ATE(自動テスト装置)とは
ATE(Automatic Test Equipment、自動テスト装置)とは、テストプログラムに従って被測定物へ信号を与え、返ってきた応答を測って良否判定を下す装置です。 テスタとも呼ばれます。
ATEが自動と呼ばれるのは、良否判定までを一続きで行うためです。人が測定器を操作して1項目ずつ測る速さは、量産の数量に対して桁で劣ります。与える信号の順序、測る対象、判定基準をあらかじめプログラムとして記述し、装置がそれを実行します。
測る内容は3つの層になります。電源電流や端子の電圧といった直流特性、入出力の速度やタイミングといった交流特性、そして設計どおりの論理動作をするかという機能です。製品の種類によって、どの層に重心が来るかが変わります。
装置の中身は、この3層に対応した測定器の集合です。アドバンテストはV93000の日本語公式製品ページで、直流と電源側にDC Scale XPS256(ミリアンペアから数千アンペアまで出力)とDC Scale XPS128+HV(電圧レンジ-10Vから+24V)、デジタル側にPin Scale 5000とLink Scale、高周波側にWave Scale RF20exを掲げています。筐体へ挿すカードを替えることで、測る層の重心が移ります。
自動の実体は、端子ごとに独立した電子回路です。同社は、V93000が4世代にわたるパーピン・テスト・プロセッサと水冷アーキテクチャを採ることで実装密度と測定の再現性を得たと記しています。端子ごとに回路を持てば、端子数ぶんだけ回路が増えます。ATEの単価が高いのは、この掛け算がそのまま原価に乗るためです。
費用の構造がATEの設計を決めています。テストにかかる費用は、1個あたりのテスト時間と装置の単価でほぼ決まります。1回のテストで同時に測れる個数を増やせば、1個あたりの時間が下がります。したがってATEは、測定の精度と速度に加えて、同時測定数をどこまで増やせるかが比べどころになります。
同時測定数の上限は、テスタの外側にあります
Section titled “同時測定数の上限は、テスタの外側にあります”アドバンテストはV93000の日本語公式製品ページで、一度に測定できるデバイスの個数が、プローブカードやDUTボードにデバイスを載せる場所の広さで決まると記しています。上限を握っているのは、テスタ本体より先に治具側です。同社はDUTボードのサイズを切り替えられるDUT Scale Duoを業界初のデバイスインタフェースとして掲げ、これによりDUTボードとプローブカードの使用可能スペースが50%以上広がり、ウェーハプローブとファイナルテストのセットアップが3倍以上の高さの部材へ対応すると記しています。
ウェーハ側の上限も同じ形です。日本マイクロニクスはプローブカードの公式製品ページでパッドピッチを50μm以下から150μm以上までの7区分で掲げ、狭いピッチのカードほど1枚に載る針の密度が上がります。東京エレクトロンはCellciaで、300mmウェーハを一括コンタクトでテストする技術が一部のメモリテストで確立していると記し、セル数を12または25としています。同時測定数の話は、ウェハプローバー側の剛性と荷重の話と同じ紙の上にあります。
並列化の利得は、オーバーヘッドで削られます
Section titled “並列化の利得は、オーバーヘッドで削られます”同時測定数を2倍にしたときにテスト時間が半分まで縮むかは、別の話です。アドバンテストはT2000の日本語公式製品ページで、同時測定するDUTが増えるほどオーバーヘッドが発生し、一般にテスト時間は長くなる傾向にあると記しています。同社はT2000がこのオーバーヘッドを排したマルチサイト試験でテスト時間を削るとしています。
オーバーヘッドの出どころは、端子ごとの回路が共有する部分です。1サイトぶんの測定結果を読み取るあいだ他のサイトが待つ、電源が同時に立ち上がるときの突入電流を散らすために時間をずらす、といった待ちが積もります。同社はT2000について、最大8,192chのデジタルチャンネルを搭載すると従来比2倍以上の多数個同時測定になると記し、構成は最大52スロットの液冷システムまで伸びるとしています。DPS192Aモジュールは96chの電源を高密度実装で載せます。
装置1台の上に載る人の数も、同じ並列化の話です。同社はT2000のマルチサイトCPUアーキテクチャで、最大8名が1台へ同時にログインし、各々が独立してデバッグを進められると記しています。テストプログラムの開発期間がサイクルタイムの一部になる量産立ち上げでは、この並列化も装置稼働率と同じ重さで数えられます。
SoC向けとメモリ向け
Section titled “SoC向けとメモリ向け”アドバンテストは公式サイトでSoCテストシステムV93000 EXA Scaleと、メモリテストシステムT5835およびT5801を別のラインとして掲載しています。Teradyneも公式製品ページでSoC向けUltraFLEXplusとメモリ向けMagnumを分けています。
SoCは搭載する機能が多く、測る項目の種類が増えます。メモリは項目の種類よりも、同時に測れる個数と動作速度への追従が費用を左右します。要求の重心が別なので、装置の構成も別々になります。
数字で追うと差が出ます。アドバンテストはT5835の日本語公式製品ページで、最大5.4Gbpsの試験速度と768個のデバイスの同時測定、従来製品比2倍以上のテストスピードを掲げ、対象をNANDフラッシュからDDR5を含むDDR-DRAM、LPDDR-DRAMまでとし、パッケージ試験だけでなく高速ウェーハ試験までを範囲としています。768個を同時に測れば、理想では1個あたりの時間が768分の1になります(こちらで計算しました)。実際にはT2000のページに書かれたオーバーヘッドがこの理想から差し引かれます。
SoC側で並ぶのは、同時測定数よりも測定器の種類です。同社はV93000のパワーとアナログ向けにAVI64、FVI16、PowerMUXを挙げ、ハイサイドとローサイドの電源構造の試験を可能にするフローティング設計を特長としています。DC Scale XHC32は超多ピンデジタルとDPSの構成を可能にし、DUTと針やソケットの損傷を防ぐ保護機能を強めたとされています。PMICやADCのように直流の確度が製品仕様そのものになる品種では、この保護機能と出力確度が歩留まりの測り値を左右します。
つまみと、その代償
Section titled “つまみと、その代償”- 同時測定数を上げると1個あたりのテスト時間と費用が下がりますが、プローブカードとDUTボードの面積と配線層が増え、治具費用と製作期間が伸びます。オーバーヘッドも同時に増えるため、利得は倍率より小さく出ます。下げると治具は安く早く作れる一方、1個あたりの時間が伸びます。
- テスト項目数を上げると、後段や市場へ抜ける不良(本来の不良を良品として流すこと)が減ります。代わりにテスト時間が伸び、1個あたりの費用が上がります。下げると費用は下がる一方、バーンインやファイナルテスト、そして市場側へ不良が持ち越されます。
- 測定の確度レンジを狭く取ると微小な差を拾えますが、測定器のセトリング(値が落ち着くまでの待ち)が長くなり、項目あたりの時間が伸びます。広く取ると時間は縮む一方、良品と不良の境目にある個体の振り分けが粗くなり、ビンソートの分布が甘くなります。
- 温度コーナーの数を増やすと、高温側と低温側でだけ出る不良を工場で落とせます。代わりに同じ品種を何度も流すため装置の占有時間が倍で乗ります。減らすと占有時間は縮む一方、温度に依存する不良が車載グレードの要求水準に対して持ち越されます。
この用語に対応する装置と製造メーカー
Section titled “この用語に対応する装置と製造メーカー”関連するデータ・ツール
Section titled “関連するデータ・ツール”- 半導体テスト(全体)の工程ページ ── 工程分類と、この工程に接続している公開求人
- ファイナルテストの工程ページ ── パッケージ後のテスト
- 装置カタログDB ── 公式製品ページ単位のメーカーと製品family
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”ATEとは何ですか?
ATE(Automatic Test Equipment、自動テスト装置)は、テストプログラムに従って被測定物へ信号を与え、返ってきた応答を測って良否判定を下す装置です。テスタとも呼ばれます。
ATEは何を測りますか?
電源電流や端子の電圧といった直流特性、入出力の速度やタイミングといった交流特性、そして設計どおりの論理動作をするかという機能です。製品の種類によって、どれに重心が来るかが変わります。
同時測定数とは何ですか?
1回のテストで同時に測れる被測定物の個数です。この数が増えるほど、1個あたりのテスト時間と費用が下がります。テストコストを下げる主要な手段のひとつになります。
テストプログラムとは何ですか?
どの信号をどの順で与え、どの応答をどの判定基準と比べるかを記述したものです。同じATEでも、プログラムが変われば測る内容が変わります。テストエンジニアの中心的な仕事がこの作成と最適化です。
SoC向けとメモリ向けで何が違いますか?
要求の重心が別です。アドバンテストは公式サイトでSoCテストシステムV93000 EXA Scaleとメモリテストシステムを別のラインとして掲載しています。SoCは測る項目の種類が多く、メモリは同時に測れる個数と速度が費用を左右します。
同時測定数の上限は何で決まりますか?
アドバンテストはV93000の日本語公式製品ページで、一度に測定できるデバイスの個数が、プローブカードやDUTボードにデバイスを載せる場所の広さで決まると記しています。同社のDUT Scale Duoは、この使用可能スペースを50%以上広げ、3倍以上の高さの部材へ対応すると掲げています。
同時測定数を2倍にすると時間は半分になりますか?
そこには差し引きがあります。アドバンテストはT2000の日本語公式製品ページで、同時測定するDUTが増えるほどオーバーヘッドが発生し、一般にテスト時間は長くなる傾向にあると記しています。同社はT2000がこのオーバーヘッドを排したマルチサイト試験でテスト時間を削るとしています。
ATEのメーカーはどこですか?
当サイトの装置カタログDBでは、テストに一致する製品familyを持つメーカーを公式製品ページ単位で引けます。アドバンテスト、Teradyneが代表です。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- 半導体テストとスクリーニング ── 工程としてのテスト
- アドバンテスト V93000 の電力最適化 ── SoCテスト装置の深掘り
この記事の事実は次の一次資料を根拠とし、各URLの到達可否をこちらで実測しています。したがって、リンク先が移動または消滅した場合は、その旨をこのページへ反映します。
- アドバンテスト「T5835」公式製品ページ(2026年8月22日に実測、200。2026年9月3日の再実測も200)── メモリテストシステムというSoCとは別の製品ライン
- Teradyne「UltraFLEXplus」公式製品ページ(2026年8月22日に実測、200。2026年9月3日の再実測ではcurlに403が返ったため、この日付での生存はブラウザ側での到達に限られます)── SoC向けUltraFLEXplusとメモリ向けMagnumを別のラインとして掲げていること
- アドバンテスト「T5835 日本語ページ」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── 最大5.4Gbpsの試験速度、768個の同時測定、従来製品比2倍以上のテストスピード、NANDフラッシュとDDR-DRAMとLPDDR-DRAMの対象範囲、パッケージ試験と高速ウェーハ試験の両対応
- アドバンテスト「V93000 日本語ページ」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── 一度に測定できる個数がプローブカードとDUTボードの載せる場所で決まること、DUT Scale Duoによる使用可能スペース50%以上の拡大と3倍以上の高さの部材への対応、DC Scale XPS256のミリアンペアから数千アンペア、XPS128+HVの-10Vから+24V、4世代のパーピン・テスト・プロセッサ、水冷アーキテクチャ、AVI64/FVI16/PowerMUXとフローティング設計、XHC32の保護機能
- アドバンテスト「T2000 日本語ページ」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── 同時測定するDUTが増えるほどオーバーヘッドが発生してテスト時間が長くなる傾向にあること、最大8,192chのデジタルチャンネルと従来比2倍以上の多数個同時測定、最大52スロットの液冷システム、DPS192Aの96ch電源、最大8名の同時ログイン
- 東京エレクトロン「Cellcia」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── 300mmウェーハの一括コンタクトが一部のメモリテストで確立していること、セル数12または25
- 日本マイクロニクス「プローブカード」公式製品ページ(2026年9月3日に実測、200)── パッドピッチの7区分(50μm以下〜150μm以上)
- 768個同時測定で理想の1個あたり時間が768分の1になることは、上記公式仕様値からこちらで計算した値です
- 装置と製造メーカーの行は
intel.equipment_vendor_families(公式製品ページ由来)から生成