工程能力指数(Cp・Cpk)とは
工程能力指数(Cp・Cpk)とは、規格の幅が工程のばらつきの何倍あるかを表す数字です。 規格へどれだけ余裕を持って入っているかを数えるために使います。
検査の合格は、今日そのロットが規格へ入ったという事実を示します。明日も入るかどうかは別の話です。ばらつきが規格の幅いっぱいまで広がった工程と、規格の半分に収まった工程は、どちらも今日は合格します。違いが表に出るのは、材料が変わったときや装置を替えたときです。この差を先に数字にしておくのが工程能力指数です。
ミツトヨの公開解説「品質管理の基礎知識」は、工程能力を、その工程だけが持つ実力と位置づけ、標準化が十分に進んでいること、異常の原因が取り除かれていること、統計的な管理状態のもとで動いていることの3つがそろった工程についてだけ数えられるものとしています。同じ解説は、対象の品質特性が正規分布とみなせるなら、その実力は平均値±3σ、幅で言えば6σで表せるとしています。σは標準偏差です。
同解説は、工程能力指数を、対象とする特性に許された公差を工程能力の6σで割った値とし、規格が片側にしか無い製品では、平均値から規格値までの隔たりを3σで割って表す場合もあるとしています。日本語で言い直せば、Cpは「規格の幅の中に、工程のばらつき全体が何個分入るか」を数えた値です。
Cpに位置の情報を足したCpk
Section titled “Cpに位置の情報を足したCpk”ミツトヨの解説は、Cpの勘定に入るのが許された限界と工程のばらつきの2つだけで、工程の平均がどこにあるかはCpk側で数える点へ注意を促しています。同じ解説は、規格の中心から工程の平均がどれだけずれているかを織り込んだ指数を一般にCpkと呼ぶとし、上限規格値から平均値を引いた上側公差幅と、平均値から下限規格値を引いた下側公差幅のそれぞれを、工程能力の半分にあたる3σで割り、小さいほうの値を採るとしています。
Cpkは「近い側の規格まで、ばらつきの半分が何個分あるか」を数えた値です。近い側だけを数えるのは、不良が出るのが必ず近い側からだからです。
選別に頼る工程で起きること
Section titled “選別に頼る工程で起きること”余裕の大きさが数字になるまで、品質は最後の検査で選り分けて守ることになります。ロームは、ワイドラインに代表される大量生産システムにおいては最終工程での選別に加え、自工程完結型検査を導入することで品質レベルを担保しているとしています。同社は新しいフレキシブルラインについて、あえて加工点から見直しを図る方針を採り、打ち出したコンセプトは「加工点で品質を作り込む」ことで、そのポイントは5M1Eのばらつきの極小化にあるとしています。同社ラインについての記述です。
同社はまた、これまで熟練作業員の経験やカンに頼っていた部分も多かったとしたうえで、数値化することで品質はもとより、さまざまなトラブルを未然に防ぐという点でも大きな効果が期待できるとしています。工程能力指数は、この数値化の出口にあたります。あと何割の余裕が残るかという言い方ができるようになります。
余裕が数字になるまでは、次のことが起きます。
- 規格の端で作り続けていることに気づくのが、不良がまとまって出た日まで遅れます。
- 投資の向きが決まるまでに時間がかかります。中心のずれとばらつきの大きさでは、打つ手がまったく別だからです。
- 取引先へ示せる材料が、合格したという事実だけになります。明日も合格する根拠は、余裕の大きさの側にあります。
実際に何を測り、どう動かすのか
Section titled “実際に何を測り、どう動かすのか”半導体の現場には、ばらつきを3σで語る習慣が先にあります。SEAJの半導体製造装置用語集は、パターン寸法均一性(CDU)について、ウェーハ内の複数点のCDを計測してばらつきを3σ値(標準偏差の3倍)で表記することが多いとしています。ラインエッジラフネスやレジストライン幅ラフネスについても、同様に3σ値で表記することが多いとしています。工程能力指数は、この3σを規格の幅と突き合わせ直したものにあたります。
日々の判断には管理図を使います。ミツトヨの解説は、管理図を、工程における偶然原因によるばらつきと異常原因によるばらつきを区分して工程管理するものとし、1本の中心線(CL)と、その上下に合理的に決められた管理限界線(UCL、LCL)から構成されるとしています。同じ解説は、特性値がプロットされたときにすべての点が上下の管理限界線の内側へ、規則的な癖から離れて並んでいれば統計的管理状態にあるとみなすことができるとし、工程平均のかたよりを監視するX管理図とばらつきを監視するR管理図を併用するX-R管理図を挙げています。
キーエンスの解説は、管理図から最初に確かめる情報を「異常」とし、限界の外へ出た点のほかに、連続して上昇または下降する6個の打点、管理限界線に接近している連続3点中の2点といった打点のパターンを挙げています。同じ解説は、これらのパターンがJIS Z 9021に示されているとしています。
異常が出たあとの動きも決まっています。SEAJの半導体製造装置用語集は、FDCをそれぞれの半導体製造装置出力のモニターを行い、異常を検出した場合にその結果を統計的な手順にかけて異常の種類を分類する技術としています。同じ用語集は、APCを半導体産業では一般的にRun to Run制御の意味で使うとし、結果をもとに戻ってプロセスを変更するフィードバック制御と、前情報から予測して変更するフィードフォワード制御があるとしています。測り、分類し、次のロットの条件へ反映する流れです。
厳しくすると何を失い、緩めると何を失うのか
Section titled “厳しくすると何を失い、緩めると何を失うのか”管理の厳しさには、両側に損があります。キーエンスの解説は、正常と異常の判断が2種類の誤りを伴うとし、正常な工程を異常と判断して対策を取る第一種を「あわて者の誤り」、異常が生じた工程を正常と判断して対策を見送る第二種を「ぼんやり者の誤り」と呼んでいます。限界を狭めれば前者が増えてラインを余分に止め、広げれば後者が増えて不良を流します。
目標値の置き方にも取引があります。キーエンスのFA用語解説は、工程能力指数の目標値は1.33とされるとしつつ、通常は検査や品質向上にかけられるコスト・時間に限度があるため、工程能力指数を判断基準にして目指すべき精度や工程を決定する場合もあるとしています。数字を上げるには、ばらつきを削る投資が要ります。ロームは、工程のそれぞれの場所で品質を上げるために設備面・材料面・作業面のすべてを洗い直すところから始めたとしています。
数字だけを上げる近道もあります。Cpは規格の幅を6σで割った値ですから、規格を広げれば計算上は上がります。これは式から出る当たり前の結果で、工程の実力が上がった証拠というより、製品に許す幅を広げた結果です。同じことは前提の側にも言えます。ミツトヨの解説が挙げる標準化・異常原因の除去・統計的管理状態という条件が崩れた工程では、計算した数字は工程の実力から離れます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”工程能力指数とは何ですか?
規格の幅が、工程のばらつきの何倍あるかを表す数字です。ミツトヨの公開解説は、対象とする特性に許された公差を、工程能力の6σで割った値としています。σは標準偏差です。
CpとCpkはどう違いますか?
Cpは幅だけを、Cpkは幅と位置の両方を数えます。ミツトヨの公開解説は、Cpを、許された限界と工程のばらつきの2つだけから求めた値とし、規格の中心から工程の平均がどれだけずれているかを織り込んだ指数を一般にCpkと呼ぶとしています。Cpkは、上側公差幅と下側公差幅のそれぞれを3σで割り、小さいほうを採った値です。
工程能力はいつでも計算してよいのですか?
前提があります。ミツトヨの解説は、工程能力を、標準化が十分に進んでいること、異常の原因が取り除かれていること、統計的な管理状態のもとで動いていることの3つがそろった工程についてだけ数えられる、その工程だけの実力としています。特性が正規分布に従うことも前提です。
Cpが1のときはどういう状態ですか?
規格の幅が6σにちょうど等しい状態です。式から計算すると、平均±3σが規格の端に届くことになります。キーエンスの解説は、3σに全検査数の99.73%が含まれ、残りの0.27%が不適合品になるとしています。
いくつを目標にするのですか?
キーエンスのFA用語解説は、目標値として1.33が挙げられるとしています。同じ解説は、検査や品質向上に割ける費用と時間には普通は限りがあるため、この指数を物差しに使って、目指す精度や工程を選ぶ場合もあるとも述べています。同社解説での記載です。
半導体の現場では何を測るのですか?
ばらつきを3σで語る習慣が先にあります。SEAJの用語集は、パターン寸法均一性について、ウェーハの中の何点かで寸法を測り、その散らばりを3σで書き表すことが多いとし、ラインエッジラフネスやライン幅ラフネスも同じとしています。
管理図を厳しくすれば良いのですか?
厳しさには両側の損があります。キーエンスの解説は、正常な工程を異常と判断して対策を取る第一種の誤りを「あわて者の誤り」、異常が生じた工程を正常と判断して対策を見送る第二種の誤りを「ぼんやり者の誤り」と呼んでいます。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- プロセスウィンドウとは ── こちらは条件側の余裕、工程能力指数は出来上がり側の余裕を測ります
- 歩留まり(イールド)とは ── 余裕の薄さが、最後に数として出てくる場所です
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- ミツトヨ「品質管理の基礎知識」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 工程能力の前提条件、工程能力指数とCpkの計算、管理図と偶然原因、X-R管理図の記述
- キーエンス「SQCスマート導入講座 第3回 管理図で工程を読む」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 3σに99.73%が含まれること、打点のパターンとJIS Z 9021、あわて者の誤りとぼんやり者の誤り
- キーエンス「量産試作と工程能力指数に関する英会話」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 工程能力指数の目標値と、コスト・時間の限度についての記述
- ローム「フレキシブルライン開発」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 最終工程での選別と自工程完結型検査、加工点で品質を作り込むコンセプト、5M1Eのばらつきの極小化、経験とカンの数値化
- 一般社団法人日本半導体製造装置協会「半導体製造装置用語集(リソグラフィ)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── パターン寸法均一性やラフネスを3σ値で表記すること
- 一般社団法人日本半導体製造装置協会「半導体製造装置用語集(Modeling and Simulation)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── FDCとAPC(Run to Run制御)の記述