均一性(面内・ウェーハ間・ロット間)とは
均一性とは、同じ工程を通した仕上がりの差を、どの範囲で測った差なのかを分けて示す指標です。 1枚のウェーハの中の差、ウェーハとウェーハの差、ロットとロットの差を、それぞれ別の数字として管理します。
日本半導体製造装置協会(SEAJ)の半導体製造装置用語集は、CMPの均一性を、研磨のばらつきがどれくらいかを示す量と位置づけ、研磨レートの最大値と最小値の差、または標準偏差を、研磨レートで割った値としています。この式には割り算が入ります。同じ5nmの差でも、平均500nmの膜なら1%、平均50nmの膜なら10%になります。均一性は差の絶対値より、平均に対する比として語られます。
そのうえで、ばらつきをどの範囲から集めたかによって、同じ数字が別の意味を持ちます。電子情報通信学会の公開知識ベース『知識の森』は、製造ばらつきを、チップ内で起きるローカルばらつき(OCV)と、チップ間で起きるグローバルばらつきに分類し、グローバルばらつきをさらにウェーハ間、ロット間へ細分する場合があると記しています。
3つの層を1つの数字にまとめると、平均は規格の中へ収まったまま、ウェーハ外周のチップだけが良否判定で落ち続ける状態を許します。層ごとに数字を持つと、手を入れる先が決まります。面内の差なら装置の中の温度やガスの分布、ウェーハ間の差なら炉の中の位置と順番、ロット間の差なら消耗品の交換や材料ロットの切り替わりが、原因の候補になります。
何を測り、どの数字を採用しますか
Section titled “何を測り、どの数字を採用しますか”JEITAの厚膜SOIウェーハ仕様(EM-3604A)は、膜厚の公差を測り方ごとに分けて定めています。1回の測定で1点を取る膜厚計では、ウェーハ面内の数点を測ったうえで、膜厚公差を最大値と最小値の差とします。1回の測定で数百点を取る測り方では、ウェーハ面内公差を±3σ(標準偏差の3倍を上下に取った幅)とします。測定の位置と点数、そして外周の測定除外領域は、当事者間の合意で決めます。同じ「面内公差」という言葉でも、9点のレンジと数百点の3σでは中身が異なります。これはJEITAが厚膜SOIウェーハを対象に定めた取り決めです。
ミツトヨの品質管理の解説は、ばらつきの大きさを表すには通常、標準偏差を用いるとし、工程能力を平均値±3σあるいは6σで表しています。工程能力指数Cpは、対象とする特性の公差を、工程能力の6σで割った値です。正規分布に従う特性では、平均値から±3σの範囲に99.74%のデータが入ります。均一性の数字を標準偏差の形で持っておくと、そのまま工程能力の計算へ渡せます。
実測がどこまで細かくなるのか、東京エレクトロンが自社ブログで公表した測定事例が参考になります。成膜済みのウェーハをエッチングした試料について、膜厚測定器でウェーハ全体の300か所を測り、3次元マッピングで示したものです。シリコン窒化膜を250nm成膜した時点では厚い部分と薄い部分の高低差が14.5nm、プラズマエッチング装置で140nmまで削った時点では差が13.5nmでした。同社は、凹型だった膜厚の分布がエッチング後に別の形になる理由を、中心部分と外周部分のエッチング速度の差とし、加工条件を変えれば分布を調整できると記しています。同社が公表した1件の事例です。
測った差をどこへ返しますか
Section titled “測った差をどこへ返しますか”数字を取った後には、次の工程と次のロットへ返す道筋があります。JEITAの生産技術専門委員会がまとめたDFM用語集は、APC(Advanced Process Control、最適プロセス制御)を、リソ工程を通した後の寸法や、チップの重ね合わせ精度、膜厚といった計測の結果と、製造装置に残る履歴情報をもとに、レシピや装置パラメータを次の工程へフィードフォワードし、次のロットのレシピへフィードバックする制御としています。制御はロット単位とウェーハ単位で行うとしています。SEAJのFactory Integration用語集も、APCをプロセス変動のフィードバックとフィードフォワードによる制御としています。
層と制御の単位が対応します。ロット間の差はロット単位のフィードバックで詰め、ウェーハ間の差はウェーハ単位の補正で詰めます。面内の差は、レシピの中の分布制御に加えて、装置の構造そのものが受け持ちます。半導体歴史館は、1986年の縦型炉について、ウェーハを回転させる機構が入り、プロセスのウェーハ内均一性が大きく高まったと記しています。KOKUSAI ELECTRICは自社サイトで、バッチ式では数十枚以上のウェーハをまとめて成膜できるとしています。数十枚を同時に通す以上、炉の中の位置ごとの差が、そのままウェーハ間の数字になります。
厳しくすると何を失いますか
Section titled “厳しくすると何を失いますか”均一性の規格を詰める代償は、時間です。測定の点数を増やすほど面内の形は細かく取れますが、そのぶん計測に使う時間が伸びます。東京エレクトロンは、512GBのNAND型フラッシュメモリでおおよそ1000工程のうち400回の検査や計測が行われるとしており、計測の回数はすでにこの規模です。
管理限界を狭める側にも代償があります。ミツトヨは管理図の判定基準として、管理限界線(±3σ)を越えた1点、中心線の片側に連続した9点、連続して増加または減少する6点など8つを挙げています。限界を狭めるほど、この基準に当たる回数が増え、装置を停止して調整する時間が伸びます。
緩める側の代償は、原因の行き先です。外周の測定除外領域を広げるほど面内公差の数字は小さくなるため、除外の広さがそろった相手とだけ数字を比べられます。3つの層をまとめた1つの数字も同じで、平均が規格の中に収まったまま、外周のチップだけが落ち続ける状態を許します。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”均一性とは何ですか?
同じ工程を通した仕上がりの差を、どの範囲で測った差なのかを分けて示す指標です。SEAJの半導体製造装置用語集は、CMPの均一性を、研磨レートの最大値と最小値の差、あるいは標準偏差を、研磨レートで割った値としています。差の絶対値より、平均に対する比として語る点が特徴です。
面内・ウェーハ間・ロット間は何が異なりますか?
差を集めてくる範囲が異なります。電子情報通信学会の『知識の森』は、製造ばらつきをチップ内のローカルばらつきとチップ間のグローバルばらつきに分類し、グローバルばらつきをさらにウェーハ間、ロット間へ細分する場合があると記しています。範囲が異なると、手を入れる先も別になります。
均一性はどの数字で表しますか?
測り方によって2通りあります。JEITAの厚膜SOIウェーハ仕様は、1回の測定で1点を取る膜厚計では膜厚公差を最大値と最小値の差とし、1回で数百点を取る測り方ではウェーハ面内公差を±3σとしています。ミツトヨは、ばらつきの大きさを表すには通常、標準偏差を用いると記しています。
測定点は何点にしますか?
相手との取り決めによって決まります。JEITAの同仕様は、測定の位置と点数、そして外周の測定除外領域を当事者間の合意によるとし、数点の例として9点を挙げています。東京エレクトロンは自社ブログで、ウェーハ全体の300か所を測って3次元マッピングした事例を公表しています。
面内の差はなぜ生まれますか?
装置の中の分布が原因になります。東京エレクトロンは自社ブログの測定事例で、凹型だった膜厚の分布がエッチング後に別の形になる理由を、中心部分と外周部分のエッチング速度の差とし、加工条件を変えれば分布を調整できると記しています。
測った差はどこへ返しますか?
次の工程と次のロットへ返します。JEITAのDFM用語集は、APC(最適プロセス制御)を、寸法測定や膜厚測定などの計測結果や装置の履歴情報をもとにレシピや装置パラメータを次工程へフィードフォワードし、次ロットのレシピへフィードバックする制御とし、制御の単位をロット単位とウェーハ単位としています。
均一性を厳しくすると何を失いますか?
時間を失います。測定の点数を増やすほど計測に使う時間が伸び、管理限界を狭めるほど装置を停止して調整する回数が増えます。東京エレクトロンは、512GBのNAND型フラッシュメモリでおおよそ1000工程のうち400回の検査や計測が行われるとしています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 装置マッチングとは ── 1台の中の広がりを詰める均一性に対し、台と台の平均差をそろえる側
- 計測(メトロロジー)とは ── 均一性の数字を作る測定そのもの
この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- SEAJ「半導体製造装置用語集(ウェーハプロセス)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── CMPの均一性を、研磨レートの最大値と最小値の差、あるいは標準偏差を、研磨レートで割った値とする記述
- SEAJ「半導体製造装置用語集(Factory Integration)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── APCをプロセス変動のフィードバックとフィードフォワード制御による制御とする記述
- 電子情報通信学会「知識ベース『知識の森』10群1編3章 集積回路設計」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── ローカルばらつきとグローバルばらつき、グローバルばらつきをウェーハ間・ロット間へ細分する記述
- JEITA「EM-3604A 厚膜SOIウェーハ仕様」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 膜厚公差を最大値と最小値の差とする定め、面内公差を±3σとする定め、測定点数と測定除外領域を当事者間の合意によるとした定め
- 東京エレクトロン「「測ること」は半導体製造の真髄? TELが活用する測定技術」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 300か所測定の事例、シリコン窒化膜250nmと14.5nm、エッチング後140nmと13.5nm、中心部分と外周部分のエッチング速度の差、512GBのNANDで約1000工程のうち400回の検査や計測
- ミツトヨ「品質管理の基礎知識」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── ばらつきを標準偏差で表す記述、工程能力と工程能力指数Cp、±3σに99.74%、管理図の判定基準
- 半導体歴史館「1986年 縦型炉」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── ウェーハを回転させる機構によってウェーハ内の均一性が高まったという記述
- JEITA 半導体部会 生産技術専門委員会「DFM用語集」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── APCの記述とフィードフォワード・フィードバック、制御の単位がロット単位とウェーハ単位である記述
- KOKUSAI ELECTRIC「KOKUSAI ELECTRICの強み」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── バッチ式では数十枚以上のウェーハをまとめて成膜できるという記述