分解能とは
分解能とは、測定や変換のときに区別できる、いちばん小さな変化の幅です。 ロームの技術解説は、A/D変換されたデジタル信号のビット数を分解能と呼んでいます。
体温計を思い浮かべると、意味がつかみやすくなります。0.1度きざみの体温計は36.5度と36.6度を別の値として表示しますが、1度きざみの体温計はどちらも36度と表示します。この「別の値として表示できるかどうか」の境目が分解能です。
ロームは技術解説で、A/D変換されたデジタル信号のビット数を分解能と呼び、デジタル信号の差として判別できるアナログ信号の最小振幅を最小分解能(1LSB)としています。同社によれば、アナログ信号とデジタル信号の間に生じる誤差が量子化誤差です。以下の記述は同社の解説に沿います。
同社のマイコン向けの解説は、アナログ信号をデジタル信号へ変換するときに重要な要素を2つ挙げています。1つは、どこからどこまでを変換するかにあたる基準電圧(VREF)です。もう1つが、その範囲を何分割するかにあたる分解能です。分解能が10ビットであれば2の10乗の1024分割になり、最小分解能幅であるVREF電圧を1024で割った値が1LSBにあたります。分解能には8ビット、10ビット、12ビット、16ビットなどがあり、数字が大きいほどアナログ信号を細かく識別します。
目盛りの数は、そのまま読み取れる細かさになります
Section titled “目盛りの数は、そのまま読み取れる細かさになります”キーエンスは計測器ラボで、分解能の違いを測定器の例で示しています。以下は同社の記述です。デジタルストレージオシロスコープは通常8ビット、つまり256分割で、±10V(フルスケールで20V)の測定レンジでは分解能が20を256で割った約78mVになります。波形記録装置は通常12〜14ビット、つまり4096〜16384分割で、同じレンジであれば20を16384で割った約1.2mVです。同社は、分解能が悪くなると計測の精度が下がるため、測定対象によって選ぶ必要が出てくるとしています。
同じ±10Vという範囲を測っていても、1目盛りの幅は78mVと1.2mVで大きく変わります。表示に出るのは1目盛り以上の変化なので、測りたい変化の大きさを先に絞ってから測定器を選びます。
細かさと正しさは、別の指標です
Section titled “細かさと正しさは、別の指標です”分解能の高さと、読み値の正しさは別に決まります。キーエンスは、センサにおける分解能は感度に相当し、測定の細かさの限界(識別限界)を表すとしています。一方で精度は緻密さを表し、計測の分野では分解能とは異なるとしています。以下も同社の記述です。同社は、求めているものが「最小表示桁」なのか「絶対的な値」なのかを先に絞るよう促し、前者であれば表示分解能、後者であれば絶対精度や測定確度を参考にスペックを求めるとしています。そのうえで、A/D分解能を精度と同一視する例に触れ、確度の表記がdigitsあるいはLSBで書かれている場合を除けば、その値は参考程度にとどまると注意を促しています。
目盛りが細かいことと、目盛りが正しい位置にあることは、別々に決まります。1mmきざみの物差しでも、端が欠けていれば読み値はずれたままです。
細かくするほど、変換の速さを手放します
Section titled “細かくするほど、変換の速さを手放します”分解能を上げられる範囲には、方式ごとの上限があります。以下の数値は、ロームがA/Dコンバータの基本形として挙げる方式について、同社が示す目安です。フラッシュ型は基本形の中で最も高速で、サンプリング周波数は1GHz以上も可能ですが、Nビットの分解能には2のN乗から1を引いた数の比較器が必要になり、回路規模と消費電力が大きくなるため、分解能は8ビット程度が限界です。ΔΣ型は基本形の中で最も高分解能で32ビット程度まで届きますが、そのぶん変換は遅くなります。キーエンスも、一般にサンプリング速度と分解能はトレードオフの関係になるとしています。
画像では、1画素が受け持つ範囲が分解能になります
Section titled “画像では、1画素が受け持つ範囲が分解能になります”分解能という言葉の中身は、測定器の種類や原理によって変わります。キーエンスは、画像センサの画素分解能を撮像素子の1画素あたりの視野の大きさで決まるものとし、撮像視野のサイズ(mm)を撮像素子の画素数(画素)で割る式を示しています。同社はまた、1画素で何種類の色を表現できるかを色分解能と呼び、24ビットトゥルーカラーは8ビット(256段階)と3色(RGB)の組み合わせにあたるとしています。以上は同社の記述です。
電子情報通信学会の知識ベースも、画質を測る尺度の項で、輝度信号が8ビットで表現される場合は0から255の範囲になるとしています。段階の数がビット数で決まる点は、電圧でも輝度でも同じです。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”分解能とは何ですか?
測定や変換のときに区別できる、いちばん小さな変化の幅です。ロームの技術解説は、A/D変換されたデジタル信号のビット数を分解能と呼び、デジタル信号の差として判別できるアナログ信号の最小振幅を最小分解能としています。
分解能が10ビットとは、どういう意味ですか?
入力の範囲を1024段に分けるという意味です。ロームのマイコン向け解説では、分解能が10ビットなら2の10乗の1024分割になり、基準電圧を1024で割った幅が1LSBにあたります。
1LSBとは何ですか?
最下位ビットが1つ動くのに必要な入力の変化幅です。ロームは、デジタル信号の差として判別できるアナログ信号の最小振幅を1LSBとし、そこで生じる丸めの誤差を量子化誤差と呼んでいます。
分解能と精度は同じものですか?
別のものです。キーエンスは、分解能は測定の細かさの限界(識別限界)を表し、精度は緻密さを表すとしたうえで、計測の分野では両者は異なるとしています。
分解能を上げれば、測定は必ず良くなりますか?
分解能の高さと確度の高さは別に決まります。キーエンスは、求めているものが最小表示桁なのか絶対的な値なのかを先に絞り、前者であれば表示分解能、後者であれば絶対精度や測定確度を参考にスペックを求めるとしています。同社はまた、一般にサンプリング速度と分解能はトレードオフの関係になるとしています。ロームの目安でも、最も高速なフラッシュ型の分解能は8ビット程度が限界です。
画像でいう分解能はどう決まりますか?
キーエンスは、画像センサの画素分解能を撮像素子の1画素あたりの視野の大きさで決まるものとし、撮像視野のサイズ(mm)を撮像素子の画素数(画素)で割る式を示しています。
分解能とSN比は何が違いますか?
分解能は目盛りの細かさを表し、SN比は信号とノイズの大きさの比を表します。測る対象が別なので、読み取りの良し悪しは2つを合わせて判断します。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- SN比とは ── 信号とノイズの大きさの比を表す指標です
- ADC(A/Dコンバータ)とは ── 分解能というスペックを持つ代表的な変換回路です
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- ローム「A/Dコンバータ 基本動作」エレクトロニクス豆知識(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 分解能がビット数であること、1LSBと量子化誤差の意味
- ローム「マイコン A/Dコンバータ」エレクトロニクス豆知識(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 基準電圧と分解能の関係、10ビットで1024分割になること
- ローム「ADC 基本形1(フラッシュ型)」エレクトロニクス豆知識(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 1GHz以上のサンプリング周波数と、8ビット程度という分解能の限界
- ローム「ADC 基本形4(ΔΣ型)」エレクトロニクス豆知識(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 基本形の中で最も高分解能で32ビット程度まで届くこと
- キーエンス「分解能と精度の考え方」計測器ラボ(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 分解能と精度の違い、8ビットで約78mV・14ビットで約1.2mVという例、画素分解能と色分解能がそれぞれ指すもの
- 電子情報通信学会「知識の森 2群5編9章 符号化画質」知識ベース公開PDF(2026年8月30日にリンク生存を実測、200)── 輝度信号が8ビットのとき0から255の範囲で表されること