ウェーハ外観検査とは
ウェーハ外観検査とは、ウェーハの表面・裏面・端面へ光を当てて全面を走査し、傷や異物やムラといった表面の異常を、位置と大きさ付きで拾い上げる工程です。 拾った欠陥は座標として記録され、正体を特定する工程へ渡ります。
現場が手を焼くのは、割れて一目で分かるウェーハよりも、人によって答えが割れる小さな異常です。東京エレクトロンデバイスはSiウェーハ用の検査装置の製品ページで、検査対象を表面と面内と裏面と端面へ分けて並べています。表面では、傷や欠けや突起、異物や汚れ、研磨と研削の痕、さらに色味の違いまでが対象に入ります。面内ではクラックとピンホール、裏面では傷、端面では欠けとクラックと汚れが挙がります。同社の製品仕様です。ウェーハの表と裏と端までを1つの一覧に収めています。
同じ会社のパターン付きウェーハ向けの装置では、成膜、レジスト現像、エッチングの後に生じるパターンの欠損などが対象へ加わり、回折やカケやシミやムラも検査項目に入ります。工程が進むほど、ウェーハの上には探すべきものが増えていきます。成膜やエッチングの直後に外観を調べる理由がここにあります。
拾い損ねると、現場で何が起きるのか
Section titled “拾い損ねると、現場で何が起きるのか”クボタは半導体検査装置の紹介ページで、半導体の歩留まりは、工程ごとに欠陥をどれだけ抑えられたかの積み重ねで決まるとし、小さな表面の欠陥を早いうちに検出し、次の工程への流出を防ぐことが、品質を安定させ費用を抑える要になると述べています。同社はさらに、ナノメートル級の微小な欠陥や点の欠陥、色のムラであっても、後に続く成膜・露光・エッチングの工程で増幅され、重い不良へつながることがあるとしています。
増幅という言葉が、この工程の値打ちを言い当てています。付いた時点では小さな粒でも、その上へ膜を積み、露光でパターンを写し、削って形を作れば、影響は広がります。取り除ける段階で見つけるほど損失は小さく、そのまま工程を進めるほど捨てるものが増えます。同じページは、パターンを作る前の段階で表面の欠陥を検出して手を打っておくことが、工程全体を落ち着かせ歩留まりを上げる要になるとまとめています。
要求される清浄度の桁も、日常の感覚から遠いところにあります。SUMCOは事業内容の紹介で、高清浄度という言葉をパーティクルと汚染、とくに金属汚染が取り除かれた状態として使い、300mmのウェーハ1枚につき20nmの微粒子が数個までという水準が求められるとしたうえで、これは九州の直径を300kmとみなしたときの1円玉の大きさにあたると述べています。
何を照らし、何を数えているのか
Section titled “何を照らし、何を数えているのか”装置がしている仕事は、光を当てて返ってきた光を数える作業です。東京エレクトロンデバイスのマクロ光学検査の記事は、一般的な検査が狭い視野へ狙った欠陥だけを収めて検出するのに対し、この検査は広い範囲の表面欠陥を調べる方法だとし、専用の光学機器で光を当て、反射光の情報から欠陥や形状を写し取るとしています。同社は、すべての光学系がワークからの反射光を使う点を基本とし、光学系がおおむね2系統あるとまとめています。
ひとつは、対象物の表面形状に合わせて反射の角度を調整し、返ってきた光をそのまま検出器へ取り込む方式です。同社は、回折光を避けた構成のため直接の光を検出器へ取り込むことになり、検出感度を最大限に活かせるうえ、表面に形成されたパターンの寸法とも高い線形の相関を持つと述べています。もうひとつは、ミー散乱を使う方式です。同社は、ミー散乱を、光がその波長と同じ程度の大きさの粒に当たったときに起こる方向性のある散乱だと述べ、指向性の高い専用光源によって微細な凹凸や段差から指向性のある散乱光を発生させ、それを効率よく受けることで結晶欠陥やウェーハの凹凸を検査できるとしています。
装置が返すのは、位置の一覧です。クボタは、レーザー式の装置について欠陥の位置すなわち座標と、PSL換算のサイズと、欠陥の種類をマップとリストで出力できると述べています。この座標があるからこそ、次の工程で同じ場所へ戻れます。同社はレビュー機能付きの構成も挙げており、レーザー式で高速に検出した欠陥位置を、その場でレーザー顕微鏡による拡大観察へ引き渡せるとしています。顕微鏡やSEM、AFMで欠陥を調べる前に、拡大する場所を絞って座標を控えておく用途も同社は挙げています。
数字の桁も挙げておきます。クボタはレーザー式について最小0.05μm、オプションで0.04μmの微小欠陥を検出でき、8インチウェーハを1枚4分で全面検査できるとしています。東京エレクトロンデバイスはSiウェーハ用の装置について、表面の検出感度をPSL換算で0.3μm超、検査時間を1枚あたり30秒から90秒とし、検査要件によって変動すると付記しています。いずれも各社が公表する製品仕様であり、工程や膜の状態によって実際の値は動きます。
パターンが載ったウェーハでは、走らせ方そのものが速さを左右します。SCREENはZI-3600の製品ページで、ラインセンサで全面を走査する方式を採っているため、チップの大きさや数が変わっても検査の速度が一定に保てると述べています。加えて、分解能の異なる3本の対物レンズを載せておき、自動で持ち替えながら1μm以下の微細な欠陥から大きな欠陥までを1台で担うとしています。1台の内側でも、広く走査するレンズと細かく撮るレンズは役割を分担しています。
何を差し出すことになるのか
Section titled “何を差し出すことになるのか”第一に、条件を作る手間を引き受けます。どの光学系をどの角度で使うかは、探したい欠陥ごとに動きます。クボタは、見たい欠陥の種類ごとに光学系を組み替えて提案でき、撮像そのものよりも探したい欠陥に合わせた設計が要ると述べ、実際の検査対象を預かって実機で試したうえで仕様を固めていく進め方を示しています。対象が替われば、条件づくりからやり直しになります。SCREENは、画面へ実物のウェーハ画像を出したまま検査の条件を決められるので、専任の技術者でなくても運転する人がレシピを組めると述べており、この手間を下げる工夫が装置側にも入っています。
第二に、材料によっては光が余計な信号を持ち帰ります。クボタは、シリコンへ加えてSiCやサファイアやガラスといった透明あるいは半透明の対象について、裏面反射によるノイズを抑えて表面のみを高精度に走査すると述べています。透ける材料では、裏から返った光が表面の欠陥の信号へ混ざります。SiCウェハのような材料が増えるほど、この始末が日常の仕事になります。
第三に、外観検査が確実に返せるのは、前掲の図のとおり、位置と大きさと、装置が推定した分類までです。原因を特定するには、座標を受け取って1点ずつ拡大する断面観察や電子顕微鏡の出番になります。速さを取った代わりに、最終の判断を後ろの工程へ預ける形になります。
第四に、全数へ切り替えると記録が増えます。東京エレクトロンデバイスは、すべてのウェーハ画像と詳細データを保存できるためトレーサビリティを実現できるとし、良品と不良品の双方について検査結果の履歴を保管できるとしています。溜まった記録は、後から不良の出方をたどるときの財産になります。同時に、保存と検索の仕組みを用意しなければ、荷物として増えていくだけです。抜き取りの目視から全数の自動検査へ移るとき、現場は装置の代金へ加えて、条件づくりと記録の管理まで引き受けます。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ウェーハ外観検査とは何ですか?
ウェーハの表面・裏面・端面へ光を当てて全面を走査し、傷や異物やムラといった表面の異常を、位置と大きさ付きで拾い上げる工程です。拾った欠陥は座標として記録され、顕微鏡や電子顕微鏡で正体を特定する工程へ渡ります。
欠陥検査との呼び分けはどうなっていますか?
メーカーごとに揺れます。SCREENは同じ用途の装置を「パターン付きウェーハ外観検査装置」と呼び、東京エレクトロンデバイスは「ウェーハ欠陥検査装置」と呼んでいます。外観検査という言い方は、人が目で行っていた検査を装置へ置き換える文脈で多く使われます。
どこを走査するのですか?
表面へ加えて、面内と端面まで走査します。東京エレクトロンデバイスは、表面のスクラッチや突起やパーティクル、面内のクラックやピンホール、端面のチッピングやクラックや汚れを検査対象として挙げています。クボタも、表面と裏面へ加えてエッジ検査へ対応すると述べています。
どのくらい小さな欠陥まで検出されますか?
装置と方式によって動きます。クボタはレーザー式の検査装置について最小0.05μm、オプションで0.04μmの微小欠陥を検出できるとしています。東京エレクトロンデバイスは、Siウェーハ用の装置の表面検出感度をPSL換算で0.3μm超と公表しています。いずれも各社の製品仕様です。
1枚あたりどのくらい時間がかかりますか?
これも装置と条件で動きます。クボタはレーザー式について8インチウェーハを1枚4分で全面検査できるとし、東京エレクトロンデバイスはSiウェーハ用の装置で1枚30秒から90秒、パターン付き8インチで90秒としています。検査要件によって変動する値だと同社は付記しています。
見つけた欠陥の種類はどうやって特定するのですか?
別の装置で拡大します。クボタは、検出した欠陥を微分干渉顕微鏡やレーザー顕微鏡で拡大観察するレビュー機能を挙げ、顕微鏡やSEM、AFMで欠陥を調べる前に位置を絞って座標を控えておく用途も挙げています。外観検査は、どこを拡大するべきかを指し示す側にあたります。
全数を検査すると何が良いのですか?
抜き取りより見逃しの確率が下がり、記録が全数ぶん揃います。東京エレクトロンデバイスは、人が目で見て抜き取るこれまでのやり方から、全数を装置で自動検査する形へ移せると述べ、ウェーハごとの画像と検査詳細情報を保存することでトレーサビリティを実現するとしています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- 東京エレクトロンデバイス inrevium「Si ウェーハ 欠陥検査装置」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 表面・面内・端面の検査対象、ベアウェーハとパターン付きウェーハの両対応、PSL換算0.3μm超の表面検出感度、1枚30秒から90秒の検査時間、抜き取り目視から全数検査自動化への置き換え、画像と履歴によるトレーサビリティ
- 東京エレクトロンデバイス inrevium「μレベルの欠陥を高速検査するマクロ光学検査とは」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── マクロ検査が担う範囲、反射光を使う2系統の光学系、回折光を避けた構成と感度、ミー散乱の中身と結晶欠陥や凹凸の検出
- 東京エレクトロンデバイス inrevium「ウェーハ パターン 欠陥検査装置」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 成膜・現像・エッチング後のパターン欠損などの検査対象、回折やカケやシミやムラを含む項目、8インチ90秒の検査時間
- クボタ「クボタの半導体検査装置」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 歩留まりと欠陥流出の関係、後工程での欠陥の増幅、レーザー式の0.05μmと8インチ4分、座標とPSL換算サイズと種類の出力、レビュー機能、微分干渉顕微鏡とAIによる弁別、透明材料の裏面反射の抑制、表裏面とエッジの自動検査
- SCREENセミコンダクターソリューションズ「パターン付きウェーハ外観検査装置 ZI-3600」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── ラインセンサによる全面検査方式とチップサイズによらず一定になる速度、3種類の対物レンズの自動切り替え、1μm以下の微細欠陥、ウェーハ画像を映しながらのレシピ作成
- SUMCO 採用サイト「事業内容 シリコンウェーハの特徴」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 高清浄度という言葉の中身、300mmウェーハに20nmの微粒子が数個という要求水準、九州と1円玉の比較