コンタクトプラグとは
コンタクトプラグとは、層間絶縁膜に開けた穴を金属で埋めて、トランジスタと一番下の配線をつなぐ縦の柱です。
トランジスタを作り終えた時点で、ソースもドレインもゲートも絶縁膜の下に埋まっています。電子情報通信学会の知識ベース(10群2編1章、2010年10月版)は、サリサイドの形成後に酸化膜と窒化膜をCVD法で成膜し、その後BPSG膜(BとPを添加したSiO2膜)を成膜して層間絶縁膜を作ると書いています。BPSG膜の表面にはトランジスタのパターンが転写されて凹凸が出るため、CMPで平坦化します。
上に敷く配線と下のトランジスタの間には、この絶縁膜が挟まったままです。だから穴を開け、その穴を金属で埋めます。埋まった金属の柱がコンタクトプラグです。
JEITAの半導体用語集(ICガイドブック2009年版が出所)は、寄生パラメータを数え上げる項の中に、拡散層と配線をつなぐコンタクトホールが持つ抵抗Rを入れています。プラグは電流の通り道であると同時に、トランジスタの性能へ直接足し算される抵抗を持ちます。同用語集はフロントエンドプロセスの項で、コンタクトホールの形成工程を、素子を作り込む下地工程に数えています。プラグは配線の仲間のようでいて、トランジスタ側の工程で作られます。
穴を開け、埋め、削って仕上げます
Section titled “穴を開け、埋め、削って仕上げます”同じ知識ベースは、手順を4つの段で書いています。
- 露光でレジストの模様を作り、BPSG膜をエッチングで削ります。平坦化のCMPを済ませた段階では、ポリシリコンの上とソース・ドレインの上とでBPSG膜の厚みが違います。そこで、先に付けておいた窒化膜を研磨の止め役として働かせます。
- 窒化膜と酸化膜をエッチングして、コンタクトホールを作ります。穴の深さと直径の比がアスペクト比です。
- Ti/TiNの薄い膜をバリアメタルとして付け、その内側へ埋め込み用のWを付けます。
- WをCMPで磨いて、コンタクトメタルに仕上げます。
横の配線は削って作り、縦のプラグは埋めて作ります
Section titled “横の配線は削って作り、縦のプラグは埋めて作ります”同じ知識ベースの別の章(10群2編4章、2010年4月版)は、AlCu配線の作り方を、絶縁膜の上へスパッタ法でAlCu合金を敷き、RIE(反応性イオンエッチング)で余分を削って線の形にする、と書いています。金属を先に敷き、余った部分を削り落とすやり方です。
縦の穴では、この順序が裏返ります。同章は、配線層どうしをつなぐビアでは、高さを径で割った値が大きくなるほど断線が起きやすいため、穴を埋める方式を採ると書いています。Alを高温で流動化させるAlリフローという手もあるものの、Wを使うビアが主流だとしています。手順としては、穴を開けたあとスパッタ法でTiNなどのバリアメタルを付け、WF6を原料ガスに使うW-CVDでWをウェーハ全面へ積み(同章はこれをブランケットW成長と呼んでいます)、RIEによるエッチバックかCMPで仕上げる、という順序を挙げています。
ここに取引があります。細い穴の底まで金属を届けるために、ウェーハの全面を金属で覆います。そして覆った分のほとんどを、エッチバックかCMPで削り落とします。穴の中へ居残った分だけがプラグになります。
埋める方式は、横の配線へも広がりました
Section titled “埋める方式は、横の配線へも広がりました”同章は、CuがRIEによるエッチング加工の難しい材料であるため、配線加工にダマシン法を使うと書いています。ダマシン法では、平らにした絶縁膜へRIEで配線の溝を彫り、そこへ金属を流し込み、溝からはみ出した金属をCMPで削り取ります。残るのは溝の中の金属だけです。
JEITAの用語集も、この作り方を2つに分けています。先にプラグを立ててから配線の溝を作る手順がシングルダマシン配線法、穴と溝を先に両方作っておいて金属を一度で流し込む手順がデュアルダマシン配線法です。プラグが先に取っていた埋める作り方へ、横の配線があとから合流したという順番になります。
アスペクト比が、埋められるかどうかを左右します
Section titled “アスペクト比が、埋められるかどうかを左右します”JEITAの用語集は、アスペクト比について、コンタクトホールでは開口直径に対する開口深さの比率だとしています。層を重ねるほど絶縁膜は厚くなり、微細化で開口の直径は小さくなるため、この比率は世代ごとに大きくなります。
JEITAが公開している国際半導体技術ロードマップ 1999年版の日本語版(半導体技術ロードマップ専門委員会が翻訳)は、その配線編で、DRAMでは100nmのノードまで配線にAl、プラグにWが使われ続けると見込み、その結果として深い穴へのコンタクトや配線の埋め込み技術の改良が進むと書いています。同編は、スタックト・キャパシタセルを使うDRAMのコンタクトのアスペクト比を、そのロードマップの中で最も厳しい要求に位置づけ、重点的に取り組む対象だとしています(1999年時点の見通しです)。
東京エレクトロンのTriase+シリーズの製品ページは、Triase+ Wを、WF6を原料に使う300mmウェーハ向けの枚葉CVD装置だとし、ステップカバレッジの高いW成膜ができるとしています。核をつけるSFDの工程と、膜を厚く育てる通常のCVDの工程を1つのモジュールの中で続けて行うため、細いホールの中でも被覆が保てると述べ、用途としてコンタクトプラグの形成とビアフィルを挙げています(同社1製品についての記述です)。
穴の底と壁では、別々の役目が要ります
Section titled “穴の底と壁では、別々の役目が要ります”知識ベースは、Ti/TiN薄膜をバリアメタルと呼び、その上へWを埋めると書いています。1つの膜が、穴の底ではシリコン側と低抵抗でつなぐ役目を、壁ではバリアメタルとしての役目を、同時に担います。
東京エレクトロンの同じ製品ページは、Triase+ Ti/TiNを、TiCl4を原料に使ってTiとTiNを段差によく回り込ませる装置だとし、コンタクト工程で抵抗を下げることと接合のリークを減らすことの両方を同時に成り立たせていると述べています(この節の東京エレクトロンの記述は同社製品についてのものです)。低抵抗と低リークは引っ張り合う要求なので、両立という語がそのまま設計の焦点になります。
穴を開けた直後の底面には、手入れも要ります。東京エレクトロンのCertasシリーズの製品ページは、Certas LEAGAを、洗浄液を使わずに表面エッチングとクリーニングを行うガスケミカルエッチング装置だとし、対応するアプリケーションの1つとしてシリコンコンタクト前の表面クリーニングを挙げています。柱を立てる前に、底の面を整える工程が入ります。
よくある質問(FAQ)
Section titled “よくある質問(FAQ)”コンタクトプラグとは何ですか?
層間絶縁膜に開けた穴を金属で埋めて、トランジスタと一番下の配線をつなぐ縦の柱です。電子情報通信学会の知識ベースは、この埋め込みにWを使うと書いています。
なぜプラグが要るのですか?
トランジスタが絶縁膜の下に埋まっているためです。同知識ベースは、シリサイド形成後に酸化膜と窒化膜をCVD法で成膜し、その後BPSG膜を成膜して層間絶縁膜を作ると書いています。この絶縁膜を貫く道が要ります。
何の金属で作りますか?
タングステン(W)が主流です。同知識ベースは、Ti/TiNの薄い膜をバリアメタルとして先に付け、その内側へ埋め込み用のWを付けたあと、WをCMPで磨いてコンタクトメタルに仕上げると書いています。
どうやって細い穴を埋めますか?
同知識ベースは、穴を開けたあとスパッタ法でTiNなどのバリアメタルを付け、WF6を原料ガスに使うW-CVDでWをウェーハ全面へ積み、RIEによるエッチバックかCMPで仕上げると書いています。全面へ積むこの付け方をブランケットW成長と呼んでいます。
なぜウェーハ全面に積むのですか?
細い穴の底まで金属を届けるためです。そのぶん、覆った金属のほとんどをエッチバックかCMPで削り落とします。穴の中へ居残った分だけがプラグになります。
アスペクト比はどう影響しますか?
埋まりやすさを左右します。JEITAの半導体用語集は、コンタクトホールのアスペクト比を開口直径に対する開口深さの比率だとしています。同知識ベースは、ビアでこの値が大きくなるほど断線が起きやすいため、穴を埋める方式を採ると書いています。
配線とプラグでは作り方がどのように異なりますか?
同知識ベースは、AlCu配線の作り方を、絶縁膜の上へスパッタ法でAlCu合金を敷き、RIEで余分を削って線の形にする、と書いています。横の配線は削って形を作り、縦のプラグは穴へ埋めて形を作ります。CuはRIEによる加工が難しい材料のため、横の配線もダマシン法という埋める方式へ移りました。
比較・違いを学ぶ
Section titled “比較・違いを学ぶ”- サリサイドとは ── プラグが降りてくる相手側の、低抵抗な化合物の層
- ダマシン法とは ── プラグと同じ埋める作り方を、横の配線へ広げた方法
- バリアメタルとは ── 穴の壁と配線の溝を先に覆う薄い金属膜
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- 電子情報通信学会「知識ベース 10群2編1章 集積回路プロセス技術概論」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── シリサイド形成後の酸化膜・窒化膜・BPSG膜による層間絶縁膜とCMP平坦化、窒化膜をポリッシングストッパーに使うコンタクトホール形成、バリアメタルTi/TiNとコンタクト埋め込みプラグW、WのCMPポリッシング、第一メタル配線層の構成
- 電子情報通信学会「知識ベース 10群2編4章 プロセスモジュール技術」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── AlCu配線のスパッタ堆積とRIE加工、ビアのアスペクト比と断線、Alリフローに対するWビアの主流化、TiNバリアとWF6によるW-CVDのブランケットW成長、RIEエッチバックとCMP、CuのRIE加工の難しさとダマシン法
- JEITA 半導体部会「半導体用語集」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── コンタクトホールのアスペクト比の定め方、拡散層と配線をつなぐコンタクトホールが持つ抵抗Rを寄生パラメータに数えていること、コンタクトホール形成を下地工程に数えるフロントエンドプロセスの項、シングルダマシン配線法とデュアルダマシン配線法
- JEITA公開「国際半導体技術ロードマップ 1999年版 日本語版 配線」半導体技術ロードマップ専門委員会訳(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── DRAMで配線にAl・プラグにWが100nmノードまで用いられるという予想と高アスペクトコンタクトへの影響、スタックト・キャパシタセルDRAMのコンタクトアスペクト比が最もアグレッシブであること
- 東京エレクトロン「成膜 Triase+シリーズ」(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── Triase+ WのWF6による高ステップカバレッジW成膜、SFDの核付け層形成と通常CVDのバルク膜形成を同一モジュール内で行うこと、コンタクトプラグ形成とビアフィルへの提供、Triase+ Ti/TiNのTiCl4成膜と、コンタクト工程で抵抗を下げることと接合リークを減らすことの両立
- 東京エレクトロン「エッチング Certasシリーズ」Certas LEAGAの項(2026年9月2日にリンク生存を実測、200)── 洗浄液を使わずに表面エッチングとクリーニングを行うガスケミカルエッチング装置であることと、シリコンコンタクト前の表面クリーニングというアプリケーション