アッシング(レジスト灰化)とは
アッシング(レジスト灰化)とは、役目を終えたフォトレジストをプラズマで分解し、気体に変えて取り除く工程です。 アルバックの解説は、一般的にアッシングとはフォトレジストをプラズマで分解し除去する工程だと述べています。
フォトレジストは、下の膜を守る覆いとして働く材料です。露光で形を写し、エッチングやイオン注入の間だけ下を守り、終われば邪魔になります。SCREENセミコンダクターソリューションズの初心者向け解説は、これまでの工程を終えた後に用済みとなったレジストの覆いを取り除くとして、この工程をレジスト剥離と呼んでいます。
取り除き方には、燃やす道と溶かす道があります。同解説は、レジストが炭素と酸素と水素からできた固体の物質であり、これが酸素プラズマと化学反応するとCO2とH2OとO2になってすべて気体となって消えると述べています。あわせて、アッシングが英語で灰にすることを意味し、レジストを酸素と結び付けて始末するのでこの名前が付いたこと、そしてプラズマアッシングがレジスト剥離の工程として最もポピュラーな方法であることを記しています。同社の初心者向け解説に載っている記述です。
外すのに失敗すると何が起きるのか
Section titled “外すのに失敗すると何が起きるのか”レジストは、エッチングを終えた時点ですでに姿を変えています。SCREENセミコンダクターソリューションズのエッチングの解説は、処理対象の膜が十分に腐食される頃には保護膜の役目をしているレジストも半分以上消えてなくなり、その一部は変質してポリマと呼ばれるものになると述べています。同解説は、このポリマを半導体回路に付着したまま放置するとICの欠陥につながるため、除去に使う専用機が必要になるとしています。同社の初心者向け解説に載っている記述です。
さらに、酸素プラズマで気体になる成分は炭素と酸素と水素に限られます。SCREENセミコンダクターソリューションズのレジスト剥離の解説は、実際のレジストには重金属などの不純物も少し含まれ、これは固体のまま基板に留まるため、プラズマアッシングの後にはウェットステーションで洗浄することが好ましいと述べています。つまりアッシングは、洗浄とひと組で1つの工程になります。この後始末を省くと、次に積む膜の下に不純物を閉じ込めることになります。
現場では何をするのか
Section titled “現場では何をするのか”装置の中で起きていることは単純です。サムコの半導体製造装置入門は、同社のプラズマクリーナーが平行平板方式であり、まず反応室内に反応性ガスを導入して一定の減圧状態に保ち、電極間に高周波を印加してプラズマを生成し、基板表面の汚れと反応させることで洗浄すると述べています。同社は、この表面処理を行うプラズマクリーナーが、プラスチックパッケージや各種基板の表面洗浄や改質、そしてアッシングといった目的に用いられるとしています。同社製品での方式です。
管理する対象は、速さそのものよりも速さのばらつきです。アルバックの解説は、同社のアッシング装置がバッチ式と枚葉式のうち枚葉式を採り、アッシングレートの面内分布を意識した装置だと述べています。ウェーハの中心と外周で落ちる速さが違えば、どちらかが必ず削られすぎるか残るかになります。同社は実装工程でのアッシングを、比較的簡単なエッチングをするという意味合いで使うとも記しています。同社装置での位置づけです。
酸素プラズマ以外の道もあります。SCREENセミコンダクターソリューションズの解説は、オゾンアッシャがO3を分解して反応性のある酸素ラジカルへ変え、これとレジストを反応させる点でプラズマアッシャと基本原理は同じだとしたうえで、オゾンアッシングが現在マイナーな剥離法だと述べています。
何を差し出すことになるのか
Section titled “何を差し出すことになるのか”第一の代償は、電気的なダメージです。電子情報通信学会の知識ベースは、ドライエッチングによる電気的な損傷がチャージダメージと呼ばれ、ゲート酸化膜を破壊あるいはその信頼性を低下させると述べています。そのうえで、酸素プラズマを用いたアッシングによるフォトレジストの除去ではゲート電極あるいはそこへつながる配線が直接さらされることになるため、プラズマ生成を反応室とは分離してラジカルだけを反応室に導入するケミカルドライエッチング方式が用いられると記しています。2010年時点の記述です。守りたいものが露出している工程だからこそ、プラズマを遠ざける構えを取ります。
第二の代償は、後工程の追加です。前に触れたとおり、重金属などは固体のまま残るため、アッシングの後にウェットの洗浄を重ねる形になります。SPM洗浄のような薬液の工程はそのまま残るので、ドライの装置を入れた後も水と薬液を使い続けることになります。
第三の代償は、プラズマを当てすぎる時間です。サムコの半導体製造装置入門は、チップの微細化と集積化が進んだことで顧客の要求が、プラズマを当てる時間を長めに設定して汚れを取りきり改質するというやり方から、必要な量だけ洗浄し改質するというやり方へ変化したと述べています。長めに流せば取り残しは減りますが、そのぶん下地とデバイスをプラズマに当て続けます。どこで終点を取るかは、削る工程と消す工程に共通する課題です。プラズマ診断(終点検出)が担う終点の見きわめは、消す側の工程でも同じ形で必要になります。
そして選ぶ側の判断は、回路の細かさで決まります。SCREENセミコンダクターソリューションズの解説は、ウェットステーションを使うメリットが生産性の高さとレジストに含まれる微量の重金属も取り除けることであり、デメリットがレジストを溶かす薬液がレジスト以外の部分に余計な悪影響を与える可能性であるとして、現実の工場では微細な半導体回路の工程にプラズマアッシャ、比較的ラフな半導体回路の工程にウェットステーションが使われる傾向にあると述べています。
プラズマは、まず消すために使われました
Section titled “プラズマは、まず消すために使われました”最後に順番の話を添えます。応用物理学会「応用物理」の業績賞受賞者随想で堀池靖浩氏は、1968年に米国シグネティックス社のS.M. Irvingが初めて酸素プラズマをフォトレジストの灰化に適用したと紹介し、低温プラズマのエッチング応用の報告はその後の1973年だとしています。2016年の記事での回想です。半導体づくりにおけるプラズマの使い道は、形を作る側より先に、役目を終えたレジストを消す側から広まりました。地味な工程ですが、プラズマ加工の出発点はここにあります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”アッシングとは何ですか?
役目を終えたフォトレジストをプラズマで分解し、気体に変えて取り除く工程です。アルバックの解説は、一般的にアッシングとはフォトレジストをプラズマで分解し除去する工程だと述べています。
なぜ「灰化」と呼ぶのですか?
レジストを酸素と結び付けて始末するためです。SCREENセミコンダクターソリューションズの解説は、アッシングが英語で灰にすることを意味し、レジストを酸素と結び付けて始末するのでこの名前が付いたと述べています。
アッシングにはどんなガスを使いますか?
一般には酸素ガスを使います。SCREENセミコンダクターソリューションズの解説は、レジストが炭素と酸素と水素からできた固体であり、酸素プラズマと化学反応するとCO2とH2OとO2になってすべて気体となって消えると述べています。
アッシングだけでレジストは完全になくなりますか?
気体になるのは有機の成分だけです。SCREENセミコンダクターソリューションズの解説は、実際のレジストには重金属などの不純物も少し含まれ、これは固体のまま残るため、プラズマアッシングの後にはウェットステーションで洗浄することが好ましいと述べています。
ウェットの剥離とはどう使い分けますか?
回路の細かさで選びます。SCREENセミコンダクターソリューションズの解説は、ウェットは生産性が高く重金属も取り除ける一方、薬液がレジスト以外の部分に余計な悪影響を与える可能性があるとし、現実の工場では微細な回路の工程にプラズマアッシャ、比較的ラフな回路の工程にウェットステーションが使われる傾向にあると述べています。
アッシングでデバイスが傷むことはありますか?
あります。電子情報通信学会の知識ベースは、酸素プラズマを用いたアッシングによるフォトレジストの除去ではゲート電極あるいはそこへつながる配線が直接さらされるため、プラズマ生成を反応室とは分離してラジカルだけを反応室に導入するケミカルドライエッチング方式が用いられると述べています。
アッシングはいつから使われていますか?
エッチングより先に始まりました。応用物理学会の受賞者随想は、1968年に米国シグネティックス社のS.M. Irvingが初めて酸素プラズマをフォトレジストの灰化に適用したと紹介しています。半導体づくりでのプラズマ利用は、形を作る側より先に、役目を終えたレジストを消す側から広まりました。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- ウェットエッチングとは ── 薬液で溶かす側の考え方
- SPM洗浄とは ── アッシングの後に残るものを流す薬液の工程
- プラズマ診断(終点検出)とは ── 終点を機械に判断させる仕組み
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- SCREENセミコンダクターソリューションズ「初心者のための半導体入門 レジスト剥離」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── レジスト剥離の3方式、酸素プラズマでCO2とH2OとO2になること、灰にするという語源、重金属が固体のまま残り後洗浄が要ること、オゾンアッシャの位置づけ、ウェットの利点と欠点と使い分け
- SCREENセミコンダクターソリューションズ「初心者のための半導体入門 エッチング」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── エッチング後にレジストが半分以上消えること、ポリマの発生と放置した場合の欠陥
- アルバック 真空教室「2. プラズマアッシング装置」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── アッシングという語が指す工程、アッシングレートの面内分布を意識した枚葉式であること、実装工程での位置づけ
- 電子情報通信学会 知識ベース「10群2編3章 プロセス要素技術」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── チャージダメージとゲート酸化膜への影響、酸素プラズマアッシングでのケミカルドライエッチング方式の採用理由
- サムコ 半導体製造装置入門「高性能化するプラズマクリーナー」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 平行平板方式の手順、表面洗浄と改質とアッシングの用途、長めにプラズマを当てる運用から必要な量だけ当てる運用への変化
- 応用物理学会「応用物理」第85巻第7号「ケミカルドライエッチングの発見が研究人生を開いた」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 1968年に酸素プラズマがフォトレジストの灰化へ初めて適用されたこと、エッチング応用の報告が1973年であること