欠陥レビューとは
欠陥レビューとは、欠陥検査が出した座標へ高分解能の顕微鏡を動かし、そこにある1個の欠陥の形と成分を調べて種類を確定する作業です。 検査が「どこにあるか」を答えるのに対し、レビューは「それが何か」を答えます。
日立ハイテクノロジーズの技術者は日立評論の2006年の記事で、ウェーハの表面欠陥検査装置が返してくれるのは欠陥マップと欠陥の個数どまりだと述べています。同記事は、欠陥を減らす手を早く打つには発生源の工程と装置を特定することが要であり、そこへ届くには欠陥の形と成分という、もう一段具体的な情報が要ると記しています。
点が10個増えたことは地図から分かります。その10個が搬送でついたパーティクルなのか、CMPで入った傷なのか、エッチングの残りなのかは、地図の外にある情報です。原因のプロセスと原因の装置を特定するには、1個を開いて中身を確かめます。
東芝の技術者は東芝レビューの2010年の記事で、この流れをまとめています。走査の速い光学式の検査装置でウェーハ全面から欠陥を拾い、拾った先を電子線による走査電子顕微鏡式のレビュー装置へ回して高い分解能で見て、種類ごとに分けて管理する、というものです。同記事は、工程ごとの検査結果を並べて突き合わせれば、欠陥の起源と原因までたどり着けるとしています。
現場では何をするのか
Section titled “現場では何をするのか”日立評論の2006年の記事は、手順を4つに分けています。表面の欠陥検査で欠陥を見つけて位置座標を記録すること、検査装置とレビューSEMの座標系を突き合わせて合わせ込むこと、レビューSEMでその欠陥を探して観察すること、そしてEDS(エネルギー分散型X線分析装置)で欠陥に含まれる元素を調べることです。
ここで壁になるのが座標です。同記事によれば、パターン付きのウェーハなら、中に作られたデバイスチップの原点を目印にできるので、位置合わせは比較的たやすく取れます。ところがパターン無しのシリコンウェーハには目印が無く、ウェーハの外形だけが手がかりになるため、検査機の座標系とレビュー側の座標系を高い精度で重ねることが難しくなります。同記事の図は、検査装置が出した座標がレビューSEM側でどれだけずれうるかの例をおよそ200マイクロメートルとし、一般的なSEMの低倍の視野を10マイクロメートル程度として並べています。200マイクロメートルずれうる場所を、10マイクロメートルの窓で探すことになります。
日立ハイテクノロジーズはこの課題に対し、欠陥レビューSEMのRSシリーズへ広視野光学顕微鏡機能を載せ、まず光学顕微鏡でマクロに見つけてからSEMでミクロに観察する二段構えにしたと同記事で述べています。同記事は、視野600マイクロメートル、13.5マイクロメートル、2.25マイクロメートル、SEMの高倍で0.16マイクロメートルと絞っていく例を示し、鏡面ウェーハの欠陥観察の効率がおよそ100倍に上がったとしています。またウェーハ上の600マイクロメートル角の視野に入った70ナノメートルの欠陥を自動で捕まえられ、一般の欠陥検査装置と組んだときの位置合わせ誤差が200マイクロメートル以下という条件に対して十分な余裕があるとしています。2006年時点の同社製品の値です。
正体を確定する段では、形のほかに成分が要る場面があります。同記事は、RSシリーズにEDS機能をオプションで載せられると述べています。欠陥へ電子線を当てて出てきたX線から元素を割り出し、その元素の組み合わせを登録済みの物質ライブラリと照らせば、欠陥が何でできているかまで決められるとしています。表面の三次元形状が要るときはAFMを使い、高さ方向を0.1ナノメートルのオーダーの分解能で観察できるとしています。
取引:開けるのは点の一部です
Section titled “取引:開けるのは点の一部です”レビューは1個ずつ進みます。検査が数千個の点を返しても、そのうち開けるのは一部にとどまります。日立評論の同じ記事も、RSシリーズが、感度を上げた検査装置が返す膨大な結果を短い時間で効率よくさばくために開発されたと述べています。
JEITAの半導体技術ロードマップ専門委員会が訳したITRS 2007年版の歩留り改善の章は、この点に触れています。同章は、擬似欠陥を拾う数が増えるほど、レビューにどれだけ力を入れても本当に調べるべき欠陥へ行き当たらなくなり、検査結果そのものの値打ちが落ちていると述べています。同章は、調べるべき重要な欠陥をDOIと呼び、ノイズにまぎれたDOIをうまくより分けられる次の工程、つまりレビューがさばける個数が上がり始めているとしています。
そのため検査側にも要求がかかります。同章は、パターン付きウェーハの擬似欠陥率をすべてのプロセスで5パーセント以下とすべきとし、虚報の欠陥数は研究開発段階で5パーセント以下、歩留り立上げ段階と量産期間ではそれぞれ1パーセント以下とすべきだとしています。ここでの虚報は、検査装置のレシピ設定に使う欠陥レビュー用の光学系で見直すと実体が空振りになる報告を指します。分類そのものにも基準があり、同章は欠陥分類が満たすべき条件として再現性95パーセント、精度85パーセント、純度80パーセントという組み合わせを挙げています。2007年版の目標値です。
つまり欠陥検査の感度をむやみに上げると、レビューの列が伸びるだけで歩留まりは元のままです。感度は、後ろに控えるレビューがさばける個数と釣り合う点に合わせます。
人が目で分類する作業を、どう減らすか
Section titled “人が目で分類する作業を、どう減らすか”分類は長く人の目に頼ってきました。東芝グループの技術者は東芝レビューの2019年の記事で、工程が込み入るほど見た目の種類が増え、新しい欠陥が次々に出てくるようになり、それまでの機械学習では精度が足りず、工程を管理するには人が目で確かめるしかなかったと述べています。
同記事は、欠陥画像に関わる仕事を3つに分けています。検査工程で撮った画像をあらかじめ決めておいた種類へ振り分けること、種類ごとに出てくる頻度を追って傾きの変化を見張ること、そして管理値を超えて動いた種類だけを抜き出し、もう一段細かく分けて発生原因を特定することです。同記事は、この細分類について、作業そのものの頻度が低いうえに似た見た目の種類を見分ける必要があり、製造工程への深い知識を要する難しい仕事だとしています。
同記事が報告した実験では、半導体工場の実データを使った比較で、正解率の平均値が既存手法の77.2パーセントに対して開発手法は87.3パーセントでした。学習の早期打ち切りと複数のGPUによる並列計算の組み合わせにより、学習時間が40時間から4時間へ短縮されたとも述べています。同社が開発した手法の値です。
検査側が変われば、レビューの前提も変わります
Section titled “検査側が変われば、レビューの前提も変わります”レビューの負担は、前段の検査がどれだけ細かく欠陥を拾うかで決まります。日立ハイテクは日立評論の2023年の記事で、ウェーハ表面検査装置LS9600について、ベアシリコン上での最高感度が15ナノメートル、最高速度が1時間あたり120ウェーハだと述べています。複数の検出センサーから来る信号の演算手順を練り直したことで、致命的な欠陥をより正確に抜き出せるようになったともしています。同社製品の値です。
検出できる欠陥が小さくなるほど、レビューで見に行くべき点も小さく、数も増えます。電子ビーム検査のように光の届く範囲の外にある欠陥を拾う手段が加われば、その分だけ正体を確かめる仕事が増えます。検査の感度を上げて意味があるかどうかは、その先で何個まで正体を確かめられるかで決まります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”欠陥レビューとは何ですか?
欠陥検査が出した座標へ高分解能の顕微鏡を動かし、そこにある1個の欠陥の形と成分を調べて種類を確定する作業です。検査が場所を答えるのに対し、レビューは正体を答えます。
検査が返す欠陥マップだけで対策を打てますか?
もう一段の情報が要ります。日立評論の記事は、表面の欠陥検査装置が返すのは欠陥マップと個数どまりであり、対策を打つには欠陥の形と成分という具体的な情報が要ると述べています。
レビューには何を使いますか?
走査電子顕微鏡を使ったレビュー装置が中心です。日立評論の記事は、元素を調べるEDSをオプションで載せられること、三次元形状が要る場合はAFMを使うことを示しています。
検査の座標へ行けばすぐ見つかりますか?
探す手間がかかります。日立評論の記事の図は、検査装置が出した座標のずれの例をおよそ200マイクロメートルとし、一般的なSEMの低倍の視野を10マイクロメートル程度として並べています。
どうやって欠陥にたどり着くのですか?
視野を段階的に絞ります。日立評論の記事は、視野600マイクロメートルの広視野光学顕微鏡でまず見つけ、13.5マイクロメートル、2.25マイクロメートル、SEMの高倍で0.16マイクロメートルと絞る例を示しています。
擬似欠陥が多いと何が困りますか?
レビューの時間が無駄になります。ITRS 2007年版の歩留り改善の章の和訳は、擬似欠陥を拾う数が増えるほど、レビューにどれだけ力を入れても重要な欠陥へ行き当たらなくなり、検査結果の値打ちが落ちると述べています。
分類の自動化はどこまで進みましたか?
進んでいます。東芝レビューの記事は、深層学習を使った欠陥分類で、半導体工場の実データによる正解率の平均値が既存手法の77.2パーセントに対して開発手法は87.3パーセントだったと報告しています。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 欠陥検査とは ── 場所を答える側で、レビューへ座標を渡します
- 電子ビーム検査とは ── 光の届く範囲の外にある欠陥を拾い、レビューの対象を増やします
- 断面観察とは ── 表面の下に隠れた層の中を確かめる、さらに深い段です
この記事の事実は、誰でも読める公開資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- 日立評論「ウェーハ表面検査・解析システムソリューション」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 検査が返す情報の限界、レビューの4つの手順、座標の誤差と視野の関係、広視野光学顕微鏡による段階的な絞り込み、EDSとAFMの役割
- 東芝レビュー「光学式ウェーハ欠陥検査シミュレーション技術」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 光学式検査からSEM式レビュー装置へつなぐ流れと、工程間の突き合わせによる原因特定
- 東芝レビュー「深層学習を用いて自動化した半導体製造プロセスの欠陥分類システム」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 人の目に頼らざるを得なかった事情、分類と監視と細分類という3つの業務、正解率と学習時間の実測値
- JEITA 半導体技術ロードマップ専門委員会「ITRS 2007年版 歩留り改善 和訳」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 擬似欠陥とDOIの関係、擬似欠陥率と虚報率の目標、虚報が指す範囲、欠陥分類の再現性と精度と純度の要求
- 日立評論「半導体製造・検査装置」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── ウェーハ表面検査装置LS9600の感度と速度、キラー欠陥抽出の高精度化