リフローとは
リフローとは、基板の上へ先に塗ったはんだを、部品を載せたまま炉で温め直して接合する方法です。 名前は、いちど固まったはんだをもう一度溶かす(re-flow)ところから来ています。
はんだが来る順番が、2つの方法を分けています
Section titled “はんだが来る順番が、2つの方法を分けています”千住金属工業は、リフロー炉を、ソルダペーストを印刷した基板へ電子部品を搭載し、決められた温度の道筋にそって加熱と冷却を行うことで接合する装置としています。同社はこれを表面実装(SMT)の主要装置とし、微細化と高密度化に合わせた高精度な温度制御によって安定したはんだ付け品質を実現するとも述べています。
ここで先に塗る材料がソルダペーストです。千住金属工業の製品紹介では、はんだの微粉末と粘度の高いフラックスを混ぜ合わせてペースト状にした接合材料であり、家電から自動車、サーバまで幅広い用途で使われるとしています。ペースト状なので、必要な場所へ必要な量だけを印刷で塗れます。
比べる相手は、同じ千住金属工業のフローはんだ付け装置です。同社の紹介では、基板の挿入部品へフラックスを塗ったあと、溶けたはんだへ接触させて接合する装置であり、スルーホール実装で広く使われるとしています。
つまり、はんだが来るタイミングが違います。フローでは、はんだは溶融したまま装置の側に待っていて、部品と基板があとから触れに行きます。リフローでは、はんだは接合したい場所へ最初から乗っていて、あとから熱だけが来ます。
部品ごと温めるので、時間の道筋が要ります
Section titled “部品ごと温めるので、時間の道筋が要ります”リフローでは、はんだの一点だけを温めるかわりに、基板も部品も丸ごと炉を通ります。そのため、はんだが溶ける温度まで届かせつつ、部品が耐えられる範囲の内側で炉から抜ける、という時間の道筋が要ります。これが温度プロファイルです。
ロームは抵抗器のはんだ付け条件を公開しています。2026年1月版の資料では、推奨するはんだ材料が鉛フリーのSn-3Ag-0.5Cuで、リフローの推奨条件は予備加熱150〜180℃を120秒以内、220℃を60秒以内、ピーク温度260±5℃を10秒以内、リフロー回数は2回です。同社の抵抗器シリーズ向けの推奨値です。
同社は面実装のモールドダイオード向けにも別の条件を公開しています。2011年11月版の資料では、昇温速度1〜5℃/秒、予備加熱130〜170℃を50〜120秒、230℃を20〜30秒、ピーク245〜260℃を10秒以内、冷却60秒以上、リフロー回数2回です。同社はピーク温度について245℃以上を推奨し、それより低い温度で使う場合には、ピーク温度の保持時間を長く、はんだ付け時間を長く、ソルダーペースト厚を厚くするなどの調整を勧めています。
同じメーカーの資料でも、部品の種類が違えば推奨条件の数字が違います。抵抗器の予備加熱は150〜180℃、モールドダイオードの予備加熱は130〜170℃です。温度プロファイルは、載せる部品の推奨条件に合わせて選びます。
はんだ合金ごとに、溶ける温度が違います
Section titled “はんだ合金ごとに、溶ける温度が違います”炉の設定は、使うはんだ合金と対になります。千住金属工業は、Sn-Cu系のM20を融点227〜229℃、Sn-Sb系のM10を融点240〜243℃と公表しています。いずれも同社製品の値です。同社はSn-Ag-Cu系のM705を業界標準の組成として実績があるとし、低銀のM40についてはM705と同じ温度プロファイルで実装が可能だとしています。
合金がそろえば、炉の側も対応の幅を持てます。千住金属工業のリフロー炉には、高温はんだ用の超高温タイプ、半導体向けの微細バンプ形成タイプが並びます。真空タイプのSVR-625GT-Cについては、最高380℃まで温度を設定でき、パワー半導体向けの高温プロファイルに対応するとしています。同社製品の仕様です。
炉の中の空気も、接合の質に関わります
Section titled “炉の中の空気も、接合の質に関わります”千住金属工業のリフロー炉には窒素を使うタイプが並びます。同社はSNR-GTシリーズについて、炉内の全ゾーンで安定した低酸素濃度を実現するとし、窒素対応のウェーブはんだ付け装置については酸化物の低減を挙げています。SNR-GTIIシリーズでは、窒素使用量を約50%、消費電力を約10%削減できるとしています。いずれも同社従来機比の値です。
接合部の内側にできるボイドも、炉と材料の両方で抑えます。千住金属工業は、真空タイプのSVR-625GT-Cが独自の真空制御でボイドの低減と飛散の抑制を実現するとし、ソルダペーストのS280シリーズについては、面積の大きい接合部のボイドを低減して放熱性の向上に効果を発揮するとしています。いずれも同社の製品ページに記された内容です。実装と熱の話が、ここでひとつにまとまります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”リフローとは何ですか?
基板へ先に塗ったはんだを、部品を載せたまま炉で温め直して接合する方法です。千住金属工業は、リフロー炉をソルダペーストを印刷した基板へ電子部品を搭載し、決められた温度の道筋にそって加熱と冷却を行って接合する装置としています。
フローはんだ付けとの違いは何ですか?
はんだが来る順番です。千住金属工業のフローはんだ付け装置の紹介では、基板の挿入部品へフラックスを塗ってから、溶けたはんだへ接触させて接合し、スルーホール実装で広く使われるとしています。リフローでは、はんだは接合したい場所へ最初から乗っています。
温度プロファイルとは何ですか?
炉を通る間の温度の道筋です。ロームが抵抗器シリーズへ推奨する条件(2026年1月版)では、予備加熱150〜180℃を120秒以内、220℃を60秒以内、ピーク温度260±5℃を10秒以内としています。同社の抵抗器シリーズ向けの推奨値です。
なぜピーク温度が260℃ほどになるのですか?
鉛フリーのはんだが溶ける温度がその手前にあるためです。千住金属工業は、Sn-Cu系のM20を融点227〜229℃、Sn-Sb系のM10を融点240〜243℃と公表しています。いずれも同社製品の値です。ロームが抵抗器へ推奨する材料はSn-3Ag-0.5Cuで、ピークは260±5℃を10秒以内としています。
リフロー炉には何回まで通せますか?
部品ごとに推奨があります。ロームは抵抗器でも面実装のモールドダイオードでもリフロー回数を2回とし、フローはんだと手はんだについては1回としています。いずれも同社の推奨条件です。
窒素を使う炉があるのはなぜですか?
酸化物の低減のためです。千住金属工業は窒素対応のウェーブはんだ付け装置について酸化物の低減を挙げ、リフロー炉のSNR-GTシリーズについては炉内の全ゾーンで安定した低酸素濃度を実現するとしています。同社はSNR-GTIIシリーズで窒素使用量を約50%、消費電力を約10%削減できるとしています。いずれも同社従来機比の値です。
真空のリフロー炉は何のためにありますか?
高温と、ボイドの低減のためです。千住金属工業は真空タイプのSVR-625GT-Cについて、最高380℃まで温度を設定でき、パワー半導体向けの高温プロファイルに対応し、独自の真空制御でボイドの低減と飛散の抑制を実現するとしています。同社製品の仕様です。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- フリップチップとは ── チップを裏返してバンプで直につなぐ実装方式
- ダイボンディング(ダイアタッチ)とは ── チップを基板やリードフレームへ載せて接合する工程
- リードフレームとは ── リフローで基板へ載る側の、金属の枠組み
この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- 千住金属工業「リフロー炉」公式製品ページ(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── リフロー炉がソルダペーストを印刷した基板へ電子部品を搭載し、制御された温度プロファイルで加熱と冷却を行って接合する装置であること、表面実装(SMT)の主要装置で微細化と高密度化に対応する高精度な温度制御により安定したはんだ付け品質を実現するとしていること、SNR-GTIIシリーズが窒素使用量を約50%・消費電力を約10%削減(同社従来機比)とされること、SNR-GTシリーズが炉内全ゾーンで安定した低酸素濃度を実現すること、超高温タイプのSNR-GT-Hとバンプ形成タイプのSNR-GT-Bが並ぶこと、真空タイプのSVR-625GT-Cが最高380℃までの温度設定でパワー半導体向け高温プロファイルに対応し独自の真空制御でボイド低減と飛散抑制を実現することを、この出典で確かめています。
- 千住金属工業「フローはんだ付け装置」公式製品ページ(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── フローはんだ付け装置が基板上の挿入部品へフラックスを塗布後、溶融したはんだに接触させて接合する装置であること、スルーホール実装に広く用いられること、窒素対応のECOPASCAL SPF2-Nシリーズについて酸化物低減が挙げられていることを、この出典で確かめています。
- 千住金属工業「ソルダペースト」公式製品ページ(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── ソルダペーストがはんだの微粉末と高粘性フラックスを混錬してペースト化した接合材料であること、家電から自動車、サーバまで幅広い用途に使われるとしていること、S280シリーズが大面積接合部のボイドを低減し放熱性向上に効果を発揮するとされることを、この出典で確かめています。
- 千住金属工業「はんだ合金」公式製品ページ(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── M20が融点227〜229℃のSn-Cu系で、シンプルな組成によるコスト優位性が高いとされること、M10が融点240〜243℃のSn-Sb系であること、M705がSn-Ag-Cu系で業界標準組成として実績を持つとされること、低銀のM40がM705と同じ温度プロファイルで実装可能とされることを、この出典で確かめています。いずれも同社製品の値です。
- ローム「抵抗器 はんだ付け条件」アプリケーションノート No.67AN022J Rev.010(2026年8月30日にリンク生存を実測、200、application/pdf)── 推奨はんだ材料が鉛フリーはんだペーストSn-3Ag-0.5Cuであること、リフロー推奨条件が予備加熱150〜180℃を120秒以内・220℃を60秒以内・ピーク260±5℃を10秒以内でリフロー回数2回であること、フローはんだ推奨条件がピーク265℃・10秒以内・1回であること、手はんだ推奨条件がこて先350℃・3秒以内・1回であることを、この出典で確かめています。2026年1月版の資料です。
- ローム「はんだ付け条件 面実装パッケージ」データシート Rev.D(2026年8月30日にリンク生存を実測、200、application/pdf)── 面実装モールドダイオード向けのリフロー推奨条件が、予備加熱速度1〜5℃/秒・予備加熱130〜170℃を50〜120秒・230℃を20〜30秒・ピーク245〜260℃を10秒以内・冷却60秒以上でリフロー回数2回であること、ピーク温度について245℃以上を推奨し、それ以下で使う場合はピーク温度の時間、はんだ付け時間、ソルダーペースト厚の調整を勧めていることを、この出典で確かめています。2011年11月版の資料です。