抜き取り検査の間引きとは
抜き取り検査の間引きとは、1ロットから採るサンプルの数を削るか、検査するロットの回数を削ることで、検査へ回す装置時間と枚数を減らす運用です。 2つの向きは、差し出すものが異なります。
ミツトヨの品質管理の解説は、ロットを、同じ条件のもとで作られた品物のひとまとまりとし、サンプルを、母集団の性質を調べるために抜き出したものとしています。サンプルの大きさは、そのサンプルが何個のサンプリング単位でできているかを指します。母集団は、ふつうサンプルの結果をもとに処置を取ろうとしている相手の集団です。
ルネサス エレクトロニクスの半導体信頼性ハンドブックは、抜取検査を、ロットから抜いたサンプルを調べ、その結果をロット側の判定基準と照らして、合格か不合格かの合否判定を下す作業としています。同社は、この方式が、合格とすべきロットが不合格となる確率である生産者危険αと、不合格とすべきロットが合格となる確率である消費者危険βを許容したうえでの検査だとしています。同社は半導体の例として、信頼性試験のように調べると壊れてしまう検査や、ロットが大きすぎる場合を挙げ、全数検査が難しいので抜取検査が主に使われているとしています。
間引いた分の代金は消費者危険βで払います
Section titled “間引いた分の代金は消費者危険βで払います”ルネサス エレクトロニクスは、計数基準型1回抜取検査であるJIS Z 9002について、P0を1.0%、P1を5.0%とするとサンプルの大きさは120、合格判定個数は3になるとし、このときの合格の確率を、不良率1.0%のロットで約0.97、不良率5.0%のロットで約0.14としています。5%の不良を抱えたロットが、14%の確率で合格します。
ルネサス エレクトロニクスは、抜取検査の働きを左右するものとして、OC曲線に加えて、検査へ回るロットの不良率が平均でどこにあり、どれだけ振れるかを挙げています。
スキップロットは、この上に別の代金を重ねます。日本規格協会のJSA GROUP Webdeskは、JIS Z 9015-3:2011を「計数値検査に対する抜取検査手順―第3部:スキップロット抜取検査手順」とし、計数値による合否判定の検査に対して、スキップロット抜取検査の手順をひととおり定めた規格だとしています。1999年5月20日に制定され、2011年3月22日に改正された、和文32ページの規格です。
飛ばしたロットは、合否の記録が空欄のまま次工程へ流れます。ロームは、規格外になった場合は生産を速やかに停止し、品質異常品となる範囲を切り出したうえで処置するとしています。検査するロットの間隔が広いほど、この対象範囲は前の合格ロットまでさかのぼる形になります。
厳しさをどう切り替えますか
Section titled “厳しさをどう切り替えますか”ルネサス エレクトロニクスは、AQL指標型の方式が、過去のロットの検査実績など品質水準の程度に応じて、ナミ検査、キツイ検査、ユルイ検査の3つの厳しさへ切り替わるとしています。ナミ検査は品質水準がAQL付近にあると考えるとき、キツイ検査は品質水準がAQLより確実に悪い側にあるとき、ユルイ検査は品質水準がAQLより確実に良い側にあり、その良さが先も続くと見込めるときです。日本規格協会は、この方式をJIS Z 9015-1:2006として、1999年5月20日の制定、2006年11月20日の改正という履歴で掲載しています。
ルネサス エレクトロニクスは、ロットの大きさに対するサンプルの大きさの関係を示す検査水準として、通常検査水準IからIII、特別検査水準S-1からS-4の7水準を挙げ、通常は特別な指定がある場合を除いて水準IIを用いるとしています。検査水準は、検査費用、ロット間およびロット内の品質の均一性を考えて設定するとしています。
数字の例も同社が挙げています。ロットの大きさが5,000でAQLを0.65とすると、サンプルの大きさは200、合格判定個数Ac=3、不合格判定個数Re=4になり、200個を抜き取って不良個数が3個以下なら合格、4個以上なら不合格になります。故障率の側では、ロットの大きさが200以上で、1%/1,000hを1,000時間の試験で保証する場合、加速係数を1、合格判定個数C=0とすると、抜取サンプルは231個になるとしています。
どの回を飛ばし、どの回を必ず検査しますか
Section titled “どの回を飛ばし、どの回を必ず検査しますか”ロームは、作業者交替、材料交換、生産品種切り替えのように4Mが変化するタイミングを、異常が発生しやすい変化点とし、4Mが変化した後も出来栄えが同じ範囲へ収まることを、その場で測るとしています。同社は始業点検についても、作業開始前に前回の作業時点と同じ4M条件になっているかを点検し、ずれを検出した場合は、規格内であってもアンドン等で速やかに関係者を呼び、原因を調べるとしています。変化点は、間引きの対象から外す回です。
ソニーセミコンダクタソリューションズは、抜き取る単位の組み方を示しています。同社は、開発段階で作り込んだ摩耗故障に関する信頼性の水準が量産以降も維持されていることを測るために、量産品を抜き取って定期的に製品レベルの信頼性の試験を行うとしています。同社は、そのサンプリングを、ウェーハプロセス、組立プロセス、製造場所などの組合せを考えて、各製品ファミリーから採るとしています。間引きの単位は、ロットの順番よりもこの組合せの側にあります。組合せが1つ増えれば、同じ頻度のままで1組合せあたりの母数が薄まります。
ロームは、全数と全ロットを信頼性試験へ回す難しさを挙げ、実績のある条件を保ったまま作り続けることが、市場で信頼性問題が起きるのを先回りして抑える手立てになるとしています。間引きの土台は、工程が安定している側にあります。
つまみを動かすと何が動きますか
Section titled “つまみを動かすと何が動きますか”1つ目のつまみは、1ロットあたりのサンプルの大きさです。大きくする側では、同じ不良率のロットが合格する確率、つまり消費者危険βが下がる代わりに、検査へ回す時間と枚数が増えます。ルネサス エレクトロニクスの検査水準IからIIIは、この釣り合いをロットの大きさごとの表にしたものです。小さくする側では、検査費用が下がる代わりに、βが上がります。JIS Z 9002の例でいえば、サンプル120個で、不良率5%のロットが14%の確率で通ります。
2つ目のつまみは、検査するロットの間隔です。ロームは、管理項目と管理値、サンプリング頻度を、工程実力の改善などに合わせてPDCAサイクルで定期的に見直し、管理の側を作り直していくとしています。間隔を広げる側では、検査装置の時間とサイクルタイムを生産へ回せる代わりに、規格外を検出したときにさかのぼる範囲が広がります。間隔を詰める側では、さかのぼる範囲が狭くなる代わりに、検査装置がボトルネックへ近づきます。
3つ目のつまみは、切り替えの規則です。ユルイ検査へ動かす条件は、品質水準がAQLより確実に良い側にあり、それが先も続くと見込めることです。この見立てが実際からずれた区間は、そのまま消費者危険の側へ乗ります。ロームがABC管理で挙げるBの領域、つまり規格内でありながら実力の範囲から離れた状態は、この見立てを更新するための入力になります。同社は、A・B・Cの区分の基準を、工程実力とリスクに基づいて設定するとしています。
間引きの深さは、欠陥検査やウェーハ外観検査へ回す装置台数と、歩留まり学習の速さを同時に左右します。SPCの管理図へ打つ点の間隔も、この頻度がそのまま決めます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”抜き取り検査の間引きとは何ですか?
1ロットから採るサンプルの数を削るか、検査するロットの回数を削って、検査へ回す装置時間と枚数を減らす運用です。前者はロットごとの合否判定を粗くし、後者はそのロットの合否判定そのものを空欄にします。
サンプルを削る向きと、ロットを飛ばす向きはどこが異なりますか?
差し出すものが異なります。サンプルを削ると、そのロットの合否判定は残ったまま、合格の確率が不良率に対して鈍くなります。ロットを飛ばすと、そのロットの合否は空欄のままになります。日本規格協会は、後者の手順をJIS Z 9015-3として規定しています。
間引くと、不良を抱えたロットはどれくらい通りますか?
ルネサス エレクトロニクスは、計数基準型1回抜取検査であるJIS Z 9002でP0を1.0%、P1を5.0%とすると、サンプルの大きさは120、合格判定個数は3になるとし、合格の確率を不良率1.0%のロットで約0.97、不良率5.0%のロットで約0.14としています。5%の不良を抱えたロットが14%の確率で合格します。
スキップロット抜取検査という規格はありますか?
あります。日本規格協会のJSA GROUP Webdeskは、JIS Z 9015-3:2011を「計数値検査に対する抜取検査手順―第3部:スキップロット抜取検査手順」とし、計数値による合否判定の検査に対して、スキップロット抜取検査の手順をひととおり定めた規格だとしています。1999年5月20日に制定され、2011年3月22日に改正された、和文32ページの規格です。
検査の厳しさはどう切り替わりますか?
ルネサス エレクトロニクスは、AQL指標型の方式が、過去のロットの検査実績など品質水準の程度に応じて、ナミ検査、キツイ検査、ユルイ検査の3つへ切り替わるとしています。ユルイ検査へ移すのは、品質水準がAQLより確実に良い側にあり、その状態が今後も続くと見込めるときです。
必ず検査する回はどこですか?
ロームは、作業者交替、材料交換、生産品種切り替えのように4Mが変化するタイミングを、異常が発生しやすい変化点とし、4Mが変化した後も出来栄えが同じ範囲に収まることを、その場で測るとしています。ソニーセミコンダクタソリューションズは、量産品のサンプリングを、ウェーハプロセス、組立プロセス、製造場所などの組合せを考えて各製品ファミリーから採るとしています。
検査頻度は一度設定したあと、どう見直しますか?
ロームは、管理項目と管理値、サンプリング頻度を、工程実力の改善などに合わせてPDCAサイクルで定期的に見直すとしています。工程実力が上がった分だけ緩める余地が生まれ、トラブルが起きた分だけ詰める先になります。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 欠陥検査とは ── 間引きの対象になる検査そのものの中身
- SPC(統計的工程管理)とは ── 間引いた頻度で打った点から、工程の変化を検出する側
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- ルネサス エレクトロニクス「半導体信頼性ハンドブック」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 抜取検査の考え方と生産者危険α・消費者危険β、JIS Z 9002でP0=1.0%・P1=5.0%のときのn=120とC=3および合格の確率0.97と0.14、ナミ・キツイ・ユルイの3段と適用条件、検査水準IからIIIとS-1からS-4、AQL0.65とロット5,000の例、LTPD側の231個の例
- ローム「品質・信頼性ハンドブック」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 全数と全ロットを信頼性試験へ回すことの難しさ、サンプリング頻度をPDCAで定期的に見直す旨、4M変化点と始業点検、ABC管理のA・B・Cの区分と設定の根拠、規格外時の生産停止と対象範囲の特定
- ソニーセミコンダクタソリューションズ「半導体デバイスの信頼性ハンドブック」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 量産段階での抜き取りと定期的な製品レベルの信頼性試験、ウェーハプロセス・組立プロセス・製造場所の組合せを考えた製品ファミリーごとのサンプリング
- 日本規格協会 JSA GROUP Webdesk「JIS Z 9015-3:2011 計数値検査に対する抜取検査手順―第3部:スキップロット抜取検査手順」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 規格の題名と規格概要、1999年5月20日制定・2011年3月22日改正の履歴、和文32ページ
- 日本規格協会 JSA GROUP Webdesk「JIS Z 9015-1:2006 計数値検査に対する抜取検査手順―第1部:ロットごとの検査に対するAQL指標型抜取検査方式」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── AQL指標型抜取検査方式の題名と、1999年5月20日制定・2006年11月20日改正の履歴
- ミツトヨ「品質管理の基礎知識」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── ロット、サンプル、サンプルの大きさ、母集団の決め方