ウェハプローバーとは
ウェハプローバーとは、ウェーハ上のチップの電極へ、プローブカードの針を正確に当てて電気的につなぐ装置です。 テスタが測るための導通をつくり、1チップずつ順に送ります。
プローバが担うのは、測れる状態をつくることです。テスタは信号を与えて応答を測りますが、その信号がチップまで届くには物理的な導通が要ります。ウェーハ上のチップはまだ切り離されておらず、パッケージの端子が付くのは組立の後なので、表面に並んだ微細な電極へ直接針を当てます。
針を並べた治具がプローブカードです。電極の位置と数は製品ごとに異なるため、プローブカードも製品ごとに作られます。プローバはこのカードを保持し、ウェーハ側を動かして位置を合わせ、押し当て、測定を終えたら次のチップへ送ります。
動作の中身は3つの往復です。XY方向へ送ってねらいのチップを針の下へ運ぶ往復、Zを上げて押し込む往復、測定を終えてZを下げる往復です。1枚でこの3つを数千回から数万回繰り返すため、1回あたりの時間と位置ずれがチップ数ぶん積もります。
積もるのは時間だけでなく、針先の付着物もそうです。針先はアルミ電極を削りながら当たるので、削り取られたアルミが針先へ付いていきます。付着物が積もると接触抵抗が上がり、同じ良品でも電流値が低めに出ます。だから針先の研磨と針跡(プローブマーク)の実測が定常作業になります。東京エレクトロンはPrecio シリーズでPrecio XLに高速針痕検査TELPADS-Iとカード平行度の自動調整Auto Levelingを掲げ、Prexaには針先とプローブマークの高速インスペクション機能を挙げています。
記録もプローバの役目です。どの位置のチップが良品でどれが不良かを、測定位置と判定結果の対応として記録します。これがウェーハマップです。後工程では、このマップを読み取って良品だけを拾い上げます。
マップの中身は、良否の2値より細かくなります。不良の種類ごとに番号を振るとビンソートの分布になり、同じ番号がウェーハの外周だけに集まるのか面内へ散らばるのかで、前工程のどこを疑うかが変わります。プローバが測定位置とテスタの結果を取り違えると、この面内分布そのものが嘘になります。
ステージの世代が、位置決めの桁を決めます
Section titled “ステージの世代が、位置決めの桁を決めます”位置決めの精度は、ステージの駆動方式で桁が変わります。東京エレクトロンのPrecio シリーズ公式仕様表では、ボールねじ駆動の旧機種P-8のXYプロービング精度が±6.0μm、同じボールねじのPrecio octoが±2.0μm、リニアモータ駆動のPrecio XLが±1.8μmです。Prexa シリーズではメモリ向けのPrexa MSが±0.8μmで、同じ会社の仕様表の中で±6.0μmから7.5分の1まで詰まっています(比はこちらで計算しました)。
この桁が何を買っているのかは、パッドピッチと照らすと分かります。日本マイクロニクスはプローブカードの絞り込み検索で、パッドピッチを50μm以下・55μm・60μm・80μm・100μm・130μm・150μm以上の7区分で掲げています。±6.0μmの振れ幅は往復12μmで、50μmピッチの24%を食います(比はこちらで計算しました)。ここへ針先のばらつきとカードの熱変形が乗ると、針がパッドの縁へ近づいて接触面積が減ります。
Z方向の精度はXYより1段緩く、同社仕様表のPrexaとPrexa MSはZが標準±5.0μm、オプション±2.5μmです。Zは押し込む深さそのものなので、この±がそのまま針跡の深さのばらつきになります。同ページのPrexa SDPは個片化デバイス向けで、2×2〜100×100mm、XY±1.5μm、Z±2.5μm、荷重500kgです。
押し込む量は、両側に代償があります
Section titled “押し込む量は、両側に代償があります”アルミ電極の表面には酸化膜が育つため、針は酸化膜を突き破るだけの押し込み量を要します。針が電極へ触れてからさらにZを進める量をオーバードライブと呼び、この量が接触抵抗と針跡を同時に動かします。
オーバードライブを増やすと、酸化膜を破った面積が広がって接触抵抗が下がり、同じ良品を測ったときの電流値が安定します。代わりに針跡が広く深くなり、電極のアルミが押しのけられて縁が盛り上がります。この盛り上がりがワイヤボンディングやフリップチップの接合面へ残るため、針跡の径と深さは規格として管理されます。
減らすと針跡は小さく収まります。代わりに酸化膜を破った針と表面をなでただけの針が混じり、接触抵抗のばらつきが広がります。上がった抵抗は測定値を良品側から不良側へ押しやるので、本来の良品が落ちます。接触が甘いまま良品側へ通る抜け(本来の不良を良品として後工程へ流すこと)も同じ甘さから出ます。
押し込みを支えるのがプロービング荷重です。同社仕様表ではPrexaが300kg、オプション450kg、Prexa MSが600kg、オプション1,000kgまでで、300kgから1,000kgは約3.3倍です(こちらで計算しました)。この差の出どころは、針1本あたりの荷重よりも同時に当てる針の本数です。
一括コンタクトは、荷重と熱を装置側へ移します
Section titled “一括コンタクトは、荷重と熱を装置側へ移します”同時に当てる針を増やすほど、1チップあたりのインデックス時間が下がります。極端まで進めた姿が、ウェーハ1枚を一度に当てる一括コンタクトです。東京エレクトロンはCellciaで、300mm対応、用途をメモリとウェーハレベルバーンイン、ステージを真空コンタクト、セル数を12または25、XYとZを±5.0μm、荷重を200kgと掲げ、一部のメモリテストでは300mm一括コンタクトがすでに確立していると記しています。
ここで数字の向きが入れ替わります。位置精度は±0.8μmの機種より緩い±5.0μmで、荷重も200kgとPrexa MSの1,000kgより小さいです。そのかわりセルが12または25あり、ロットを分けて複数セルへ流すため1枚あたりの待ち時間が縮みます。同社は多段の積み構造で設置面積を削り、単位面積あたりのテスト効率を上げたと記しています。勝負どころが位置精度から床面積あたりの測定枚数へ移り、装置稼働率とサイクルタイムに近い指標になった姿です。
一括で当てると、荷重と発熱が同時に装置側へ来ます。東京エレクトロンはPrexa MSについて、先端DRAMを中心にテストピン数と発熱量が増えていると記し、1,000kgまでの耐荷重と吸熱制御でフルウェーハテストを実現するとしています。針が増えれば必要荷重が増え、チップが同時に動けば発熱が増え、どちらもステージの剛性と温度制御へ跳ね返ります。
温度をふると、位置決めのマージンが減ります
Section titled “温度をふると、位置決めのマージンが減ります”高温側と低温側で特性を取る場面や、バーンインをウェーハの状態で通す場面では、温度をふって針を当てます。温度をふるとウェーハとカードの両方が伸びます。シリコンとカード基板の線膨張係数は別の値なので、同じ温度でも伸び量に差が出て、常温で合わせた針先と電極の対応がずれます。±1.8μmの機種でも、熱で数μm動けば位置決めのマージンを食い尽くします。
日本マイクロニクスはウェーハプローバの公式製品ページで、研究開発用には低温と高温の温度制御機能に加え、ハイパワーデバイスでは測定経路の高耐圧化と低インピーダンス化が要ると記しています。アプリケーション区分には微小電流10fA、ウェーハサイズは2インチから12インチまで並びます。10fAの領域では針とケーブル側の漏れ電流が測定値そのものになるため、シールドボックスと同軸プローブ針が測定系の一部になります。
同社のカードのラインアップには、パッド形状としてAl-Padに加えてSolder bumpとCu-pillar bumpが並びます。はんだバンプや銅ピラーへ当てると削れる相手がアルミから移るため、針先へ付く物質も、付着が接触抵抗を押し上げる速さも動きます。同社はカンチレバー型を2023年9月30日で国内生産終了とし、狭ピッチと高位置精度に向いたアドバンストプローブカードへ移しています。
つまみと、その代償
Section titled “つまみと、その代償”- オーバードライブ量を上げると接触抵抗が下がって測定値が安定しますが、針跡が広く深くなりワイヤボンディング側の接合面が荒れます。下げると針跡は小さく収まる一方、接触抵抗のばらつきが広がり、良品を落とす側と抜けが同時に増えます。
- 同時コンタクト数を上げると1チップあたりのインデックス時間が下がってサイクルタイムが縮みますが、必要荷重が300kgから1,000kgの側へ動き、平行度と剛性の要求もカード費用も上がります。下げるとカードは安く平行度も緩く済む一方、1枚を測り切る時間が伸びます。
- 測定温度を上げると高温側でだけ出る不良を先に落とせますが、熱膨張でパッド位置がずれ、±1.8μmの精度に熱の数μmが乗って位置決めのマージンを食います。下げると位置は安定する一方、高温側の不良がバーンインやファイナルテストまで持ち越されます。
- 針先の研磨頻度を上げると付着物が積もる前に落とせて接触抵抗が安定しますが、針の消耗が早まってカード寿命が縮み、装置稼働率が下がります。下げると稼働率は上がる一方、付着物が積もって接触抵抗が上がり、抜けが増えます。
この用語に対応する装置と製造メーカー
Section titled “この用語に対応する装置と製造メーカー”装置カタログDBから、この用語に一致する製品familyを持つメーカー 2社/2family を引いています。 各行は各社の公式製品ページを出典とします。 DBからの生成日: 2026-08-22
- ACCRETECH / Tokyo Seimitsu
- SEMES
- Michelan etcher / line automation / test supportEtch / Line Automation / Test
出典は各社の公式製品ページです。 装置カタログDB では、同じ製品familyを工程・メーカー横断で検索できます。
関連するデータ・ツール
Section titled “関連するデータ・ツール”- プローブカード・プロービングの工程ページ ── 工程分類と、この工程に接続している公開求人
- ウェーハテスト・EDSの工程ページ ── テスト側の工程
- 装置カタログDB ── 公式製品ページ単位のメーカーと製品family
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ウェハプローバーとは何ですか?
ウェーハ上のチップの電極へ、プローブカードの針を正確に当てて電気的につなぐ装置です。テスタが測るための導通をつくる役目を担い、1チップの測定を終えたら次のチップへウェーハを送ります。
プローブカードとは何ですか?
測定対象の電極配置に合わせて針を並べた治具です。製品ごとに電極の位置と数が異なるため、プローブカードも製品ごとに作られます。プローバはこのカードを保持し、ウェーハ側を動かして位置を合わせます。
ウェーハマップとは何ですか?
ウェーハ上のどの位置のチップが良品でどれが不良かを記録した地図です。プローバが測定位置を管理し、テスタの判定結果と対応させて作ります。後工程では、このマップを読み取って良品だけを拾い上げます。
針跡はなぜ管理するのですか?
電極を傷めると後工程の接合に響くためです。針を強く当てれば導通は安定しますが、電極の変形が大きくなります。弱すぎれば接触抵抗が上がって測定値がずれます。押し込む量と針跡の大きさを規格として管理します。
何が測定の精度を左右しますか?
位置合わせの精度と接触の安定性です。針が電極の中心からずれれば接触面積が減り、抵抗が上がります。温度をふって測る場合は、熱による寸法変化も位置合わせに影響します。
XYプロービング精度はどのくらいですか?
東京エレクトロンの公式仕様表では、ボールねじ駆動の旧機種P-8が±6.0μm、リニアモータ駆動のPrecio XLが±1.8μm、メモリ向けのPrexa MSが±0.8μmです。Z方向の精度は同社Prexaで標準±5.0μm、オプション±2.5μmと、XYより1段緩く設定されています。
プロービング荷重はなぜ1,000kgもかかるのですか?
同時に当てる針の本数ぶんが積み上がるためです。針1本あたりの荷重が小さくても、本数が増えれば合計は大きくなります。東京エレクトロンの公式仕様表では、Prexaが300kg、オプション450kg、メモリ向けのPrexa MSが600kg、オプション1,000kgまでとなっています。同社はテストピン数と発熱量の増大を理由として挙げています。
プローバのメーカーはどこですか?
ACCRETECH(東京精密)、東京エレクトロン、日本マイクロニクス、アドバンテストが代表的なメーカーです。当サイトの装置カタログDBでは、テストとプロービングに一致する製品familyを公式製品ページ単位で引けます。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 半導体テストとスクリーニング ── 工程としてのテスト
この記事の事実は次の一次資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- アドバンテスト「T5835」公式製品ページ(2026年8月22日に実測、200。2026年9月3日の再実測も200)── メモリ向けテストシステムの製品ライン
- ACCRETECH(東京精密)「半導体製造装置」公式製品ページ(2026年8月22日に実測。2026年9月3日の再実測も200)── プロービングマシンを含む装置メーカー
- 東京エレクトロン「Prexa シリーズ」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── XY精度±0.8〜±1.8μm、Z精度±2.5/±5.0μm、荷重300/450kgと600/1,000kg、Prexa SDPの2×2〜100×100mmと荷重500kg、針痕の高速インスペクション、先端DRAMでの発熱量増大、吸熱制御
- 東京エレクトロン「Precio シリーズ」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── Precio XLのXY±1.8μm・Z±5.0μm、Precio octoの±2.0μm、P-8の±6.0μm、TELPADS-IとAuto Leveling
- 東京エレクトロン「Cellcia」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── 300mm対応、用途がメモリとウェーハレベルバーンイン、真空コンタクト、XYとZが±5.0μm、荷重200kg、セル数12/25、一括コンタクトの確立、多段構造
- 日本マイクロニクス「プローブカード」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── パッドピッチの7区分(50μm以下〜150μm以上)、パッド形状のAl-Pad/Solder bump/Cu-pillar bump、カンチレバー型の国内生産終了日
- 日本マイクロニクス「ウェーハプローバ」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── 微小電流10fAの区分、ウェーハサイズ2〜12インチ、温度制御機能、高耐圧化
- 7.5分の1、約3.3倍、往復幅12μmが50μmピッチの24%に当たることは、上記公式仕様値からこちらで計算した値です
- 装置と製造メーカーの行は
intel.equipment_vendor_families(公式製品ページ由来)から生成