オーバーレイ計測とは
オーバーレイ計測とは、積み上げる層と層の間で、パターンの位置がどれだけずれているかを測ることです。 ずれが大きいと、層どうしの導通が切れます。
半導体は層を積み上げて作ります。各層のパターンが単独で正しく作れていても、上下の位置が合わなければ回路としての働きを失います。上の層のビアが下の層の配線からはみ出せば、その場所のビア抵抗が上がり、抜けきれば断線します。線幅とは別に、層と層の位置関係そのものを測る理由がここにあります。キヤノンは公式の技術紹介ページで、解像力・オーバーレイ精度・スループットを露光装置の3大性能として挙げ、オーバーレイ精度が半導体チップの良品率に直結すると述べています。
測る対象は製品パターンそのものよりも、専用のマークが使われます。ASMLは公式製品ページで、YieldStar 375Fが回折を利用した測定によって製品上のオーバーレイとフォーカスの性能を高速かつ正確に監視できると述べ、プロセス条件を問わず測れることを挙げています。
測るタイミングにも理由があります。同じ公式製品ページは、YieldStar 375Fが露光後・エッチング前の計測を対象とし、プロセスの監視と制御、および露光装置の安定性とマッチングに使われると述べています。エッチングの前であれば、ずれが大きい場合にレジストを剥がして露光をやり直せます。エッチング後は下の層まで加工が進むため、リワークの手が尽きます。
どこまで合わせる必要があるのか
Section titled “どこまで合わせる必要があるのか”許容の値は装置の公式仕様に出ます。キヤノンはFPA-6300ES6aの公式製品ページで、KrF 248nm・開口数0.86〜0.50(自動可変)・解像力90nm以下・画面サイズ26mm×33mmの条件で重ね合わせ精度5nm以下を掲げています。FPA-1200NZ2Cの公式製品ページでは、300mmウェハ・画面サイズ26×33mmで重ね合わせ精度4nm以下です。i線365nmのFPA-5550iZ2は解像力350nm以下で、重ね合わせ精度をSMOが18nm以下、MMOが25nm以下(オプション適用時)と分けて掲げています。同じ装置だけで層を重ねる場合と、装置をまたいで重ねる場合で、確保できる値が別になります。
要求の側からも数字が来ます。JEITAの半導体技術ロードマップ専門委員会は平成21年度報告のリソグラフィの章で、Pitch Splittingでは異なる露光でエッジが作られるため重ね合わせ誤差がそのまま寸法誤差になると述べ、最新の露光装置の仕様値が3nm以下を示す一方で、プロセス起因のアライメントマーク変形や歪み、ウェハの歪みの影響も大きいとしています。同じ章は、マルチパターニングの要求として、シングル露光に対して重ね合わせ精度を1/2以下、寸法均一性を1/√2以下へ縮める報告を挙げています。この要求を受ける側がエッジ配置誤差とCD均一性バジェットです。
キヤノンはナノインプリントの技術紹介ページで、転写するパターンサイズ10数nmに対し、位置合わせ精度として数nmの水準が要ると述べ、Through The Mask(TTM)スコープでマスクとウェハーの位置関係をリアルタイムに測り、位置ずれを1nm以下の精度で計測して補正できるようになったとしています。
現場のつまみと、その両側
Section titled “現場のつまみと、その両側”測定点数が第一のつまみです。JEITAのメトロロジの章は、チップ内の格子と、ウェーハ内のチップ配列の格子を、線形の近似から高次の近似へ移すと、ウェーハ内とショット内へ複数のアライメントマークと位置ずれ計測マークを配置する必要が生じると述べています。点数を増やせば高次の歪みまで補正でき、面内の均一性が上がります。代償は時間で、同じ章はMAM time(Move-Acquire-Measure time、計測点から計測点までの1サイクル)を要求項目として挙げ、その要求値を2010年の1.0秒/点から2020年以降の0.5秒/点へ縮める形で示しています。点数を減らせばウェーハ1枚の計測時間は縮みますが、補正の次数を落とすぶん残差が広がります。
マークの寸法と種類が第二のつまみです。同じ章の要求表は、光学オーバーレイまたは回折オーバーレイ用のターゲットパッドを2010年の40µm角から2024年の10µm角へ、ダイ内マイクロターゲットを2010年の10µmから2016年以降の2µmへ縮める形で示しています。マークを小さくすればチップ内へ多く配置でき、高次補正の分解が上がる一方、回折光の量が減って繰り返し性が落ちます。レーザーテックの用語解説は繰り返し性を、同じ測定者が同じ装置で同じ条件と同じサンプルを測ったときに出る変動としています。
装置の割り当てが第三のつまみです。上のSMOとMMOの差がそのまま表れます。1つの層を1台へ割り当てればSMOの値のまま流せますが、その装置が停止した瞬間にロットが滞ります。複数台へ流せば装置マッチングの残差が乗ってMMOの値へ広がる代わりに、稼働の自由度が上がります。JEITAのリソグラフィの章は、高速スキャンステージの位置計測を、気流の揺らぎに弱いレーザー干渉計からエンコーダーへ替えたことで、重ね合わせ精度が上がったと述べています。
測る層が第四のつまみです。露光後エッチング前で測れば、レジストを剥がすやり直しの道が生きます。半面、レジスト像とエッチング後の像の差が誤差として乗ります。エッチング後で測ればデバイスの最終形に近い値が取れる代わりに、リワークの手が尽きます。
測定結果の使い道
Section titled “測定結果の使い道”測ったずれは露光装置へ渡します。ずれの量と面内の分布から補正量を計算し、次のウェーハの露光位置を調整します。SEAJの半導体製造装置用語集はAPCを、プロセス変動をフィードバック制御とフィードフォワード制御で抑える手段としています。ASMLは公式製品ページで、メトロロジーおよび検査システムの製品群を掲載しています。
補正を渡す先には、露光装置の手前もあります。ニコンは公式の技術紹介ページで、1枚のウェハへ回路を焼き付けるあいだにフォトマスクを数十回入れ替えること、複数のセンサーを用いてnmレベルで位置合わせすること、Litho BoosterやinlineAlignment Station(iAS)で露光前にウェハの歪みを計測して補正することを述べています。露光してから測るループに、露光する前に測るループが重なります。
装置側のソフトウェアも受け皿になります。キヤノンはLithography Plusの公式サービスページで、位置合わせと線幅制御の設定を自動で最適化したレシピを提供するプロセスソリューション機能を掲げ、APCのようなプロセス機器とつなぐインターフェースを備えることを述べています。同ページはデータ保持期間を標準3か月、1台のデータベースサーバーが受け持つ装置を最大10装置としています。集めた値を残す期間そのものが、SPCで追える範囲を決めます。
この用語に対応する装置と製造メーカー
Section titled “この用語に対応する装置と製造メーカー”装置カタログDBから、この用語に一致する製品familyを持つメーカー 2社/2family を引いています。 各行は各社の公式製品ページを出典とします。 DBからの生成日: 2026-08-22
- KLA
- Archer familyOverlay Metrology
- Skyverse Technology
出典は各社の公式製品ページです。 装置カタログDB では、同じ製品familyを工程・メーカー横断で検索できます。
関連するデータ・ツール
Section titled “関連するデータ・ツール”- 計測・メトロロジの工程ページ ── 工程分類と、この工程に接続している公開求人
- 露光(EUV・DUV・NIL)の工程ページ ── 補正を渡す先の工程
- 装置カタログDB ── 公式製品ページ単位のメーカーと製品family
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”オーバーレイとは何ですか?
積み上げる層と層の間で、パターンの位置がどれだけずれているかを表す量です。下の層のパターンに対して、今回作ったパターンがどれだけ横方向にずれたかを測ります。キヤノンは公式の技術紹介ページで、オーバーレイ精度を露光装置の3大性能の1つに挙げ、半導体チップの良品率に直結すると述べています。
なぜ重ね合わせが問題になるのですか?
層どうしの導通が切れるためです。上の層のビアが下の層の配線からはみ出せば、その場所の接触面積が縮み、抜けきれば断線します。パターン自体が正しく作れていても、位置が合わなければ回路としての働きを失います。
どうやって測りますか?
専用のマークを使います。ASMLは公式製品ページで、YieldStar 375Fが回折を利用した測定によって、製品上のオーバーレイとフォーカスの性能を高速かつ正確に監視できると述べています。
なぜ露光後エッチング前に測るのですか?
直せる段階だからです。ASMLの公式製品ページは、YieldStar 375Fが露光後・エッチング前の計測を対象とし、プロセスの監視と制御、および露光装置の安定性とマッチングに使われると述べています。この段階ならレジストを剥がして露光をやり直せます。
装置1台だけで使う場合と、複数台へ流す場合で許容は変わりますか?
変わります。キヤノンはFPA-5550iZ2の公式製品ページで、重ね合わせ精度をSMOが18nm以下、MMOが25nm以下(オプション適用時)と掲げています。同じ装置だけで層を重ねる場合と装置をまたぐ場合で、確保できる値が別になります。
測定点数はどれだけ取りますか?
補正の次数で決まります。JEITAの半導体技術ロードマップ専門委員会は平成21年度報告の計測の章で、チップ内の格子と、ウェーハ内のチップ配列の格子を、線形の近似から高次の近似へ移すと、ウェーハ内とショット内へ複数のマークを配置する必要が生じると述べ、計測時間と計測コストを抑える要求としてMAM time(Move-Acquire-Measure time)を挙げています。
測った結果はどう使いますか?
露光装置へ渡します。ずれの量と面内の分布から補正量を計算し、次のウェーハの露光位置を調整します。装置間の差を揃えるマッチングにも使われます。
オーバーレイ計測装置のメーカーはどこですか?
ASMLはYieldStarファミリーを、KLAはArcherファミリーを公式製品ページで掲載しています。当サイトの装置カタログDBでは、計測の製品familyを横断して引けます。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 計測・検査装置 ── 装置としての計測と検査
- 裏面アライメントとオーバーレイ計測 ── 裏面側の位置合わせ
この記事の事実は次の一次資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- ASML「YieldStar 375F」公式製品ページ(2026年8月22日にリンク生存を実測、200)── 回折を利用した測定、露光後・エッチング前の計測、安定性とマッチング
- ASML「Metrology and inspection systems」公式製品ページ(2026年8月22日にリンク生存を実測、200)── 計測・検査システムの製品群
- キヤノン「半導体露光装置」技術紹介ページ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 3大性能とオーバーレイ精度が良品率に直結すること
- キヤノン「FPA-6300ES6a」公式製品ページ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 重ね合わせ精度5nm以下、KrF 248nm、NA 0.86〜0.50、解像力90nm以下、画面26mm×33mm
- キヤノン「FPA-5550iZ2」公式製品ページ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── SMO 18nm以下とMMO 25nm以下、i線365nm、解像力350nm以下
- キヤノン「FPA-1200NZ2C」公式製品ページ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 重ね合わせ精度4nm以下、300mm、画面26×33mm
- キヤノン「Lithography Plus」公式サービスページ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── レシピ最適化、APCとのインターフェース、データ保持3か月、最大10装置
- キヤノン「ナノインプリントリソグラフィ」技術紹介ページ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 10数nmに対する数nmの要求、TTMスコープ、1nm以下の計測と補正
- ニコン「露光から計測・検査まで」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── フォトマスクの数十回の入れ替え、nmレベルの位置合わせ、露光前に歪みを測るアライメントステーション
- JEITA 半導体技術ロードマップ専門委員会「平成21年度報告 第12章 WG14 メトロロジ(計測)」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 計測要求が工程許容の20%、MAM timeの意味と1.0秒から0.5秒、ターゲット40µmから10µm、ダイ内マイクロターゲット10µmから2µm、高次近似のための多点配置
- JEITA 半導体技術ロードマップ専門委員会「平成21年度報告 第6章 WG5 リソグラフィ」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 露光装置の仕様値3nm以下、重ね合わせ誤差が寸法誤差になること、シングル露光比1/2以下と1/√2以下、エンコーダーへの置き換え
- SEAJ「半導体製造装置用語集(ファクトリ・インテグレーション)」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── APCの意味
- レーザーテック 用語解説「繰り返し性」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 同じ測定者・装置・条件・サンプルで出る変動
- 装置と製造メーカーの行は
intel.equipment_vendor_families(公式製品ページ由来)から生成