、probe接触、校正、mobility model元素別濃度、活性分率の直接値
C–Vdepletion応答から推定するcarrier profile構造、面積、bias、frequency、leakage、model局所元素profile、深いtailの一意な形
Rs層全体のsheet responseと面内差probe配置、膜・基板構成、geometry深さごとの濃度と活性化の分離

ISO 23812はSiの深さ50 nm未満を対象に、multiple delta-layer reference materialsを用いるSIMS深さ軸校正を規定し、surface-transient領域を対象外とします。NISTのion-implanted dopant reference material研究はB、As、Pのcertified doseをSIMS校正へ使う基盤を示し、boron-10注入のSRM 2137、arsenic-75注入のSRM 2134、phosphorus-31注入のSRM 2133を、単位面積当たりの原子数(atoms/cm²)でcertifyされた標準物質として挙げます。校正の実体は濃度より先に面密度なので、SIMSの積分doseを比較するときはどのSRMで感度係数を求めたかを記録します。

lot比較ではprimary ion、分析領域、crater深さ、換算、reference sampleをそろえ、peak、積分dose、tailを同じchartへ重ねます。SIMSの積分doseが安定しRsだけが動く場合、材料供給量の前にactivation、欠陥、mobility、後続熱履歴の実測値をlot間で比較します。

SRP(spreading resistance profiling)はbevel加工などで深さ方向を展開し、probe間のspreading resistanceからresistivityやcarrierに対応する情報を導きます。ASTM F672は、方位と導電型が既知のSi wafer表面に垂直なresistivity profileをspreading resistance probeで測る比較法として、epitaxial film、substrate、diffused layer、ion-implanted layerとその組み合わせを適用対象に挙げ、bevel加工を伴う破壊測定であること、横方向でµmオーダー、深さ方向で10 nmオーダーの空間分解能を持つことを規定します。ただし同規格は2003年に廃止(Withdrawn)されています。手順の記述は測定条件を記述する枠として今も使えます。現行規格として引用する場合は、社内手順書または後継規格の番号を併記します。

Semilab SRP-2100も、resistivity / carrier-density depth profilingという測定形態を示します。電気的活性率を計算するときは、SRP由来carrier responseとSIMS chemical concentrationを用い、各測定の校正条件を対応させます。

SIMSのchemical concentration peakとSRPのcarrier response peakを深さ軸上で比較します。別siteを破壊測定することが多いため、近接座標、pattern、anneal履歴、深さ校正を対応させます。補償dopant構成やmobility modelが異なるsampleは個別の換算条件を適用し、工程差と換算差を分離します。

C–VはMOS capacitorやjunctionへbiasを加え、depletion領域のcapacitance変化からcarrier profileを推定します。TektronixのC–V guideに記載されたfrequency、AC signal、sweep、leakage、測定構造の面積を解析条件へ入れます。C–V由来profileは構造とmodelを通した推定値で、SIMSとは測定量が異なります。

Rsは層全体の面内分布を測ります。SEMI MF374はsingle-configurationのin-line four-point probeによるsheet resistance試験手順を規定し、適用範囲を直径15.9 mmを超える円形試料、10 Ω〜5,000 Ωのsheet resistance、厚さ0.2 µm以上の層としています。適用範囲の外にある薄い層や小さい試料でRsを取る場合は、値そのものより先に適用条件が対象範囲の外になります。面内のばらつきを測るときはSEMI MF1529が、dual-configuration手順によるsheet resistanceとその変動の測定を、probe間隔3本分に相当する外周部を除いた領域について規定します。edge除外幅がprobe間隔で決まる以上、mapを重ねる前にprobe間隔と除外幅を同じ欄へ記録します。

02 / 測定三系列と残差の比較先
別々に測り、別々に保つ3系列 残差の向きと次に比較する区間 SIMS 元素別chemical concentration・積分dose sputterで破壊、matrix effect、深さ・感度校正 単独では決めにくい:electrically active fraction SRP・C–V carrierに対応する電気的profile bevel・probe接触・bias・frequency・model 単独では決めにくい:元素別濃度と活性分率の直接値 Rs 層全体のsheet responseと面内差 probe配置・膜と基板の構成・geometry 単独では決めにくい:深さごとの濃度と活性化の分離 共通key wafer ID・slot・notch基準・die座標・注入時刻 SEMI E142(map)とSEMI E90(tracking)で対応付ける SIMS積分doseとRsが同じ向き → 導入量側を先に比較する 材料供給・ion生成・dose積算・beam均一性 SIMSは安定・Rsだけが動く → 活性化と電気測定を先に比較する activation・欠陥・mobility・anneal・電気測定 peakは一致・deep tailだけ伸びる → 入射角と表面stackを先に比較する channeling・tilt・twist・結晶方位・screen oxide 異なる測定量を一つの数値へ潰さず、 座標分布と時間履歴を保ったままlotへ戻る
図2 chemical profile、electrical profile、Rs mapは別系列のまま共通keyで位置を合わせます。残差がどの系列で動いたかによって戻る区間が変わり、SIMSとRsが同じ向きなら導入量側、Rsだけ動けば活性化側、deep tailだけ伸びれば入射角と表面stackを先に比較します。

図2の左側のとおり、三系列は測定量が別なので同じ欄へまとめず、wafer ID、slot、notch基準、die座標、注入時刻で位置だけを合わせます。右側は残差の向きごとに次へ比較する工程区間を示し、後段のlot backtraceで同じ順序を手順として並べています。

SEMI E142はsubstrate map dataの表現と受渡しを規定し、SEMI E90は装置内のsubstrate trackingを規定します。source chamber、recipe版、材料容器IDの記録要件は、工場・装置ごとのtrace設計で決まります。E142とE90はwafer mapと工程時刻を対応させる基礎規格として参照します。

Rs map、C–V測定構造、PCM、device electrical mapは、notch方向、die index、edge除外、座標変換をそろえて比較します。検査・計測装置の走査軌跡と重ね、ring、stripe、scan方向のsignatureが工程側か測定側かを分けます。

SiとSiCでは結晶構造、dopantのactivation、必要energy、許容thermal budget、surface protection、欠陥測定の重みが異なります。Si用のrecipe名やRs換算をSiCへ移すと、材料条件と換算条件が混在します。polytype、面方位、epi構造、implant温度、anneal条件、表面保護、contact形成を材料系ごとに記録します。

NISTのAl・B・GaをSiCへ注入した研究は、6H-SiCへ50 keV〜4 MeVの単一energy implantと多重energy implantを行い、AlNまたはgraphiteのencapsulantを付けてannealし、SIMSでdepth profileを取った比較例です。このencapsulantは表面保護材であり、dopant feedやselected ionとは別columnへ記録する対象です。SiCとSiでは結晶・欠陥・活性化の挙動が異なるため、Siの条件設定にはSi向けの測定値を使います。

wafer温度そのものが装置仕様として前面に出るのもSiC側の特徴です。Nissin IMPHEAT-IIは、室温から500 ℃までのwafer温度でAl+の高電流beamを供給するSiC power device量産向け装置で、対応wafer sizeを4/6/8インチとしています。同じspecies・dose・energyでも注入時のwafer温度が異なれば、damage蓄積とdynamic annealingの度合いが変化するため、SiCのrecipe比較にはwafer温度を四軸と同じ行へ入れます。実device側の設計条件はロームの第5世代SiC MOSFETで個別に追跡します。

SiCでSIMS導入量とRs・device特性の動きが異なるときは、implant、anneal、surface、contactを一つのlot chainで比較します。surface protectionはSiCの熱工程に関わる別材料として、dopant feed・selected ionとは別columnに記録します。

材料・装置企業を工程位置で比較する

Section titled “材料・装置企業を工程位置で比較する”

供給側では、ステラケミファがBF3、山中がgas source/solid source両系のimplantation materials、EntegrisがSDS系の大気圧未満delivery、住友精化が半導体向け高純度process gasを示し、SEMI C3系の各規格が品目ごとの純度要求を与えます。比較軸は材料名だけでなく、化学組成、同位体・希釈、容器・source形態、純度、供給圧力域、lot識別です。

装置側ではApplied Materials、Axcelis、日新イオン機器、住友重機械イオンテクノロジーが、energy帯・beam current・対象基板・wafer温度の異なるimplanterを展開し、beamline方式とplasma doping方式が併存します。製品名に加え、ion source、mass selection、scan、temperature、dose計測、particle、対象deviceを共通軸で比較し、材料からwafer outcomeまでの責任区間を企業・装置ごとに区分します。

企業別の装置群と事業は、Applied Materials企業研究Axcelis企業研究にまとめました。本文中では、材料供給・注入装置・測定の担当領域ごとに各社の製品ページを案内しています。

企業比較では、材料仕様、装置範囲、対象device、dose均一性、particle、電気特性を共通項目として比べます。beam speciesは各lotのmass-selection実績に記録し、材料交換から注入・anneal・測定までをwafer IDと時刻で結びます。

製造技術、装置、材料、anneal、計測の担当が同じ単位で話せるように、まずwafer ID、slot、notch基準、die座標、注入時刻を共通keyにします。次に材料lot、ion sourceとmass selection、implant実績、anneal履歴、測定sampleを実行時刻で連結します。

  1. SIMSの積分dose、peak位置、tailを比較し、導入量とprofile形状のどちらが動いたかを分ける。
  2. SRP・C–V・Rsは測定構造、校正、model、座標をそろえて重ね、chemical profileが安定した範囲に対応するelectrical profileとRsの変化量を比較する。
  3. wafer mapのring・stripe・scan方向を、beam scan、chuck、thermal step、測定軌跡のmapと重ねる。
  4. 変化が始まったlotを材料交換、maintenance、再tune、recipe変更、anneal変更の時刻と結び付ける。
  5. 再測定は同じまたは近接するwafer位置と同じsample前処理を指定し、測定差を工程差から切り離す。

SIMS doseとRsが同じ方向へ動けば、材料供給、ion生成、dose積算、beam均一性が候補になります。SIMSが安定しRsだけが動けば、activation、欠陥、mobility、anneal、電気測定を優先します。peakが揃いdeep tailだけが変われば、channeling、tilt・twist、結晶方位、screen oxideの厚さ・組成とrecipe設定値をlot間で比較します。

この順序は次に比較する工程を選ぶためのものです。合否閾値は製品仕様と測定法ごとに管理し、異なる測定量を一つの数値へ潰さず、座標分布と時間履歴を保ったままlotへ戻ります。

規格、公的研究、装置・材料製品の一次資料は、本文中の該当箇所から参照します。

  1. Air Liquide — Electronics Specialty Materials
  2. G. Hoblerほか — low-energy implantationのchanneling研究
  3. P注入の角度依存欠陥profile研究
  4. Ziegler, Ziegler, Biersack — SRIM: The stopping and range of ions in matter (2010)
  5. Semilab — SRP-2100 / SRP-2100i
  6. ASTM F672 — Siliconのspreading-resistance profile(2003年Withdrawn)
  7. SEMI MF374 — in-line four-point probeによるsheet resistance
  8. SEMI MF1529 — dual-configuration手順によるsheet resistance uniformity
  9. SEMI E90 — Substrate Tracking
  10. SEMI E142 — Substrate Mapping
  11. SEMI C3.27 — Boron Trifluoride (BF3) in Cylinders, 99.0% Quality
  12. SEMI C3.2 — Arsine (AsH3) in Cylinders, 99.94% Quality
  13. SEMI C3.6 — Phosphine (PH3) in Cylinders, 99.98% Quality
  14. Applied Materials — VIISta 900XP
  15. Applied Materials — VIISta PLAD
  16. Applied Materials — Semiconductor glossary
  17. Axcelis — Purion H
  18. CAMECA — implant depth profiling SIMS
  19. Entegris — specialty gases and delivery systems for ion implantation
  20. ISO 23812 — SIMS depth calibration for shallow Si profiles
  21. Nissin Ion Equipment — Ion Implanter
  22. Nissin Ion Equipment — IMPHEAT-II 高温イオン注入装置
  23. 住友重機械工業 — Ion Implanters
  24. NIST — Al, B, Ga ion-implantation doping in SiC
  25. NIST — end-of-range damageとboron TED
  26. NIST — ion-implanted dopant reference materials
  27. ステラケミファ — 高純度三フッ化ホウ素
  28. 住友精化 — Semiconductor Materials
  29. Tektronix — C–V Testing Applications Guide
  30. 山中(Yamanaka Advanced Materials) — Ion Implantation Materials
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