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RTA(急速熱処理)とは

RTAとは、ウェーハ1枚をランプの光で短時間のうちに高温へ上げ、目的の反応が済んだらすぐ下げる熱処理です。 急速熱処理、ランプアニールとも呼ばれます。

温度を上げる理由と、温度を抑える理由が重なっています

Section titled “温度を上げる理由と、温度を抑える理由が重なっています”

イオン注入の直後、打ち込んだ原子が電気的に働くまでには、もう一段の熱が要ります。日新イオン機器のイオン注入ディクショナリーは、活性化アニールを、注入した原子を格子の正しい位置へ収めつつ、その衝突でできた格子間原子や空孔も併せて直す熱処理と位置づけています。同ページはさらに、温度が高いほどドーパントが活性化する割合は高くなる一方で、そのぶんドーパントが深さ方向へ拡散してしまうと述べています。狙う効果と困る効果が、同じ温度の上に並んでいます。

残る自由度は時間です。同社の用語ページはサーマルバジェットを、熱が加わる工程の処理温度と処理時間で決まる総和として示し、高温であっても処理時間が短ければ小さく、低温であっても長ければ大きくなるとしています。RTAは、この式のうち温度を必要な高さに残したまま、時間の側だけを削る方法です。同じ考え方は熱バジェットの管理そのものにあたります。

温度を保ったまま、時間だけを削ります
温度時間縦型炉長い保持時間RTA数十秒フラッシュ100万分の数十秒山の広がりは大小を示すもので、目盛りとは別です熱の総量は温度と時間で決まります温度を上げると活性化率が上がります同じ温度で拡散も進みます温度は残し、時間だけ削ります日新イオン機器の用語ページがこの関係を記しています
縦型炉、RTA、フラッシュランプアニールは、到達する温度よりも、その温度にいる長さで違います。山の面積にあたるものが熱の総量で、RTAはこれを時間の側から小さくします。

SCREENの「初心者のための半導体入門」は、赤外線ランプアニール装置を枚葉式の加熱処理装置とし、数十秒で1,000℃という急速加熱ができること、業界ではこれをRTP(急速加熱処理)と呼ぶことを記しています。同ページは利点として、厚さ10nm以下という非常に薄いシリコン酸化膜を作れることと、1枚ずつ流すため多品種小ロットの生産に向くことを挙げています。ゲート酸化膜のように薄さが要る膜で、この装置が選ばれます。

中身はランプと温度計と制御の組み合わせです。ハイソルは、同社のRTP・RTA装置AccuThermo AW610Mの製品ページで、赤外線ランプ21本(上10本、下11本)による非接触の放射加熱、6ゾーン独立のランプ出力制御、最高到達温度1250℃、昇温速度10〜150℃/秒、面内温度均一性ΔT10℃という仕様を公開しています。あわせて、パージ置換により残留酸素濃度10ppm以下で処理できることも挙げられています。数値は同社が公開する取扱製品の仕様で、標準的なSiウェーハを処理した場合の代表値です。

現場で動かすのは、レシピの中の昇温速度、保持温度、保持時間、雰囲気ガスと、ゾーンごとのランプ出力の配分です。光で温める以上、ウェーハに熱電対を触れさせるわけにいかず、温度は放射光から求めます。パイロメータの校正が、その装置にとっての温度の基準になります。

温度と時間がずれたときに現場で起きること

Section titled “温度と時間がずれたときに現場で起きること”

温度が低いか時間が短いと、注入原子は格子位置の外にとどまります。結果はドーパント活性化の不足として、シート抵抗に出ます。日新イオン機器の用語ページは、シート抵抗を四探針法で測ること、イオン注入層の濃度と深さに依存するためイオン注入装置の管理手法として広く使われることを記しています。RTAの出来ばえも、同じ物差しで測れます。

温度が高いか時間が長いと、今度は拡散が進みます。同社のシャロージャンクションのページは、浅い接合を作るには注入エネルギーを下げることと、打ち込んだ後の熱で広がる分を抑えることの両方が要ること、そして接合を浅くすると抵抗が上がる副作用が出ることを述べています。抵抗を下げたくて温度を上げれば接合が深くなり、接合を浅くすれば抵抗が上がります。エクステンションのように浅さが要る場所ほど、この間が狭くなります。

ゾーン出力の配分がずれると、差はウェーハの中心と外周の抵抗差として出ます。同じロットの中で特性が割れるため、均一性は温度の問題であり、そのまま電気特性の問題にもなります。

測った抵抗が、次のレシピを決めます
イオン注入格子が乱れた状態RTA昇温速度・保持温度・保持時間・雰囲気四探針でシート抵抗を測ります濃度と深さで変わります測った値でレシピを直します温度不足・時間不足注入原子が格子位置の外にとどまりますシート抵抗が高く出ます温度過剰・時間過剰ドーパントが深さ方向へ広がります接合が深くなります
RTAは、四探針で測ったシート抵抗をレシピへ返す輪の中にあります。輪から離れる方向は二つあり、足りなければ抵抗が高く、過ぎれば接合が深くなります。

枚葉であることが代償です。KOKUSAI ELECTRICは自社の強みを掲げる公式ページで、成膜の方式を枚葉式とバッチ式に分け、1枚ずつ流す前者に対して後者は数十枚以上をまとめて扱えるため生産性で勝ると述べています。RTAは短い熱履歴を買う代わりに、まとめて流す生産性を手放します。同社は枚葉トリートメント装置TANDUOについて、キュア、アニール、デガスに応じたモジュール構成を選べること、独自のサセプタヒータでウェーハ面内の温度を均一に制御することを製品ページに記しています。枚葉で成り立たせるには、搬送の速さと面内温度の作り込みが要ります。

温度の読み方も代償を伴います。ハイソルの製品ページは、温度測定精度を校正後の値として熱電対で±1℃、パイロメータで±4℃と公開しています。いずれも同社公表の仕様です。熱電対で測れる温度域を超えた高温側では、精度の粗いほうの計器で温度を測ることになります。短い時間で高温へ届かせるほど、温度そのものが読みにくい領域に入っていきます。

RTA(急速熱処理)とは何ですか?

ウェーハ1枚をランプの光で短時間のうちに高温へ上げ、目的の反応が済んだらすぐ下げる熱処理です。SCREENの入門ページは、赤外線ランプアニール装置が数十秒で1,000℃という急速加熱を行う枚葉式の装置であり、業界ではこれをRTPと呼ぶと記しています。

なぜ短い時間で処理するのですか?

温度を上げる理由と、温度を抑える理由が、同じ温度に乗っているからです。日新イオン機器の用語ページは、活性化アニールの温度が高いほどドーパントが活性化する割合は高くなる一方で、同時にドーパントが深さ方向へ拡散してしまうと述べています。温度を残したまま時間だけを削ると、この両方に折り合いがつきます。

炉での熱処理と何が違いますか?

一度に流す枚数と、与える時間が違います。KOKUSAI ELECTRICは自社の強みを掲げる公式ページで、枚葉式は1枚ずつ、バッチ式は数十枚以上をまとめて成膜する方式であり、生産性ではバッチ式が勝ると述べています。RTAは枚葉で、1枚あたりの熱の総量を小さくする代わりに、まとめて流す生産性を手放します。

RTAの温度はどうやって測るのですか?

光で非接触に加熱するため、放射光から温度を求める計器を使います。ハイソルの製品ページは、同社のRTP・RTA装置に450〜1250℃を測るパイロメータのオプションがあり、温度測定精度は校正後で熱電対が±1℃、パイロメータが±4℃と公開しています。いずれも同社公表の仕様です。

うまく処理できたかどうかは何で分かりますか?

シート抵抗が物差しになります。日新イオン機器の用語ページは、シート抵抗を四探針法で測ること、イオン注入層の濃度と深さに依存するためイオン注入装置の管理手法として広く使われることを記しています。活性化が足りなければ抵抗が高く出ます。

RTAとフラッシュランプアニールはどう違いますか?

光を当てている長さが違います。SCREENの入門ページによれば、フラッシュランプアニール装置の光源は写真用のフラッシュと同じ仕組みで、100万分の数十秒という一瞬でウェーハを高温へ届かせます。同ページは、光が当たるのは一瞬なので温まるのは表面付近にとどまり、常温まで下げるのも速いとしています。

RTAの代償は何ですか?

生産性と、温度の読み取りにくさです。1枚ずつ流す装置のため、枚数はまとめて流す装置に劣ります。またウェーハに温度計を触れさせにくいため、パイロメータの校正がそのまま温度の基準になります。

この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。

  • 日新イオン機器「活性化アニール」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 活性化アニールの目的と、温度を上げると活性化率も拡散も進むという関係
  • 日新イオン機器「サーマルバジェット」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 熱の総量が処理温度と処理時間で決まること
  • 日新イオン機器「シート抵抗」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 四探針法で測ること、濃度と深さに依存するため管理手法として使われること
  • 日新イオン機器「シャロージャンクション」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 浅い接合には熱処理による拡散の抑制が要ることと、抵抗が上がる副作用
  • SCREENセミコンダクターソリューションズ「成膜工程」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 赤外線ランプアニール装置が数十秒で1,000℃へ上げる枚葉式の装置という位置づけ、RTPという名称、10nm以下の酸化膜、フラッシュランプアニールの時間スケール
  • ハイソル「大気圧ランプアニール装置(RTP・RTA)」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── ランプ本数、ゾーン数、最高到達温度、昇温速度、面内温度均一性、残留酸素濃度、温度測定精度
  • KOKUSAI ELECTRIC「製品・サービス情報」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 枚葉トリートメント装置TANDUOの対応プロセスとサセプタヒータによる面内温度制御
  • KOKUSAI ELECTRIC「KOKUSAI ELECTRICの強み」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 枚葉式が1枚ずつ、バッチ式が数十枚以上を一度に流すという枚数の違い
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