SPC(統計的工程管理)とは
SPC(統計的工程管理)とは、製造工程の各点で集めた測定データを統計処理し、でき栄えの推移を管理する仕組みです。
良否の切り分けは、1枚ごとに規格の内側か外側かを切り分けます。一方でSPCは、規格の内側にとどまっている測定値の並び方そのものを疑います。工程が規格の中でゆっくり片側へ移っている間、良否の切り分けは合格を返し続け、SPCのほうが先に警報を上げます。この違いが、プロセス担当がSPCを入れる理由になります。
JEITAの半導体用語集は、SPCを統計的工程管理と訳し、工程の要所要所で集めた大量のデータを計算機にかけ、つくり方の条件とICの仕上がりがどちらへ向かっているかを追う仕組みとしています。同用語集によれば、CIMと組み合わせて、データを自分で集めるところから統計の計算、良し悪しの判断、現場への指示までを一続きで行う形もあります。
SEAJの半導体製造装置用語集(Factory Integration)も同じ立場で、SPCを統計的プロセス管理と呼び、測定を行う工程ごとにデータを計算機へ集めて統計処理し、つくり方の条件と測定値の散らばりが時間とともにどちらへ動いているかを追う手法としています。
SPCが無い現場では、何が起きるのでしょうか。半導体の前工程では、膜厚も寸法も全数を測るのが難しく、抜き取りとモニタウェーハで代表させます。SEAJの半導体製造装置用語集は、NPWを、製品以外のダミーウェーハやQCウェーハをまとめた呼び方とし、装置の状態を決まった間隔で測るために流す1枚や、製品と一緒に流して仕上がりを確かめるパターンの無い1枚が含まれるとしています。
抜き取った1枚が規格の内側だったとき、その場で手を打つ理由は薄いままです。ところが装置は使い込むほど状態が移ります。規格の内側で平均が片側へ動いていく変化は、良否の切り分けを素通りしたまま何ロットも流れ、最終検査で不良がまとまって出た段階で初めて分かります。そのときには、すでに工程を通過したウェーハが仕掛かりとして積み上がっています。
何を測り、どの線と比べるのか
Section titled “何を測り、どの線と比べるのか”測る対象は計量値です。膜厚、寸法、研磨量のように、良否の2値より一段細かい数値そのものを取ります。SEAJの半導体製造装置用語集(ウェーハプロセス)は、CMPの均一性を、研磨レートの最大と最小の開き、あるいは標準偏差を、研磨レートそのもので割った値で表すとしています。同用語集は、条件をそろえて研磨ヘッドだけを変えたときのヘッド間均一性のような取り方も挙げています。同じ膜厚1つでも、面内のどこを何点測るかで数値の意味が移ります。
取った数値は管理図へ載せます。管理図には中心線と、その上下に管理限界の線を引きます。管理限界は規格の線とは出どころが違い、その工程自身のばらつきから引きます。したがって管理限界は規格の内側へ入り、製品が不良になる前の段階で工程の変化を知らせる線になります。
合図は、管理限界を超えた1点のほかにもあります。SEAJの半導体製造装置用語集は、SPCで用いる決まりとしてWestern Electric RulesのWE1からWE10までを挙げています。連続する点が中心線の片側に並ぶ、階段状に上がり続けるといった出方も、工程の変化を示す条件として使います。
合図が出たあとの動きは、書面の手続きになります。ルネサスエレクトロニクスの信頼性ハンドブック(Rev.2.50、2017年1月版)は、工程や製品に異常が出たとき、それを見つけた部門が工程異常調査票という書面を起こし、関係する部門が原因を調べ、対策を確定する流れになると書いています。同社はさらに、量産に入った直後の一定期間を初期流動管理と呼び、通常とは別の管理体制を敷いて、集める品質情報の密度を上げ、見つかった不具合への手当てと、その効果の見極めを早く回すとしています。
工程能力指数(Cp・Cpk)で実力を測る
Section titled “工程能力指数(Cp・Cpk)で実力を測る”管理図が時間の中の変化を示すのに対して、工程能力指数は分布の位置と幅を示します。SEAJの半導体製造装置用語集は、工程能力指数(Cp/Cpk)を、規格に照らして製造の余裕がどれだけあるかを表す指数とし、リワークやスクラップの量とは逆比例する関係にあるとしています。同用語集は、1.33を超えていれば品質の面で安定していると見なされる、とも書いています。
式の意味は日本語へ言い直せます。Cpは、規格の上限と下限の幅を、ばらつきの標準偏差の6倍で割った値です。分子が「許される幅」で、分母が「工程が実際に振れる幅」ですから、Cpは余裕の倍率になります。Cpkは、そこへ平均の偏りを織り込んだ値で、平均が中心から離れているほど小さくなります。Cpが高いままCpkが低い工程は、幅は足りているのに規格の中心からずれた状態です。
ルネサスエレクトロニクスの信頼性ハンドブックは、量産の段階では主要な工程に管理図を当てて、ばらつきが妥当な幅に収まっているかを見張り、そのうえで工程能力指数(Cp、Cpk)と工程性能指数(Pp、Ppk)を追いながら、ばらつきをさらに小さくする活動を進めていると書いています。これは同社が公開している2017年1月版の記述です。管理図と工程能力指数をそろえて初めて、工程がいまどこにいて、どれだけ余裕を持っているかが読み取れます。
監視を厚くすると何を失うのか
Section titled “監視を厚くすると何を失うのか”SPCの設計は、測る箇所、測る頻度、管理限界の幅の3つを選ぶ仕事です。3つとも、厚くするほど別の勘定が増えます。
厚くする側の代償は装置の時間です。SEAJの半導体製造装置用語集は、OEE(設備の総合効率)を、装置が動ける時間のうち製品づくりに回る割合を上げていく考え方とし、そのためには故障や保全、NPWを流す時間を減らす必要があるとしています。モニタウェーハを1枚流すたびに、その分だけ製品を作る時間が削れます。測定のための待ちも積み上がります。同用語集はTATを工程の一部または全部を流すのに要する時間とし、X-FactorをTATをRPT(搬送や待ちを除いた正味の時間)で割った指数としています。監視を厚くするほど、X-Factorは大きくなる向きへ動きます。
管理限界を狭める側にも代償があります。狭めた分だけ、工程の実力の範囲内のばらつきまで合図として上がり、装置の停止と再調整、ロットの保留が増えます。逆に緩めれば、合図が上がったときにはすでに規格を割ったウェーハが流れています。工程能力指数がリワークやスクラップと逆比例するというSEAJの記述は、この緩めた側で払う金額の形を示しています。
SPCは工程の変化を見張って知らせるところまでを受け持ち、レシピの数値を補正する部分は別の仕組みが担います。SEAJの半導体製造装置用語集は、APCを、プロセスの変動をフィードバックとフィードフォワードで抑える制御とし、AECを、APC、SPC、FDC(Fault Detection and Classification)といった技術をまとめた進んだ装置制御の総称としています。同用語集はFDCについて、装置の稼働データを細かく取り込んでその場で解析し、壊れる兆しを先につかんで、止まる前に保全へ回すことで、スクラップや品質の落ち込みを防ぐとしています。SEAJの半導体製造装置用語集(Modeling and Simulation)は同じFDCを、装置ごとの出力を監視して異常を見つけ、その結果を統計にかけて異常の種類まで分けていく技術と書いています。見張る、直す、装置を守るの3つは、それぞれ別の名前で並んでいます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”SPC(統計的工程管理)とは何ですか?
製造工程の各点で集めた測定データを統計処理し、でき栄えの推移を管理する仕組みです。JEITAの半導体用語集は、SPCを統計的工程管理と訳し、工程の要所で集めた大量のデータを計算機にかけ、つくり方の条件とICの仕上がりがどちらへ向かっているかを追う仕組みとしています。
良否の切り分けとSPCは何が違いますか?
見張る対象が違います。良否の切り分けは、1枚ごとに規格の内側か外側かを切り分けます。SPCは、規格の内側にとどまっている測定値の並び方そのものを疑います。規格の中で工程が片側へ移っている間、良否の切り分けは合格を返し続け、SPCのほうが先に警報を上げます。
管理限界と規格の線は何が違いますか?
出どころが違います。規格の線は、製品として許される幅から来ます。管理限界は、その工程自身のばらつきから引きます。したがって管理限界は規格の内側に入り、規格を超える前の段階で工程の変化を知らせる線になります。
工程能力指数(Cp・Cpk)は何を示しますか?
規格に対して工程がどれだけ余裕を持っているかを示します。SEAJの半導体製造装置用語集は、工程能力指数を、規格に照らして製造の余裕がどれだけあるかを表す指数と定め、リワークやスクラップの量とは逆比例する関係にあるとしています。同用語集は、1.33を超えていれば品質の面で安定していると見なされる、とも書いています。
Western Electric Rulesとは何ですか?
管理図の点の出方から工程の異常を切り分けるための一連の条件です。SEAJの半導体製造装置用語集は、SPCで用いる決まりとしてWestern Electric RulesのWE1からWE10までを挙げています。管理限界を超えた1点のほか、連続する点の偏りや周期性なども条件に入ります。
モニタウェーハを増やせば良いのですか?
増やすほど装置の時間を使います。SEAJの半導体製造装置用語集は、NPWを、製品以外のダミーウェーハやQCウェーハをまとめた呼び方とし、装置の状態を決まった間隔で測るために流す1枚も含まれるとしています。同じ用語集はOEEについて、故障や保全、NPWを流す時間を減らす必要があるとしています。監視の厚みは、この取り合いの中で選びます。
SPCとAPCの役割はどう違いますか?
SPCは工程の変化を見張って知らせる側で、APCはレシピの数値を補正する側です。SEAJの半導体製造装置用語集は、APCを、プロセスの変動をフィードバックとフィードフォワードで抑える制御とし、AECを、APC、SPC、FDCといった技術をまとめた進んだ装置制御の総称としています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- APC(Advanced Process Control)とは ── SPCが知らせた変化を、レシピの数値へ補正として返す側
- 歩留まりとは ── SPCで守ったばらつきが、最後に金額として出る場所
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- JEITA「半導体用語集」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── SPCの語義と、CIMと連動した自動データ収集から指示までの範囲
- SEAJ「半導体製造装置用語集(Factory Integration)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── SPCの傾向管理、Western Electric Rules、工程能力指数の水準、NPW、OEE、TATとX-Factor、APCとAECの位置
- ルネサスエレクトロニクス「信頼性ハンドブック Rev.2.50」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 量産段階での管理図の適用、工程能力指数と工程性能指数の管理、工程異常調査票と初期流動管理
- SEAJ「半導体製造装置用語集(ウェーハプロセス)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── CMPの均一性と研磨レートの取り方
- SEAJ「半導体製造装置用語集(Modeling and Simulation)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── FDCを、装置の出力の監視と統計処理によって異常の種類まで分類する技術とする記述