ウェーハ接合とは
ウェーハ接合とは、2枚のウェーハを面ごと重ねて一体化する工程です。 チップに切り分ける前の、丸い板のまま貼り合わせます。
産総研の先端半導体研究センターは、3D集積技術研究チームの紹介ページで、3次元集積実装技術を、シリコン貫通電極やチップおよびウェハ接合技術によって複数のデバイスを積層・集積化する技術としています。同ページは直接接合技術を、接合面を極めて平坦に加工して活性化させることで接合する技術としています。
産総研は2021年の発表で、接着剤などを使わずに2枚のウェーハを直接貼り合わせる技術をウエハー直接ボンディングと呼び、金属薄膜を付けた面で実現するには、その面が原子レベルまで平坦で、しかも酸化した層を除いた活性な状態である必要があると書いています。同発表は、積層数を増やすときにウェーハ接合をはじめ多岐にわたるプロセス技術が要り、その難易度が2次元に配列する既存デバイスに比べて格段に高いとも述べています。
それが無いと、現場で何が起きるのか
Section titled “それが無いと、現場で何が起きるのか”層を重ねるには、上に載る側を薄くします。JEITAの半導体用語集は、裏面研磨を、前工程が済んだウェーハの裏側を研磨して厚さ数十マイクロメートルから200マイクロメートル程度にする工程としています。
ディスコのTAIKOプロセスの解説は、ウェーハ最外周のエッジ部分を約3ミリメートル残して内周だけを研削する方法を紹介し、薄いウェーハの搬送リスクの低減と反りの低減が実現するとしています。同社は、外周の枠を残すメリットとして、ウェーハ強度の向上とハンドリングの容易性の向上も挙げています。薄い板をそのまま運ぶ場面では、反りと搬送が先に問題になります。
そこで、重ねてから削る順序が取られます。SUMCOのシリコンウェーハの製造方法は、SOIウェーハについて、支持基板と活性基板のどちらか一方または両方に酸化膜を作り、2枚を貼り合わせて熱処理することで結合させ、その後に活性基板を所定の厚さまで研削・研磨すると書いています。
実際に何をして、何を測るのか
Section titled “実際に何をして、何を測るのか”ニデックの常温ウェーハ接合装置BOND MEISTERの製品ページは、原理をこう書いています。高真空の中で接合面にイオンビームや中性原子ビームを当てると、材料表面の酸化膜や吸着層が取れて、材料が本来持つ結合の手が露出します。同社はこれを活性化された表面と呼び、その面どうしを接触させると瞬時に接合力が働くとしています。
同ページの装置仕様は、300ミリメートル対応機について、接合チャンバーの真空度を10のマイナス5乗パスカル台、最大印加荷重を200キロニュートン、表面活性化をアルゴン高速原子ビーム、アライメントを赤外線の透過・反射方式と記載しています。貼り合わせ精度は±2マイクロメートルで、同社はこれを実績値と注記しています。
現場が握る量は、真空度、当てるビームの種類、加圧の荷重、そして合わせる位置です。位置の合わせ方は接合アライメントのページにまとめています。
面の状態が、そのまま結果になります
Section titled “面の状態が、そのまま結果になります”産総研が2013年に公表した表面活性化常温接合の研究は、接合面が清浄で原子レベルに平滑である必要があるとしたうえで、MEMSやICを作る工程で接合面の粗さが悪化すると、接合部のひずみが大きくなってデバイスに悪影響を及ぼし、接合そのものが困難になる場合があると書いています。
同発表によると、キセノン高速原子ビームで表面粗さ0.40ナノメートルrmsまで荒らしたシリコン面にネオン高速原子ビームを当てたところ、0.17ナノメートルrmsまで平滑になり、CMPで研磨したシリコンと同程度の粗さが得られました。これらは2013年時点の同研究の試作結果です。
面を平らにする道としてCMPがありますが、同発表は、可動部を持つMEMSデバイスに向けてドライプロセスによる平滑化を選び、ネオン高速原子ビームで面を整えたとしています。使える平滑化の手段が、作っているデバイスの構造によって変わります。
取引 ── 何を得て、何を差し出すのか
Section titled “取引 ── 何を得て、何を差し出すのか”ニデックの製品ページは、常温プロセスで母材並みの接合強度が得られること、接合による熱歪みや熱応力を避けられるため微細化への対応が容易でデバイスの品質が安定すること、加熱と冷却の時間を省いて高いスループットになること、多岐にわたる材料と異種材料を接合できることを利点として挙げています。300ミリメートル対応機の項では、室温で接合するためウェーハ間の熱膨張率の差を避けられ、高いアライメント精度を確保できるとしています。
差し出すものは、真空です。ボンドテックの技術解説は、活性化して結合の手を出しても、不純物のある環境では接合前に不純物と結び付いて活性化の力が落ちるため、超高真空が要るとしています。同社は、超高真空は真空引きにベーキングや時間がかかるため量産装置では使いにくいという課題があったとしたうえで、接合チャンバーに高効率のロードロックチャンバーを設けてスループットを上げたと述べています。
大気中で水を介して貼り合わせる親水化接合について、同社は、大気中で貼り合わせると空気を巻き込んでボイドになるため、ウェーハを撓ませて中央から外周へ接合を押し広げる方法が取られるものの、ウェーハに反りが出ると書いています。
この工程が使われる場所
Section titled “この工程が使われる場所”ニデックの製品ページは、常温接合の用途として、MEMSや水晶デバイスを中心としたウェーハレベルパッケージング、異種材料のベアウェーハを貼り合わせた機能性ウェーハの製造、樹脂や合金などの中間材を省いた直接接合、そしてTSVを形成したウェーハを何層も接合する3次元集積化デバイスの製造を挙げています。同社は、中間材にかかるコストをゼロにできるとも書いています。
JEITAの半導体用語集は、SOIについて、酸化膜を介してシリコン基板同士を貼り合わせる方法が実用化されたと書いています。産総研は2021年の発表で、3次元積層技術がすでにLSIチップやイメージセンサーに使われているとしています。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ウェーハ接合とは何ですか?
2枚のウェーハを面ごと重ねて一体化する工程です。産総研は、接着剤などを使わずに2枚のウェーハを直接貼り合わせる技術をウエハー直接ボンディングと呼んでいます。
なぜチップに切り分ける前に貼り合わせるのですか?
薄くした板を単独で運ぶ場面を減らせるためです。SUMCOはSOIウェーハについて、支持基板と活性基板を貼り合わせて熱処理で結合させたあと、活性基板を所定の厚さまで研削・研磨すると書いています。接合が先で、薄くするのが後という順序です。
常温でもくっつくのですか?
ニデックは、高真空の中でイオンビームや中性原子ビームを当てると表面の酸化膜や吸着層が取れて材料が本来持つ結合の手が露出し、その面どうしを接触させると瞬時に接合力が働くと書いています。同社はこの状態を活性化された表面と呼んでいます。
どのくらい平らな面が要るのですか?
産総研が2013年に公表した研究では、荒れたシリコン面をネオン高速原子ビームで表面粗さ0.17ナノメートルrmsまで平滑にしたところ、CMPで研磨したシリコンと同程度になったとしています。この値は同研究の試作結果です。
現場では何を測って管理しますか?
面の粗さ、真空度、加圧の荷重、そして合わせた位置です。ニデックの300ミリメートル対応機の仕様には、接合チャンバーの真空度が10のマイナス5乗パスカル台、最大印加荷重が200キロニュートン、貼り合わせ精度が±2マイクロメートルと記載されています。同社はこれを実績値と注記しています。
ハイブリッドボンディングとはどう違いますか?
ウェーハ接合は2枚を面ごと一体化する工程全体を指し、ハイブリッドボンディングはその中で誘電体どうしと金属パッドどうしを同時につなぐ形を指します。
どこで使われていますか?
ニデックは常温接合の用途として、MEMSや水晶デバイスを中心としたウェーハレベルパッケージング、異種材料を貼り合わせた機能性ウェーハの製造、そしてTSVを形成したウェーハを何層も重ねる3次元集積化デバイスの製造を挙げています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 接合アライメントとは ── 貼り合わせる2枚の位置を合わせる側の作業
- ハイブリッドボンディングとは ── 誘電体と金属パッドを同時につなぐ形の接合
- ダイボンディング(ダイアタッチ)とは ── 切り分けたチップを基板へ載せる工程
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- 産総研 先端半導体研究センター「3D集積技術研究チーム」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 3次元集積実装技術の記述、直接接合技術を接合面の平坦化と活性化による接合とする記述、ウェハ接合装置をウェハ同士を高精度に位置合わせして接合する装置とする記述
- 産総研「ウエハー常温接合のための原子レベル表面平滑化プロセスを開発」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 表面活性化常温接合の原理、接合面に求められる清浄性と原子レベルの平滑性、面が荒れたときのひずみ増大、キセノン高速原子ビームで0.40ナノメートルrmsまで荒らした面をネオン高速原子ビームで0.17ナノメートルrmsまで平滑化した試作結果、可動部を持つMEMSに向けてドライプロセスの平滑化を選んだ事情
- 産総研「300 mmウエハー積層により単結晶トンネル接合素子をLSIに集積化」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── ウエハー直接ボンディングの記述、金属薄膜の面に求められる原子レベルの平坦性と活性な状態、3次元積層の難易度と応用先
- ニデック「常温ウェーハ接合装置 BOND MEISTER」製品ページ(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 常温接合の原理と特長、300ミリメートル対応機の真空度・最大印加荷重・表面活性化方式・アライメント方式・貼り合わせ精度±2マイクロメートル(同社実績値)、ウェーハレベルパッケージングとウェーハ積層を含む用途
- SUMCO「シリコンウェーハの製造方法」製品情報(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── SOIウェーハで支持基板と活性基板に酸化膜を形成し、貼り合わせて熱処理で結合させたあと活性基板を研削・研磨する順序
- ディスコ「TAIKOプロセス」ソリューション解説(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 最外周のエッジ部分を約3ミリメートル残して内周を研削する方法、薄いウェーハの搬送リスクと反りの低減、外周の枠を残すことによるウェーハ強度とハンドリングの容易性の向上
- JEITA 半導体部会「半導体用語集」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 裏面研磨で厚さ数十マイクロメートルから200マイクロメートル程度にするという記述、SOIで酸化膜を介してシリコン基板同士を貼り合わせる方法が実用化されたという記述
- ボンドテック「技術情報」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 超高真空が要る理由とロードロックチャンバーによるスループット改善、大気中の親水化接合で空気を巻き込むこととセンタープッシュによる反り