Ru配線とは
Ru配線とは、銅のかわりにルテニウムを配線材料に使う構成です。 バルクの抵抗率では銅に劣りますが、細い配線では逆転する領域があります。
材料の良し悪しを、抵抗率の表だけで順位づけると外します。銅の抵抗率はルテニウムより低く、その意味では銅のほうが優れています。
ところが配線の抵抗は、抵抗率と断面積の組み合わせで決まります。そしてバリアメタルの記事で見たとおり、銅は絶縁膜への拡散を抑えるバリアを必要とし、その膜が溝の内壁を先に占めます。実際に電流が通る銅の断面は、溝の寸法より狭くなります。
配線が細くなるほど、この取り分が線幅に占める割合は上がります。imecは公開技術記事で、銅はバリア・ライナー・キャップを必要とし、これらの追加層が使える線幅の大きな割合を占めるため、配線金属そのものが導電断面を使い切れなくなるとしています。
バリアを省ける金属なら、この取り分がまるごと消えます。同じ溝でも金属の断面を広く取れるため、抵抗率で負けていても線抵抗で勝つ領域があります。 細い配線ほど、この逆転が起きやすくなります。
バリアを外すには、2つの証明が要る
Section titled “バリアを外すには、2つの証明が要る”ただし「バリアを省ける」と言うには、示すべきことが2つあります。バリアは銅の拡散を防ぐだけでなく、エレクトロマイグレーションを抑える役目も担っているからです。絶縁側の寿命と導体側の寿命は、別々の試験になります。
imecは公開技術記事で、両方の結果を並べています。以下は同社の試験構造で得られた値です。バリアレスのRuメタライゼーションと誘電率3.0の絶縁膜を使い、金属ピッチ21nmのデュアルダマシン構造で、RCが30%改善し、330℃・530時間ではEM故障が観測されず、100℃でのTDDB故障時間は10年を超えたと報告しています。
ビア単体でも比較が出ています。imecの公式プレスリリースは、0.3nmのTiNライナーの上にRuを充填したバリアなしのビアについて、その抵抗が1.5nmのTaNバリアを持つCo充填の同等プロセスを上回ったと述べています。
削れる材料であることの意味
Section titled “削れる材料であることの意味”Ruにはもう1つの利点があります。銅より削りやすいことです。
ダマシン法は、銅をエッチングで削るのが難しいという事情から生まれた方式でした。エッチングで削りにくい材料を配線にするために、掘って埋めて研磨するという順序を選んでいます。削れる材料なら、この順序から降りられます。金属を先に付け、そのまま直接パターニングします。imecがセミダマシンと呼ぶ方式です。
差が出るのはアスペクト比です。埋める方式では、細く深い溝を隙間なく埋めることが難しく、縦に伸ばすほど失敗が増えます。削る方式は、溝を埋める工程そのものを飛ばします。幅を変えずに高さだけ伸ばして断面を稼ぐという道が開きます。
数字も公開されています。以下はimecが示す目標値と実験結果です。今日の典型的なCu配線のアスペクト比が約1.6であるのに対し、セミダマシン第1世代でM0にアスペクト比2、第2世代で3を狙うとしています。さらにプレスリリースでは、アスペクト比6のRu配線をセミダマシンで作り、面積を保ったまま約40%の抵抗低減を実験的に示したと発表しています。
面積を増やさずに抵抗が4割下がります。平面で詰めるかわりに、縦に伸ばして断面を稼ぐ方向です。
どこまで来ているか
Section titled “どこまで来ているか”寸法も歩留まりも公開されています。以下は研究段階での実証結果です。imecは2025年6月の発表で、セミダマシンによる16nmピッチのRu配線を実証したとしています。あわせて、18〜22nmピッチの範囲ではウェーハ全面の歩留まりが90%以上であることも報告しています。
1本うまく作れたという段階を越えて、ウェーハ全面でどれだけ成功したかを示す段階に入っています。
もっとも、Ruが銅を全面的に置き換えると決まるまでには、まだ距離があります。逆転が起きるのは細い配線であり、太い配線では今も銅が有利です。層ごとに材料を選び分ける配線が、現実的な着地点になります。
関連するデータ・ツール
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よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”Ru配線とは何ですか?
銅のかわりにルテニウムを配線材料に使う構成です。バルクの抵抗率では銅に劣りますが、細い配線では銅より有利になる領域があります。
抵抗率で劣るのに、なぜ有利になるのですか?
実際に電流が通る断面に差があるためです。銅は絶縁膜への拡散を抑えるバリアが要り、その膜が溝の内壁を占めます。バリアを省ける金属なら、同じ溝でも金属自身が導電断面を使い切れます。
バリアを外した構成に、寿命の裏づけはありますか?
imecは公開技術記事で、バリアレスのRuメタライゼーションを使った金属ピッチ21nmの試験構造について、RCの30%改善に加えて330℃・530時間でEM故障なし、100℃でのTDDB故障時間10年超という結果を示しています。
削れる材料なのですか?
銅より削りやすい材料です。そのため、金属を先に付けてから直接パターニングするセミダマシン方式が成り立ちます。溝を掘って埋めるダマシン法に要る金属CMPの工程も省けます。
削れると何が良いのですか?
アスペクト比を上げられます。imecは、今日の典型的なCu配線のアスペクト比が約1.6であるのに対し、セミダマシン第1世代でアスペクト比2、第2世代で3を狙うとしています。さらにアスペクト比6のRu配線で、面積を保ったまま約40%の抵抗低減を実験的に示したと発表しています。
どこまで細くできていますか?
imecは2025年6月に、セミダマシンで16nmピッチのRu配線を実証したと発表しています。18〜22nmピッチの範囲ではウェーハ全面の歩留まりが90%以上と報告されています。
ビアでも差は出ますか?
ビア単体でも比較結果が公開されています。imecの公式プレスリリースは、0.3nmのTiNライナー上にRuを充填したビア(バリアなし)の抵抗が、1.5nmのTaNバリアを持つCo充填の同等プロセスを上回ったと述べています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- バリアメタルとは ── 断面を奪う側
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- imec「Semi-damascene metallization, an inflection point in back-end-of-line processing」公開技術記事(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── バリア・ライナー・キャップが使える線幅の大きな割合を占めて導電断面を金属自身が使い切れなくなること、Cu配線の典型アスペクト比約1.6、セミダマシン第1世代2・第2世代3の根拠です。
- imec「2 metal layer back-end-of-line for the 3nm technology node」公開技術記事(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── バリアレスRuメタライゼーションと誘電率3.0の絶縁膜による金属ピッチ21nm試験構造でのRC 30%改善、330℃・530時間でEM故障なし、100℃のTDDB故障時間10年超の根拠です。
- imec「path to line resistance halving using semi-damascene high aspect ratio processing」公式プレスリリース(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── アスペクト比6のRu配線をセミダマシンで作り面積を保ったまま約40%の抵抗低減、という結果の根拠です。
- imec「16nm pitch Ru lines with record low resistance」公式プレスリリース(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── セミダマシンによる16nmピッチRu配線の実証、18〜22nmピッチでのウェーハ全面歩留まり90%以上の根拠です。
- imec「Alternative metals for advanced interconnect and contact schemes」公式プレスリリース(2026年8月29日にリンク生存を実測、200)── 0.3nm TiNライナー上のRu充填ビア(バリアなし)の抵抗が1.5nm TaNバリア付きCo充填の同等プロセスを上回ったことの根拠です。