イオン注入
イオン注入は、シリコン中へ特定の元素を打ち込み、電気的な性質を調整する工程です。 トランジスタのソース・ドレイン形成やしきい値制御など、デバイス性能の核心に関わります。
何をしているのか
Section titled “何をしているのか”- ボロン、リン、ヒ素などのイオンを加速する
- 必要な位置へ必要な量だけ導入する
- その後の熱工程で活性化し、結晶損傷を回復させる
- 注入量
- エネルギー
- 深さ方向の分布
- マスクとの整合
- チャネリング抑制
代表的な設計パラメータ
Section titled “代表的な設計パラメータ”| パラメータ | 何を選定するか | 注意点 |
|---|---|---|
| Dose | 導入するドーパント量 | 多すぎると接合リークや損傷回復の負荷が増える |
| Energy | どの深さまで入れるか | 浅い接合では低エネルギー制御が重要になる |
| Tilt / rotation | 結晶方向に沿った入り込みを避ける | チャネリング抑制とマスク整合の両方を判定する |
| Mask stack | 入れたい領域と止めたい領域を分ける | レジスト、酸化膜、ハードマスクの厚みが影響する |
| Anneal condition | 活性化と損傷回復 | 拡散しすぎると浅い接合の形が崩れる |
なぜ熱工程が必要か
Section titled “なぜ熱工程が必要か”注入直後は、結晶にダメージが入り、ドーパントも十分に活性化されていません。
熱工程によって格子を回復させ、期待する電気特性へ近づけます。
活性化と拡散のトレードオフ、RTP / flash / laser anneal の違い、thermal budget の分類軸は 熱工程・アニールと thermal budget に分けて分類しています。
どの工程とセットで判定するか
Section titled “どの工程とセットで判定するか”イオン注入は単独で完結しません。前段のパターン形成、注入後の熱工程、表面状態の管理と接続します。
- 注入する領域は 露光とリソグラフィ と エッチング で決まる
- 注入前後の表面状態は 洗浄と表面準備 に影響される
- 活性化と拡散は 熱工程・アニールと thermal budget で上限される
- しきい値や接触抵抗の結果は、デバイス構造や GAAの量産ボトルネック と合わせて判定する必要がある
よくある判定材料化のコツ
Section titled “よくある判定材料化のコツ”成膜やエッチングが 形 を整える工程だとすると、イオン注入は 性質 を選定する工程です。
同じ形状でも、どの元素を、どの深さに、どの量だけ入れるかで電気特性は変化します。 そのため、イオン注入は「材料を入れる工程」というより、トランジスタの動作点を合わせるための電気特性調整工程として判定すると判定材料にしやすくなります。
失敗すると何が起きるか
Section titled “失敗すると何が起きるか”注入量がずれると、しきい値、接合抵抗、リーク、ばらつきに影響します。 エネルギーや角度が合わない場合は、浅い接合が深くなりすぎたり、マスク下へ入り込んだりします。 熱工程が強すぎると拡散で形が崩れ、弱すぎると活性化不足や損傷残りが問題になります。
このため、イオン注入は注入装置だけでなく、マスク、前洗浄、熱工程、電気検査まで含めて突き合わせます。
- 注入後に何を活性化し、どこまで拡散を許すかは 熱工程・アニールと thermal budget へ
- 多層構造を重ねるために表面の段差を制御するなら CMP へ
- 形状転写の前提を突き合わせるなら 露光とリソグラフィ と エッチング へ