エッチングとは
エッチングとは、パターン形成したレジストで覆われていない部分の層を、ウェーハ表面から化学的に除去する工程です。 リソグラフィで作ったレジストのパターンを、下の層へ写し取る役目を担います。
エッチングの役目は、リソグラフィと組にすると輪郭が出ます。リソグラフィはレジストにパターンを作りますが、その時点では下の層は元のままです。レジストで覆われた部分を残し、開口部だけを取り除くことで、パターンが下の層へ移ります。
東京エレクトロンの公式用語集は、エッチングを、パターン形成したレジストの開口部にある層の一部をウェーハ表面から化学的に除去するプロセスとして記述しています。同用語集は続けて、エッチングには液体ベースのウェットエッチングとプラズマベースのドライエッチングの2種類があると述べています。
装置の呼称は、この2分類のうち片方に定まっています。同じ用語集は、エッチング装置を、半導体ウェーハの表面をエッチングして金属配線、リードフレーム、プリント基板などの所定のパターンを形成する機械の一種とした上で、エッチング装置およびエッチャという語が通常はプラズマベースのドライエッチング装置を指すと記しています。したがって、求人票や装置カタログで「エッチング装置」とある場合、ドライエッチング装置を指すと解釈するのが標準です。
ウェットとドライ
Section titled “ウェットとドライ”ウェットエッチングは薬液へ浸して溶かします。装置構成が単純で投入枚数を稼ぎやすい一方、溶ける向きに偏りが小さいため、レジストの下へも横に食い込みます。
ドライエッチングはプラズマ中の反応種とイオンで削ります。イオンが基板へ向かって入射するため、縦方向へ選択的に削れます。微細な形状を作るには縦横の削れ方を分ける必要があるため、現在の半導体前工程ではドライエッチングが主力です。Oxford Instruments Plasma Technologyの公式技術ページは、RIE(反応性イオンエッチング)が幅広いプロセスに対して異方性のドライエッチングを与えると述べています。
使い分けの根拠は3つの数字
Section titled “使い分けの根拠は3つの数字”SCREENセミコンダクターソリューションズの公式解説ページは、この2分類の使い分けを数字で書いています。順は工程の占有率、装置価格、1回の投入枚数です。
同ページは、微細化が進んでラフな回路が減ったため、エッチング工程のうち9割以上が現在はドライだと述べています。一方でウェット側の装置価格を1億円から3億円程度とし、薬液も半導体関連材料としては安く、1度に50枚といったバッチ投入も可能だとしています。ドライエッチング装置の価格はウェットの2倍以上で、ウェーハは1枚ずつの流し方になります。だから業界ではラフな回路をウェット、微細な回路をドライという使い分けをしていると同ページは記しています。
薬液の側も具体的です。同ページはウェットエッチングを、硫酸や硝酸、りん酸、フッ酸といった薬液で腐食させる方法とし、装置には薬液洗浄と同じウェットステーションが使えると述べています。小ロットのウェーハや、1枚ごとに特殊なエッチングを行う場合はスピンプロセッサを使うとしており、これは枚葉スピン洗浄に使う機構と同じ系列です。
ドライ側がどこまで届いているか
Section titled “ドライ側がどこまで届いているか”まず寸法の幅です。サムコの半導体製造装置入門は、ドライエッチング装置が100nmから1000nm程度の細い幅で深い溝を彫る加工に対応すると述べています。Oxford Instrumentsの日本語プラズマエッチングページは、広範な材料に対してnmスケールから数100μmまでの微細構造を作れると述べています。
深さの側は、3D NANDという積層メモリが引っ張っています。東京エレクトロンの公式ニュースリリースは、東京エレクトロン宮城の開発チームが400層を超える積層構造へメモリチャネルホールを形成する技術を開発し、エッチング深さ10μmを33分で加工したうえで地球温暖化係数を従来比84%削減したと述べています。同社の公式ブログは、深さ10μmを超える穴を従来の2.5倍の速さで掘れるようになり、40%以上の低消費電力化も達したこと、現状がアスペクト比1対100の工程を複数組み合わせる段取りであり、目標が一度で1対200を掘る側だと記しています。
つまり同じ「エッチング」という語のなかに、1億円から3億円程度でDHF洗浄などの薬液洗浄と兼用できるウェットステーションから、400層超を33分で貫くドライエッチング装置までが入っています。求人票や工程表でこの語に出会ったときは、どちら側の話かを先に切り分けます。
現場のつまみと、両側で起きること
Section titled “現場のつまみと、両側で起きること”ウェット側 ─ 薬液の吐出量と滞留時間
Section titled “ウェット側 ─ 薬液の吐出量と滞留時間”SCREENはウェーハ裏面洗浄装置SB-3300の公式製品ページで、緻密なノズル動作と薬液吐出制御によるコントロールエッチングによって、面内均一性を高い精度で取り、ウェーハの反りを抑える側に働くと述べています。吐出量と滞留時間を上げれば除去量が増え、代わりに面内のばらつきと反りが大きくなる側へ動きます。下げれば均一性は上がり、代わりに目標の除去量へ届く時間が伸びます。
ウェット側 ─ ウェーハ端部と裏面の回り込み
Section titled “ウェット側 ─ ウェーハ端部と裏面の回り込み”同ページは、独自のチャックシステムによって、ウェーハ端部のエッチング残渣と、デバイス面へ薬液が回り込む分の両方を抑えると述べています。薬液量を増やす側では回り込みの危険が増え、絞る側では端部に残渣が出ます。どちらもチャックの設計余裕が上限を作ります。同ページは同じ装置の役目として、薬液とブラシの同時処理でウェーハ裏面のパーティクルを除くことも挙げています。
ウェット側 ─ 1台あたりの枚数
Section titled “ウェット側 ─ 1台あたりの枚数”同ページは、4段積みのタワー構造で省スペースにし、16のチャンバを載せることで、ウェーハの反転を含む裏面洗浄で毎時700枚という実用の枚数を実現したとしています。2020年12月時点の同社調べという条件つきの数字です。枚数を積む側ではチャンバ間の差が面内と枚間の均一性の敵になり、絞る側では枚葉式洗浄の装置台数が増えます。
ドライ側 ─ イオンエネルギーと圧力と温度
Section titled “ドライ側 ─ イオンエネルギーと圧力と温度”イオンエネルギーを上げれば形が締まり、選択比とレジストの残り厚を差し出します。圧力を下げれば異方性が上がり、レートを差し出します。温度は東京エレクトロンの公式ブログによれば、現行機のブラインが0度から用途により80度、クライオジェニックエッチングではマイナス数十度で、下げる側で形が締まります。詳しい配分はドライエッチングとDRIE、ICPの各ページに書いています。
取引 ─ 何と引き換えに何を差し出すか
Section titled “取引 ─ 何と引き換えに何を差し出すか”- 形状とコストです。ドライは細い回路を作れますが、SCREENの記載する2倍以上の装置価格と1枚ずつの流し方を差し出します。
- 枚数と面内均一性です。1度に50枚のバッチ投入は枚数を稼ぎますが、薬液の温度分布と液交換の履歴が面内と枚間のばらつきに乗ります。SB-3300のコントロールエッチングは、枚葉側で均一性を取り直す作りです。
- 除去量とマスクの残りです。SCREENの公式解説ページによれば、対象の膜が十分に削れた時点でマスクとして働いていたフォトレジストは半分以上が失われ、その一部が変質してポリマになります。掘る量を増やすほど、レジストの残り厚とポリマの量を差し出します。
- 完成度と後工程です。同ページは、ポリマを回路に付けたまま残すとICの欠陥につながるため、ウェットステーションまたはスピンプロセッサでの薬液洗浄を挙げています。レジストを灰化して剥がすアッシングとは別に、ドライで形を取った代わりに洗浄という工程を1つ抱えます。
- 深さと環境負荷です。東京エレクトロンの公式ニュースリリースは深さ10μmを33分という速さと、地球温暖化係数の従来比84%削減を同時に挙げています。従来は形を取るために、地球温暖化係数の高いエッチングガスを差し出していたということでもあります。
この用語に対応する装置と製造メーカー
Section titled “この用語に対応する装置と製造メーカー”装置カタログDBから、この用語に一致する製品familyを持つメーカー 19社/26family を引いています。 各行は各社の公式製品ページを出典とします。 DBからの生成日: 2026-08-21
- AMAT
- Producer EtchEtch
- Sym3 Y MagnumEtch / Advanced Logic
- AMEC
- Evatec
- CLUSTERLINE 300Advanced Packaging / PVD / Etch
- CLUSTERLINE 600Panel-Level Packaging / PVD / Etch
- Hitachi High-Tech
- HORIBA
- HORIBA process-stage solutionsDeposition / Etch / CMP Control
- Kingsemi
- Cleaning and stripping equipmentCleaning / Wet
- KLA
- SPTS Omega Rapier / DSi-v etch modulesEtch / DRIE
- Lam
- Cryo 3.0Cryogenic Etch
- Flex / Vantex Product FamilyDielectric Etch
- Kiyo Product FamilyConductor Etch
- Syndion Product FamilyDeep Silicon Etch / Packaging
- NAURA Technology Group
- Nissin Ion Equipment
- EXCEED / IMPHEAT-II implantation service toolsIon Implantation / R&D Services
- Oxford Instruments Plasma Technology
- Ionfab IBE / IBDIon Beam Etch / Deposition
- PlasmaPro etch familyEtch / ICP / RIE
- Plasma-Therm
- VERSALINE ICP / DSE / IBE platformEtch / Specialty Semiconductor
- Samco
- ICP-RIE / ALE / DRIE etching systemsEtch / Compound Semiconductor
- scia Systems
- scia Mill ion beam etching systemsIon Beam Etching
- SEMES
- Michelan etcher / line automation / test supportEtch / Line Automation / Test
- Shibaura Mechatronics
- SC / MC / ARES / CDE wet and dry process systemsCleaning / Etching / Ashing
- TEL
- アルバック
- Y.A.C. BEAM
出典は各社の公式製品ページです。 装置カタログDB では、同じ製品familyを工程・メーカー横断で検索できます。
関連するデータ・ツール
Section titled “関連するデータ・ツール”- エッチング(全体)の工程ページ ── 工程分類と、この工程に接続している公開求人
- エッチングの求人一覧 ── 現在この工程で募集している企業
- 装置カタログDB ── 公式製品ページ単位のメーカーと製品family
- 工程別の装置シェア ── エッチングを含む工程別のvendor share
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”エッチングとは何ですか?
エッチングは、パターン形成したレジストの開口部にある層を、ウェーハ表面から化学的に除去する工程です。東京エレクトロンの公式用語集は、エッチングをこのように記述し、液体を使うウェットエッチングとプラズマを使うドライエッチングの2種類があると述べています。
エッチングには何種類ありますか?
大きく2種類です。東京エレクトロンの公式用語集は、液体ベースのウェットエッチングと、プラズマベースのドライエッチングを挙げています。現在の半導体前工程では、微細な形状を作るためにドライエッチングが主力を占めます。
エッチング装置はどちらを指しますか?
通常はドライエッチング装置を指します。東京エレクトロンの公式用語集は、エッチング装置がウェーハ表面をエッチングして金属配線やリードフレーム、プリント基板などの所定のパターンを形成する機械であるとした上で、エッチング装置およびエッチャという語が通常はプラズマベースのドライエッチング装置を指すと述べています。
エッチングと成膜はどう違いますか?
向きが逆です。成膜はウェーハの表面へ材料を積み上げます。エッチングは表面から材料を取り除きます。リソグラフィで作ったレジストのパターンを、下の層へ写し取る役目をエッチングが担います。
エッチング装置のメーカーはどこですか?
当サイトの装置カタログDBでは、エッチングに一致する製品familyを持つメーカーを公式製品ページ単位で引けます。ラムリサーチ、東京エレクトロン、Applied Materials、日立ハイテク、KLA(SPTS)、アルバック、SAMCO、Oxford Instruments Plasma Technologyなどが該当します。
ウェットとドライはどう使い分けますか?
回路の細さで分けます。SCREENセミコンダクターソリューションズの公式解説ページは、業界ではラフな回路をウェット、微細な回路をドライという使い分けをしていると述べ、微細化でラフな回路が減ったため、エッチング工程のうち9割以上がドライだと記しています。同ページはウェット側の利点をコストと生産性、ドライ側の利点を細かい回路への適性としています。
エッチング装置の価格はどのくらいですか?
同じSCREENの公式解説ページは、ウェットエッチングの装置価格を1億円から3億円程度とし、薬液も半導体関連材料としては安く、1度に50枚といったバッチ投入も可能だと述べています。ドライエッチング装置の価格はウェットの2倍以上で、ウェーハは1枚ずつの流し方になるとしています。
ウェットエッチングにはどんな薬液を使いますか?
同じSCREENの公式解説ページは、硫酸や硝酸、りん酸、フッ酸といった薬液で腐食させる方法をウェットエッチングとし、装置には薬液洗浄と同じウェットステーションが使えると述べています。小ロットのウェーハや1枚ごとに特殊なエッチングを行う場合はスピンプロセッサを使うとしています。
ドライエッチングはどこまで深く掘れますか?
東京エレクトロンの公式ニュースリリースは、400層を超える積層構造へのメモリチャネルホール形成について、エッチング深さ10μmを33分で加工し、地球温暖化係数を従来比84%削減したと述べています。同社の公式ブログは、現状がアスペクト比1対100の工程を複数組み合わせる段取りであり、目標が一度で1対200を掘る側だと記しています。
エッチングの後には何が要りますか?
洗浄が要ります。SCREENセミコンダクターソリューションズの公式解説ページは、対象の膜が十分に削れた時点でマスクとして働いていたレジストは半分以上が失われ、その一部が変質してポリマになると述べています。ポリマを回路に付けたまま残すとICの欠陥につながるため、同ページはウェットステーションまたはスピンプロセッサでの薬液洗浄を挙げています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 主要メーカーのエッチング装置分類 ── メーカー別の装置分類
- エッチング工程 ── 工程としてのエッチングの全体像
この記事の事実は次の一次資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- 東京エレクトロン 公式用語集「Etching」「Etching Equipment」(2026年8月21日にリンク生存を実測、200)── エッチングの記述文、ウェットとドライの2分類、エッチング装置という語が通常ドライを指すこと
- Oxford Instruments Plasma Technology「Reactive ion etching (RIE)」公式技術ページ(2026年8月21日にリンク生存を実測、200)── RIEが異方性のドライエッチングを与えること
- SCREENセミコンダクターソリューションズ「初心者のための半導体入門 エッチング」公式解説ページ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 9割以上がドライ、ウェット装置1億円から3億円程度とドライの2倍以上、1度に50枚と1枚ずつ、硫酸や硝酸などの薬液、ウェットステーションとスピンプロセッサ、レジスト半分以上の消耗とポリマ
- SCREENセミコンダクターソリューションズ「ウェーハ裏面洗浄装置 SB-3300」公式製品ページ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── ノズル動作と吐出制御によるコントロールエッチング、反りの抑制、端部の残渣と回り込みの防止、4段積みタワーと16のチャンバ、毎時700枚
- Oxford Instruments Plasma Technology「プラズマエッチング」日本語公式技術ページ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── nmスケールから数100μmまでという加工範囲
- サムコ「ドライエッチング装置とは」半導体製造装置入門(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 100nmから1000nm程度の細い幅での深い溝加工
- 東京エレクトロン「400層超の3D NANDへのメモリチャネルホール形成技術」公式ニュースリリース(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 東京エレクトロン宮城による400層超への形成、深さ10μmを33分、地球温暖化係数84%減
- 東京エレクトロン「クライオジェニックエッチング」公式ブログ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 従来比2.5倍の加工速度、40%以上の低消費電力化、ブライン温度0度から80度とマイナス数十度、1対100から1対200へという目標
- 装置と製造メーカーの行は
intel.equipment_vendor_families(公式製品ページ由来)から生成