ダイボンディング(ダイアタッチ)とは
ダイボンディングとは、切り分けたチップを基板やリードフレームの決められた位置へ接合する工程です。 ダイアタッチとも呼ばれ、以降の配線と封止の前提になります。
ダイシングで切り分けられたチップは、決められた位置へ、決められた向きで、以降の工程で動かずに済む状態へ据える必要があります。この接合を担うのがダイボンディングです。位置がずれたまま接合すると、続く配線工程が破綻します。
接合する材料は用途ごとに選びます。樹脂の接着剤、フィルム状の接着材、はんだ、銀の焼結材などがあります。選ぶ基準は、放熱の要求、電気的な導通の要否、耐熱性、費用です。
放熱が決め手になる場面があります。パワー半導体のように発熱が大きい製品では、熱を裏面から基板側へ抜く経路が要ります。樹脂系の接着剤では熱が伝わりにくいため、熱を伝えやすいはんだや焼結材が選ばれます。Besiは公式製品ページでソフトはんだダイボンディングをパワー半導体向けとして掲載しています。
装置の側から言えば、1サイクルの中身は4つの動作です。ウェーハ側でチップを突き上げて吸着する動作、基板側へ接着材を塗る動作、チップを運んで下ろす動作、そして位置を測る動作です。キヤノンマシナリーはBESTEM-D310の公式製品ページで、この塗布をツインディスペンス方式とし、接着剤の塗布とチップ実装のあいだの距離を最小にして接着剤の経時変化を抑えると記しています。塗ってから載せるまでの時間が長いほど、樹脂の粘度が動いて濡れ広がりが変わります。
要る実装精度は構成で変わります。ワイヤで配線する構成なら比較的緩く済みます。フリップチップやハイブリッドボンディングのようにチップ側の電極を直接相手の電極へ合わせる構成では、ずれがそのまま導通の失敗になります。ASMPTは公式製品ページでAMICRAを超高精度ダイボンディングの製品として掲載しています。
量産の汎用機の水準は公式仕様に出ています。キヤノンマシナリーはBESTEM-D310のボンディング精度をXY±25μm(3σ)、θを±1°(3σ、□1.0mm以上)と±3°(3σ、□1.0mm未満)とし、対象チップを□0.3mmから□8.0mm、厚さ0.1mmから0.5mmとしています。同社のBESTEM-D510は12インチウエハー対応で、精度は同じXY±25μm(3σ)ながら厚さ0.075mmからの薄いチップまで対象に含め、リードフレームを長さ100mmから300mm、幅25mmから102mm、厚さ0.075mmから2.0mmまでとしています。薄ウェーハハンドリング側の要求が、そのままダイボンダの受け入れ範囲に出ています。
積層する製品では、チップの上へチップを重ねます。下のチップを傷めずに済む荷重で、かつ傾かずに載せる必要があります。段数が増えるほど、1段ごとのわずかな傾きが上へ累積します。Besiは公式製品ページでダイアタッチ装置の製品群を掲載しています。累積した傾きは、ワイヤボンディングのループ高さや封止樹脂の厚みの余裕を食い、最後は反りとして基板側へ出ます。
精度を上げた分は、時間で払います
Section titled “精度を上げた分は、時間で払います”キヤノンマシナリーの公式仕様に、この取引が数字で並んでいます。同社はD311plusを裏面認識カメラ搭載機とし、ボンディングスピードを裏面認識OFFで0.248sec/cycle、ONで0.300sec/cycle、ボンディング精度をOFFでXY±25μm(3σ)、ONでXY±15μm(3σ)と掲げています(いずれもプロセス時間を除いた値)。精度が±25μmから±15μmへ、つまり1.67分の1に縮む代わりに、1サイクルが0.052秒、比で約1.21倍に伸びます(比はこちらで計算しました)。
この0.052秒を1時間ぶんに直すと差が出ます。プロセス時間を除いた単純換算では、0.248sec/cycleで1時間あたり約14,516サイクル、0.300sec/cycleで12,000サイクルです(換算はこちらで計算しました)。差は約2,500サイクル/時で、これが裏面認識を入れた代償です。裏面認識を入れると対象チップの範囲も動き、同社はD311plusの裏面認識対応時のチップサイズを□0.3mmから2.5mm(オプションで□0.1mmから0.7mm)としています。標準の□0.3mmから□8.0mmより狭い範囲です。
装置の据え付け側の数字も同じページに出ています。D310とD311plusは電源AC200V 15A、ドライエアが0.4MPaで60L/min、真空源が-66.7kPaで100L/min、装置サイズが幅1,860×奥行1,282×高さ1,622mm、重量が約1,500kgです。D510は幅1,900×奥行1,400×高さ1,600mmで、マウント部ヒーターが最大200℃を1チャンネル分です。この200℃という上限が、エポキシ系で使える硬化条件の枠を作ります。
熱を抜く量が、材料を決めています
Section titled “熱を抜く量が、材料を決めています”材料の側は熱伝導率で並びます。レゾナックは焼結銅接合ペーストの公式ソリューションページで、焼結銅の熱伝導率を300W/(m・K)、比較対象の高鉛はんだを30W/(m・K)としています。10倍の差です(比はこちらで計算しました)。同社は、高鉛はんだの接合ではダイボンド部位が放熱のボトルネックになり、焼結銅ではSiCからの発熱が拡散して局所的な温度上昇が抑えられると記しています。
住友ベークライトは公式ニュースで、はんだの熱伝導率を25〜60W/m・KとしてSiCパワー半導体に求められる放熱性には不足すると述べ、同社のセミシンタリング銀ペーストを150W/m・Kとしています。同社はこの製品を無加圧の工程で使える点、硬化温度が従来のフルシンタリング材より低い点を挙げ、線膨張係数の差による硬化時のストレスが減るとしています。置き換え対象の鉛はんだは鉛含有量37%で、サンプル供試は2023年9月から、量産化目標は2024年12月です。
同じ150W/m・Kでも、加圧が要るかどうかで工程の姿が変わります。京セラはダイアタッチ用銀シンタリングペーストの公式製品ページで、ナノ銀粉とミクロン銀粉の金属焼結による結合性を挙げ、接合プロセスを無加圧接合、塗布方法を従来の銀ペーストと同じとし、-55℃と150℃の冷熱サイクル試験での熱抵抗変化をはんだとの比較として掲げています。加圧が要る材料では、荷重をかける機構と時間が装置側に乗ります。
寿命の側の数字も出ています。レゾナックは、Tj,max=175℃のパワーサイクル試験で焼結銅の特性寿命が高鉛はんだの約40倍、焼結銀の約5倍になったと記しています。銅は銀より弾性率と降伏応力が高く熱膨張係数が小さいため、熱歪みが弾性変形の範囲に収まって疲労破壊に至りにくいという機構です。同社はダイボンド用を5mm角から13mm角、大面積接合用を30mm角から50mm角と想定し、大面積では焼結銅のほうが低い圧力で熱圧着できて総荷重を減らせるとしています。
つまみと、その代償
Section titled “つまみと、その代償”- 裏面認識を入れると精度がXY±25μmから±15μm(3σ)へ縮みますが、1サイクルが0.248秒から0.300秒へ伸び、対象チップも□8.0mmから2.5mmへ狭まります。切ると速度と対象範囲は戻る一方、精度が±25μmに戻り、フリップチップ側の合わせ余裕が減ります。
- ボンディング荷重を上げると接着材が薄く均一に広がり、ボイドが減って熱抵抗が下がります。代わりに下のチップへ応力が入り、積層品では下段のクラックが増えます。下げると下段は守れる一方、接着層が厚くなって熱抵抗が上がります。
- 硬化温度を上げると樹脂の硬化が進んで接着強度が出ますが、硬化時の線膨張係数の差でストレスが増え、反りが大きくなります。下げるとストレスは減る一方、硬化時間が伸びて装置の占有が増えます。キヤノンマシナリーのD510はマウント部ヒーターの上限を200℃としています。
- 材料を焼結銀や焼結銅へ替えると熱伝導率が30W/(m・K)から150〜300W/(m・K)の側へ動き、寿命も高鉛はんだの約40倍まで伸びます。代わりに材料費が上がり、フルシンタリング材では加圧の機構と時間が要ります。樹脂系を選ぶと費用は下がる一方、パワーモジュールの放熱経路が接合層で詰まります。
この用語に対応する装置と製造メーカー
Section titled “この用語に対応する装置と製造メーカー”装置カタログDBから、この用語に一致する製品familyを持つメーカー 3社/4family を引いています。 各行は各社の公式製品ページを出典とします。 DBからの生成日: 2026-08-22
- ASMPT
- AMICRA ultra-high precision die bondingPackaging / Die Bonding
- Besi
- Besi die attach equipmentPackaging / Die Attach
- Soft solder die bondingPackaging / Power Semiconductor
- キヤノン株式会社
- Canon Machinery BESTEM die bonder familyPackaging / Die Bonding
出典は各社の公式製品ページです。 装置カタログDB では、同じ製品familyを工程・メーカー横断で検索できます。
関連するデータ・ツール
Section titled “関連するデータ・ツール”- ダイアタッチの工程ページ ── 工程分類と、この工程に接続している公開求人
- ボンディング・接合(全体)の工程ページ ── 接合工程の全体
- 装置カタログDB ── 公式製品ページ単位のメーカーと製品family
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ダイボンディングとは何ですか?
切り分けたチップを、基板やリードフレームの決められた位置へ接合する工程です。ダイアタッチとも呼ばれます。この接合が、以降の配線と封止の前提になります。
何で接合するのですか?
用途ごとに選びます。樹脂の接着剤、フィルム状の接着材、はんだ、銀の焼結材などが使われます。Besiは公式製品ページでソフトはんだダイボンディングをパワー半導体向けとして掲載しています。
材料は何で選びますか?
放熱、電気的な導通の要否、耐熱性、費用です。発熱の大きいパワー半導体では熱を裏面から抜く経路が要るため、熱を伝えやすいはんだや焼結材が選ばれます。発熱が小さい製品では樹脂系で足ります。
実装精度はどのくらい要りますか?
製品によって大きく変わります。キヤノンマシナリーはエポキシ用ダイボンダーBESTEM-D310のボンディング精度をXY±25μm(3σ)、裏面認識カメラを載せたD311plusを裏面認識ON時にXY±15μm(3σ)と掲げています。ASMPTは公式製品ページでAMICRAを超高精度ダイボンディングとして掲載しています。
精度を上げると何を差し出しますか?
時間です。キヤノンマシナリーの公式仕様では、D311plusのボンディングスピードが裏面認識OFFで0.248sec/cycle、ONで0.300sec/cycleです。精度が±25μmから±15μmへ縮む代わりに、1サイクルが0.052秒伸びます。
積層する製品ではどうなりますか?
チップの上へチップを重ねます。下のチップを傷めずに済む荷重で、かつ傾かずに載せる必要があります。段数が増えるほど、わずかな傾きが上へ累積します。
焼結材とはんだでは放熱がどれだけ違いますか?
レゾナックは公式ソリューションページで、焼結銅接合ペーストの熱伝導率を300W/(m・K)、高鉛はんだを30W/(m・K)としています。住友ベークライトははんだの熱伝導率を25〜60W/m・Kとし、同社のセミシンタリング銀ペーストを150W/m・Kとしています。
ダイボンダのメーカーはどこですか?
当サイトの装置カタログDBでは、ダイボンディングに一致する製品familyを持つメーカーを公式製品ページ単位で引けます。Besi、ASMPT、キヤノンマシナリー、Kulicke & Soffaなどが該当します。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 半導体パッケージング ── 工程としてのパッケージング
- 3Dパッケージング工程フロー ── 後工程の流れ
この記事の事実は次の一次資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- Besi「Die Attach」公式製品ページ(2026年8月22日に実測。2026年9月3日の再実測も200)── ダイアタッチ装置の製品群
- Besi「Soft Solder Die Bonding」公式製品ページ(2026年8月22日に実測。2026年9月3日の再実測も200)── ソフトはんだダイボンディングのパワー半導体向けという位置づけ
- ASMPT「Ultra High Precision Die Bonding」公式製品ページ(2026年8月22日に実測。2026年9月3日の再実測も200)── AMICRAという超高精度ダイボンディングの製品区分
- キヤノンマシナリー「BESTEM-D310/D311plus」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── エポキシ接合とツインディスペンス方式、D310の0.180sec/cycle、D311plusの0.248sec/cycle(裏面認識OFF)と0.300sec/cycle(ON)、精度XY±25μmと±15μm(3σ)、θ±1°/±3°(3σ)、チップ□0.3〜□8.0mmと裏面認識時の□0.3〜2.5mm、リードフレーム50〜260mm、AC200V 15A、ドライエア0.4MPa(60L/min)、真空源-66.7kPa(100L/min)、装置1,860×1,282×1,622mm、重量約1,500kg
- キヤノンマシナリー「BESTEM-D510」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── 12インチ対応、XY±25μm(3σ)、チップ厚0.075〜0.5mm、リードフレーム長さ100〜300mm・幅25〜102mm・厚さ0.075〜2.0mm、装置1,900×1,400×1,600mm、マウント部ヒーター最大200℃-1CH
- 住友ベークライト「次世代パワー半導体向け高熱伝導シンタリング銀ペースト」公式ニュース(2026年9月3日に実測、200)── セミシンタリング銀ペーストの150W/m・K、はんだの25〜60W/m・KがSiCには不足すること、無加圧工程での使用、硬化温度がフルシンタリング材より低いこと、鉛はんだの鉛含有量37%、2023年9月のサンプル供試開始と2024年12月の量産化目標、マイクロ銀がナノ銀より安いこと
- レゾナック「焼結銅接合ペースト」公式ソリューションページ(2026年9月3日に実測、200)── 焼結銅の300W/(m・K)と高鉛はんだの30W/(m・K)、Tj,max=175℃のパワーサイクル試験での特性寿命が高鉛はんだの約40倍・焼結銀の約5倍、銅の弾性率と降伏応力が銀より高く熱膨張係数が小さいこと、ダイボンド用5〜13mm角と大面積接合用30〜50mm角、焼結銅が焼結銀より低い圧力で熱圧着できること
- 京セラ「ダイアタッチ用 銀シンタリングペースト」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── ナノ銀粉とミクロン銀粉の金属焼結、無加圧接合、従来の銀ペーストと同じ塗布方法、-55℃/150℃の冷熱サイクル試験での熱抵抗変化
- 1.67分の1、約1.21倍、0.052秒、約14,516サイクル/時と12,000サイクル/時、10倍は、上記公式記載値からこちらで計算した値です
- 装置と製造メーカーの行は
intel.equipment_vendor_families(公式製品ページ由来)から生成