欠陥検査とは
欠陥検査とは、ウェーハ表面の欠陥を探し、位置と大きさを記録する工程です。 粒子、傷、膜の異常、パターンの断線や短絡などを対象とし、見つけた欠陥はレビューへ渡されます。
欠陥検査の難しさは、感度をどこで区切るかにあります。感度を上げれば小さな欠陥まで拾えます。ところが同時に、歩留まりへ無害な微小なものや、測定のばらつきによるノイズまで欠陥として報告されます。これを虚報と呼びます。
報告が増えることは、そのまま負担になります。検査装置が返すのは位置と大きさだけで、正体は欠陥レビュー装置で1つずつ見極めます。虚報が多ければレビューの時間が食われ、歩留まりへ影響する欠陥が山の底へ沈みます。
SEAJの半導体製造装置用語集は、テスト側の同じ形の失敗を過剰検出(Overkill)と呼び、条件を厳しくしすぎたために良品まで不良として弾く事態を指すと述べています。検査のしきい値も同じ性質で、1段下げるほどキラー欠陥を取りこぼし、1段上げるほどレビュー待ちの列が伸びます。
無地のウェーハでは事情が単純になります。表面に何かあればそれが異物にあたるため、比較の相手を省けます。KLAは公式製品ページで化合物半導体向けのCandela 8520を掲載しており、無地ウェーハ向けにはSurfscanファミリーを持ちます。パターン付きのウェーハ外観検査では、同じ形が何度も並ぶという事実を手がかりに、比較の相手をウェーハ自身の中から作ります。
何と比べて欠陥と呼ぶか
Section titled “何と比べて欠陥と呼ぶか”検査装置は絶対的な良品像を持たずに動きます。差を取る相手を用意し、その差の大きさで欠陥を切り出します。レーザーテックの用語解説は、この相手を3通りに分けて掲げています。ダイ比較検査(Die to Die)は隣り合うチップ同士、セル比較検査(Cell shift)はチップの中で繰り返すセル同士、データ比較検査(Die to Database)はチップとパターンの設計データが相手になります。
相手の選び方は、拾える欠陥の顔ぶれを直に動かします。ダイ比較は隣同士の差を取る方式なので、同じ位置に同じ欠陥が両方のチップへ乗ると差が消えます。露光装置やマスクに原因がある系統欠陥はこの形で来ます。データ比較は設計データが相手なので、両方のチップへ同じように乗った欠陥も差として立ちます。代償は計算量と設計データの整備で、パターン1枚あたりのデータ量がそのまま検査側の負担です。セル比較は、メモリのように同じセルが密に繰り返す領域で、最小の視野のまま相手を用意します。
JEITAの半導体技術ロードマップ専門委員会は平成21年度報告の歩留向上の章で、ウェーハ外周部だけ特定のブリッジ不良の頻度が高く出た例を掲げ、通常の統計解析ではランダム欠陥へ埋もれる水準の系統的な不良が故障診断の量的な集計で浮かぶと述べています。どの相手と比べたかが、ウェーハマップの模様の読み方を動かします。
現場のつまみと、その両側
Section titled “現場のつまみと、その両側”感度のしきい値が第一のつまみです。上げれば拾える最小の欠陥寸法が小さくなり、歩留まり学習の1周が短くなります。同時に虚報が増え、レビュー装置の列が伸びてサンプリング枚数の枠を食います。下げれば検査時間とレビュー本数が縮む一方、レーザーテックの用語解説がデバイスへ致命的な傷を与える欠陥とするキラー欠陥の取りこぼしが増えます。
対物倍率と画素サイズが第二のつまみです。レーザーテックはGALOIS211の公式製品ページで、最大φ8インチのGaNウェハに対応し、φ6インチ・10倍レンズで検査時間が1枚6分、装置サイズが3,052mm(D)×3,250mm(W)×1,990mm(H)と掲げています。倍率を上げれば小さな欠陥へ届く一方、同じ面積を走る時間が伸びます。画素の一辺を半分にするとピクセル数は4倍です(面積比からの計算です)。倍率と開口数を上げると焦点深度も縮み、レーザーテックの用語解説は共焦点顕微鏡の焦点深度が開口数0.95で約0.3µmまで小さくなると述べています。高アスペクト比の構造では、上面と底で同時にピントが合う幅がこの水準まで縮みます。
光源の波長が第三のつまみです。SEAJの半導体製造装置用語集は、光学式検査装置の光源としてDUV(波長248nm、266nm)とUV(波長365nm)を掲げ、高分解能の要求から短波長化が進むと述べています。短波長へ振れば同じ寸法のパーティクルからの散乱光が増えて感度が上がる一方、膜の吸収と干渉も波長で動くため、レジストや薄膜の面では表面の粗さがノイズとして立ちます。レーザーテックはGALOIS211で波長選択機能を掲げ、ヘテロエピ構造で膜干渉の影響を避けた条件を選べると述べています。
検査枚数が第四のつまみです。レーザーテックはSICA88の公式製品ページで、φ6インチウェハの全面検査を10枚/時間で回せると掲げています。1ロット25枚を全数で通せば2.5時間です(スループットからの計算です)。全数へ近づけるほど異常の発見が早まり、SPCの管理図が動くまでの遅れが縮みます。抜き取りへ近づけるほどラインは速く流れますが、異常の発生から気づくまでに流れるロット数が増えます。
見つけた後の流れ
Section titled “見つけた後の流れ”検査が返すのは座標と寸法だけで、そこから先は別の装置とソフトウェアが受けます。SEAJの用語集は、ADR(Automatic Defect Review、自動欠陥レビュー)を欠陥座標にもとづく欠陥画像の自動取得とデータベース化とし、ADC(Automatic Defect Classification、自動欠陥分類)を、あらかじめ決めたルールで欠陥画像を発生原因ごとにクラス分けし分類サーバへ入れ直す機能としています。ADCが取りこぼした分類やADCの対象外の工程は、MDC(Manual Defect Classification、手動欠陥分類)としてエンジニアが1件ずつ受けます。
分類はYMS(Yield Management System、歩留まり管理システム)へ集まります。SEAJの用語集はYMSを、歩留まりモニタと欠陥検査から解析までを束にして、欠陥の発生工程へ返すフィードバックと、APCで装置レシピへ先送りするフィードフォワードを併せて回す統合システムとしています。
レビューと分類を1台へまとめる形も出ています。レーザーテックはSICA108の公式製品ページで、2024年9月24日発表の同機が表面欠陥と同時にSiCウェハ内部の基底面内転位(BPD)や積層欠陥(SF)を検出し、レビュー画像の取得と同時に自動欠陥分類で詳細に分類すると掲げています。SICA88の公式製品ページは、高解像度の欠陥画像により顕微鏡での再観察を省けると述べています。
光が届く範囲の外にある欠陥
Section titled “光が届く範囲の外にある欠陥”感度をどこまで上げても、拾えるのは光や電子が届く形をした欠陥に限られます。同じJEITAの報告は、同章がYMDB(歩留モデルと装置許容欠陥数)、DDC(欠陥検出と特徴付け)、WECC(ウェーハ環境汚染制御)の3領域から成ると述べ、Non-Visual Defect(NVD)として、金属汚染やプラズマダメージのような汚染起因の欠陥、ボイドや非導通のような埋もれた欠陥、高アスペクト比のライン&スペース底やコンタクトホール底の欠陥、結晶欠陥やNiSiパイピングのようなリーク系と高抵抗系の欠陥、検査技術の下限を下回る極微小なものの5種類を挙げています。
同じ章は欠陥をMissing-MaterialとExtra-Materialへ大別し、ウェーハテストでチップを不良に至らせるFaultが一般にキラー欠陥と呼ばれる側だとしています。16nm以上の世代ではHARI(High Aspect Ratio Inspection)の表現が3D Inspectionへ移り、Non Visible Defectも対象へ入りました。16nm未満の世代では、SMLY(Systematic Mechanisms Limited Yield)に代えてNon-Visual DefectsとProcess Variationsを合わせた表現が使われます。450mmウェーハ検査への準備も記されています。
拾える形へ持ち込む手は、感度よりも環境側にあります。同じ章のWECCでは、超純水中の金属をCritical metals(Ag、Au、Ca、Cu、Fe、Na、Ni、Pt)で1ppt、Metals(Al、Ba、Co、Cr、Ga、Ge、Hf、K、Li、Mg、Mn、Mo、Sr、Ti、Zn)で10pptへ切り分け、ゲートおよび炉エリアではウェーハ表面の金属を0.5×1010 atoms/cm2/dayと記しました。レチクル露光環境の酸と塩基は、リソエリア比で10倍厳しい値です。金属汚染を入口で断つほど、感度を上げずに済む余地が広がります。代償は時間で、電気特性の側から追う手順ではテストまで進んだロットの結果を待ちます。
電子ビームによる高感度検査
Section titled “電子ビームによる高感度検査”光の散乱では手が届きにくい微細な欠陥や、電気特性の側に出る欠陥を探す場面では、電子ビーム式が使われます。KLAは公式製品ページでeSL10を掲載し、小さなスポット径で高いビーム電流密度を実現することが先端design nodeデバイスの高感度検査に不可欠であること、Yellowstoneスキャンモードが1スキャンあたり100億ピクセルの情報を生成すること、高分解能により重要なギャップ欠陥を特定してプロセスの学習サイクル時間を短縮できることを述べています。
この用語に対応する装置と製造メーカー
Section titled “この用語に対応する装置と製造メーカー”装置カタログDBから、この用語に一致する製品familyを持つメーカー 4社/5family を引いています。 各行は各社の公式製品ページを出典とします。 DBからの生成日: 2026-08-22
- Bruker
- Bruker semiconductor metrology suiteMetrology / Inspection
- Hitachi High-Tech
- CD-SEM / wafer defect inspection familyInspection / Metrology
- KLA
- Surfscan familyUnpatterned Wafer Inspection
- eSL10Patterned Defect Inspection
- Skyverse Technology
出典は各社の公式製品ページです。 装置カタログDB では、同じ製品familyを工程・メーカー横断で検索できます。
関連するデータ・ツール
Section titled “関連するデータ・ツール”- 欠陥検査の工程ページ ── 工程分類と、この工程に接続している公開求人
- 歩留まり・欠陥解析の工程ページ ── 欠陥から歩留まりへつなぐ側
- 装置カタログDB ── 公式製品ページ単位のメーカーと製品family
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”欠陥検査とは何ですか?
ウェーハ表面の欠陥を探し、位置と大きさを記録する工程です。粒子、傷、膜の異常、パターンの断線や短絡などが対象になります。見つけた欠陥は種類を見極めるレビューへ渡されます。
感度を上げれば良いのですか?
感度だけを上げると困ります。感度を上げるほど小さな欠陥まで拾えますが、同時に歩留まりへ無害な微小なものやノイズまで報告されます。報告が増えるとレビューの負担が上がり、歩留まりへ影響する欠陥が山の底へ沈みます。
虚報とは何ですか?
欠陥として報告されたものの、実際には歩留まりへ無害なものです。表面の微妙な粗さや測定のばらつきが原因で生じます。SEAJの用語集はテスト側の同種の失敗を過剰検出(Overkill)と呼び、条件を厳しくしすぎたために良品まで不良として弾く事態を指すと述べています。感度と虚報の量はトレードオフの関係にあり、工程ごとに釣り合う点を選びます。
無地のウェーハも検査しますか?
します。表面に何かあればそれが異物にあたるため、比較の相手を省けます。KLAは公式製品ページで、無地ウェーハ向けのSurfscanファミリーと、化合物半導体向けのCandelaファミリーを掲載しています。
何と比べて欠陥と呼びますか?
比較の相手は3通りあります。レーザーテックの用語解説は、隣り合うチップ同士を比べるダイ比較検査(Die to Die)、チップ内の繰り返しパターン同士を比べるセル比較検査(Cell shift)、チップと設計データを比べるデータ比較検査(Die to Database)を、それぞれ別の方法として掲げています。
電子ビーム検査はどこで使いますか?
光の散乱では手が届きにくい微細な欠陥や、表面の形よりも電気特性の側に出る欠陥を探す場面です。KLAの公式製品ページは、eSL10が小さなスポット径で高いビーム電流密度を実現し、先端design nodeデバイスの高感度検査に対応すると述べています。
光で拾える範囲の外はどう追いますか?
電気特性の側から追います。JEITAの半導体技術ロードマップ専門委員会は平成21年度報告の歩留向上の章で、Non-Visual Defect(NVD)として汚染起因の欠陥、埋もれたボイドや非導通、高アスペクト比構造の底の欠陥、リーク系や高抵抗系の欠陥、現在の検査技術の下限を下回る極微小なものの5種類を挙げ、故障診断とレイアウト設計データを重ねて位置を絞る手順を示しています。
欠陥検査装置のメーカーはどこですか?
当サイトの装置カタログDBでは、欠陥検査に一致する製品familyを持つメーカーを公式製品ページ単位で引けます。KLA、Applied Materials、ASML、レーザーテック、Camtekなどが該当します。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”この記事の事実は次の一次資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- KLA「eSL10 e-Beam Defect Inspection」公式製品ページ(2026年8月22日にリンク生存を実測、200)── スポット径とビーム電流密度、1スキャン100億ピクセル
- KLA「Candela 8520」公式製品ページ(2026年8月22日にリンク生存を実測、200)── Candelaと無地ウェーハ向けSurfscanの掲載
- SEAJ「半導体製造装置用語集(計測)」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── ADR・ADC・MDC・YMS、光源のDUV 248nm/266nmとUV 365nm
- SEAJ「半導体製造装置用語集(検査)」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 過剰検出(Overkill)の意味
- SEAJ「半導体製造装置用語集(ファクトリ・インテグレーション)」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── APCがプロセス変動を制御する手段
- JEITA 半導体技術ロードマップ専門委員会「平成21年度報告 第13章 WG11 歩留向上」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── YMDB・DDC・WECC、NVDの5種類、Missing/Extra-MaterialとFault、HARIと3D Inspection、SMLYの表現替え、450mm検査、超純水中1ppt/10ppt、表面金属0.5×1010 atoms/cm2/day、レチクル環境のリソエリア比10倍、外周部のブリッジ不良
- レーザーテック「GALOIS211」公式製品ページ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 6分/枚(φ6インチ、10倍レンズ)、最大φ8インチ、3,052×3,250×1,990mm、波長選択機能
- レーザーテック「SICA88」公式製品ページ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── φ6インチ全面検査10枚/時間、BPDとSFの同時検出
- レーザーテック「SICA108」公式製品ページ(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 2024年9月24日発表、レビューと同時の自動欠陥分類
- レーザーテック 用語解説「ダイ比較検査」「セル比較検査」「データ比較検査」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── 比較の相手の3通り
- レーザーテック 用語解説「キラー欠陥」「焦点深度」(2026年9月3日にリンク生存を実測、200)── キラー欠陥、共焦点顕微鏡の焦点深度が開口数0.95で約0.3µm
- 装置と製造メーカーの行は
intel.equipment_vendor_families(公式製品ページ由来)から生成