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検査・計測・オーバーレイ装置の役割分担

ウェーハ上に欠陥が1個見つかったとき、直す先は露光条件、etch bias、CMP、clean のどれかです。検査装置が返すのは異常の位置と欠陥種別までで、寸法や層間の位置ずれは別の装置が数値化します。この役割の違いを混同すると、BEOL の topography 由来のばらつきを scanner 側の補正へ回すような、フィードバック先の取り違えが起こります。

欠陥検査とは、設計値や温度時間条件・装置設定から対象外になった箇所の位置と欠陥種別を検出する工程で、計測とは CD、膜厚、プロファイル、topography を連続量として数値化する工程です。オーバーレイはそのうち前層と現層の位置差、front-to-front、front-to-back のずれを管理する項目で、補正先が scanner の alignment 側にあります。このページでは、patterning cluster、BEOL interconnect、backside power、hybrid bonding の4つの工程帯について、最初に取る測定値と、返す温度時間条件・装置設定を分けて示します。

下の比較マトリクスは、patterning clusterBEOL interconnectbackside powerhybrid bonding測る値返す温度時間条件・装置設定代表ページ の 3 軸で並べた比較表です。

工程比較マトリクス

4つの場面を「測る値」「戻す工程条件」「代表ページ」で並べる

patterning、interconnect、backside power、hybrid bonding を、測る値、戻す工程条件、代表ページの 3 軸で並べています。

測る値 戻す工程条件 代表ページ

Patterning Cluster

露光・track・etch へ戻す

overlay / focus / ADI後CD

測る値

  • overlay error
  • focus / dose proxy
  • ADI後CD / shape
  • hotspot defect

戻す工程条件

  • scanner matching
  • track coat / develop
  • reticle / resist review
  • etch bias

代表ページ

BEOL Interconnect

成膜・CMP・clean へ戻す

line width / 膜厚 / topography

測る値

  • line width / profile
  • film thickness
  • topography
  • void / seam / Cu recess

戻す工程条件

  • conductor etch
  • gap fill / selective deposition
  • CMP / post-CMP clean
  • incoming blanket film

代表ページ

Backside Power

薄化・rail形成 へ戻す

front-to-back overlay / distortion

測る値

  • front-to-back overlay
  • wafer distortion / warp
  • buried feature depth
  • backside defect

戻す工程条件

  • alignment model
  • grind / thinning
  • rail / via形成
  • lithography correction

代表ページ

Hybrid Bonding

prebond clean・alignment へ戻す

Cu recess / particle / bond shift

測る値

  • Cu recess / pad topography
  • prebond particle
  • bond shift / overlay
  • bond interface void

戻す工程条件

  • prebond clean / plasma
  • Cu CMP
  • bonder alignment
  • post-bond anneal

代表ページ

会社別の製品ファミリーを比較したい場合は、KLA・ASML・AMAT・SCREENの検査・計測・オーバーレイ装置比較 に進むと、測定対象、フィードバック先、工程位置を会社ごとに切り分けられます。

  • 欠陥検査は 異物、欠け、パターン異常、void、残渣 を検出する
  • 計測は CD、膜厚、プロファイル、topography、位置ずれ を数値化する
  • オーバーレイは 前層と現層の位置差front-to-frontfront-to-back のずれを管理する
  • review は 検出した異常が粒子、ブリッジ、残渣、埋め込み不良のどれか を絞る
  • 先端ロジックでは、露光装置単体よりも track + scanner + overlay + defect inspection + etch / CMP feedback の連携で歩留まりが決まる

場面別に返す温度時間条件・装置設定

Section titled “場面別に返す温度時間条件・装置設定”
  • patterning cluster 最初に取る測定値: overlay errorfocushotspot defectADI後のCD/shape 主に返す温度時間条件・装置設定: scanner matchingtrackのcoat/develop条件etch bias
  • BEOL interconnect 最初に取る測定値: line widthsidewall profilefilm thicknesstopographyvoid / seam 主に返す温度時間条件・装置設定: conductor etchgap fillCMPpost-CMP clean
  • backside power / alignment 最初に取る測定値: front-to-back overlaywafer distortionburied feature depth 主に返す温度時間条件・装置設定: alignment modelgrind / thinningbackside rail / via形成
  • hybrid bonding 最初に取る測定値: Cu recessparticlebond shiftbonded-waferのvoid 主に返す温度時間条件・装置設定: prebond clean / plasmaCu CMPbonder alignmentpost-bond anneal

1. 欠陥検査、計測、オーバーレイ、review の違い

Section titled “1. 欠陥検査、計測、オーバーレイ、review の違い”
01 / 4つの役割と測る値・返す先
測る役割出力するデータ返す先欠陥検査defect inspection異常の位置と欠陥種別粒子・ブリッジ・残渣・埋め込み不良review へ渡して発生源を分類計測metrologyCD・膜厚・プロファイルtopography の数値conductor etch / gap fill / CMPオーバーレイoverlay metrology前層と現層の位置差front-to-front / front-to-backscanner matching / alignment 補正reviewdefect review異常の発生源の分類粒子か残渣か埋め込み不良かetch / CMP / clean / 成膜行ごとに測る値が別で、返す先も別になる
図1 4つの役割は測る値も返す先も別々です。欠陥検査は異常の位置と欠陥種別まで、計測は CD や膜厚の数値、オーバーレイは前層と現層の位置差を出力し、review が発生源を分類した後に etch、CMP、clean、成膜のどれへ返すかが決まります。

4行を混ぜて運用すると、フィードバック先の取り違えが起こります。欠陥検査の出力だけで etch bias を動かすと、CMP が発生源の残渣に対しても etch 側を直すことになります。review を挟んで発生源を粒子、ブリッジ、残渣、埋め込み不良に分類してから、etch、CMP、clean、成膜のどれへ返すかを選定します。

欠陥検査は、設計値や温度時間条件・装置設定から対象外になった欠陥 を探す工程です。
粒子、スクラッチ、パターン欠け、ブリッジ、埋め込み不良、表面傷などを検出し、良否分類の最初のデータを出します。

典型的には次の判定項目に答えます。

  • どこに異常があるか
  • その異常はランダム欠陥か、系統欠陥か
  • その異常は前工程由来か、今工程由来か

計測は、寸法や位置を連続量として測る 工程です。
CD、膜厚、プロファイル、重ね合わせ誤差など、工程の中心値とばらつきを管理する役目です。

欠陥検査が 異常個所の検出 を主目的にするのに対し、計測は 温度時間条件・装置設定の数値管理 を主目的にします。

オーバーレイは独立項目として分けます。計測対象と補正先が通常の寸法計測と異なるためです。
前の層で作ったマークやパターンに対して、今の層がどれだけずれているかを測ります。

このずれが大きいと、

  • ビアが下の配線からずれて接触面積が減る
  • ゲートとコンタクトの位置関係が崩れる
  • パターンマージンが削られて歩留まりが悪化する

といった問題が起きます。

review は、検査装置が見つけた異常を高分解能画像や追加データで分類し、どの工程が主な発生源か を絞る工程です。
量産では、異常があった という結果に発生源の分類を重ねて対策を選定します。粒子なのかpattern collapse なのか残渣なのか埋め込み不良なのか を分けて、フィードバック先を etch、CMP、clean、成膜のどこにするかを選定します。

ASML の YieldStar 375F は、post-exposure / pre-etch の overlay と focus を対象にした metrology system で、on-product overlay の高速測定、track-integrated / standalone、計算モデルを組み合わせた dense overlay map を生成します。
computational metrology option は overlay performance を 10-20% 改善する機能として位置づけられています。dense overlay mapのwafer内spatial signatureはscanner matchingとalignment補正に使い、focus / dose proxyはtrackのcoat / develop記録と同一site・同一時刻列で比較します。

KLA の eSL10 は、leading-edge で他の inspectors が取りこぼす欠陥を検出する e-beam patterned-wafer defect inspection として位置づけられ、etch、epi、CMP、EUV ADI を含む多層の process layers をまたいで critical defects を検出します。
patterning cluster のフィードバック先は、scanner のほかに track と etch bias まで広がります。

  • overlay error は scanner matching と alignment 補正へ返す
  • focus と dose proxy は track の coat / develop 条件も含めて返す
  • hotspot defect は reticle、resist、etch bias のどこに由来するかを review で絞る
  • EUV ADI 後の異常は 露光後の見かけetch後の実形状 が一致するかまで追う

このフィードバック先の分担は High-NA EUVの量産ボトルネック で分ける track + scanner + resist + inspection の分担と同じです。

interconnect では line widthsidewall profilefilm thicknesstopographyvoid / seamCu recess局所 hotspot を別々に取り、どの温度時間条件・装置設定へ返すかまで分ける必要があります。

どの値も、conductor etch、gap fill、CMP のどこでばらつきが出たかを分けるために取ります。Mo contact と selective deposition の量産条件 が対象にする MOL contact なら、pre-clean、selective nucleation、bulk fill、CMP のどこで contact resistance が悪化したかを切り分けます。同じ切り分けを配線層で行うのが Ru配線の量産条件 で、first local interconnect metal layer の Ru direct etch、gap fill、FSAV、air gap / reliability のどこでばらつきが出たかを分けます。

Applied Materials の PROVision 10 は、through-layer imaging と millions of datapoints により、2nm foundry-logicGAA transistorsnext-generation DRAM / HBMbackside power delivery を対象にした metrology と示しています。
この種の装置が interconnect で担うのは、patterned line の見え方多層構造の実際の位置関係 を、optical target の届く範囲を超えた領域まで追うことです。

SCREEN の RE-350040μm square の微小領域で film thickness と optical constants を同時測定できる ellipsometric film thickness measurement system と示しています。
また SCREEN の ZI-36001μm以下 の微細欠陥検出に加えて、recipe 作成時の条件設定だけで CD / overlay measurement を inspection と同時実行できると示しています。

interconnect で主に返す先は次の通りです。

  • conductor etch: line width、LER/LWR、sidewall profile(Mo/Ru/Cu延命の形成結果を 抵抗欠陥膜厚topography信頼性 として受け取り、どの温度時間条件・装置設定へ返すかを比べるのは BEOL新金属の計測・検査
  • deposition / gap fill: film thickness、void / seam、buried defect(capacitance、self-heating、TDDB、moisture を同じ比較軸で比べるのは Low-kとAir Gapの基礎と量産判定条件
  • CMP / clean: dishing、erosion、scratch、残渣、Cu recess
  • incoming wafer / blanket film: unpatterned defect、surface quality、wafer distortion

CMPが完了したか よりも 次工程が要求する表面状態に入ったか を判定条件にする工程判断は、CMP:平坦化、欠陥、低k/新金属の判定項目 と同じです。

4. backside power と hybrid bonding で返す値

Section titled “4. backside power と hybrid bonding で返す値”

backside と hybrid bonding では、層間位置ずれだけでなく wafer distortionbond shiftvoidCu recess が同時に影響します。
front-side の overlay と同じ判定条件を当てはめると、フィードバック先が粗くなります。

02 / 表面と裏面・接合面の測定項目
front-side の overlay 管理backside・hybrid bonding で増える項目現層のパターン前層のパターン位置差 = overlay error測る値: overlay error、focus、ADI 後の CD / shape返す先: scanner matching、alignment 補正focus と dose proxy は track の coat / develop へhotspot は reticle / resist / etch bias のどこに由来するかを review で絞る薄化した waferfront-to-back overlaywafer distortion上側 wafer下側 wafer赤丸: bond interface void横ずれ: bond shift測る値: front-to-back overlay、wafer distortion同時に: Cu recess、particle、bond shift、void返す先: alignment model、grind / thinning接合側: prebond clean、Cu CMP、bonder alignment同じ位置ずれでも、front-side と backside・接合面では返す先が別になる
図2 front-side では前層と現層の位置差を scanner matching と alignment 補正へ返します。backside と hybrid bonding では wafer distortion、bond shift、bond interface void が測定項目に加わるため、返す先が grind / thinning、prebond clean、bonder alignment まで広がります。

front-side の overlay 管理では、前層と現層の位置差を scanner matching と alignment 補正へ返せば足ります。backside と hybrid bonding では、薄化後の wafer distortion、bonded wafer の bond shift、bond interface void が同じロットで同時に出るため、返す先が grind / thinning、prebond clean / plasma、Cu CMP、bonder alignment まで広がります。

KLA の PWG5 に関する 2020 年発表 では、front side と back side の patterned wafer distortion を同時に測り、wafer re-work、tool re-calibration、lithography correction の判断へ返せると示しています。
この系統の測定は、backside power rail や薄化後 wafer の alignment で工程判断を左右します。

Applied Materials の PROVision 10 が backside power delivery を対象に含めている点も、through-layer の位置関係 を measurement target に含める必要を示しています。

hybrid bonding 側では、prebond particleCu recessbonded-wafer shiftbond interface void を別々の原因候補に分ける必要があります。
接合面側の bond interface void をどの装置で取るかは、Hybrid Bondingの位置合わせ・検査を分類する で装置群の分担として掘っています。
薄化後の wafer distortionfront-to-back overlay を alignment model へ返す側は、Backside alignment / overlay metrology の判定項目 で個別に掘っています。
この overview では、front-to-back overlaybond interface defect が別のフィードバック先を持つ点を判定項目として分けます。

  • KLA 主な測定対象: overlaydefect inspectionunpatterned waferwafer distortion 主な対象工程群: patterning clusterincoming waferbackside distortion
  • ASML 主な測定対象: pre-etch overlayfocusdense overlay map 主な対象工程群: scannertrack
  • Applied Materials 主な測定対象: through-layer e-beam metrology高密度パターン制御 主な対象工程群: BEOL interconnectbackside poweradvanced logic
  • SCREEN 主な測定対象: film thicknesspattern inspectioninlineのCD / overlay option 主な対象工程群: interconnect film controlinline defect monitoring

役割差をさらに製品ファミリー単位で分ける場合は、KLA・ASML・AMAT・SCREENの検査・計測・オーバーレイ装置比較 に進むと、会社ごとの製品群で比較可能です。

検査結果だけではフィードバック先が決まらない

Section titled “検査結果だけではフィードバック先が決まらない”

欠陥があった という結果から先へ進むには、露光条件、etch bias、CMP のどれを直すかを分ける材料が要ります。
review と metrology を重ねて、フィードバック先を track / scanner / etch / CMP / clean / bond のどれにするかまで分ける必要があります。

感度の高い検査装置を入れれば歩留まりが上がる、と受け取られやすい箇所ですが、実際に歩留まりを動かすのは、検出した異常を review で粒子、ブリッジ、残渣、埋め込み不良へ分類し、そのうえで etch bias、CMP、clean、成膜のどれを直すかを選ぶ手順です。この分類を飛ばすと、同じ欠陥数のまま運用負荷と review 対象が増えます。

interconnect では topography と film quality が主要指標になる

Section titled “interconnect では topography と film quality が主要指標になる”

patterning cluster では overlay が主要指標ですが、interconnect cluster では film thicknesstopographyvoid / seamCu recess が主要指標です。
この差を飛ばすと、BEOL の bottleneck を scanner 側へ誤配分しやすくなります。

backside と hybrid bonding では distortion と bond interface defect が増える

Section titled “backside と hybrid bonding では distortion と bond interface defect が増える”

薄化後の wafer distortion、front-to-back overlay、bond shift は、front-side only の overlay 管理に加えて取る測定項目です。
wafer distortion、alignment model、void inspection は別のフィードバック先として分ける必要があります。

高感度化とスループットは同時に判定する

Section titled “高感度化とスループットは同時に判定する”

感度だけを上げると運用負荷とコストが増えます。
量産では どの欠陥モードを、どのサンプル頻度で、どの工程に対して取るか を同時に選定する必要があります。

ここまでの分担は、プロセス担当が次のロットで直す温度時間条件・装置設定を選ぶとき、検査担当がサンプル頻度と対象工程を選ぶときに使います。次に比較する軸は、同じ測定対象を会社ごとの製品ファミリーでどう分けているかで、KLA・ASML・AMAT・SCREENの検査・計測・オーバーレイ装置比較 では測定対象、フィードバック先、工程位置の3軸で比べられます。

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